愛知・弥富市 互いの個性を認め合う「風の子スクエア」

2019/02/05

愛知・弥富市 互いの個性を認め合う「風の子スクエア」

障がい者と地域が交流する場として誕生したカフェハウス、風の子スクエア。2013年のオープン以来、さまざまな用途で活用され、弥富市に根付きつつあります。

中広

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異業種から福祉の道へ 株式会社主人公

海部南部消防署北分署の南側、県道29号線を一本入った場所に、赤い屋根が目をひくクリーム色の建物があります。スロープや引き戸など、バリアフリーに配慮した入口を通ると、元気な声で店員が出迎えてくれました。

風の子スクエアで働くのは、身体・知的障がいがある若者たち。運営するのは、障がい福祉サービスを提供する株式会社主人公です。「福祉を通じて、障がいの有無に関わらず、一人ひとりの個性を認め合える良い街、良い地域づくりに貢献していきたい」と話すのは、株式会社主人公の代表取締役、飯田豊さん。東京でツアーチケットのオンライン販売業務に就いていた飯田さんが、福祉の道に進んだのは2004年。「以前の仕事は、7時に出勤して遅い時は23時まで、人と接する機会はほとんどありません。人間らしい生活がしたいと、40歳になるのを機に名古屋へ戻ってきたんです。新しい職を探そうと求人雑誌を眺めるうち、障がいのある子どもの外出を支援するヘルパーの仕事が目に留まりました」

株式会社主人公代表取締役飯田豊さん、風の子スクエア管理者・サービス管理責任者 平野紗和子さん

「子どもと一緒に、動物園や水族館に行く仕事です」という紹介に惹かれ、実際にアルバイトを開始。飛び跳ねる子や料理を手づかみする子、走り回る子など、奔放な子どもたちの様子に驚くなか、上手くコミュニケーションを取る学生の姿を見て、憧れを持ちます。「これは良い仕事だ!」とのめりこんでいきました。

3年間経験を積む中で、未就学児向けデイサービスの需要の高さと、バリアフリーに配慮した設備の必要性を感じ、2007年42歳の時に起業。弥富市で日中一時支援をする、「風の子びれっじ海Sea」を開設します。

三重県桑名市からも支援を求められるほど評判が広まり、利用者の状況や要望に応じて、徐々に事業所を増やしてきました。現在は8カ所で、幼児から高校生まで合計約200人を支援しています。「一度縁がつながったお子さんとは、ずっと関係をつないでいきたい。それが出会った責任だと思っています。その人らしい人生を送れるようにするには知識が必要ですから、勉強して学びを深めました」と振り返ります。

地域に開かれた店舗で障がい者が働き、輝く

2013年に設立した風の子スクエアは、特別支援学校を卒業した障がい者の就労を支援する場として生まれました。「利用者がより生き生きと輝けるようにするには、安心して所属できる居場所があるだけでなく、さまざまな人と接して、個性を認めてもらう必要があると思ったんです」と飯田さん。

メンテナンス班は多目的スペースの掃除、事務作業、環境整備など、カフェ班は接客、食器洗い、料理補助などを担当。19歳から25歳まで9人が働いています

建物は、マルヨシ食品株式会社の食肉加工工場兼店舗を再利用。シンプルなデザインにしつつ、トイレやロッカーの扉の色は濃くして分かりやすくするなど、利用者が働きやすいよう、細部までこだわっています。

週替わりのランチは3種類で、すべてドリンク付き880円。写真はチーズ味噌ハンバーグの包み焼き

25坪のカフェスペースの横には、50坪の多目的ホールを配置。トランポリンやボールプール、外にはウッドデッキを整備し、子ども連れの保護者が利用しやすくしました。モーニングサービスに訪れる高齢者向けのラジオ体操を実施しているほか、夏祭りやハロウィーン、クリスマス会を開催するなど、イベント会場としても活用しています。

子どもたちが伸び伸びと過ごせる多目的ホール。さまざまなイベントの会場としても活用されています

保育所のクリスマス会や、ママたちのダイエット教室、子ども会の打ち上げには、地域の人も自由に利用。「三重県川越町の特別支援学級が訪れた時は、弥富駅で横断幕を持ってお出迎えしたんですよ。風の子スクエアまでの道案内では、誰が先頭を歩くと小学生の歩くペースに合うか、何度か下調べしました」と笑みを見せます。

地域に開かれた取り組みが評価され、2014年度には愛知県の「人にやさしい街づくり特別賞」、翌年度には内閣府バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰において、「内閣府特命担当大臣表彰優良賞」を受賞しています。

2018年3月の改装後 新たなにぎわいが生まれた風の子スクエア

「最初は、スタッフと来店者の間に距離がありました。今では、常連の方が気兼ねなく声をかけてくれるので、初めての方でも打ち解けやすい雰囲気ができていると思います」。オープン当初から風の子スクエアを見守る平野紗和子さんが微笑むと、「注文はぎこちないですし、料理をお出しするのに時間がかかる場合もあります。店の個性として、彼らのペースを好きになってくれる方に来店いただければ」と飯田さんも続けます。

2017年で10周年を迎えた株式会社主人公。風の子スクエアは2018年に5周年を迎え、「菓子づくり用の厨房のほか、児童発達支援と放課後等デイサービスが入居する「風の子びれっじ鎌倉」をグラウンドに新設しました。障がいの有無に関わらず、子どもたちが一緒にグラウンドで遊べるようにしたい。日常的に、お互いの違いを認め合える空間ができればいいですよね」と、夢は膨らむばかりです。

こうした情熱はどこから生まれてくるのか尋ねると、「障がいという殻があろうがなかろうが、自分は自分で輝いていると実感してもらいたい。感動することがあれば、その感動を2倍、3倍へと増やし、疑問があれば、どうすれば解決できるか考えるので、ワクワクするんです」と教えてくれました。

心と設備のバリアーが取り払われた場所で、今後どのようなつながりが生まれるか。風の子スクエアは今日も、地域で暮らすあなたの来店を待っています。

Yahoo!ロコ風の子スクエア
住所
愛知県弥富市鎌倉町126-2

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アクセス
近鉄弥富駅[出口]から徒歩約18分
佐古木駅[出口]から徒歩約19分
弥富駅[出口]から徒歩約19分
電話
0567-55-8168
営業時間
8:30~16:30
定休日
毎週日曜日
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

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中広

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中広は岐阜に本社を置く広告会社です。 地元の情報を各戸配布のハッピーメディア(R)『地域みっちゃく生活情報誌(R)』のブランドで発信しています。

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