ラーメン好きなら“麺街道”旗の台東口通り商店街へ急行せよ!

特集

東京商店街グルメ

2019/02/27

ラーメン好きなら“麺街道”旗の台東口通り商店街へ急行せよ!

商店街は日常生活の場であると同時に、街歩きも楽しませてくれる包容力を持っている。そんな、最近では国内外の散歩好きにも注目されている東京エリアの商店街をシリーズでご紹介。第11回は品川区にある「旗の台東口通り商店街」を食べ歩いた。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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「旗の台東口通り商店街」ってどんなとこ?

池上線の踏切の手前が「旗の台東口通り商店街」、奥が「旗の台三丁目商店街」となる

大井町線と池上線が「×」のように交差する旗の台駅。駅周辺には多くの商店街があるが、今回紹介するのは、東口の改札口から昭和大学病院へ通じる「旗の台東口通り商店街」の周辺エリアだ。

「うまい」をひたすら追求した名ラーメンが味わえる(写真は「麺家ぶらいとん」)

「旗の台」の地名はおよそ1000年前、源頼信が下総国(千葉県)で起きた乱を鎮める際に、現在の旗岡八幡神社がある高台で源氏の旗印を掲げた故事に由来する。

旗の台駅東口より昭和大学病院(写真奥)方向を眺めた、1957年ごろの商店街の様子。(写真提供:旗の台東口通り商店会)

現在では病院のほか、昭和大学や香蘭女学校などの学校が多い土地柄のためか、通りには地元住民に混じって学生風の若者を多く見かけるような、穏やかで平和そのものといった雰囲気。

商店街の先に見える大きな建物が昭和大学病院

「幅広い年齢層が集まる町にはラーメンの名店が充実しているはず!」と狙いをつけた取材班は、やや複雑な構造の旗の台駅で軽く迷いつつ改札を抜け、「旗の台東口通り商店街」へとやって来た。


\食べ歩いた3杯はこちら/
1:「麺家ぶらいとん」(豚骨醤油系)
2:「満腹ラーメン富田屋」(町中華系)
3:「城南らーめん紫龍 旗の台本店」(豚骨醤油系)
コラム:「焙煎度合いで選ぶ食後の極上コーヒー」


自家製麺が主役の絶品豚骨醤油系

1:「麺家ぶらいとん」

商店街から一本入った路地に店を構える

旗の台の初ラーメンに選んだのは「麺家ぶらいとん」。濃厚ながらもくどさがないと評判の、2011年開業の豚骨醤油系ラーメンの名店だ。

取材は営業時間外に行ったが、普段はラーメンファンが毎日行列を作っているそう

ーー旗の台東口通り商店街きっての人気店ですが、ここで開業した理由は?

麺家ぶらいとん店主・加藤祐輔さん
麺家ぶらいとん店主・加藤祐輔さん
「以前、大井町線沿線で働いていたことがあり、妻の出身地にも近いことから旗の台を選びました。『場所が悪いから客が来ない』という言い訳だけはしたくなかったので、人通りの多い商店街で、なおかつ家賃が手ごろな路地裏に出そうと決めていたところ、この物件が条件にぴったり合ったんです」

\行列店を切り盛りするのはこの方/
麺家ぶらいとん店主・加藤祐輔さん

「『ここならいける』と直感した場所が旗の台東口通り商店街でした」(加藤さん)

ーー人気のメニューを教えてください

加藤さん
加藤さん
「一番ご注文が多いのは『あぶらめん』ですね」

\一番人気はこれ/
「あぶらめん」
(780円+○得トッピング250円付き)

開店から2か月かけて完成させたという「あぶらめん」。写真は人気の「○得トッピング」(味玉子、焼豚2枚、メンマ、海苔2枚)を追加したもの

ーー食べ方のお作法はありますか?

加藤さん
加藤さん
「お好みで結構ですが、初めてでしたら全部混ぜちゃってください」

ーー酢やラー油は足さないほうがいい?

