回転寿司のお作法 五箇条の御誓文 〜グルメ回転寿司編〜

回転寿司のお作法 五箇条の御誓文 〜グルメ回転寿司編〜

2016/07/24

2007年「TVチャンピオン2」の「回転寿司通選手権」チャンピオン、回転寿司評論家・米川伸生氏に回転寿司をよりおいしく食べるための5つの方法を伝授していただいた。

Yahoo!ライフマガジン編集部

Yahoo!ライフマガジン編集部

回転寿司をおいしく食べるための「5つの作法」

「回転寿司なんてのは好きなものを好きなだけ食べられるからいいんであって、作法なんか堅苦しいもんはいらんだろ?」と思っている方は多いかと思う。

そりゃ全くその通りで、楽しみ方なんてのはそれぞれが見つければ良いのである。

以前、平和島競艇場の隣にある回転寿司店で入ってくるなり「イカ3皿ちょうだい」と頼んでいたギャンブルオヤジに出会ったことがある。

うむうむ、そうですよね、好きなものを食べたいですよね、それが回転寿司の良さですもんね、うんうん、となってしまうと話が終わってしまうので、あえて回転寿司の作法を伝授したいと思う。

【回転寿司を楽しむ5つのお作法】
1.最低1周はレーンだけを見続けるべし!
2.オーダーをがっちりと組むべし!
3.本日のおすすめ三貫から食べるべし!
4.終わり良ければすべて良し!〆の一品にこだわるべし!
5.こだわりを持ち、自分の好きな道を貫くべし!

これ、私がいつも実践しているグルメ回転寿司の楽しみ方ですよって。

1.「最低1周はレーンだけを見続けるべし!」

先ほどのイカオヤジのように何から食べるのかを決めている方は極めて多いことと思う。もちろんそれでもいいんです!いいんではあるけど本当に回転寿司を極めたいと思ったら(そんな方がいるのかどうかは甚だ謎だけど)、なにはともあれ着席したらレーンをじっくりと眺めていただきたい。タッチパネルが全盛の現代においてレーンの価値はだんだんと薄れてきているが、回転寿司の真髄はレーンになくてはならんのです!

まずは落ち着いて、レーンに流れる寿司をじっくりと見極める!(通常「まぐろ問屋三浦三崎港 恵み 渋谷ヒカリエ店」さんでは、レーンに流れるお寿司には透明なカバーがかかっております)

まぁまぁまぁ、そんな興奮しないで……っておいらか。いやあのー、そもそもレーンをしっかりと築き上げていない店というのは回転寿司の楽しみをお客様に与えないという不埒な店であると考えても良い。もちろん、アイドルタイムなど客が少ないときにバカスカ流す必要はないけど少なくとも昼時や夜のピークタイムに寿司がほとんど流れていないような店は回転寿司の看板を下ろすべし、とさえ思う。まぁ、ちょっとしか思わんけど。

レーンをじっくり見て、「あー、この店は本マグロなど高級ネタを流して気合が入ってるな」とか「なんだここはかっぱ巻とかパックジュースとかシャビーなものしか流しとらん」など店の見極めをするのである。

そして、今日の光り輝いている一品はなんなのか? それを探し当てるのが楽しい。いわば競馬でいうところのパドックですな。今日走りそうな馬……じゃなくて今日美味そうなネタを自分の目で探すのだ。寿司を見る目がおのずと養われるだろう。これでハズレ馬券……じゃなくてハズレ寿司を引く可能性がグッと低くなる。

さらにメニューを眺めながら今日のオーダーを考えるのが肝要なのだが、これはまた後で述べよう。

いきなりメニューやタッチパネルとにらめっこ……では、お得なお寿司やお店ならではの一品を見逃すことも

ちなみに、レーンをじっくり見ることの重要性を説いた賢人の言葉がある。

「上ばかりを見ていたら下に落ちている100円玉に気がつかないではないか!」
(by 哲学者アナゴ・スミイカス)


これはレーンにはお得が隠れていることを示唆している名言であり、実はレーンにしか流れていないスペシャルな寿司があることを教えてくれている。そう、タッチパネルやメニューには載っていない寿司がレーンに流れている場合があるのだ。たとえば、通常2貫のところが3貫乗っていたり、端材を巧みに利用したマグロのブツ切り軍艦やレーンだけのお楽しみスペシャルがあったりなどなど。タッチパネルだけを見ていたらこれを見逃してしまう大失態となる。下を向いてじっくりとレーンを吟味していただきたい。

2.「オーダーをがっちりと組むべし!」

かつて野村克也監督はID野球を駆使して、ヤクルトスワローズを日本一に導いた。それにヒントを得たホイチョイプロダクションはID理論を通じて女性とヤレる店を発掘し、『東京いい店ヤレる店』を上梓したという。それからひたすら月日は流れ、いま私はID回転寿司により回転寿司の楽しみを広げたいと思っている……つまりは回転寿司の食べる順番は人生を左右するような大事なことなのだ! 順番を気にしないなんてのはあり得ない! ということである。

