「新宿ゴールデン街」を筆頭に、外国人の観光スポットとして人気を集める日本の大衆酒場。そこで今回は、パブの本場・イギリスからやってきた酒好き4名と「晩杯屋」で立ち飲み会を開催。ビール、ホッピー、レモンサワー……杯を重ねるにつれ、日英入り乱れての酔いどれ交流に発展!
Yahoo!ライフマガジン編集部
酒への愛は国境を越える!? 日英立ち飲み会談の行方は……?
パブ文化が根付くイギリス。本場を知るイギリス人が、日本の大衆酒場・立ち飲み居酒屋さんを体験したらどうなる……?
そんな企画をうっかり思いついた取材班は、立ち飲み居酒屋「晩杯屋 中目黒目黒川RS店」で、イギリス人との立ち飲み会を開催することに。お集まりいただいたのは、こちらの4名!
——日本の立ち飲み屋さんはイギリスで言うところのパブ(大衆酒場)。みなさん、今まで立ち飲みってしたことあります?
- アンさん
- アンさん
- 「普通の居酒屋さんには何度も行ったことがあるけど、立ち飲み屋さんは初めて来ました。立ちながら飲む居酒屋さんって珍しいですね!」
- トム・クリスティさん
- トム・クリスティさん
- 「俺は何度も立ち飲みしたことあるよ。こういう日本の大衆酒場が好きだから、ネットでも調べて飲みに行くね」
- サムさん
- サムさん
- 「僕も好きだよ。ワイワイ楽しい雰囲気がいいよね!」
- トム・ローズヴィアさん
- トム・ローズヴィアさん
- 「昨年閉店してしまったけど渋谷の『富士屋本店』に行ったことがあります。あと大衆居酒屋さんだと、『串カツ田中』も好きです! 日本の居酒屋さんに行きすぎて、逆にイギリスのパブが恋しくなるくらい」
——意外にも立ち飲み経験者が多くて驚きました! それではさっそく店内へ潜入しましょう!
イギリス人にとって“赤ちょうちん”は超COOL!?
「晩杯屋」は、リーズナブルな価格で気軽に一杯飲める人気の立ち飲み屋チェーン。中目黒にあるこちらの店舗は、おしゃれタウンで立ち飲みというギャップが受け、連日多くのお客さんで大にぎわいだ。
——赤ちょうちんや壁にずらりと並んだメニュー札……これが大衆酒場のデフォルトなのですが、イギリスの方々にとってはどんな印象ですか?
- トム・クリスティさん
- トム・クリスティさん
- 「昭和レトロだね。『ザ・日本』って感じ」
- サムさん
- サムさん
- 「うん、昭和な雰囲気がCOOLですね! 日本らしい光景として、よくInstagramにアップしてる外国人もいますよ」
——昭和レトロなんて言葉、よくご存じで! ちなみに日本のおじさんたちが集まる大衆酒場を通称して“赤ちょうちん”と呼びます。
- アンさん
- アンさん
- 「“アカチョウチン”? 見たことはあったけど、初めて知りました!」
- トム・クリスティさん
- トム・クリスティさん
- 「“赤ちょうちん”めちゃくちゃ好き。イギリス人にとっては、こういう日本ならではの雰囲気がおしゃれだなって感じるよ」
——昭和レトロの魅力をわかってくれるとは! 今日はいい酒が飲めそうだ〜! さあさあ、みなさん乾杯しましょう。えーと、イギリスで乾杯ってなんて言うんでしたっけ?
一同「Cheers(チアーズ)!」
イギリスと日本の飲み文化の違いを伝授!
——ちょ、ちょっと待って! 乾杯のスピード感ハンパないです。日本だと乾杯する前に幹事があれこれ語りがちなのですが、そういうのないんですか?
- アンさん
- アンさん
- 「ないですね(きっぱり)。早めに乾杯して早めに飲みたいから(ニコッ)」
- トム・クリスティさん
- トム・クリスティさん
- 「イギリスは、待てない人が多いのかもね(グビグビ)」
——みるみるビールが吸い込まれてく……! こんな感じでイギリスの人は日常的にパブ通いしてるんですか?
- トム・クリスティさん
- トム・クリスティさん
- 「日常的に行くかは人によりけり。飲まない人はあんまり行かないかもしれないね。俺はお酒が好きだからよく行ってたけど(グビグビ)」
——でしょうな……。
- トム・ローズヴィアさん
- トム・ローズヴィアさん
- 「パブは気軽に行けるアットホームな場所ですね。ワイワイしているところが日本の立ち飲みと少し似ているかも。イギリスでは、平日の昼間にパブでビールを飲みながら会議をすることもありますよ」
——ビール会議とな!? 日本の企業にもぜひ導入してほしいです!
