大阪のパワーフード「ちりとり鍋」が呑んべえの聖地で人気の理由

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並んででも食べたい! 話題の旅グルメ。

2019/02/15

大阪のパワーフード「ちりとり鍋」が呑んべえの聖地で人気の理由

大阪発祥の鍋料理・ちりとり鍋をご存知でしょうか。ちりとりに似た鉄製の鍋で肉や野菜を煮込んで食べるパワーフードで、この十数年で徐々に存在が知られるようになってきました。今回は北のディープエリア・十三(じゅうそう)でちりとり鍋が食べられる「ちりとり鍋の店 知里登里」をご紹介します。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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ディープエリアの止まり木で食すちりとり鍋

近年メジャーになりつつあるちりとり鍋。居酒屋での提供も多く、店先で四角い鉄鍋を見かける機会が増えてきました

お店がある十三は、大阪の歓楽街の中でも駅から半径500メートル以内に飲み屋や話題の飲食店、お父さんたちが喜びそうなムフフ…なお店、単館系の映画館などがギュッと凝縮されており旅行者からビジネスパーソンまで幅広い層から人気を集めているエリアです。「ちりとり鍋の店 知里登里」があるのは駅の東出口を出てすぐの商店街で、こちらは旧き良き商店街といったたたずまい。アーケードを2分ほど歩くとお店に到着します。

さまざまな人が出入りする西口とは対照的に穏やかな東口は地元住民のテリトリーとも言えるエリア

料理人歴40年超え!寿司も焼肉も洋食もいけるオールマイティーな店主

御年74歳とは思えないほどバイタリティーあふれる原田さん。お客さんと話すことが大好きで、一見で仲良くなってそのまま常連になる人が多いのだそう

お店がオープンしたのは2012年と比較的新しめですが、店主の原田義彦さんは、実は料理人歴40年超えの超ベテラン。もともと寿司職人として30年以上、自分のお店を切り盛りされてきましたが、新たなフィールドを求めて転身。ご自身の食への探究心を追求する中で出会ったちりとり鍋に惚れ込み、専門店をオープンされました。

ちなみにちりとり鍋は大阪・生野で誕生し、メニューを生み出した鉄板焼き屋の店主が鉄工所を営んでいたことからこの独特な形状の鍋が作られたそうです。鍋とは言いながらもダシに具材が浸かるのではなく、熱した鍋の上で具材を甘辛ダレに絡めながら食べるのが特徴です。

原田さん
原田さん
「時代的に個人の寿司屋を取り巻く状況が厳しくなっていたということもあったんですけど、何か新しいことがしたくなったんですね。幸い和食をやっていた経験があったので、ちりとり鍋に出会ったときも、すぐに自分でやりたい!と舵を切ることができました」
お持ちのタブレットから発見されたのは、寿司職人時代の原田さん。「30代前半ですかね。仕込みしてるところですわ」
現在は息子の義亨さんと2人でお店に立たれています

創意工夫を凝らしたオリジナルちりとり鍋

「活力マカちりとり」(1320円、マカぬきは1100円)。トッピングのマカの粉末は栄養たっぷり

それでは、お店の名物であるちりとり鍋を作っていただきましょう。今回紹介する「活力マカちりとり」は、国産牛バラのカルビにモヤシやキャベツ、カボチャなどがたっぷり盛り付けられ、そびえる山のようなビジュアルがインパクト大。さらに、食を通しての美容と健康の促進にも積極的なこちらでは、トッピングになんとマカの粉末を使用。おいしく食べて疲労回復・体力増強なんて、一挙両得。飲みたいけれど体も気になる、これは呑んべえたちの聖地で愛されるワケです。

IHヒーターの強火で5~6分。熱が通ったら、具材をまぜてタレに絡めるのが定番の食べ方

この山に火をかけてクタッとなると食べごろですが、唯一無二な「知里登里」の個性は、そこから顔を出し始めます。ほどよい甘辛さと優しさが同居したタレは具材と非常によく絡み、肉や野菜の旨味を存分に引き出します。ニンニクやコチュジャンなども使って味に変化を持たせて楽しんでいたら、あんなにボリューミーだった山もいつの間にか完食。寿司職人に加えて焼肉店のオーナーでもあった店長の技が、この鍋に凝縮されています。

