創業から同じ味を守り続ける、滝川味付ジンギスカンを札幌で食す

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旅先でご当地肉を食べたい!〜札幌・名古屋・大阪・福岡〜

2019/01/18

創業から同じ味を守り続ける、滝川味付ジンギスカンを札幌で食す

北海道の肉料理といえば、羊肉のジンギスカン。札幌では焼いた肉にタレを付ける方式が一般的だが、滝川で生まれたタレに肉を漬け込む味付ジンギスカンもまた、北海道民が日頃親しむソウルフードだ。その滝川式のジンギスカンの普及の歴史に大きく関わる名店を取材した。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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全国区となったジンギスカンの真髄は、一度食べると何度も恋しくなる郷土の味

肉はもちろん、うまみとタレが染み込んだ野菜も極上の味わいになる。ジンギスカンはただの焼肉ではなく、鍋料理なのだ

北海道での羊(めん羊)の育成の歴史は、明治時代の開拓期にまでさかのぼる。国の「100万頭計画」により、札幌市と空知地方の滝川市で、羊毛のため羊の飼育を進めていった。

当時は羊毛が取れなくなる老齢まで飼育したため、硬くクセの強い肉は食用に利用されづらかった。大正時代に入ると、さらなる普及のために羊肉の料理が研究され始め、その中で生まれたのがジンギスカンだといわれる。

滝川市で創業当時の松尾ジンギスカン(写真提供:松尾ジンギスカン)※二次利用・無断転用はお控えください

ジンギスカンの普及に一役買ったのが、滝川市で生まれた、特製タレに漬け込む味付ジンギスカンだ。これを全国に知られる名物料理に育てたのが、1956年に創業した松尾ジンギスカンである。

「創業者の松尾政治は、何年もの試行錯誤の上タレを開発し、やがて北海道で羊の飼育が下火になっても、海外の品質の高い羊肉を取り入れジンギスカンを守りました」と話すのは、札幌中心部3店の統括店長を務める北谷宏幸さん。そして今も同店は、創業当時から変わらない味を守り続けているという。

札幌駅前店・札幌大通南1条店・札幌すすきの4・2店の統括店長を務める北谷宏幸さん。営業課長も同時に務める

その松尾ジンギスカンの味を、地下鉄大通駅徒歩1分、札幌の市街地中心部で味わえるのが、松尾ジンギスカン札幌大通南1条店だ。

4丁目交差点のすぐ近く、ビルの1階にある
50席の店内は、夜はグループ客でひしめくが、昼は一人ランチ客も多い。空調により、焼肉店やジンギスカン店につきものの煙問題・衣類へのニオイ問題も心配なし!

滝川特産のうまいものが羊肉をおいしくアシスト

松尾ジンギスカン、そして滝川のジンギスカンの味の命となるタレは、当時から滝川の特産品だったリンゴとタマネギが中心になっている。

北谷統括店長
北谷統括店長
「醤油をベースに、リンゴとタマネギ、ショウガで羊肉の独特のクセを押さえています。タレは作り置きも加熱処理もせず、毎日ジュースの状態から調合しています。このタレに漬け込むことで、肉質も柔らかくなるんですよ」

材料を調合してできる「一番ダレ」に肉を漬け込むと、羊肉のうまみがタレに移る。肉を漬け込んだ後の「二番ダレ」は同店でジンギスカンの野菜の煮込みに使われるほか、さまざまな料理にも活用されている。

秘伝の二番ダレには肉を漬け込んだ際の脂が見える。松尾政治氏は老若男女万人に受ける味を目指し、タレにニンニクを決して使わなかった

同店を初めて利用する場合、オススメなのは生後1年未満の子羊の肉のみを使用した、柔らかくクセの少ないラムジンギスカンだ。「2989(にくやく) 4種盛りセット」(2989円)では4種類の部位の肉が味わえる。

