熊本初の温泉ソムリエがオススメする阿蘇・黒川の老舗温泉宿

熊本初の温泉ソムリエがオススメする阿蘇・黒川の老舗温泉宿

2016/07/13

歴史ある阿蘇・黒川温泉の中でも、一番古い宿として知られる老舗『歴史の宿 御客屋』。その魅力を熊本で温泉ソムリエ第1号となった、月刊タウン情報クマモト編集者の今村幸子が潜入取材。

月刊タウン情報クマモト

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新たな想いの元、歩み続ける
300年近い歴史を持つ老舗宿

今回お話を伺った方

北里 有紀さん

北里 有紀さん

『歴史の宿 御客屋』7代目湯守

残っている図面と歴史書を本に、竹瓦と小国杉で再現された半露天“古の湯”
今村幸子(以下:今村)
今村幸子(以下:今村)
1700年代に開湯したと言われている黒川温泉の中でも、一番古い宿として知られる『御客屋』。創業は何年ですか?
北里さん
北里さん
創業294年になります。江戸時代には参勤交代の宿場として、日田代官や長崎奉行、細川家の大名らが『御客屋』を訪れていたと言われています。廃藩置県の頃、細川藩より初代・北里清次郎が譲り受けました。
今村
今村
現在も、建物は残っているのでしょうか?
北里さん
北里さん
残念ながら3回の火事にあい、残っているのが何もないんです。歴史書を参考にしながら再現しているところです。
今村
今村
そのひとつが“古の湯”ですね。
北里さん
北里さん
そうです。竹瓦と小国杉を使った半露天の湯になります。
立ち寄りで利用できる“代官の湯”。細川護久公も愛したという露天風呂。もうひとつの“古の湯”と男女交代
露天風呂“代官の湯”へ続くアプローチ
今村
今村
7代目となる北里さんに代替わりしたのは何年前でしょうか?
北里さん
北里さん
6年前です。
今村
今村
北里さんになって変わったことなどありますか?
北里さん
北里さん
代替わりする前ですが、10年ほど前から予約システムが変わってきました。それまでは、電話予約が主流でしたが、ネットになり、大きく変化しましたね。
今村
今村
例えば?
北里さん
北里さん
ネット予約が普及してきたと同時に、クチコミという新しい評価が入ってきました。最初は、「こういうクチコミがありました」という内容に、その都度対応していたのですが、クチコミってお客さまの主観で判断されるので、ある一定の時期から、できることできないことをハッキリしようという方向に。
今村
今村
クチコミに振り回されていたということでしょうか?
北里さん
北里さん
そうですね。ネット予約をはじめて3年くらいたったころから、「田舎の我が家に帰ってきたような宿」というコンセプトの元、自分たちがどうありたいかを考えて、想いの部分を伝えるようになりました。そして、ここで暮らす私たちが「幸せ」でないと、訪れるお客さまに満足してもらえないと確信しました。ここで暮らすことを楽しむこと、それがベースな気がします。
今村
今村
確かに自分が「この町いやだな」って思っていたら、お客さんに薦められないですよね。
宿泊専用の大浴場“里の湯”。立ち湯と寝湯があり、川の流れる音を聴きながら、ゆっくりじっくりと湯あみを楽しみたい
今村
今村
北里さんは、地域の活動も積極的にされていますよね?
北里さん
北里さん
青年部は17年前から入っています。地域づくりに没頭し始めたころ、上の人たちとの世代間のギャップがあったり、何かもんもんとしたものがあって、「これを変えないといけない」って思っていました。若気の至りですよね。
今村
今村
がむしゃらに何かしなきゃって思い、分かります。
北里さん
北里さん
今は、世代のつながりも含めて、若いものだけが動いても地域は良くならないって思います。
今村
今村
以前も、「先代たちのおかげで今の黒川温泉がある」っておっしゃっていましたよね。
北里さん
北里さん
そうですね。自分が変わったなって思うのが、以前は、もっと良いものは地域の外にあると思い、意図的に外に出る活動をしていました。今、革新的にあるのは、「この地域に眠っている宝がある。私たちは宝の持ち腐れをしている」ということです。俯瞰(ふかん)で見る力を鍛えたいんですけど、どうしても中にいるとイノシシのように前しか見えなくなって(笑)。今、強く思うのが「地域の解放」ですね。阿蘇は組織力が強く、エネルギーの強い地域ですが、これから人は減っていくと思われます。多様な方を受け入れつつ、この地域の未来を考えていく。ここも、そういう場でありたいと思っています。
品格ある樹を生かし、くつろぎの空間を求めた客室。障子越しには緑が広がり、自然に包まれた落ち着ける和の空間を演出
今村
今村
こちらは、女将(おかみ)さんが外からいらっしゃった方なので、俯瞰(ふかん)で見ることができるということですね。
北里さん
北里さん
はい。当館においては、良い風に機能していると思います。宿の外で色々活動している私を応援してくれるスタッフもいて、恵まれているなって思います。やはり、チームで動かないと。ひとりで動くのは限界があるので。
今村
今村
宿の雰囲気からも、良いチームワークがとれているように感じます。
北里さん
北里さん
どれだけのことが出来るかは、チームの関係性次第ですよね。誰が上とか下とかではなく、みんなが仲間になれるチーム。ちょうど、これから新たに私の想いをみんなに伝えようと思っていたんです。「お客さまに『御客屋』で“命のぜいたく”をしてもらえるようにしたい」って。宿で命の贅沢を感じてもらえれば、もっともっと心が豊かになれるし、アンチエイジングの話にもあるように「自己治癒力」を高めて、人間が本来持っている力を引き出すことが出来るんじゃないかって。それをスタッフと話していこうと思っています。
黒川温泉で一番古い宿。図面と歴史書を元に創業時を再現した浴場などがあり、歴史好きにはたまらない一軒だ

温泉ソムリエ今村より
ココがおすすめPOINT

今村
今村
『御客屋』さんは歴史の宿ということで、まるでタイムトリップしたような気分に。温泉も、 2つの源泉があり、一軒で異なる泉質を楽しめるのも温泉好きにはたまりません。宿泊者専用の岩風呂の立ち湯も、浮遊浴が楽しめてリラックスできますよ。

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創刊から37年、熊本県民の皆さんに“タンクマ”の愛称で親しまれ続けている『タウン情報クマモト』。グルメ、温泉、観光、人、音楽、ファッション、アートなど、熊本の“旬”を満載。毎月27日発売。360円。

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