加藤さん
加藤さん
「お客さんが調整する必要がないよう、一番おいしい味付けにしているつもりなので、まずはそのまま食べてもらえるとうれしいですね(笑)」
まずは何も加えず全体を混ぜて食すべし

ーータレが濃厚でクリーミーな味わいですが、麺の印象が埋もれていません。加藤さんは製麺の国家資格を持っているそうですね。

加藤さん
加藤さん
「以前、製麺会社の経営するラーメン店で修業しており、麺作りの工程はだいたい理解していたので資格を取らせてもらったんです。これも店の立地と同じで、麺の状態が悪い日に『今日は製麺業者がイマイチなんです』と言い訳したくないからなんです」
店内に飾られる技能検定合格書。自分で製麺すると最適な茹で加減にできるのだとか
加藤さん
加藤さん
「麺は1日3回打ちますが、天候によってわずかに差が出ます。ですが、自分で打っていると『この硬さはあぶらめん向きだな』というように、全ての工程に関わることで全体が見え、茹で加減などを微調整することで『いつもの味』を変えることなく提供できます」
会計は食券スタイル。麺は増量可能で、「らーめん」「あぶらめん」は150〜300グラムまで無料(350グラム+100円)、「つけ麺」は150〜400グラムまで無料(500グラム+100円)となっている

ーーあえて聞きますが、麺とスープではどちらが大切ですか?

加藤さん
加藤さん
「もし片方しか自分で作ることができないのなら、悩みに悩んで麺を選びますね(笑)」

\こちらもリピーター続出/
「らーめん」
(780円+○得トッピング250円付き)

「らーめん」もファンが多い
加藤さん
加藤さん
「大手製麺所に比べ設備は微々たるものですが、自分で打った麺を自分で茹で、自分でとったスープに合わせるからこそ生まれる味があるはず。この商店街には40年近く続く個人経営のレストランもあるので、この店も長く愛される店にしていきたいですね」

満腹中枢への愛情あふれる町中華

2:「満腹ラーメン富田屋」

赤いテントに黄文字の「満腹ラーメン」が目印

心躍らせる「満腹」の文字に引き寄せられてやって来たのは、商店街の北寄りにある「満腹ラーメン富田屋」。ラーメンはもちろん、チャーハンや定食も人気のいわゆる「町中華」の店だ。

居心地のいい明るい店内は家族連れにも人気

ーーお店ができたのはいつごろですか?

満腹ラーメン富田屋店主・富山晶史さん
満腹ラーメン富田屋店主・富山晶史さん
「もう25年近くになるかな。もともとは近所の『旗ヶ丘商店街』にあったんですが、病院の前に空きが出たと聞いて移転し、その5年後には隣も空いたので拡張して今の広さになりました」

\ご主人はこちら/
満腹ラーメン富田屋店主・富山晶史さん

近所への出前もこなす富山さん

ーー看板に大きく「満腹」と書かれている理由は?

富山さん
富山さん
「自分は沖縄と奄美大島の間にある鹿児島県徳之島の出身で、上京して料理の修業をしながら高校・大学と夜学に通っていたんです。そういうときってお腹が減っていると力がでないもの。だから、若い人にお腹いっぱいになってもらえるような店にしたんです」
厨房では調理人が次々に料理を仕上げていく

\町中華といえばこれ/
「チャーハン」(600円)

チャーハン好きなら頼まずにはいられない

ーーおいしいラーメンを探しにきましたが、チャーハンも魅力的です……。

富山さん
富山さん
「今日はちょっと寒いから『こってりピリ辛みそラーメン』なんてどう?『チャーハン』もつけてお腹いっぱいになるといいですよ」

\店主の自信作/
「こってりピリ辛みそラーメン」(800円)
「チャーハン」(600円)

炒め野菜がたっぷりなのがうれしい。写真右は普通サイズのチャーハンだが、ラーメンが巨大なため半チャーハンに見えてしまう
富山さん
富山さん
「『こってりピリ辛みそラーメン』は自信作で、3種類の味噌とニンニクやショウガなどの薬味、それに調味料のブレンドを何年も研究して生まれたもの。野菜を炒めてスープに絡めたときに出る甘味と味噌の調和にこだわりました」

ーー味噌のこってり感と野菜の甘みがよく合います。辛さは控えめですが、食べるとすぐに体が温まってきますね。

壁にびっしりと短冊メニュー(達筆)が張り出される町中華の名店率は高い
富山さん
富山さん
「食べに来るお客さんは大学病院の先生やスタッフのほか、病院に通う患者さんもいるので、いろいろなメニューをそろえています」

