パンの達人が推薦! いま本当に食べたい「食パン」5選

パンの達人が推薦! いま本当に食べたい「食パン」5選

2019/03/11

なつかしパンに注目が集まったり、専門店の増加も相まって、世は空前の“食パンブーム”。だからこそ、本当に食べるべき「食パン」を知りたい。パンラボ・池田浩明さんに、厳選の5本を教えていただいた。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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\紹介するのは、この方!/

池田浩明さん

池田浩明さん

パンラボ主宰、パンおたく

西葛西「ゴンノベーカリーマーケット」の国産小麦のナチュラルトーストは、フランスパンと同じ材料で焼いた食パンだ

\紹介するのはこちら!/
1.「進藤製パン 西荻食パンセンター」(西荻窪)の進藤食パン
2.「バゲットラビット 自由が丘店」の自由が丘ワンローフ
3.「トリュフベーカリー」(門前仲町)のワンローフ
4.「ゴンノベーカリーマーケット」(西葛西)の国産小麦のナチュラルトースト
5.「ジュウニブン ベーカリー」(新宿)のジュウニブン食パン

1.「進藤製パン 西荻食パンセンター」(西荻窪)の進藤食パン

綿毛のように柔らかな食感

「進藤食パン」(2斤・680円)。外見からもクラム(外皮の内側)の弾力感が伝わってくる
池田さん
池田さん
「まず『西荻食パンセンター』という店名に、心を掴まれました。そのまま食べると、綿毛のような柔らかいコシがある。なめらかで、歯切れがいいのもグッドです。もちろん、焼かないでそのままがおすすめですが、生地がほんのり甘いので、酸味のある苺ジャムなどを塗っていただくのもいいですね」
目の詰まったクラム。バターと牛乳の風味で、ほんのり甘い

2018年5月開業の食パン専門店。店主・進藤恵介さんの名字を付した「進藤食パン」は四角い角食パンで、型に蓋をして焼くため、クラム(外皮の内側)は目の詰まった仕上がりになる。「小麦のでんぷんを糊化させた湯だねを練りこんで、もっちり感も出しています」と進藤さん。小麦に加える水の比率(加水率)も105%と、通常の食パンより高く、しっとりした食感につながっている。

「進藤食パン」「バナナ食パン」「フランス食パン」が定番、その他日替わり食パンもあり。常時5種の品揃え

実は進藤さん、前職はクラフトビール店のスタッフ。「夜はパンをつまんで、ビールが飲める店にしたい。だから朝はパンを売ろうかなって」。麦つながり?で、食パン専門店の開業を決め、製パンを勉強したという。まだ“夜営業”は開始していないが、販売する5種の食パンは独学とは思えないほどレベルが高い。けれど、この店構えでどうやってビアバーを? 一見、不可能にも思えるが、進藤さんなら実現させるのかもしれない。

「ビールも食パンも、好きだったんですよね」と進藤さん。食パン専門店を謳いながら、じつは裏メニュー「明太フランス」だけは常時販売する
販売カウンターのみの小ぶりな店構え。近隣の常連さんも足を運ぶ

2.「バゲットラビット 自由が丘店」の自由が丘ワンローフ

麦の風味が強く、口の中でとける

「自由が丘ワンローフ」(453円)。三重県産小麦「ニシノカオリ」と北海道産小麦「ゆめちから」を使用。水をたっぷりと加えて生地を練るため、しっとりした食感に
池田さん
池田さん
「国産小麦を使用して、生地には“ふすま(小麦の外皮)”も練りこんでいます。噛み締めると広がる、麦の濃い風味と香ばしさ。また頬張ると、生地が口の中でとけるようです。醤油のような香りもするので、表面を軽く焼き、シャキシャキ食感のセロリなど、野菜を使ったきんぴらなどを合わせてみるのはどうでしょう」
ふすまを練りこんで焼くため、小麦の風味は高く。またふすまはグルテンを切る性質もあるため、柔らかな口どけとなる

「湘南小麦」を自ら育てるなど、率先して国産小麦を用いたパン職人、故・高橋幸夫氏。その高橋さんのお店、神奈川県伊勢原市「ブノワトン」(今は閉店)で修行を積み、名古屋で独立した古井戸和憲シェフが、2018年に2号店を東京・自由が丘に開業した。食パン「自由が丘ワンローフ」はこの店の限定商品。国産小麦の弾力ある生地と高加水が生むもっちり、しっとりした食感、ふすまが醸す濃い小麦の風味で人気の商品だ。

オープン台には「クロワッサン」や「オランジェショコラ」など、菓子パンも並ぶ

「日本の小麦でパンを焼きたい」。古井戸シェフの心意気を示すかのように、店内に設置された石臼。シェフが惚れ込んだ三重県産小麦「ニシノカオリ」の挽きたてがほぼ全てのパンに使われ、「自由が丘ワンローフ」のアクセントにも。国産小麦を高加水で食パンにするが、ふすまにはグルテンを切る力があるため、ふわふわもちもちながら、歯切れのよい仕上がりになる。

