おでんにカニ、アワビ!? 札幌・すすきので味わう江戸前おでん

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出張先で気になる名物グルメ&お土産

2019/02/08

おでんにカニ、アワビ!? 札幌・すすきので味わう江戸前おでん

まだ冬本番の札幌で江戸前おでんはいかが? 海の幸が入った北海道らしいおでんタネと、最後の一滴まで飲み干したくなるつゆに満足すること間違いなし!

Yahoo!ライフマガジン編集部

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地元民に愛されて四半世紀超! おでん一筋58年の繁盛店

「これは何?」と必然的に会話が生まれるおでん。隣の人がおいしそうに頬張っているのを見て、思わず同じものを注文してしまう

鍋料理の代表選手といえば、おでん。1人でも気軽に店に入れて、お酒との相性も良く、体の芯から温まるおでんは、北国のサラリーマンの心強い味方だ。札幌にも新旧さまざまな専門店がある。

北海道のおでんに明確な定義はないが、魚介や山菜をおでんタネとして入れている店が多いのが特徴だ。札幌で有名なおでん店として必ず名前が挙がるのが、1960年創業の「おでん一平」

すすきのの交差点よりも1本北側の仲通り「都通り」に入る。すすきの駅1番出口から出ると、角にファストフード店が見えるので、そこを目印にして仲通りへ
仲通りに入ると左手に白とグレーの壁の克美ビルが見える。その5階におでん一平がある
年季の入った藍色ののれんが目印

出迎えてくれたのは、2代目店主の谷木紘士(こうじ)さん。初代店主である紘士さんの父親は、戦前に神楽坂の高級料亭「神楽坂一平荘」で料理人として働いていたという。

渋いたたずまいの店内。カウンター席のほか、テーブル席が2卓ある

それからしばらくして、紘士さんの父親は生まれ故郷である札幌に戻り、自分の店を1960年にオープンした。紘士さんが店に立つようになったのは、24歳のとき。当時サラリーマンだった紘士さんが仕事を辞めて、この道に入った。

おでんを作り続けて53年になる紘士さんだが、実は別の顔がある。学生時代にフィールドホッケーの国体で2度優勝した経験を生かし、女子のクラブチームの監督を務めているのだ。チームが全国大会へ進むと、店を休んで指揮をとる。

さらにもう一つの顔が……。エアデールテリアのブリーダーでもある!

ほかとは違う理由は、だしにあり!

先述の通り、紘士さんの父親は和食の料理人だったため、日本料理の基本であるだしにこだわった。紘士さんもその思いを引き継ぎ、おいしさを追究していく中で出合ったのが、メジマグロと呼ばれる本マグロ(クロマグロ)の幼魚の削り節

店主 谷木紘士さん
店主 谷木紘士さん
「そば店の大将ら飲食業界の先輩と話す中でマグロ節を教えてもらったんだよ。かつお節ほど味がとがっていなくて、まろやかなんだよ

以来、かつお節や昆布は使わず、マグロ節からだしをとっている。「たまに昆布やしいたけを加えることもあるけどね。おでんタネに合わせて、というより感覚だよ」と笑う谷木さん。

谷木さんは毎朝市場で食材を仕入れ、14:00頃から夫婦で仕込みを始める

長年続けていくには、父親の味を頑に守り続けるのではなく、時代によって変わる世間の嗜好(しこう)に合わせるのも必要と谷木さんは考えている。だから、おでんに限らず、食べ歩きして常にアンテナを張り巡らしているそう。

巡り合わせから生まれた食材も。個性豊かなおでんタネ

檜(ひのき)の流木に木札のお品書きを掲げる。「銘木屋さんに好きなものタダであげるよと言われて指を指したのが、檜だったんだよね。銘木屋さんは顔色を変えながらも譲ってくれたよ(笑)」

お品書きを見ると、興味をひかれるものばかり。北海道らしいもの、人気のものを教えていただいた。

\北海道の冬の味覚の代表/

たち(時価)。白が映えるように黒い器に盛って提供している

北海道ではタラの白子を「たち」と呼ぶ。北海道では冬になるとスーパーでも見かけるほどポピュラーで、ポン酢であえた「たちポン」や天ぷら、みそ汁にして食べることが多い。