ーー麺類を注文すると、餃子が100円引きになるんですね。

\麺類を注文すると100円引き/
「焼き餃子」(300円、単品400円)

香ばしく焼き上げられた大きめ焼き餃子が満腹をアシスト
富山さん
富山さん
「餃子ももちろん手作りです。100円引くのは財布に優しく満腹になってほしいから。最近ではもう“苦学生”はずいぶん減ったでしょうが、いつでも気軽にお腹いっぱいになれるウチみたいな店が商店街にないと寂しいよね(笑)」

毎日食べたい気配りの味わい

3:「城南らーめん紫龍 旗の台本店」

改札から徒歩0分でたどり着ける

最後に訪れたのは、東急池上線の改札口正面にある「城南らーめん紫龍 旗の台本店」。学生やOLにも人気の豚骨醤油系ラーメンの店だ。

清潔な店内は女性一人でも入りやすい

ーーまず「城南らーめん」という店名の由来から教えてください。

城南らーめん紫龍 旗の台本店店長・竹田英夫さん
城南らーめん紫龍 旗の台本店店長・竹田英夫さん
「ウチの代表はこの商店街の近くの出身で、『自分の地元・城南地区発祥のラーメンを発信したい』と考え、2010年にここ旗の台に本店を作りました」

\店長にオススメを聞きました/
城南らーめん紫龍 旗の台本店店長・竹田英夫さん

「個性がないのが城南ラーメンの個性なんです」と話す店長の竹田さん
竹田さん
竹田さん
「『城南らーめん』のコンセプトは『普段づかいできるラーメン屋』で、1か月に1度どうしても食べたくなるようなインパクトのある味ではなく、味噌汁のように毎日でも飽きないよう、あえて主張しない味つけにしています」

\城南らーめんの定番はこれ/
「紫龍」(830円)

3種のトッピングが選べる定番の「紫龍」。竹田さんの本日のオススメトッピングは「野菜(大盛り)」「味付け半熟玉子」「ホウレン草」

ーーうま味はしっかり感じますがくどさはありません。トッピングがたくさん選べるのもいいですね。

竹田さん
竹田さん
「味玉、野菜、キクラゲ、白ネギなど全10種から選べます。麺は創業当初より小麦の殻も練り込んで栄養価を高めた全粒粉を使っています」
麺の硬さや背脂の量、トッピングなどのオーダーは、スタッフに伝えるかテーブルに備え付けのペンでチケットに書き込めばOK
トッピングは野菜や玉子をはじめ、特製辛味噌など10種類から選択できる。チャーシューも脂身が多めのスライスか、歯ごたえのあるブロックから選択できる

ーー東銀座にも支店がありますが、この商店街との違いはありますか?

竹田さん
竹田さん
「銀座に近い商業地ということで、平日はビジネスマンやOL、土日は観光客が多いです。歌舞伎座にも近いので、歌舞伎役者の中村勘九郎さんが弟の七之助さんと食べにきていただいているようです。旗の台は学生さんが多いので、11〜15時のランチタイムは麺類の大盛りやライスを無料にして喜ばれています」
黒酢で味変させると、よりさっぱりとフィニッシュすることができる

ーー改札の正面という商店街の入り口でお店をやっていて感じることは?

竹田さん
竹田さん
「『普段づかい』のコンセプトが受け入れられたのか、お客さんは地元に住むビジネスマンや学生さんをはじめ、女性お一人様のリピーターが多いです。地元の食堂のように気軽に寄ってもらえるとうれしいですね」

駅の改札口から「紫龍」「ぶらいとん」「富田屋」と3軒もの名店が点在する旗の台駅前の商店街はまさに「ラーメン街道」。その日の気分で使い分けができる、ラーメン好きならぜひ訪れたい商店街であった。


コラム:「焙煎度合いで選ぶ食後の極上コーヒー」

「コンパスコーヒー 旗の台店」

旗の台駅から徒歩3分ほどの場所にある

おいしいラーメンで満腹になると、食後のコーヒーにもこだわりたくなるもの。そこで取材班は、連載第2回目の戸越銀座でお世話になった自家焙煎のコーヒー豆専門店「コンパスコーヒー 旗の台店」にお邪魔することに。

\セレクトしてくれたのはこの方/
コンパスコーヒー代表・小林稔浩さん

「散歩してたらちょうどいい物件があったのでここを1号店に選びました」(小林さん)

「コンパスコーヒー」は世界中の産地から選りすぐった豆を自家焙煎して販売するほか、ドリップコーヒーのテイクアウトを、「深煎り」「中煎り」「浅煎り」の3段階で提供してくれるため、食べ歩きの休憩時にコーヒースタンドづかいもできる。

ーーラーメンをお腹いっぱい食べてきたんですが、コーヒーを1杯入れてもらえますか?