- サムさん
- サムさん
- 「イギリスではわりと普通だよ」
- アンさん
- アンさん
- 「私はパブでお酒を飲むだけじゃなくて、食事もするわ。サッカーの試合があるときは、お店で飲みながら観戦したりね! 好きなチームが勝つとみんなで肩を組んでテーマソングを歌うのよ」
——すごく楽しそう! ほかにもイギリスならではの飲みマナーとかってありますか?
- トム・クリスティさん
- トム・クリスティさん
- 「パブで飲むときは、全員が順番にみんなのお酒をおごる『Round(ラウンド)』という習慣があるね」
——それ、酔っ払うと順番わかんなくなりませんか?
- トム・クリスティさん
- トム・クリスティさん
- 「そうそう、順番が変わっちゃうこともあるよ(笑)。あと基本的にイギリスのパブはキャッシュオン(先払い)。そうしないと酔っ払って会計し忘れる人がいるから。日本は真面目な人が多いから後払いでもOKなのかもね(グビグビ)」
イギリス人がハマる日本の酒&おつまみは意外なあれだった!
——酔っ払ってわからなくなっちゃう前に、せっかくなので日本ならではのお酒を楽しんでいただきましょう! みなさんはどんな日本のお酒が好きですか?
- アンさん
- アンさん
- 「私はちょっと甘いものがいいかな。梅酒とかジンジャーハイボールとかよく飲みます」
- トム・クリスティさん
- トム・クリスティさん
- 「こういう大衆酒場だったら、ビールか、チューハイか、ハイボールかな。食べる料理に合わせて選ぶことも多いよ。魚料理だと日本酒って感じだね」
——もはや日本人と話している気分(笑)。大衆酒場の定番、レモンサワーやホッピーはどうです?
- サムさん
- サムさん
- 「……」
- トム・ローズヴィアさん
- トム・ローズヴィアさん
- 「……」
ーー未経験者、発見! ぜひトライしてもらいましょう!
\人生初のレサワ&ホッピーに挑戦/
- サムさん
- サムさん
- 「んー、こいつは酸っぱい。僕は甘いチューハイが大好きでね。チューハイだったら缶チューハイが好き。持ち運べていつでも飲めるし(笑)」
ーー出た、呑んべえ発言!
- トム・ローズヴィアさん
- トム・ローズヴィアさん
- 「焼酎が入ったジョッキに瓶の中身を注ぐんですね。ホッピーは初めてですが、薄味でビールよりも飲みやすいです!」
体当たりで日本の立ち飲みをエンジョイする英国紳士たち。居酒屋メニューも真剣に熟読……!
- トム・ローズヴィアさん
- トム・ローズヴィアさん
- 「このお店、おつまみがどれも安くてびっくり!」
驚くのも無理はない。「晩杯屋」のおつまみは、一品平均300円以下とめちゃくちゃ安いのだ。ということで、数あるメニューの中からイギリス人たちをとりこにしたコスパ最高の3品を発表!
トム・クリスティさんのチョイスは「白子ぽん酢」!
- トム・クリスティさん
- トム・クリスティさん
- 「俺は珍味が好きだから白子ぽん酢! 日本に来て、最初これが出てきたときは見た目がダメだったけど、食べてみたらおいしかった。国籍関係なく、おいしいものはおいしいじゃん! ってね」
サムさんのチョイスは「納豆オムレツ」
- サムさん
- サムさん
- 「納豆オムレツは、イギリスのベイクドビーンズをトーストに乗せて食べるのと似てるかな。朝食にも良さそうだね!」
トム・ローズヴィアさん&アンさんは「カキフライ」!
- トム・ローズヴィアさん
- トム・ローズヴィアさん
- 「昔広島に住んでいたことがあって、その時に好きになりました」
- アンさん
- アンさん
- 「お酒には揚げ物が合うと思う。イギリスにいた頃も、お酒を飲むときは揚げ物を食べてたから、日本の居酒屋だと唐揚げが大好き」
イギリスでは食べないで飲む男性がイケてる!?
——イギリスのパブのおつまみといえば、フィッシュ&チップスが定番?