またもイカオヤジの話であるが、好きなものだけを食べ続けた場合、どういうことになるのか教えてしんぜよう。まずイカの咀嚼がハードなゆえに顎関節が外れるかもしれない。またイクラやウニを食べ続けたら痛風の声を聞くかもしれない。トロばかりを食べ続けたら他の寿司では満足できない体質になるかもしれない。あー、恐ろしや。そんなことにならないためにしっかりと回転寿司理論を駆使したID回転寿司を実践せねばならないのだ。我々はイカオヤジに学ぶことがあまりにも多すぎる。

簡単にID回転寿司理論の骨子を述べるとこうだ。

「メインの一品を決めて、それに合わせてメインが盛り上がるようにオーダーを組め」である。簡単すぎてどうもスミマセン。

これが、米川伸生センセイ考案のオーダーの大まかな流れだ! もちろんその日のネタによって変化するが、「メインを決めてそこに向かう」という基本は死守すべし!

たとえば、メインにマグロ三貫盛りや大トロなどのマグロの大ネタを持ってきた場合は、マヨ系の炙りなどこってりした寿司をその前に食べるのは避けたいところだ。いくらお茶を飲もうがガリを食べようが脂の重たさが残り、ズシンとくるマグロの味わいを堪能できないことになる。オーソドックスに白身、アジなどの定番から入り、事前に軽めの創作寿司で華やかな気分を演出し、しかるにマグロ三貫に突入するというのがよろし。

まぁ、ID回転寿司理論は一冊の本ができるほど奥が深いので詳細は省くが(ホントです! 出版社の方、出版のご検討、よろ寿司お願いしますm(_ _)m)、そういった食べ順を考えることで回転寿司の楽しみがググググーーンと増えることは間違いない。ある賢人がこんなことを言っている。

「イカ3皿を食べる人よりもウニ、トロ、イクラを食べる人になれ!」(by すし空海?上人)

そう、イカばかり食べていたらグルメ回転寿司の真骨頂である美味なネタには到達することができない。高野山から身投げする覚悟で高級ネタに行け、そこに回転寿司の真理があるというありがたい教えなのである。いつも安上がりではダメなんです! ちなみに食べる順番でダイエットができるという理論もあるのだが、それはまた別の機会に。

3.「『本日のおすすめ三貫』から食べるべし!」

「本日のおすすめ三貫」から食べるべし! ……以上です。完璧です。

これ以上もこれ以下もない言葉。さすが回転寿司評論家! 素晴らしいことを言う……じゃ、これで。というわけにもいかないので、なぜ、「本日のおすすめ三貫」から食べるのがいいのかについて触れよう。

メニューや黒板にある「おすすめ三貫」は必ずチェックすべし!

グルメ回転寿司ではおなじみの「本日のおすすめ三貫」はその日に店が仕入れた鮮度が良くてお値打ちなネタが揃えられているものだ。つまり、店の切り込み隊長であり、森の石松なのだ(意味はヤフーで検索)。この三貫を食べれば店のやる気がわかろうというもの。何はなくともここから攻めるのが必定なのである!

この日の「恵み三点盛」は、本マグロトロ炙り・車えび・金目鯛。ボスキャラ3人そろい踏みの豪華さである

そういえばこんなことを言った賢人がいた。

「毎日の変化に気づくことが円満の秘訣である」
(by キングサーモン牧師)


そうそう、夫婦関係でも奥さんが髪型を変えたこととか妙に下着が派手になったこととかに気がつかないと男を作られ捨てられます。毎日変わる三貫盛りに旬を感じたり、店の努力を感じられない客は回転寿司の神に捨てられるのです。一年中いつでも食べらえるサーモン、イカ、タコといったメニューではなく、その時期にしか食べられない旬を味わえるようになれば回転寿司初段昇格。さぁ、呪文のように唱えようではなイカ!

何はなくとも「本日のおすすめ三貫」!

4.「終わり良ければすべて良し! 〆の一品にこだわるべし!」

回転寿司の〆の一品にこだわること。

ある意味、これが幸せな回転寿司ライフを送る上で最も重要なのである。〆の一品にこそ、その人の人生感や寿司感が現れるといっても過言ではない。人間とは一番最後に食べたものの余韻を抱きながら帰路につくものである。それまでどんなに幸せな食事を楽しんでいたとしても〆を間違ってしまえば台無しになること必至。

「なぜ大トロの後に炙り味噌マヨコーンなんて頼んでしまったのか?」と嘆いても後の祭り。口腔内には味噌マヨの安っぽい味わいがしつこく残り、幸せな大トロ感は消失しているのだ! はたまたイカ3皿で〆るとイカの味しか思い出せなくなるのだ! そんな悲劇を繰り返さないためにおすすめの〆の一品をいくつか紹介しよう。

