立ち飲み屋でイギリス人と乾杯したら日本の明るい未来が見えた話

特集

本場外国人に聞いてみた

2019/03/08

立ち飲み屋でイギリス人と乾杯したら日本の明るい未来が見えた話

「新宿ゴールデン街」を筆頭に、外国人の観光スポットとして人気を集める日本の大衆酒場。そこで今回は、パブの本場・イギリスからやってきた酒好き4名と「晩杯屋」で立ち飲み会を開催。ビール、ホッピー、レモンサワー……杯を重ねるにつれ、日英入り乱れての酔いどれ交流に発展!

Yahoo!ライフマガジン編集部

Yahoo!ライフマガジン編集部

酒への愛は国境を越える!? 日英立ち飲み会談の行方は……?

立ち飲みが日英友好の懸け橋に!?

パブ文化が根付くイギリス。本場を知るイギリス人が、日本の大衆酒場・立ち飲み居酒屋さんを体験したらどうなる……? 

そんな企画をうっかり思いついた取材班は、立ち飲み居酒屋「晩杯屋 中目黒目黒川RS店」で、イギリス人との立ち飲み会を開催することに。お集まりいただいたのは、こちらの4名! 

右からトム・ローズヴィアさん(インバウンドメディア勤務/来日5年)、トム・クリスティさん(モデルでアパレルブランドプレス/来日6年)、サムさん(新米パパ/来日3年)、アンさん(カフェ勤務/来日4年)

——日本の立ち飲み屋さんはイギリスで言うところのパブ(大衆酒場)。みなさん、今まで立ち飲みってしたことあります?

アンさん
アンさん
「普通の居酒屋さんには何度も行ったことがあるけど、立ち飲み屋さんは初めて来ました。立ちながら飲む居酒屋さんって珍しいですね!」
トム・クリスティさん
トム・クリスティさん
「俺は何度も立ち飲みしたことあるよ。こういう日本の大衆酒場が好きだから、ネットでも調べて飲みに行くね」
サムさん
サムさん
「僕も好きだよ。ワイワイ楽しい雰囲気がいいよね!」
トム・ローズヴィアさん
トム・ローズヴィアさん
「昨年閉店してしまったけど渋谷の『富士屋本店』に行ったことがあります。あと大衆居酒屋さんだと、『串カツ田中』も好きです! 日本の居酒屋さんに行きすぎて、逆にイギリスのパブが恋しくなるくらい

——意外にも立ち飲み経験者が多くて驚きました! それではさっそく店内へ潜入しましょう!

イギリス人にとって“赤ちょうちん”は超COOL!?

この日は週明け月曜日にもかかわらず、お店の中はすでに熱気ムンムン!

「晩杯屋」は、リーズナブルな価格で気軽に一杯飲める人気の立ち飲み屋チェーン。中目黒にあるこちらの店舗は、おしゃれタウンで立ち飲みというギャップが受け、連日多くのお客さんで大にぎわいだ。

「壁に貼ってある日本語のメニューが興味深いですね!」(トム・ローズヴィアさん)

——赤ちょうちんや壁にずらりと並んだメニュー札……これが大衆酒場のデフォルトなのですが、イギリスの方々にとってはどんな印象ですか?

トム・クリスティさん
トム・クリスティさん
「昭和レトロだね。『ザ・日本』って感じ」
サムさん
サムさん
「うん、昭和な雰囲気がCOOLですね! 日本らしい光景として、よくInstagramにアップしてる外国人もいますよ」
店内には「ホッピー」の赤ちょうちんがずらり。外からこの灯りに誘われてふらりと入店してしまう酒飲みも多いだろう

——昭和レトロなんて言葉、よくご存じで! ちなみに日本のおじさんたちが集まる大衆酒場を通称して“赤ちょうちん”と呼びます。

アンさん
アンさん
“アカチョウチン”? 見たことはあったけど、初めて知りました!」
トム・クリスティさん
トム・クリスティさん
「“赤ちょうちん”めちゃくちゃ好き。イギリス人にとっては、こういう日本ならではの雰囲気がおしゃれだなって感じるよ」

——昭和レトロの魅力をわかってくれるとは! 今日はいい酒が飲めそうだ〜! さあさあ、みなさん乾杯しましょう。えーと、イギリスで乾杯ってなんて言うんでしたっけ?

