中居くんや相葉くん、いかりや長介さんも訪れた東京最古の商店街

特集

東京商店街グルメ

2019/02/14

中居くんや相葉くん、いかりや長介さんも訪れた東京最古の商店街

商店街は日常生活の場であると同時に、街歩きも楽しませてくれる包容力を持っている。そんな、最近では国内外の散歩好きにも注目されている東京エリアの商店街をシリーズでご紹介。第10回は台東区・新御徒町にある「佐竹商店街」を食べ歩いた。

Yahoo!ライフマガジン編集部

Yahoo!ライフマガジン編集部

「佐竹商店街」ってどんなトコ?

商店街の入り口は新御徒町駅(つくばエクスプレス、大江戸線)の出口のすぐ横にある

「大きな大仏でも作ってみれば?」という、彫刻家・高村光雲の思いつきが発端で、現在の台東区の西にあった「佐竹原(さたけっぱら)」に、高さ約15メートルの大仏が建立されたのが1889(明治22)年の春のこと。

佐竹原の東には不忍池と隅田川をつなぐ水路の船着き場があり、その形から「三味線堀」と呼ばれた。左側の家並みが現在の佐竹商店街の原型となった。(絵は1908年ごろのもの:佐竹商店街振興組合提供)

佐竹原は江戸時代には下谷竹町と呼ばれ、秋田藩佐竹家の屋敷町として栄えた。しかし、明治になると武家屋敷は姿を消して原っぱとなり、寄席や見世物小屋などが立ち並ぶ東京有数の歓楽街へと変貌。光雲の大仏はそこに客を呼び込むアトラクションだったというわけだ。

栄養ドリンク「オロナミンC」のCMにも登場したレトロなショーウインドウもあるぞ!(写真は白根屋)

大仏は秋の台風であっさり壊れてしまうが、そのころの原っぱには見物客向けの商店が多数出現。商店主たちは1898(明治31)年に組合を結成し、1894年ごろ発足した石川県金沢市の「片町商店街」に次いで日本で2番目に古い、つまり東京で最古の商店街組織が誕生した。

1936年ごろの商店街の様子(写真提供:佐竹商店街振興組合)
のんびりとした時間が流れる商店街。写真右の「佐藤精肉店」は、オダギリジョーと麻生久美子主演のドラマ「時効警察」にも登場した

都心でありながらレトロさが色濃く残り、映画「20世紀少年」や「踊る大捜査線」をはじめ、数々のドラマやCMのロケ地に選ばれる佐竹商店街ならではの「懐かしい味」を食べ歩いた。


\食べ歩いた3店はこちら/
1:「中華料理 一番」
2:「白根屋(しろねや)」
3:「中屋洋菓子店」
コラム:「レトロな音を最新技術が進化させる」


町中華の真骨頂がここにある

1:「中華料理 一番」

佐竹商店街を代表する町中華の店「一番」

最初に訪れたのは、商店街の北側から入ってすぐの「一番」。いかにもおいしそうなラーメンやチャーハンを出してくれそうな町中華のお店だ。

店主の岡田裕幸さんとお母さんの慶子さんの2人で切り盛りする

ーー佐竹商店街は映画やドラマのロケ地として知られています。

中華料理 一番店主・岡田裕幸さん
中華料理 一番店主・岡田裕幸さん
「いつも何かしら撮影していますね。うちは内村光良さん主演のドラマ『恋人はスナイパー』に、水野美紀さんのお父さん役のいかりや長介さんが経営する中華料理店『紅竜』として登場しています」

ーーおお! 内村さんがスナイパーであることを隠して凄腕料理人として店に居候するドラマでしたよね!

ピカピカに磨き上げられた店内は、このまま映画の撮影ができそうな佇まい
岡田裕幸さん
岡田裕幸さん
「よくご存知ですね(笑)。では、ドラマの中でチャーハンを作っていた内村さんもおいしいと褒めてくれた、うちのチャーハンを召し上がってください」

ーー喜んで!

\チャーハン一丁お願いします/

激強の炎で熱した中華鍋に卵、ご飯、具材を入れ、調味料を加えながら手早く鍋をあおり……
あっという間に完成!

\ウッチャンも納得の一品/

「チャーハン」(650円)

子供のころから野球選手か料理人になりたかったという店主が直球勝負してくるかのようなシンプルさ

ーーこれはシンプルでおいしい!

岡田裕幸さん
岡田裕幸さん
「ありがとうございます。具材は卵とチャーシューと長ネギだけなのでごまかしがきかないんです」

\麺の部人気No.1はこれ/

「ラーメン」(550円)

「みなさん食べる前に写真を撮るんですがなぜかしら?」と慶子さん。もちろんこの絶品ラーメンを友達に自慢するためです!

