札幌の専門店で味わうアツアツとろ〜りな道産チーズのフォンデュ

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旅した時に食べたい!あったかご当地グルメ

2019/02/04

札幌の専門店で味わうアツアツとろ〜りな道産チーズのフォンデュ

酪農が盛んな北海道には、質の高い個性豊かなチーズが数え切れないほどある。自然の恵みと酪農家の努力が詰まった北海道産のチーズを心ゆくまで満喫できる店が札幌の円山にあった。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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北海道産チーズの魅力に出会えるワインペアリングスタイルの洋食店

北海道の食材とソムリエ厳選のワインが織り成すマリアージュをご堪能あれ

日本で初めて本格的なチーズが作られたのは、1876(明治9)年、開拓が始まって間もない北海道とされている。生乳生産量・乳用牛の飼養戸数ともに全国1位を誇る北海道には140を超えるチーズ工房があり、国内外のコンテストで高く評価されるチーズも多い。

札幌の西側にある円山エリアは、北海道神宮や円山動物園があり、古くから市民になじみのある街だが、ミシュランガイドなどで紹介される名店が集う札幌屈指の美食の街でもある。

地下鉄円山公園駅3出口を出て、円山公園の方向に真っすぐ進もう
公園に突き当たったら右折。少し歩くと左手にアメリカ領事館があり(守衛が立っている)、その真向かいの小道の奥に店がある
古民家を改装した店舗。以前はカフェとして利用されていた。駅からは店までは徒歩5分程度で到着

チーズフォンデュが看板メニューのワインレストラン

そんな円山に2010年11月にオープンしたのが「円山別邸」。オーナーソムリエの田中栄治(たなかえいじ)さんは、北海道のチーズについてこう語る。「若い生産者の方ががんばっていらっしゃるので、まだまだ可能性に満ちた分野だと思います」。

シニアソムリエの資格を持つ田中さん

同店は北海道産チーズのみを使ったチーズフォンデュ専門店。居酒屋店やダイニングバーなら、チーズフォンデュも数あるメニューの1つにすぎないが、ここでは料理の中でもメインだというから珍しい。

オーナーソムリエ 田中栄治さん
オーナーソムリエ 田中栄治さん
「北海道産のチーズは他に比べて高価で、商売にならないって言われています。僕はチーズ工房さんと以前からお付き合いがあり、その難しさをクリアできると確信していたので、チーズフォンデュをメインにしようと思いました」

北海道産のチーズ料理を心ゆくまで

グツグツと沸き立つチーズ。香ばしい良い香りが鼻をくすぐる

チーズフォンデュは、スイス、イタリア、フランスのアルプス山岳部の伝統ある郷土料理で、一般的にエメンタールチーズとグリュイエルチーズを白ワインで煮込むシンプルな料理だ。

オーナーソムリエ 田中栄治さん
オーナーソムリエ 田中栄治さん
「当店では、興部(おこっぺ)町にある冨田ファームのチーズをフォンデュに使用しています。牧草や土壌を分析し、排泄(はいせつ)された有機質を土に還元し、良い土作りを行う循環農法によって牛を育てているため、質の高い生乳ができあがるのです」

\ワインとのマリアージュにうっとり/

北海道のチーズフォンデュ(ハーフサイズ)、白ワイン
トーストされたバゲットにチーズをたっぷりつけて召し上がれ!

冨田ファームのチーズの中でも、熟成されたハードタイプの「カムイ・スイ」と「コタン」を使用。アツアツのチーズを絡めたバゲットを口にすると、甘やかなナツメグの香りが鼻に抜ける。

オーナーソムリエ 田中栄治さん
オーナーソムリエ 田中栄治さん
「本日ご用意した白ワインはメナージュトロワゴールドです。バニラやココナッツオイルのような甘い香りがチーズのミルキーさを引き立ててくれます。自然光で見るとゴールドの輝きです」
白いリボンがかわいいテーブルセット。細やかな気配りを感じる

同店はチーズフォンデュの店という以外にも強いスタイルがある。それは料理の一品一品にソムリエが厳選したワインを合わせる「ワインペアリング」というスタイルだ。料理はコースのみで、しかも完全予約制

今回はランチで人気の「ワインペアリングランチB(1人 税込5184円)」をご紹介。ハーフサイズのチーズフォンデュに加え、道産チーズが楽しめる前菜や魚介料理も登場する。

\今話題の牧場のチーズを使用/

前菜(牡蠣のオイル煮、ホタテとモッツァレラチーズのマリネ)、スパークリングワイン ※季節・仕入れ状況により内容が変更になる場合あり

今回のマリネで使用されているチーズ「スカモルツァ」は、村上牧場ミルク工房レプレラ(道南・せたな町)のもの。1月に公開された映画の舞台にもなっている。

オーナーソムリエ 田中栄治さん
オーナーソムリエ 田中栄治さん
「牡蠣とスパークリングワインの味がマッチするのは、酸味のあるドリンクがレモンのように牡蠣の味を引き立ててくれるからです。また、酸味は口の中や胃を刺激させ、食事への意識を高める働きもあります」

\日本最優秀賞を受賞したラクレット/

断面にほんの少し焦げができたところで、とろりと溶けたラクレットを目の前でかけてくれる
ラクレットチーズを添えた鱒(マス)のアクアパッツァ、ロゼワイン ※魚介は季節・仕入れ状況により内容が変更になる場合あり

国内のナチュラルチーズの大会で最優秀賞を受賞した共働学舎新得農場(新得町)のラクレットをぜいたくに味わえる一品。魚介料理だが、しっかりした味付けのスープに負けないように白ワインではなくロゼワインをペアにしている。

