【加曽利貝塚(千葉市若葉区)】の魅力を大解剖!見どころ満載!

2019/02/18

【加曽利貝塚(千葉市若葉区)】の魅力を大解剖!見どころ満載!

貴重な土器や貝塚、竪穴式住居の跡(2017年12月には縄文時代晩期の住居跡が新たに発見されました!)が見られる加曽利貝塚。ボランティアガイド歴5年で「ボランティアガイドの会」副会長でもある押尾衛さんに加曽利貝塚の「すごさ」と「楽しみ方」を聞いてみました!

ちいき新聞web

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【加曽利貝塚(千葉市若葉区)】の魅力を大解剖!見どころ満載!

加曽利貝塚は2017年10月13日に国の特別史跡に指定されました。

特別史跡とは美術品や建築物でいうところの「国宝」に当たるもの。しかも千葉県内では始めての特別史跡、さらに貝塚としては日本初なのだとか。

「ボランティアガイドの会」副会長でもある押尾衛さん

加曽利貝塚は「不思議の森」

―加曽利貝塚の魅力とはズバリ?

押尾さん:まず、貝塚を少し見て回るだけで「これはなんだろう?」「なぜなんだろう?」というたくさんのクエッションが思い浮かぶという点です。

加曽利貝塚はいわば「不思議の森」。疑問の答えは文献などから推測するしかありませんし、なんせ縄文時代の出来事ですから正解が分かるわけがない(笑)。

そんなところが人を惹きつけるのではと個人的には思います。

加曽利貝塚は「不思議の森」

押尾さん:次に「現物が見られる」という点ですね。

加曽利貝塚には北貝塚と南貝塚があるんですが、そのうち北貝塚は貝塚の断面や竪穴式住居の住居跡をそのまま展示しています。

これは他の貝塚ではありえないんですよ。

住居跡なんかは保存の観点から、土で覆ってその上に復原住居を建てるのが一般的ですから。

貝塚の環境もいいですね。実は縄文時代ってその前の旧石器時代からだんだんと人が定住しはじめる時代なんですが、それでも食料がなくなったら、次の場所へと移動していたケースが多いらしいんですよ。

そんな中、加曽利貝塚は2000年間も人々が住み続けている

きっと主食であるどんぐりやクルミなどが豊富で海も近く、獣もいて食べるものに困らなかったんでしょうね。

(貝塚にはクヌギやナラなどたくさんの種類のどんぐりが落ちています)

押尾さん:実は加曽利貝塚の発掘というのは全体の7%程度しか行われていないんです。

今回特別史跡になったことで、これから発掘がどんどん進めばまた新たな発見があるかもしれない。

未知のものが見つかるかも、と思うとワクワクしますよね。

―いったい何が出てくるんでしょう? 期待が高まりますね!

縄文時代の案内人・ボランティアガイド

―加曽利貝塚の特徴といえば、ボランティアガイドさんが常駐していることですよね。

押尾さん:普段は午前と午後の1回ずつ、博物館と貝塚をツアー形式でご案内しています。1組の来場者に対して、ガイドが1人付きます。

その他イベント時はスタッフとしてお手伝いしますし、春先には小学校の校外授業が多いので、その応対と火おこしの指導もしますよ。

―お忙しいですね! ちなみに押尾さんはどうしてガイドになられたんですか?

押尾さん:もともと学生時代から考古学が好きだったんですよね。会社を退職した時にたまたま市の広報でボランティアガイドを募集していることを知って、それで応募しました。

研修のために他の博物館に行ったり、勉強会をしたり、先輩から火おこしを教わったり…。

新しい知識が増えて知的好奇心が満たされるのが楽しいですよね。あとは「この日はガイド、この日はイベント…」と予定が埋まるので生活にハリも出ます。

―ガイドさんになるにはどうしたらいいんですか?

押尾さん:年に1回募集がありますが、「なりたい」という人がいればいつでも受け入れているみたいなので、興味がある人は博物館にまず連絡してみてください。

現在は50人前後の登録があって、私のように定年後の人や子育てが落ち着いた主婦の方など色んな人がいますよ。それぞれ都合のいい曜日に貝塚に来ています。


―やはりガイドさんをリクエストする人はたくさんいらっしゃる?

押尾さん:実際は、私たちからお声掛けをすることが多いですね。中にはお金がかかると思って逃げてしまう人も…。

あくまで無料ですからぜひ利用いただきたいです

縄文時代の体験ができるイベントも定期開催!

ちなみに加曽利貝塚では、毎週第2、第4日曜日に「縄文ひろば」という体験イベントを行っているそうです。

当日は火おこしや縄文服の試着、アンギン編み(※編集部注:縄文時代に用いられた編み技術)、アクセサリー作りなど、さまざまな体験ができますよ!

写真は復元住宅で縄文服を着る筆者。意外に暖かいしちょっとオシャレ

環状と馬蹄形の2つの貝塚

押尾さんが「とにかく不思議」と話すのが、加曽利貝塚の形。
北貝塚と呼ばれるこの貝塚は、きれいなドーナツ状の「環状貝塚」です。
中央の平らな広場に住居の形跡はなく、「人が集まる場所だったのでは」と言われているそう。

写真だと少し分かりづらいですが、実際に広場部分に立ってみると、盛り上がった部分が360度広がっているように感じます

「この環状貝塚は、約1000年かけて形成されたことが分かっています。
1000年って、だいたい鎌倉時代から現代までの年月。
そんな長い期間、なぜこの形を保って貝塚が形成されて行ったのか、見当も付かないですよね」(押尾さん)

何か意味があったのか、それとも先祖から代々受け継がれた形式を守っていただけなのか…。

私は中心部でお祭りや儀式などが行われていたのかな、と勝手に空想していました。
正解は分かりませんが、そんな風にあれこれ推理するのも楽しいですね。



一方の南貝塚は馬のひづめのような「馬蹄形」

貝塚の場所を示すために、境目に大谷石が敷いてあります

歩道と勘違いした人から「なんか歩きにくい!」と言われてしまうこともたまにあるとか。

(私も歩道だと思ってました!!)