一同「Cheers(チアーズ)!」

「Cheers!」の掛け声とともに高く掲げたジョッキ同士をぶつけ、勢いよく乾杯!

イギリスと日本の飲み文化の違いを伝授!

乾杯の次の瞬間には、ビールをグビグビ! 正確に計ってないけど乾杯にかかった時間は1〜2秒くらい。とにかく飲むまでが早い!!!

——ちょ、ちょっと待って! 乾杯のスピード感ハンパないです。日本だと乾杯する前に幹事があれこれ語りがちなのですが、そういうのないんですか?

アンさん
アンさん
「ないですね(きっぱり)。早めに乾杯して早めに飲みたいから(ニコッ)」
トム・クリスティさん
トム・クリスティさん
「イギリスは、待てない人が多いのかもね(グビグビ)」

——みるみるビールが吸い込まれてく……! こんな感じでイギリスの人は日常的にパブ通いしてるんですか?

イギリス人にとってバプってどんな存在?
トム・クリスティさん
トム・クリスティさん
「日常的に行くかは人によりけり。飲まない人はあんまり行かないかもしれないね。俺はお酒が好きだからよく行ってたけど(グビグビ)」

——でしょうな……。

トム・ローズヴィアさん
トム・ローズヴィアさん
パブは気軽に行けるアットホームな場所ですね。ワイワイしているところが日本の立ち飲みと少し似ているかも。イギリスでは、平日の昼間にパブでビールを飲みながら会議をすることもありますよ」

——ビール会議とな!? 日本の企業にもぜひ導入してほしいです!

サムさん
サムさん
「イギリスではわりと普通だよ」
アンさん
アンさん
「私はパブでお酒を飲むだけじゃなくて、食事もするわ。サッカーの試合があるときは、お店で飲みながら観戦したりね! 好きなチームが勝つとみんなで肩を組んでテーマソングを歌うのよ」
サッカー大国イギリスの人々にとって、パブでのサッカー観戦は定番! 応援しているチームが勝つと、こんな感じでサポーター同士で喜びを分かち合うこともあるとか

——すごく楽しそう! ほかにもイギリスならではの飲みマナーとかってありますか?

トム・クリスティさん
トム・クリスティさん
「パブで飲むときは、全員が順番にみんなのお酒をおごる『Round(ラウンド)』という習慣があるね」

——それ、酔っ払うと順番わかんなくなりませんか?

「次は私、その次はあなたって感じで順番におごっていくの」(アンさん)
トム・クリスティさん
トム・クリスティさん
「そうそう、順番が変わっちゃうこともあるよ(笑)。あと基本的にイギリスのパブはキャッシュオン(先払い)。そうしないと酔っ払って会計し忘れる人がいるから。日本は真面目な人が多いから後払いでもOKなのかもね(グビグビ)」

イギリス人がハマる日本の酒&おつまみは意外なあれだった!

いつの間にかビールジョッキがカラになっていたトム・クリスティさんは、2杯目に「緑茶割り」(290円)をセレクト

——酔っ払ってわからなくなっちゃう前に、せっかくなので日本ならではのお酒を楽しんでいただきましょう! みなさんはどんな日本のお酒が好きですか?

アンさん
アンさん
「私はちょっと甘いものがいいかな。梅酒とかジンジャーハイボールとかよく飲みます」
トム・クリスティさん
トム・クリスティさん
「こういう大衆酒場だったら、ビールか、チューハイか、ハイボールかな。食べる料理に合わせて選ぶことも多いよ。魚料理だと日本酒って感じだね」

——もはや日本人と話している気分(笑)。大衆酒場の定番、レモンサワーやホッピーはどうです?

サムさん
サムさん
「……」
トム・ローズヴィアさん
トム・ローズヴィアさん
「……」

ーー未経験者、発見! ぜひトライしてもらいましょう!

\人生初のレサワ&ホッピーに挑戦/

サムさんが「レモンサワー」(290円)をゴクゴク……
サムさん
サムさん
「んー、こいつは酸っぱい。僕は甘いチューハイが大好きでね。チューハイだったら缶チューハイが好き。持ち運べていつでも飲めるし(笑)」

ーー出た、呑んべえ発言!