ーーお店の歴史はどれくらいですか?

岡田裕幸さん
岡田裕幸さん
「自分が初代で平成元年(1989年)の創業です。親父は隣の洋品店の2代目でしたが、私には店を継がずに好きな仕事をしろと言ってくれたんです。勉強が嫌いでしたが負けず嫌いだったので、高校を出て料理店で修業し、洋品店を壁で仕切って半分を料理屋にしたんです」
チャーシュー、ワカメ、メンマの王道トッピング

ーー縮れ麺をあげると湯気と一緒にダシのいい香りがします! 透明感のある醤油スープは後口に優しい甘みを感じます。

岡田裕幸さん
岡田裕幸さん
「ダシは鶏と豚骨がベースですが、煮込む前に一度茹でこぼして余分なアクを抜いています。そこにニンジンやタマネギを足すことで甘みを出しているんです」
スープの表面をおおうネギ油も岡田さんのお手製
岡田裕幸さん
岡田裕幸さん
「自家製のネギ油がスープの表面に膜を張って、熱が逃げないので冷めにくいんです。こういうネギ油やラー油などの調味料もできるだけ自家製のものを使っています」

ーーそういったこだわりの積み重ねがうまさの秘密なんですね。

岡田裕幸さん
岡田裕幸さん
「レバニラ炒めもそうですが、昔ながらの基本に忠実な料理で特別なことは何もしていないんです。ほかにもビールは生でなく瓶のみとか、やたらと細かいこだわりはあります(笑)」

\ビールのお供にはこちら/

「レバニラ炒め」(650円)

大ぶりのレバーは臭みがなく熟練の火入れで食感も絶妙。モヤシのシャキシャキ感やニラのツヤ感にもご注目

ーー岡田さん親子にとって、この佐竹商店街ってどんな場所ですか?

岡田慶子さん
岡田慶子さん
「山手線の御徒町駅から歩いて来れるほどの都心なのに、いまでもレトロな雰囲気が残っているのが面白いですよね」
岡田裕幸さん
岡田裕幸さん
「地元生まれの自分は、キャッチボールも店の前でしていたので、この商店街に育てられたようなもの。料理と同じで特別なことは考えてないけど、スポーツ新聞やテレビが置いてあって、常連さんと会話を楽しめるような気軽さで、細く長く商売を続けていきたいと思っています」

定食も甘味もうまい地元住民憩いの場

2:「白根屋(しろねや)」

昭和の食堂の理想形と言える外観

2軒目に訪れたのは、3連アーチのひさし看板が印象的な「白根屋(しろねや)」。ラーメンや各種定食をはじめ、あんみつといった甘味など幅広いメニューをそろえる老舗食堂だ。

食事するもよし、カフェ使いするもよしの明るい店内

ーー雰囲気のあるお店ですね。創業はいつごろですか?

白根屋店主・佐野長正さん
白根屋店主・佐野長正さん
「先代が1954年に開業し、1960年に暖簾分けという形で継ぎました。店ができて65年、自分の代でもう60年近く佐竹商店街で商売をしているわけです」
店主の佐野長正さんと奥様の二美恵さんはお見合いでご結婚された仲よし夫婦

ーーショーウインドウのメニューがどれもおいしそうなんですが、特に人気のメニューは?

佐野二美恵さん
佐野二美恵さん
「一番注文の多いのは焼肉定食か、ラーメンとおにぎりのセットかなぁ」

ーー先ほど一番さんでラーメンをいただいたので「焼肉定食」をお願いします!

\地元民の人気No.1はこれ/

「焼肉定食」(味噌汁つき620円、スープつき600円)

味、ボリューム、食材のバランスともに良好なのが白根屋の定食の魅力

ーー甘辛いタレが豚肉とよく合います。炒め野菜だけでなく、生野菜もたっぷり添えられているのが嬉しい。お新香もいいお味です!

佐野二美恵さん
佐野二美恵さん
30年以上続けてる定番なので、褒められると嬉しいわね(笑)。漬物は毎日ぬか床に漬けているんです。お味噌汁の具は豆腐や大根など毎日変えています」

\定食には手作りのお新香がたっぷり/

味はもちろん、種類や盛りのいい漬物が常連の胃袋をつかんで離さない

ーー手間暇のかかるおいしい漬物だけでも日常使いしたくなります。どういうお客さんが多いですか?