- サムさん
- サムさん
- 「そうだね。最初の一杯はやっぱりビールなんだけど、フィッシュ&チップスはビールによく合うからね!」
- アンさん
- アンさん
- 「フィッシュ&チップスは、パブで何かちょっと食べたいときに頼むおつまみみたいな感じ。ジャンクフードだから、普通の食事とはちょっと違うの」
- トム・クリスティさん
- トム・クリスティさん
- 「でも、イギリスの男性は、パブでお酒を飲んでいるときに何も食べない人が多いね」
——え、なにゆえ?
- トム・クリスティさん
- トム・クリスティさん
- 「イギリスではおつまみを食べちゃうとお酒が弱いっていうイメージがあるから、何も食べずにひたすら飲んで、お酒が強いところをアピールするんだよ」
- トム・ローズヴィアさん
- トム・ローズヴィアさん
- 「だけど日本の大衆酒場はおつまみメニューが豊富なので、いろいろ頼みたくなっちゃいますね」
酒が入れば、みなマブダチ!? 日本の飲みニケーションを体験!
お酒とおつまみで気持ちよーくなっていると、仕事で明日の朝が早いというアンさんが、ドロンとお先に帰宅することに。
- アンさん
- アンさん
- 「初めての立ち飲み楽しかったです。男性陣はまだまだ盛り上がってね!」
紅一点のアンさんが帰ってしまい、イギリスメンズたちは完全にオフモード。すると、そんな彼らの姿を見ていた「晩杯屋」スタッフさんたちが、仕事上がりに飲み会に参戦! 突如、日英呑んべえ交流の幕が切って落とされた……!
——みなさん、出会って速攻マブダチみたい! パブでも男性同士で楽しく盛り上がることってあるんですか?
- トム・クリスティさん
- トム・クリスティさん
- 「イギリスではサッカーとか興味があるものが同じだったら、一緒に飲むこともあるよ」
- 「晩杯屋」スタッフさん
- 「晩杯屋」スタッフさん
- 「日本の立ち飲みでは男同士ってのはあんまりないよね。やっぱり女の子がいないと(笑)」
——居酒屋トークっぽくなってきました(笑)。ぶっちゃけイギリスではパブでのナンパってアリなんですか?
- トム・ローズヴィアさん
- トム・ローズヴィアさん
- 「基本的にパブではないです。やっぱり地元の友達とサッカーを観たりするのが多いですね」
- トム・クリスティさん
- トム・クリスティさん
- 「ナンパならパブじゃなくてクラブかな」
- サムさん
- サムさん
- 「まぁ、パブで女の子を口説きたいけど、うまくいかないことが多いってのが正直なところかな。失敗したら家に帰ってジャンクフードを食べるしかない(笑)! パブで男同士サッカーで盛り上がりすぎて喧嘩になっちゃうなんてこともあるけどね」
夜も深くなり、サムさんのコメントも激しめにシフト。意外な一面を知ることができるのも飲み会のいいところ!
——今日は楽しんでいただけたようで何よりです。日本の夜が、ナイトライフエコノミーの先進国・イギリスから来たみなさんにどううつるのか心配でした。
- サムさん
- サムさん
- 「僕は日本の夜が好きだよ。イギリスでは遅くまで開いているバーが少ないし、日本ではラーメン屋さんとかでもしっかりお酒が楽しめるのがすごい!」
- トム・ローズヴィアさん
- トム・ローズヴィアさん
- 「僕は結婚して子供がいるから夜はあまり出かけなくなったけど、日本の夜は、魅力的だと思います。イギリスはお店が早く閉まるから、日本みたいに夜遅くまでやっているお店がたくさんあると二次会、三次会って行けて楽しいです」
——これから、もっと日本のナイトライフが発展するとしたら、どんなところに可能性を感じますか?
- トム・クリスティさん
- トム・クリスティさん
- 「日本には飲食街がたくさんあるから、飲み歩くのが楽しいんだよね。イギリスだと日本よりもお酒の値段が高いから、週1、2回しか飲みに行けない。このお店みたいに安くておいしい大衆酒場があるのは、ほんとにすばらしいことだと思うよ!」
日本のナイトライフ充実のカギは、大衆酒場にあり! “赤ちょうちん”にキラキラ輝く日本の未来を感じたところで、本日の立ち飲み会はお開き。イギリスと日本の素晴らしき飲み文化に乾杯!
取材・文=秋山ももこ(mogShore)、撮影=岡本卓大
\本場外国人に聞いてみたシリーズ/