「ホッピーも飲んだことあるよ。白ホッピーの方が好き」と、どこまでも日本人の味覚を持つトム・クリスティさんが、ホッピーをジョッキにトクトク。今回はホッピー初挑戦のトム・ローズヴィアさんがテイスティング!
トム・ローズヴィアさん
トム・ローズヴィアさん
「焼酎が入ったジョッキに瓶の中身を注ぐんですね。ホッピーは初めてですが、薄味でビールよりも飲みやすいです!
「試しにホッピーだけ飲んでみても大丈夫ですか?」と“外”をゴクゴク。イギリス人が飲むと、おじさんのイメージがあるホッピーもおしゃれドリンクにイメチェンするから不思議。「ホッピー(セット)」(370円)

体当たりで日本の立ち飲みをエンジョイする英国紳士たち。居酒屋メニューも真剣に熟読……!

ちなみに今までで一番感動した居酒屋メニューはアスパラベーコン。「シンプルな組み合わせなのに、あんなにおいしくなるなんて!」(トム・ローズヴィアさん)
トム・ローズヴィアさん
トム・ローズヴィアさん
このお店、おつまみがどれも安くてびっくり!

驚くのも無理はない。「晩杯屋」のおつまみは、一品平均300円以下とめちゃくちゃ安いのだ。ということで、数あるメニューの中からイギリス人たちをとりこにしたコスパ最高の3品を発表!

トム・クリスティさんのチョイスは「白子ぽん酢」!

クリーミーな味わいがクセになる「白子ぽん酢」(250円)。新鮮な白子がこの値段で楽しめるとは革新的!
トム・クリスティさん
トム・クリスティさん
「俺は珍味が好きだから白子ぽん酢! 日本に来て、最初これが出てきたときは見た目がダメだったけど、食べてみたらおいしかった。国籍関係なく、おいしいものはおいしいじゃん! ってね」

サムさんのチョイスは「納豆オムレツ」

たっぷり納豆を包んだ「納豆オムレツ」(150円)。うま味調味料をかけて食べるのもおすすめ!
「日本に来た当初は納豆が食べられなかったけど、だんだん慣れてきました」とサムさん。今は豆腐が食べられるように日々特訓中だとか
サムさん
サムさん
「納豆オムレツは、イギリスのベイクドビーンズをトーストに乗せて食べるのと似てるかな。朝食にも良さそうだね!」

トム・ローズヴィアさん&アンさんは「カキフライ」!

大振りのカキを使ったボリューム満点の「カキフライ」(310円)
トム・ローズヴィアさん
トム・ローズヴィアさん
「昔広島に住んでいたことがあって、その時に好きになりました」
アンさん
アンさん
「お酒には揚げ物が合うと思う。イギリスにいた頃も、お酒を飲むときは揚げ物を食べてたから、日本の居酒屋だと唐揚げが大好き」

イギリスでは食べないで飲む男性がイケてる!?

ビールと揚げ物は、世界共通のベストカップル!?

——イギリスのパブのおつまみといえば、フィッシュ&チップスが定番?

サムさん
サムさん
「そうだね。最初の一杯はやっぱりビールなんだけど、フィッシュ&チップスはビールによく合うからね!」
アンさん
アンさん
「フィッシュ&チップスは、パブで何かちょっと食べたいときに頼むおつまみみたいな感じ。ジャンクフードだから、普通の食事とはちょっと違うの」
トム・クリスティさん
トム・クリスティさん
「でも、イギリスの男性は、パブでお酒を飲んでいるときに何も食べない人が多いね」

——え、なにゆえ?

トム・クリスティさん
トム・クリスティさん
「イギリスではおつまみを食べちゃうとお酒が弱いっていうイメージがあるから、何も食べずにひたすら飲んで、お酒が強いところをアピールするんだよ
トム・ローズヴィアさん
トム・ローズヴィアさん
「だけど日本の大衆酒場はおつまみメニューが豊富なので、いろいろ頼みたくなっちゃいますね」

酒が入れば、みなマブダチ!? 日本の飲みニケーションを体験!

