30代におすすめ。わがままがきく和食の切り札

30代におすすめ。わがままがきく和食の切り札

2016/07/20

“アナログレストラン”とは犬養裕美子が選ぶ「いい店」。作り手がその場できちんと料理をしていること、小さくても居心地の良い空間とサービスが楽しめること。そして良心的な値段。つまり人の手と手間をかけた「アナログ」で「アナ場」な店。第8回は「曙橋・はらまさ」。

犬養 裕美子

犬養 裕美子

レストランジャーナリスト

キレのいい大阪味と粋な東京味。二つ併せ持つ和食店

甲殻料理の「うぶか」、若手懐石「大原」、寿司「継ぐ政」など、和食や寿司の話題店がしのぎを削る荒木町から歩いてもほんの5分。2013年にオープンしたこの店、店主の原正太郎さん(36歳)は「2人も雇ってやる気まんまんで店を開けたのに、お客さんが一人もこなくて」。

大阪のキタの新地、東京の麻布十番で板前としてキャリアを積んできたが、PRに関しては知識もアドバイサーもいなかったから、わずか3カ月で非常事態宣言! 人を雇っている場合じゃなく、やむなくひとり営業となった。初めて私が伺ったのはこの時期。

原正太郎さん。「休みの日でも貸し切りのご相談受けます」
ハモの炭火焼き。1万1000円のコースより

6300円の夜のコースの2品目に出てきた蟹味噌の茶碗蒸しに思わずほほが緩んだことを覚えている。

濃厚な蟹味噌あんとつるんとした卵の風味。これは和食入門者にはインパクトのある一品だなと思い、いろいろな人に紹介したくなった。私の予想通り、誰もがリピートしてくれるようだ。

ようやくボーズ(お客ゼロ)の日が無くなった、と聞いて安心していたら、原さん、自転車で転んで骨折。4カ月も店を閉める怪我を負ってしまった。長いブランクを経て恐る恐る再開すると、「早く蟹味噌の茶碗蒸しと土鍋御飯が食べたくて」。常連客は待ちかねていたように押し掛けた。

身近な季節の素材を上手に仕上げで楽しませる

湯葉と冬瓜。8000円コースより。夏にウレシイ、ヒンヤリ感じるカツオのジュレがけ

「はらまさ」は、8品8000円と11品1万1000円の2コースがあり、皿数、内容に違いをつけている。

私は常々感じていたが、、東京の日本料理店は関西の素材を高級に扱いすぎるのではないだろうか。夏のハモや、冬のフグは出始めこそ高いが、旬の季節はそれほど高価とはいえなくなる。

ここでは8000円のコースにも、旬の時期はハモも入るし、ふぐを使うこともある。

加賀ナスとイチボ。8000円コースより。低温でじっくりとロースト。九条ネギ、みつば、昆布のダシで炊いた加賀ナス。肉料理を出すのも原流

「うちでは最後の土鍋御飯がメインディッシュです。8000円のコースは季節の素材、1万1000円はトリュフご飯というように」

土鍋で炊いた炊き立てを卵かけご飯にして、その上から豪快に黒トリュフを削りかける。この香りを一度経験すると病みつきになってしまう! 

家庭では絶対に味わえない卵かけご飯だ。現在スタッフは原さんを含め4名。これからどう成長するか? その成長ぶりを舌で味わって体験するのもアナログな楽しみ方だと思う。

鮎ご飯。8000円コース。琵琶湖の稚鮎を塩焼きにして。香ばしさをまず味わってから、骨をとって混ぜご飯にして出してくれる
カウンター8席、テーブル1卓4席と小さいがこじんまりとして居心地がいい

はらまさ

住所:東京都新宿区片町2-2 アーバンクレスト片町2F 
電03-5312-7307
営業時間:18:00~23:00LO 
定休日:不定休(予約に合わせて営業)

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。

この記事を書いたライター情報

犬養 裕美子

犬養 裕美子

レストランジャーナリスト

東京を中心に地方や海外の食文化、レストラン事情を最前線で取材。ファッション誌から専門誌まで数多くの雑誌で連載を持ち、その店の良さ、時代性をわかりやすく解説。特に新しい店の評価に対する読者の信頼は厚い。食に関わる講演・審査員など多数。農林水産省顕彰制度・料理マスターズ認定委員。

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