にいがた日本酒をめぐる旅 ~Vol.1 八海醸造~

にいがた日本酒をめぐる旅 ~Vol.1 八海醸造~

2019/02/04

新潟県内にある酒蔵は約90。なぜ一本の酒がここまで人の心を惹きつけるのでしょう。味わいだけでは語れない、つくり手の思いに触れれば、もっと日本酒がおいしくなるはずです。

月刊新潟Komachi

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普通酒・本醸造で八海山の高みを目指す

八海醸造(南魚沼市)

希少性の高い酒、ハイクラスの日本酒は話題になりやすいもの。一方で普通酒は安く手に入りやすく、味はそこそこというイメージを持っているかもしれません。しかし、「普段から飲める日本酒にこそ価値がある」と考え、普通酒本醸造といったレギュラー酒に全力を注ぐ酒蔵があります。

冬には2~3メートルもの雪が降り積もる豪雪地帯に蔵を構える。

南魚沼にある八海醸造は、大正11年(1922年)の創業から、わずか3代で急成長を遂げた酒蔵です。全国でも高い知名度を誇る八海山の名を広めたのは、普通酒本醸造の存在があったからこそ。

写真左の「純米吟醸 八海山 雪室貯蔵三年」(3,348円・720ml)は、雪室で熟成させた自信作。右は晩酌酒の定番「特別本醸造 八海山」(1,242円・720ml)

日本酒にはアルコール添加の量や精米歩合によって規格が定められています。例えば、精米歩合55%が原料米の酒は吟醸酒と表示できますが、こちらでは特別本醸造と定めています。同じく普通酒の「清酒 八海山」精米歩合60%と高い品質です。
「値段が高くてうまいのは当たり前。日常で飲めるものがハイレベルであるべき」と話すのは製造部 次長の棚村靖さん

製造部 次長 棚村 靖さん/1965年生まれ。1992年に八海醸造に入社。現在は普通酒や特別本醸造などの定番酒を醸造する「第二浩和蔵」の製造責任者として、約30名の蔵人を統括している。

生産量の約8割を占めているという「特別本醸造 八海山」と「清酒 八海山」は、吟醸クラスと変わらない酒造りを行っています。
特に大切にしているのが、麹づくり
昔から酒造りは「一に麹、二に酛(酒母)、三に造り(もろみ)」といわれるほど、麹は重要です。

一定の温度、湿度にキープされた麹室での作業はスピードとタイミングが肝心。蒸し上がった米をほぐしていく「床もみ」や「切り返し」は酒質を左右する重要な工程。

日本酒の香りや味わいに大きな影響を与える麹。酒蔵の心臓ともいえる麹室での作業は長年の経験と手技が必要となります。どれだけ規模が大きくなって機械化が進んでも、麹づくりの基本は蔵人の手作業
フワッと軽やかな麹を目指しています。そういう麹で造る酒は、軽やかな旨味が生まれます。味はしっかりしていて、上品な甘みもあるんです」。
いい酒のためには手間を惜しまず妥協も一切しないのが、八海醸造の身上。そのこだわりは、もろみにも。吟醸の造りと同じように長期低温発酵を採用。低温をキープし、ゆっくり発酵させることで、雑味のない澄んだ味わいに仕上げています。

機械だけには頼らず、櫂入れなどの要所は手作業で行っている。

現代の酒造りにおいて大事なのは、最新技術機械を駆使して、自分たちの求める味わいを表現することです」と語る棚村さん。
機械導入によって生産効率をアップし、さらに分析できることは数値化。伝統の技術と長年の経験が物をいう日本酒造りにおいて、さらに精度を上げていくことで、八海山の味わいを守り続けています。
八海醸造は生産量が年間300石から約3万石に成長した蔵だが、棚村さんいわく、「酒造りは基本的に変わっていません」手作業を重ねていくのが、酒造りの本質流行に惑わされず、いい酒へと進化させていく彼らの姿が、八海山を支えています。

2013年に新設した八海山雪室は、約1,000トンもの雪を貯蔵できる大きな施設。年間を通して3~5℃の安定した温度をキープ。同じ空間には貯蔵タンクも備えている。
八海山雪室内では、オーク樽に米焼酎も貯蔵。半地下構造の空間は、外気の影響を受けにくく、安定した気温・湿度が保たれている。

<あとがき>
酒どころ・新潟を代表するお酒といっても過言でない「清酒 八海山」。全国に知られる銘酒です。
「普段から飲める日本酒にこそ価値がある」と、レギュラー酒に全力を注いできたからこそ、広く愛され、全国でも高い知名度を誇る酒蔵に成長したのではないでしょうか。
大切にされる麹づくり。蔵人の手作業。
造り手の想いを知ると、より一口一口をじっくり味わいたくなります。
「清酒 八海山」、県外の方も見かける機会があると思います。
普通酒でも全力を注いで造られています。ぜひ、今日の晩酌にいかがでしょうか。


※掲載の情報は、取材当時のものです。

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