お酒とおつまみで気持ちよーくなっていると、仕事で明日の朝が早いというアンさんが、ドロンとお先に帰宅することに。

アンさん
アンさん
「初めての立ち飲み楽しかったです。男性陣はまだまだ盛り上がってね!」
「おやすみなさい〜!」と華麗に去っていくアンさん。あれれ、見送るメンズたちの背中が、どこか寂しそうだぞ
再び店内に戻り飲み会を再開。男衆3人で飲んでいると、大衆居酒屋っぽさがいや増します

紅一点のアンさんが帰ってしまい、イギリスメンズたちは完全にオフモード。すると、そんな彼らの姿を見ていた「晩杯屋」スタッフさんたちが、仕事上がりに飲み会に参戦! 突如、日英呑んべえ交流の幕が切って落とされた……!

「今日の出会いに乾杯〜!」とジョッキに入ったポン酒で杯を交わす日英メンズたち。出会って5秒でこんなに打ち解けられるのは、やはりお酒のパワー!?

——みなさん、出会って速攻マブダチみたい! パブでも男性同士で楽しく盛り上がることってあるんですか?

トム・クリスティさん
トム・クリスティさん
「イギリスではサッカーとか興味があるものが同じだったら、一緒に飲むこともあるよ」
「晩杯屋」スタッフさん
「晩杯屋」スタッフさん
「日本の立ち飲みでは男同士ってのはあんまりないよね。やっぱり女の子がいないと(笑)

——居酒屋トークっぽくなってきました(笑)。ぶっちゃけイギリスではパブでのナンパってアリなんですか?

トム・ローズヴィアさん
トム・ローズヴィアさん
「基本的にパブではないです。やっぱり地元の友達とサッカーを観たりするのが多いですね」
トム・クリスティさん
トム・クリスティさん
「ナンパならパブじゃなくてクラブかな」
サムさん
サムさん
「まぁ、パブで女の子を口説きたいけど、うまくいかないことが多いってのが正直なところかな。失敗したら家に帰ってジャンクフードを食べるしかない(笑)! パブで男同士サッカーで盛り上がりすぎて喧嘩になっちゃうなんてこともあるけどね」

夜も深くなり、サムさんのコメントも激しめにシフト。意外な一面を知ることができるのも飲み会のいいところ!

「日本酒おいしいね! まだまだ飲めるよ」とサムさん。はじめ寡黙だったサムさんが後半戦はめちゃくちゃ饒舌に ……!

——今日は楽しんでいただけたようで何よりです。日本の夜が、ナイトライフエコノミーの先進国・イギリスから来たみなさんにどううつるのか心配でした。

サムさん
サムさん
「僕は日本の夜が好きだよ。イギリスでは遅くまで開いているバーが少ないし、日本ではラーメン屋さんとかでもしっかりお酒が楽しめるのがすごい!
トム・ローズヴィアさん
トム・ローズヴィアさん
「僕は結婚して子供がいるから夜はあまり出かけなくなったけど、日本の夜は、魅力的だと思います。イギリスはお店が早く閉まるから、日本みたいに夜遅くまでやっているお店がたくさんあると二次会、三次会って行けて楽しいです」
「また飲もうぜ!」と最後に固い握手を交わすメンズたち。お酒を通して日英の固い絆が結ばれました!

——これから、もっと日本のナイトライフが発展するとしたら、どんなところに可能性を感じますか?

トム・クリスティさん
トム・クリスティさん
「日本には飲食街がたくさんあるから、飲み歩くのが楽しいんだよね。イギリスだと日本よりもお酒の値段が高いから、週1、2回しか飲みに行けない。このお店みたいに安くておいしい大衆酒場があるのは、ほんとにすばらしいことだと思うよ!

日本のナイトライフ充実のカギは、大衆酒場にあり! “赤ちょうちん”にキラキラ輝く日本の未来を感じたところで、本日の立ち飲み会はお開き。イギリスと日本の素晴らしき飲み文化に乾杯!

取材・文=秋山ももこ(mogShore)、撮影=岡本卓大


\本場外国人に聞いてみたシリーズ/

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Yahoo!ライフマガジン編集部

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