佐野二美恵さん
佐野二美恵さん
「地元の方がほとんど。中小企業が多いので、社食のように使ってくれる常連さんが多いです。だから、転勤や定年退職の時には『定食うまかったよ』と、わざわざ挨拶しに来てくれる方もいるんです」

\常連さんのお昼を拝見/

「お好みセット」(500円)

ラーメン・焼きソバ・焼きうどんから一品、おにぎり・みつまめ・アイスクリーム・コーヒーから一品選べるセットはなんと500円!(写真はラーメンとおにぎりのセット)
常連さん
常連さん
「いつもこのセットか親子丼を頼むね。ところで、さっき外で遠藤憲一さんがドラマの撮影をしていたよ。前には元SMAPの中居正広さんや嵐の相葉雅紀さんも見かけたことがあったよ」

ーー地元の方にとって商店街での撮影はもう日常茶飯事なんですね。

佐野二美恵さん
佐野二美恵さん
「うちには大相撲の白鵬関と女優の上戸彩さんが来て、2日間貸し切りで健康ドリンクのCMの撮影をしたこともありました」
歴史を重ねた食堂でも気取りを感じさせないのが魅力

ーーもしかしてオロナミンCのCMですか?

佐野二美恵さん
佐野二美恵さん
「そうそう(笑)。お店から出た白鵬関がアーケードで上戸さんとやり取りするシーンの撮影を見学していました。高田純次さんや舞の海さんなどたくさんの方が撮影や食事にいらっしゃいました」

ーー特に印象的だった方は?

佐野二美恵さん
佐野二美恵さん
「そうねぇ、安達祐実ちゃんにはもう一度会いたいわね……」

\安達祐実も味わった甘味はこれ/

「あんみつ」(370円)

白蜜と黒蜜が選べるあんみつは、どちらも白根屋の自家製(写真は黒蜜)

ーーどうしてですか?

佐野二美恵さん
佐野二美恵さん
「『家なき子』で有名になるずっと前から、プライベートで来てくれていたの。かわいい花柄のワンピースを着てあんみつを食べていた様子が今も目に焼きついているけれど、もしまた会えるなら『白根屋のあんみつのこと覚えている?』って聞いてみたいわね」

贈答品にも喜ばれる100年の味

3:「中屋洋菓子店」

店の奥の工房からカステラのいい香りが漂う

佐竹商店街散歩の最後に訪れたのは、手作りにこだわった素朴な味のカステラの店「中屋洋菓子店」

ーー商店街に手作りのカステラ屋さんがあるなんて嬉しくなりますね。

中屋洋菓子店店主・府中谷(ふちゅうや)泰造さん
中屋洋菓子店店主・府中谷(ふちゅうや)泰造さん
「ありがとうございます。祖父の代の1918年からここ佐竹商店街で菓子店を営んでいます」
子供のころからカステラ作りを見て育ったという3代目店主の府中谷(ふちゅうや)泰造さん

ーー切り分ける前のカステラを初めて見ました!

府中谷泰造さん
府中谷泰造さん
「この一枚に20個ほどの卵を使いますが、卵白と卵黄を分けて泡立てる『別立て法』という手法で、しっとりとコシのあるカステラに焼き上げています」
カステラは店の奥にある使い込まれた電気オーブンで2時間ほどかけて焼き上げられる
府中谷泰造さん
府中谷泰造さん
「泡立てた卵に粒が大きいザラメ糖やつぶ砂糖、水飴、小麦粉を加えて焼き上げますが、その日の気温や天候によって仕上がりが左右されます。もう45年以上作り続けていますが今でもオーブンを開けて仕上がりを確認するまで心配なんです(笑)」
カステラは食べ歩きしやすいピースでも販売される

ーーカステラは食べやすい大きさで買えるので商店街散歩にもぴったりですね。

府中谷泰造さん
府中谷泰造さん
「カステラを使ったロールケーキの『ジャムロール』も街歩きの方に人気です。召し上がってみますか」

ーーお願いします!

\オススメはこちら/

「ジャムロール」(150円)

しっとりしたカステラ生地につぶつぶの入ったイチゴジャムがたっぷり
府中谷泰造さん
府中谷泰造さん
「祖父の代はパンや和菓子が中心で、ジャムロールは父が戦後に考案したものなんです」

ーーカステラにジャムを合わせたシンプルな味は、コーヒーはもちろんお茶にも合いそうなおいしさです!