店主 谷木紘士さん
店主 谷木紘士さん
「たちは親父(おやじ)の代から出しているおでんタネ。海鮮ものは道内産をメインに使っているよ」

\見た目のインパクト大/

かに、あわび、たちかま(時価)。写真のかには花咲ガニ。季節によって、タラバガニや毛ガニに変わるそう

谷木さんが店主になってから海鮮ものが増えた。季節によってラインアップは変わり、春と秋にはシャコ、夏には岩カキ、夏から秋にかけてハモが登場する

たちかまは、タラの白子を原料にした練り物で、日本海に面した岩内町の特産品だ。弾力があって食べ応えがある。

店主 谷木紘士さん
店主 谷木紘士さん
「特に北海道らしさを出そうというわけではなく、入れてみたらおいしかったから。たちかまは、岩内出身の知人から贈られたものを気に入って、すぐに店で使いたいと連絡したんだよ

\素材の味が際立つ定番もチェック/

大根、しいたけ、ふき。肉厚のしいたけは白老産、ふきは日本料理店でよく使われているという愛知県産の京ブキ

同店の人気ナンバーワンは王道の大根。普段は京極町の岡部ファームから仕入れている。

店主 谷木紘士さん
店主 谷木紘士さん
「農家さんとは、もう25年くらいの付き合いなんだけど、お客さんとしてうちに来たのが始まり。『うちの大根を使ってみて』と言われて、試したらまったく味が違うんだよ。長時間煮込んでも、梨のようにシャキッとしているんだよ

ただし、昨年は悪天候により不作だったため、現在は別のものを使用している。7月には新物が登場するそうなので、ぜひ夏に再訪してほしい。

手のひらくらいある大きながんも。たっぷりつゆを含み、ふっくらしている
店主 谷木紘士さん
店主 谷木紘士さん
大根の次に人気があるのは、がんも、しらたき、とうふ。がんもと、とうふは札幌にある大正14年創業の老舗豆腐店のものを使っているよ。適度な歯ごたえがあるしらたきは、群馬県下仁田から取り寄せているんだよ」

店を出る頃にはポカポカ、ニコニコ!

同店で扱っている酒は生ビールと日本酒のみ。しかも、日本酒は「黒松白鹿 本醸造 四段仕込」だけである。「料理に合う酒は、料理の味を邪魔しない酒。あくまでも酒は引き立て役で、主張しすぎない味がいいんだよ」と、その理由を教えてくれた。

ふくらみのある深い味わいで、冷やでも燗(かん)でもおすすめ

同店のファンは圧倒的に地元客が多い。タケノコ入りの茶飯に、みそ汁、漬け物が付いた「茶飯セット」も注文してしっかり食べていく人もいれば、おでんを肴(さかな)にちょっと一杯飲んでいく人もいる。

道外のお客さんは、やはり珍しいおでんタネに驚くそう。

店主 谷木紘士さん
店主 谷木紘士さん
「道外から来たご夫婦がいて、奥さんは『北海道まで来たのに、おでん?』と最初は不満顔なんだけど、帰る頃にはニコニコしているんだよね」

たかが、おでんと侮るなかれ。品のあるつゆ、選りすぐりのおでんタネ、この道53年の職人が生み出す味に虜(とりこ)になることだろう。

Yahoo!ロコおでん一平
住所
北海道札幌市中央区南三条西3丁目 克美ビル 5F

地図を見る

アクセス
すすきの駅[1]から徒歩約0分
すすきの駅[出口]から徒歩約2分
豊水すすきの駅[2]から徒歩約3分
電話
011-251-1688
営業時間
火~土 17:00~21:30
定休日
毎週月曜日、毎週日曜日、祝日
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

取材メモ/昔は取材をほぼお断りしていたそうですが、たまたま取材を受けたときに、それを見たお客さんが「あなたが(メディアに)出てくれたから、私はこの味に出合えたのよ」と言われたことをきっかけに、可能の限り引き受けるようになったそう。本記事によって、おでん一平の味に出合える人が1人でも増えますように!

取材・文=西田晴美(みんなのことば舎)、撮影=山下恭子

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