オーナーソムリエ 田中栄治さん
オーナーソムリエ 田中栄治さん
サーモンとロゼワインの組み合わせは鉄板といわれていて、理屈抜きでおいしく召し上がっていただけます。アクアパッツァの具材によって、選ぶロゼワインを変えています」

\ジビエのイメージを変えるペア/

滝川産合鴨のコンフィ、赤ワイン
華やかな盛り付けは、もはや芸術品のようだ

空知地方の滝川市にある新生園という施設で飼育・製造されている合鴨を使用。鴨肉ということを忘れてしまうほど、臭みがなくて食べやすい。オイリーなコンフィに対し赤ワインはあっさりしているので、永遠にマリアージュを楽しめそうだ。

オーナーソムリエ 田中栄治さん
オーナーソムリエ 田中栄治さん
新生園さんの合鴨はとにかくフレッシュでピュアなんです。調理していても手に肉の匂いがつかず、脂身から抽出するオイルも驚くほどきれいです。希少なスイス産の赤ワインはベリー系の果実味と酸味があり、合鴨の上質なオイルによく合います」

\大人だけが味わえる至福のデザート/

プチジェラート(ビターチョコレート)、スイートワイン

コースの締めを飾るのは冷たいジェラート。ほろ苦いビターチョコレートの風味と甘いワインのマリアージュは心が躍るおいしさ!ナッツとドライフルーツの香りも、このワインにピッタリ。

オーナーソムリエ 田中栄治さん
オーナーソムリエ 田中栄治さん
「スイーツによって選ぶワインはしょっちゅう変えています。このビターチョコレートとバニュルス(赤ワイン)のマリアージュは美食家の間では定番中の定番なんですよ」

円山別邸には、全国的にも数少ないノンアルコールドリンクのペアリングランチもある(1人 税込5184円)。料理はご紹介したワインペアリングランチBと同じなので、ここではドリンクのみご紹介。写真の右から順に料理に合わせて提供される。

\趣向を凝らしたノンアルドリンク/

右から、ベリースカッシュ、ビタースプリッツァー(ノンアルコールワイン×ノンアルコールビール)、徳島県産 阿波晩茶、タニックブルーベリー(ブルーベリージュース×緑茶)、メープルミルク

料理に合わせて考えられたドリンクは、料理を引き立てるワインの特徴をノンアルコールで再現している。中でも一番驚いたのは、チーズフォンデュにペアリングされた阿波晩茶だ。乳酸発酵された茶葉を乾燥させて作るお茶で、胃腸を整える働きがあり、チーズの消化を促してくれる。

ワイン嫌いを克服した店主

田中さんは以前まですすきのの小さな店で働いていた。今となっては考えられないが、当時は “大”がつくほどのワイン嫌いだったそうだ。

いずれ飲食業で働きたいと考えていた田中さんは、29歳の時に勤めていた旅行代理店を退職。居酒屋店で飲食業の基礎を身に付けた
オーナーソムリエ 田中栄治さん
オーナーソムリエ 田中栄治さん
「勝手なイメージですが、ワイン好きな人って、格好つけで気取ってて、聞いてもいないのに“うんちく”垂れて、とにかく本当に苦手でした。そもそもワインの味もおいしいと思ったことがなかったです(笑)」

その店で働いていたときにワインのニーズが高まったため、仕方がなく覚悟を決めて勉強しようと思っていた矢先、ワイン会社の営業マンが飛び込みで店にやって来た。

オーナーソムリエ 田中栄治さん
オーナーソムリエ 田中栄治さん
「僕にワインを教えてくれるなら、ワインだけはあなたの会社から仕入れます、と提案したら即OKしてくれました(笑)。親交を深めるうちに、彼のワインに対する熱が伝わり、ソムリエの資格までめざすことになったんです」
今回のコースに登場したワイン。右から、スパークリング(イタリア)、ロゼ(スペイン)、白(アメリカ)、赤(スイス)、甘口(フランス) ※料理や仕入れ状況によって変更になる場合あり

特別な日だけじゃもったいない! チーズとワインをもっと身近に

ワインペアリングには、一緒に食事をする相手との会話や料理に集中できるという良さもある。札幌ではまだ少ないが、世界的に流行しているというこのスタイルをなぜ取り入れようと思ったのか。

オーナーソムリエ 田中栄治さん
オーナーソムリエ 田中栄治さん
「ワインは料理と一緒に口に含むことで味が完成するので、僕は調味料だと思っています。だから、選択を間違えるとワインも料理もおいしくなくなってしまう。それは非常にもったいないので、ソムリエとしての責任を果たす気持ちでこのスタイルを取り入れました」
こじんまりとした店に案内できるのは、ランチとディナーでそれぞれ2〜3組だけ。1組につき2〜4名で行くことをおすすめする

チーズとワインはそもそも海外の文化なので、日本人になじみがないのは当然のこと。戦後の食の欧米化に伴い、今では当たり前の風景になったが、田中さんはまだまだその文化は浸透していないと感じるそうだ。

オーナーソムリエ 田中栄治さん
オーナーソムリエ 田中栄治さん
「生産者と消費者をつなぐ僕たちだからできることがあると思います。選び方、食べ方を提案することで、その文化に馴染んでもらえたらうれしいですし、当店がそのきっかけになれたらと思っています」

円山エリアは美食の街ゆえに、食材や調味料の専門店も多い。ワインやチーズに特化した店も点在しているので、ソムリエ気分で見て歩き、北海道のチーズとワインを家族や友人に振る舞ってみてはいかがだろうか。

取材メモ/完全予約制で料理はコースのみと聞けば、着ていくものに悩む方も多いかもしれませんが、円山別邸は平服でOK。ちょっとオシャレして気分を上げて、円山エリアにお出かけしてみてくださいね。

取材・文=小林かほり(みんなのことば舎)、撮影=山下恭子

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