ジャムロールはホール(箱入り990円)でも販売され、進物にも人気なのだとか
常連さん(イチゴロール派)
常連さん(イチゴロール派)
「本郷に住んでいるんですが、母と友人がジャムロールの大ファンなので、こちらに用事を作ってはホール買いするんです(笑)」

ーージャムロールのほかにも、コーヒーロールもおいしそうです。

府中谷泰造さん
府中谷泰造さん
「より洋菓子的なメニューを作ろうと自分が考案したもので、あっさり味のバタークリームを使っています。生地もコーヒーに合うよう、ジャムロールのレシピとは少し変えてあります」

\バタークリーム派にはこれ/

「コーヒーロール」(160円)

コーヒーを練り込んだバタークリームは甘すぎないので男性ファンも多いのだとか

ーー長く店を続けていて感じることはありますか?

府中谷泰造さん
府中谷泰造さん
「古い店が減りつつあるのは少し寂しいです。でも、商店街で撮影したドラマや映画がきっかけとなって、遠くからファンが街歩きに来てくれるようになったのは嬉しい変化ですね」

というわけで、佐竹商店街の食べ歩きも無事終了。いつか観た映画やCMで出会ったことのあるような懐かしい雰囲気の商店街で食べた料理は、どれも手作りの優しさがあふれる深い味わいが魅力だった。


【商店街コラム】「レトロな音を最新技術が進化させる」

「とうしょう東京ショールーム」

商談のためのスペースだが、もちろん一般客への説明・販売も行っている(購入商品は配送での引き渡しとなる)

レトロな飲食店や日用品の店が立ち並ぶ商店街で、ほかの店とは一線を画すメカニカルな雰囲気を漂わせているオーディオショップを発見。音楽好きの取材班は吸い込まれるように店内へと入っていった。

数十年前に一世を風靡したステレオ・コンポのようだが……

ーー懐かしいデザインのステレオがたくさん並んでいますね。

とうしょう東京ショールームスタッフ・山口泰弘さん
とうしょう東京ショールームスタッフ・山口泰弘さん
「ここは埼玉にある音響メーカー『とうしょう』のショールームです。昔ながらの懐かしいデザインですが、じつはこれ、アナログ盤やカセットテープを聴くだけでなく、デジタル化してUSBメモリやSDカードに保存することができるんです」
2018年にはソニーがアナログ盤の自社製造を復活させるなど、アナログ盤の人気はいまだ衰えない
山口泰弘さん
山口泰弘さん
「アナログ盤やカセットテープは何度も聞くと劣化してしまいますよね。そういった思い出の音源をクリアなままライブラリ化することができます。2018年にソニーミュージックが、プレス機を再稼働させてアナログ盤の自社一貫生産を再開するなど、まだまだアナログ盤は元気ですね」

\70 sっぽさが新鮮/

「昭和の想いでラジカセ」(税別9980円)

レトロフューチャーなデザインを身にまとったラジカセもラインナップ

ーーアナログ盤の人気は根強いですが、最近はラジオやカセットテープのローファイな音が若いリスナーにも再評価されていますよね。なぜ佐竹商店街にショールームを作ったのでしょうか?

山口泰弘さん
山口泰弘さん
「電化製品を扱う業者さんが商談に寄りやすくなるよう、秋葉原に近い場所を選びました。その結果、アナログ音源を活用できるハードを探しに秋葉原に行った一般リスナーが、お店の方に『とうしょうっていうメーカーのショールームが近いから行ってみれば?』と教えてもらって来店されることが増えました」
AM、FM放送のほか、短波放送も受信可能。ラジオをテープでエアチェックしたり、テープの音源をUSBメモリやSDカードにデジタル化して保存することもできる

ーーアナログ盤に針を落とす瞬間や、ラジオ局を探し当てる快感はクセになります。価格が数千円〜3万円台とお手ごろなのも嬉しいですね。

山口泰弘さん
山口泰弘さん
「そうなんです(笑)。ここで初めてアナログ音源に触れたお客さんが一目惚れして購入してくださることも多いです。これまで以上の新機能を搭載したモデルも開発中なので、ぜひまた遊びに来てくださいね」

取材メモ/冒頭で紹介した佐竹原の大仏ですが、高村光雲(詩人・高村光太郎の父親)は、同じく自分の作品である上野公園の西郷隆盛像がある高台から大仏を眺め、「はなはだ不思議」と自著の「高村光雲懐古談」に記しています。今となっては見ることのできない大仏の姿を想像しながら商店街を歩くのも楽しそうです。

構成・取材・文・写真=杉山元洋

次回、2月27日(水)は「旗の台商店街」(品川区)を公開予定

大井町線と池上線の2つの路線が交差する旗の台駅周辺の商店街を食べ歩きます

\あわせて読みたい/

この記事を書いたライター情報

Yahoo!ライフマガジン編集部

Yahoo!ライフマガジン編集部

グルメ、おでかけ、イベントなど、ライフスタイルを豊かにする情報を編集部が厳選して紹介します。

SERIES