日替わりコーヒーは焙煎度合いを3通りから選べ、しかも旗の台店はハンドドリップなのがうれしい
小林さん
小林さん
「では本日の日替わりコーヒーの『ブラジル・レクレイオ農園COE』をお出しします。どの店のラーメンを食べてきました?

ーー「麺家ぶらいとん」「満腹ラーメン富田屋」「城南らーめん紫龍 旗の台本店」の3軒です。

小林さん
小林さん
「名店ぞろいですね。では、『麺家ぶらいとん』さんを想定して、深煎りをお出しします」

\本日の日替わりコーヒーはこれ/
「ブラジル・レクレイオ農園COE」(250円)

「COE(カップオブエクセレンス)」を受賞したぜいたくな1杯を250円で味わえる

ーー“軽快”というか“優等生的”というか、バランスがいいので口の中を適度にさっぱりさせてくれます。

小林さん
小林さん
「『ぶらいとん』さんはあぶらめんなど、こってり系でクリーミーな味わいですよね。酸味を抑えた深煎りコーヒーは、油を完全に洗い流すことなく程よくリセットしてくれるんです」
ものすごくレアな豆らしい
小林さん
小林さん
「ラーメンやチャーハンだけでなく定食もおいしい町中華の『富田屋』さんなら、オールマイティな『中煎り』がオススメ。野菜などのトッピングが豊富で、黒酢で味変を楽しめる『紫龍』さんなら、よりさっぱり酸味が効いた『浅煎り』が合いますね」

ーー同じ豆でも焙煎度合いで、異なるジャンルのラーメンに合わせることができるんですね。

小林さん
小林さん
「最近では豆の流通スタイルも変化しています。これまでコーヒー農園では収穫した豆をひとまとめにしていましたが、コーヒー豆の個性は農園の区画によってわずかに変化するため、最近では区画ごとに評価する動きが出てきました」
「スマホでも焙煎の注文を受けているので、通勤途中や昼休みにオーダーして、帰りに受け取ることもできます」(スタッフ井上幸さん)
小林さん
小林さん
「その最たるものがこの『ブラジル・イパネマ農園 B68エリア限定フローラルPN』。プルミエ・クリュと呼ばれる格付けの高い32区画の畑の豆を全てテイスティングし、最高評価の『B68』エリアで収穫された豆だけを選びぬいたものなんです」

ーー情報量が多すぎで追いつけません(笑)。

小林さん
小林さん
「すぐ焙煎が終わるので1杯入れますね」
焙煎機の中で生豆が徐々に色づいてゆく。焙煎パターンは豆の個性や気象状況に合わせて560通りにもおよぶ

ーー“あっけないほど普通”です。でも、味の厚みが普段飲んでいるコーヒーとは段違いです。ますます訳が分からなくなりましたがコーヒーは本当におもしろい飲み物ですね。

\イパネマ農園最高評価の豆を試飲/
「B68エリア限定フローラルPN」
(100グラム870円、200グラム1700円)

見た目も味も特に変わった様子は(素人には)確認できないが……
小林さん
小林さん
質の高いものほどバランスがいいため、個性が悪目立ちしません。でも、飲み続けていれば分かるようになります。“コンパス(羅針盤)”と名乗っているのは、愛好家の水先案内人になりたいから。コーヒーの道に迷ったらいつでも飲みに来てください」

取材メモ/池上線東口改札の正面にある純喫茶「カフェリア」では、レトロな鳩時計が時刻を知らせてくれます。

構成・取材・文・写真=杉山元洋

次回、3月13日(水)は「神田駅西口商店街」を公開予定

神田ならではのエスニック料理を食べ歩きました

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Yahoo!ライフマガジン編集部

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