こちらが米川さんおすすめの、〆に選びたい品々。終わりよければすべて良し、である

・野菜寿司(ID回転寿司的にインコース低め)
やはり最後にさっぱりと〆るのはなかなかに良い。芽ネギがあれば是非とも頼んでみたいところ。回転寿司ではよく茄子の半身がドンと乗っていたり、長いアスパラガスを乗せた野菜寿司を見かけるが、あれはちょっといただけない……というかおざなりすぎる。

・大トロ(ID回転寿司的に真ん中低め)
やはり最後は大トロの余韻に包まれたまま帰りたい、という向きは多い。中には大トロを食べるために一カ月汗水流してきたんだ、という回転寿司好きもいる。それまでの食事にやや不満はあっても最後に美味な大トロを食べればすべてを帳消しにしてしまうほどのパワーがある。途中で失敗した、という方は是非!(ただ、大トロでさらに傷が深くなるということも多々あることも、覚えておいてほしい)

・茶碗蒸し(ID回転寿司的に外角真ん中)
この5年で回転寿司で最も美味しくなったものは「サーモン」と「茶碗蒸し」であろう。かつては既存製品を温めるだけ、なんてのが多かったが、いまはほとんど自家製の出汁で作っており、なかなかに美味!まぁ、茶碗蒸しを序盤で食べる方は少数派だと思うが、〆に外したくないという堅実派におすすめ。

・自家製玉子焼き(ID回転寿司的にド真ん中)
寿司の〆に何を食べるか? という論争になると必ず出てくるのが「玉子」である。自称寿司通に「玉を食べれば寿司店の実力がわかるよね」などとほざく輩は多いが、それは寿司店の話であって通常の回転寿司には当てはまらない。残念ながら回転寿司の玉子は既製品の玉子をのせて100円くらいの安価で売っているのが普通だ。

だがである。グルメ回転寿司には自家製玉子という武器がある。これは店で職人が作って提供しているので、熱々が提供されることもあり非常にお得!

・デザート(ID回転寿司的にインコース高め)
「無添くら寿司」がコーヒーを始めた時に「誰が寿司の後にコーヒーなんか飲むかよ!」とかなりのバッシングを浴びたが、いやいやどうして。いまやコーヒーが置いてなければ店に行かない、という女性や若者が全国的に増殖している。まぁ、デザートを食べる時にコーヒーが欲しくなるのも当たり前と言っちゃ当たり前で、むしろ、それを敬遠していた業界の方に問題があったと見ていいだろう。デザートにコーヒーで最後にまったりとくつろげるのも回転寿司の良いところ。ちなみに名古屋の回転寿司では昔からコーヒー、出してました。

とまぁ、軽く触れてみたが、自分だけの〆の一品を見つけることが回転寿司ライフを謳歌する上で非常に重要であると思っている。〆にこだわる賢人がこんなことを言っていた。

「8回まで0点でも9回に10点とればいい」(by メジャーリーガー 鱸イカロー)

そう、どんなに負けてたって最後に取り返せばいいのだ!

5.「こだわりを持ち、自分の好きな道を貫くべし」

そうはいっても、やはり人間、自分のしたいようにやるだろう。**どんなに声高に「レーンにお得が流れてるぞ!」とか「本日の三貫盛りから食べるべし!」と叫んでもイカ三皿オヤジはこの世からなくならない。

色々語らせて頂きましたが、その上で「俺は俺の道をゆく!」という方は、その道を極めていただきたい

結局、自分の型を持ってる方はその型を大切にするってことですね。私の小さなこだわりだと醤油皿には少量しか注がないとか、椀ものは終盤に頼むとか、入り口の一番近い席に座る(そこにエース職人がいることが多い)とかあるけど普通の寿司店とは違って堅苦しくないのが回転寿司の良いところ。自分なりのこだわりをいろいろと作り上げるのも楽し。

醤油は少量しか注がない、というのが米川さんのこだわり
椀(わん)物は終盤に頼むというのがセオリーではあるが、頼みたい時に頼むのもまたよし

そういえば、回転寿司というものを遠い過去からすでに予見していた賢人がいた。
「それでも寿司は回っている」
(by ガリれお・ガリれい)


そう、寿司は回っているから楽しいんであって、寿司が回らなくなったら我々が寿司の周りを回らなくてはいけなくなる。そんな世界が来てはイカんではないか!

といったわけで、今回挙げたことをまったく無視して、自己流の素敵な回転寿司ライフをとことんエンジョイしていただきたい!

今回の撮影は、「まぐろ問屋三浦三崎港 恵み 渋谷ヒカリエ店」さんにご協力いただきました
米川伸生(よねかわのぶお)

米川伸生(よねかわのぶお)

回転寿司評論家

この記事を書いたライター情報

Yahoo!ライフマガジン編集部

Yahoo!ライフマガジン編集部

グルメ、おでかけ、イベントなど、ライフスタイルを豊かにする情報を編集部が厳選して紹介します。

おすすめのコンテンツ

連載