いざ肉と山盛り野菜が並ぶと、どう焼くのが正しいのか困ってしまうかもしれない。初回の鍋はしっかりと店員が焼いてくれるので安心だ。

\4種の肉の味わいを食べ比べ!/

2989 4種盛りセット2989円(写真は2人前・一部の料理)。ラムリブロースジンギスカン、特上ラムジンギスカン、ラムジンギスカン、ラムハツ各60gに野菜、ライス、味噌汁、ドリンク1杯がセットになる
北谷統括店長
北谷統括店長
「肉の部位による順番や火の通し方など、ジンギスカンにルールはありません。食べてみたい部位から店員にお申し付けください。もちろんお任せでも大丈夫。おすすめの順番など、店員の個性も出てきます」
ジンギスカンといえば、中央が盛り上がったこの鍋で、その改良の歴史にも同店は大きく貢献してきた。同店で使われる鍋はオリジナルで、炭焼きからガスへ、熱源が変わるごとに何度も改良を重ねている
まずは野菜から
野菜を載せ終わったら、鍋の頂上で肉に軽く火を通す

熱された鍋に肉を載せると、ジュウジュウという心地よい音と香ばしい香りが漂う。食欲が刺激されるが、鍋に手を伸ばすのはまだまだお待ちあれ! ここから最後の仕上げが、滝川のジンギスカンの見せ場なのだ。

肉の両面に火が通ったところで、二番ダレを豪快に鍋にジャーッ!
タレがグツグツと沸いたら食べごろ

同店でも最高級に位置付けられるのが、ラムリブロースジンギスカンだ。ロース肉の中でも最も脂ののった場所で、1頭の羊から取れる量は限られ、直営店でしか味わえない味覚となっている。

ラムリブロースジンギスカン。脂の差しと上の小ネギが目印

ラムジンギスカンは、肩の部位を使用したラムジンギスカンで、羊肉の旨味が噛むほどに浸み出してくる。赤身が好きな人は、もも肉からていねいに脂身を取り除いた特上ラムジンギスカンがおすすめだ。

さらに羊の心臓「ラムハツ」も味わえる。こちらは歯ごたえがよくプリプリの食感。内臓系といって抱くようなクセはまったくない。

特上ラムジンギスカン
北谷統括店長
北谷統括店長
「セットにはごはんが付きますが、締めにうどん(160円)を入れると野菜のダシが出たタレを吸い込んで、とてもおいしく味わえます。お腹に余裕があればぜひ」

ガッツリと肉を食べたい人には、ジンギスカン以外にもおすすめの一品がある。

\ラムの旨味を骨つき肉で堪能!/

ラムステーキ(1本850円、写真は2人前)

ラムステーキ(1本850円)は、子羊のロース肉の中で、1頭から平均14本しか取れない骨付きの部位を秘伝のタレに漬け込んで焼いたもの。外側は香ばしく、中は甘みが残る絶妙の焼き加減で提供される。

ランチの隠れた名物がさらにパワーアップ

11:00〜15:00のランチタイムにも、ジンギスカンの食べ比べランチやジンギスカン丼などのメニューを用意。さらに平日には知る人ぞ知るすごいランチメニューがある。

\このデカ盛りでこの価格!/

まつじんカレー750円(サービスドリンク1杯付き)

牛スジ・牛スネ肉をホロホロになるまで煮込み、スパイシーに味付けしたまつじんカレー。このカレーにもジンギスカンのタレが隠し味に使われている。注目すべきはその量、ルーだけで300g!

さらにこのカレーにも、マトンジンギスカン(100g400円)がトッピングできるから面白い。

北谷統括店長
北谷統括店長
「週2〜3回カレーを食べに来られる常連のお客さんが、たまにジンギスカン丼を頼まれていることに気づきました。『一緒に食べられるようにしては』とスタッフが発案し、この1月から新トッピングとして導入しました」

スパイシーなカレーに、甘みのあるジンギスカンは意外なほどよく合う。このように、常連客のツウな食べ方から着想されたメニューもしばしばあるという。

山盛りのライスはこれで普通盛り。さらにライス大盛りもなんと無料!
北谷統括店長
北谷統括店長
北谷統括店長
「初代は花見の時期に滝川市内の河川敷に鍋を並べ、町の人を呼んでジンギスカンをふるまったと聞いています。それをきっかけの一つに町の人に親しまれ、それぞれの楽しみ方を教えてくださる方もいました。そうして育ってきた料理なのです」

伝統は残しつつも、いろいろなアイデアを受け入れチャレンジしていきたいと北谷統括店長は笑顔を見せる。一度食べればその味が恋しくなり、次に行けばまた違う出会いがある、そんな伝統店の味をぜひ味わってみてほしい。

取材・文・撮影=みんなのことば舎

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