原田さん
原田さん
「当店のちりとり鍋は、どんな肉でも野菜でも合うように考えて開発されたものです。レシピや材料は企業秘密ですが、深みのある味わいと適度な甘辛さで、どなたにもおいしく食べていただけます。和食に加えて焼肉もやっていたからこそ、生み出せたタレですね。生卵を絡めてすき焼き風に食べるのもおすすめです」
肉や野菜の旨味を存分に引き出したタレは、もちろん締めの雑炊でも活躍。ラーメン、うどんでも対応可能

締めまでたっぷり楽しませてくれるちりとり鍋。ちょうど食べ終わったお客さんにその魅力をうかがいました。

4回目の来店という坂田さん。ちりとり鍋の魅力にハマって常連への道を邁進中
坂田さん
坂田さん
「今日は仕事が早く終わったので、さっそく一杯やっています。僕は九州出身なので、ちりとり鍋のことはこの店で初めて知りました。多すぎず少なすぎずな量が、飲みながらだとちょうど良いんですよね。締めのラーメンも甘辛タレをたっぷり絡めていただきました」

近所でまつげエクステのサロンを営んでいるという女性お二人。美容への感心も高いことから、コラーゲン入りの「梅ジャンちりとり」を注文されていました。

原田さんとはツーカーな常連のサヨさん(右)とトモさん(左)
トモさん
トモさん
「自分のお店がすぐ近くということもあり、隙あらば来ています。今日は疲れているので体力回復させるために梅ジャンにしました。原田さんはいろいろ話も聞いてくれて、まるで親戚のおじさんのよう(笑)。ちなみに母も常連です」

ちりとり鍋だけじゃない、多彩なサイドメニュー

塩ダレで食べる「もつ鍋(塩)」

「もつ鍋(塩)」(1000円)

「ちりとり鍋の店 知里登里」では、ちりとり鍋以外のメニューも豊富。鍋メニューで人気急上昇中の「もつ鍋(塩)」は、しま腸や赤センマイが塩ダレによくなじんで、一般的な醤油ダレのもつ鍋とは違った味わいを生み出しています。最初はハッキリ主張していた塩ダレが野菜やもつの旨味と融合することで、まろやかに変化するのも食べる上での楽しみの一つです。

専門店顔負けな「担々麺」

「担々麺」(700円)

「あくまでサブメニューなので…」という原田さんの言葉とは裏腹に超本格的な味わいの「担々麺」は、抑えめな辛さとのどごしの良い麺が食べごたえ抜群。ちなみに、麺は着色料を使用しておらず、こういったところにも原田さんの健康に対する気遣いが感じられます。

お酒のアテにもぴったり「自家製ギョーザ」

「自家製ギョーザ」(290円)

お店の一品メニューの中でも、これだけを目当てに来る人もいるというのが「自家製ギョーザ」。もちもち食感の皮とジューシーな餡という組み合わせに加え、生姜を使っていることで口の中に爽やかな後味が広がるのが特徴です。

それにしても、ちりとり鍋の専門店と言いつつ、どうしてここまでサブメニューも豊富なのでしょうか。

原田さん
原田さん
「お客さんと仲良くなると、あれ作ってこれ作ってと言われることが多くて、こっちもついつい作っているうちにメニューが増えていったんです。メニューにないけど、子どもが食べる用にだし巻きできませんか?と聞かれて作ったこともありますよ(笑)」
有名人の来店や取材も多数。近くに大衆演劇の小屋があることから役者さんが食べに来ることもあるのだとか
実家のようなアットホームな店内

頼まれるとついついなんでも作ってしまうという原田さんの人柄は、そのままお店のアットホームな雰囲気にもつながっており、取材中もお客さんと談笑する姿にこちらも心が和みました。こういったお店での交流も、旅の楽しみのひとつですよね。看板メニューであるちりとり鍋がおいしいのは言うに及ばずですが、鶏や魚も並ぶサイドメニューもぜひ、注文してほしいところです。


取材・文=伊東孝晃(クエストルーム) 写真=倉科直弘

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