余談ですが、加曽利貝塚はくぬぎの木がたくさん生えているので夏にはカブトムシが見られるそうですよ。
知る人ぞ知る、千葉市内屈指のカブトムシスポットなのかもしれません!

この姿はココだけ! 住居跡と貝層は一見の価値あり

加曽利貝塚の2つの貝塚のうち、北貝塚は“ありのまま”の状態で展示されているのが特徴です。

まず案内してもらったのが住居跡。

柱のあとがくっきりと地面に残っているのが分かります

この場所に、実際に竪穴式住居があって、この穴も縄文人が掘ったものだと思うと何とも不思議な気持ちになりますよね。

竪穴式住居跡の展示方法は、上に土をかぶせて復原住居を建てるのが一般的。
このような姿が見られるのは加曽利貝塚だけだそうですよ。貴重!



続いて案内してもらったのは貝層。

こちらも必見です。

建物の外から見ると、両脇の土が盛り上がっています 建物内では、この断面を見ることができます
中に入ると…

なんということでしょう。

貝塚内が丸見えです。

二手に分かれた土の中に立つなんて滅多にできることではありません。

イボキサゴ純貝層

押尾さん曰く、「加曽利貝塚から出土する貝のうち8割がイボキサゴという小さな貝の殻なんです。

他にもアサリとかサザエとか、おいしい貝がたくさんあるのに、なぜこの小さな貝殻がたくさんあるのか。

これも不思議です。だしをとっていたのか、おまじないに使っていたのか…」



住居跡も貝層も入ると土の香りがプンッとして、非日常の空間です。
押尾さん、これは本当にスゴイですね!

「そうですね。ただ、住居跡も貝層も空気に触れるのでどうしても劣化が避けられないのが現実です。
もしかしたら近い将来展示方法も考えなくてはいけないかもしれません」と押尾さん。

この展示方法も期間限定という可能性もあるとか。

何年先も続けてほしいけど、保存のことを考えると…。
確かに難しい問題です。

実は、昭和30年代、宅地造成のために民間企業に買収されてしまった歴史を持つ加曽利貝塚。
貴重な文化財を保全すべき、と千葉市で教師をしていた武田宗久さんが中心となって反対運動を展開しました。
結果、千葉市が加曽利貝塚を買い戻し、保存することになったそうです。

「市民が守った貝塚」だから、恩返しの意味で貴重な史跡を開放することになりましたが、当時は「貝塚の見せ方」が世間的にまだ確立していなかったため、このような独自の展示方法になったのだとか。

市民の手で守られた加曽利貝塚が、国も認める史跡になったというのは感慨深いものがありますね!



ちなみに南貝塚の方の住居跡は復原住居が建っていて、実際に入れます。

こちらはこちらで秘密基地のようで楽しい!天井が高くて意外と広く感じますよ

火おこしも体験してきました

取材3日前に「何か体験させてください」とリクエストしたところ、火おこしであれば大丈夫!と直前の依頼にも関わらずご快諾いただきました。
昭和生まれの筆者ですが、火おこしは初体験。

火種は麻のロープをほぐしたもの。
火種の上に「火鑽り臼(ひきりうす)」という道具を置いて、「火鑽りきね(ひきりきね)」という棒を巻き付けた弓を使って火をおこします。

まずは押尾さんがお手本。

弓の柄を持って引くことで摩擦を起こして、その熱で火種を燃やすという仕組み
10秒もたたないうちにモクモクと煙が上がってきました! さすが早い!

見るのとやるのとでは大違いということで、筆者も体験。
ところが火おこしの前に、まず弓を火鑽りきねに巻き付けることができません! 

簡単そうに見えたのですが、意外に力とコツが必要でした
ほぼほぼ押尾さんの力で成功しました

「火おこしの体験は小学生が校外学習で来たら必ずやります。
当時の小学生が大人になってお子さん連れで来たとき、貝塚のことは忘れていても火おこしをしたことだけは覚えているんですよね」と押尾さん。

それだけ普段やる機会のない貴重な体験ということですね!

火おこし体験は、毎月第2、第4日曜日の「縄文ひろば」で誰でもできますのでぜひ挑戦してみてください。

120%楽しむにはボランティアガイドを頼むべし!

押尾さんと貝塚を歩いていると「ここは下総台地の端」とか「ここから大型住居が見つかっている」とか「ここには船着場があって、縄文人たちは東京湾に漁に行っていたと言われている」とか、一見すると分からないことをいっぱい教えてもらえました。

知らなければ通り過ぎてしまう史跡という場所だからこそ、ガイドさんの解説には驚きがたくさんあります。

加曽利貝塚は、史跡というハード面に、ボランティアガイドというソフト面が合わさることでより魅力を発揮する場所だと個人的には思います。

ボランティアガイドさんによる案内は、加曽利貝塚博物館の受付などで申し込めます。
無料ですよ♪

押尾さん、長時間ありがとうございました!!

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