厨房でパンを焼く、スタッフの花園さん。ちょうどブールの焼き上がりだ

一番人気は「ブール」。円型のパンは口に運ぶと、ぷるんとした食感だ。これもニシノカオリと高加水が生む賜物。卵、牛乳、バター、オイル未使用で、アレルギー対応した商品でもある。「自由が丘ワンローフ」で小麦の味を楽しむもよし、「ブール」で驚異の柔らかさを体験するもよし。クロワッサン、ベーコンエピなどの菓子・惣菜パンも魅力的で、足を運ぶたび、どれにしようか迷ってしまいそうだ。

「ブール」(453円)。多い日は自由が丘店だけで300個売れる
自由が丘駅北側の大通りに面する。開放的な雰囲気

3.「トリュフベーカリー」(門前仲町)のワンローフ

国産小麦が生むクラムの弾力

「ワンローフ」(290円)。こんがり焼きあがったクラストからは、香ばしさが漂ってくる
池田さん
池田さん
「北海道産小麦を使用しているため、生地全体にコシがあります。クラムはむにゅっと、もちもちで滑らかなのに、クラスト(皮)はバゲットのように香ばしく、噛むとサクッと弾けるような食感。このコントラストがいいです。甘さのあるパンなので、オムレツサンドにするのがおすすめ。だし巻きを挟んでも、おいしいはずです」
クラムは適度な緻密さ。もちもち食感につながっている

北海道産小麦・キタノカオリを練りこんだ生地を、ふわっとした食感に焼き上げる。山型食パンは焼成の工程で膨らむため、気泡の多いクラムになることが多いが、こちらは空気を含みながらも、適度に詰まった内相に。こんがり色のクラストとの対比が、目にも口にも楽しい。ミルクとハチミツ入りで、ほのかに甘さも漂う。

レジ横では、パンと一緒に、チーズなどの食材も販売。生ハムは切りたてで提供してくれる

海外食材を扱う商社「ハイ食材室」が運営するこちらの店。そのアトリエ「ドレステーブル」が近くにあるため、自慢のバゲットや「カントリーライ」(サワーブレッド)に食材を添えたタルティーヌやカスクルートも定番商品だ。店名の由来でもある、「白トリュフの塩パン」「黒トリュフの卵サンド」なども人気。2018年12月には、三軒茶屋に2号店が開業する盛況ぶりだ。

細い路地に面した門前仲町店。ちなみに三軒茶屋店では「ワンローフ」の販売はない

4.「ゴンノベーカリーマーケット」(西葛西)の国産小麦のナチュラルトースト

日常使いしたい、シンプルなおいしさ

「国産小麦のナチュラルトースト」(1斤・310円)。包装ごしにもうかがえる、気泡の空いたクラムが特徴だ
池田さん
池田さん
小麦とイースト、塩と水。フランスパンと同じ材料で焼いた“ハードトースト”です。余計な素材が入っていないので、シンプルで毎日食べても飽きの来ない味。こちらは国産小麦を使って、もちもち感もプラスしています。軽く焼いてハムサンドがおすすめ。ハードトーストだからこそできる、シンプルな組み合わせです」
断面の気泡のかたちも、フランスパンを彷彿とさせる。国産小麦はゆめちからとキタノカオリを使用

「食パンは7種を販売しています。角食もおすすめですが、デイリーで食べるなら、個人的にはナチュラルトーストを推します」と権野シェフ。朝に昼に夜に、ハードトーストは食事パンとして実力を発揮するからだ。また砂糖、卵、牛乳未使用で、アレルギーにも対応。非常に間口の広い食パンなのだ。

食パンは7種揃う。角食のほか、玄米パン、また北海道産小麦・ゆめちからを主力に焼き上げた商品も
菓子パンも多数。クロワッサン、カレーパン、サンドイッチも人気。ちなみに権野シェフのスペシャリテは「パン・デ・ロデヴ」(ルヴァン種を使ったパン)で、これも販売する

店を構える物件は、建築雑誌にも掲載される瀟洒(しょうしゃ)な建物。また店奥にはレストランも併設し、シチューなどの煮込み料理とパンも楽しめる。コンクリート打ちっ放しの店内にはバゲットなどに混じって、ロールパン、メロンパン、クリームパンなどの菓子パンも。スマートだけど肩肘張らない商品展開は郊外店の理想形で、ゆえに日がな一日、客足が途絶えないのだろう。

権野シェフはドンクに10年勤務して、2012年に独立を果たした
「西葛西APARTMENTS」1階に立地。設計は隣接する駒田建築設計事務所によるもの

5.「ジュウニブン ベーカリー」のジュウニブン食パン

未体験の弾力と食感

「ジュウニブン食パン」(486円)。国産小麦10に水分量12という、驚異の加水率。標準的な食パンの約2倍の水が含まれるため、食感はぷるぷるを通り越した、ぷにゅぷにゅだ
池田さん
池田さん
「国産小麦使用で、120%という驚異の加水率。もちもちを超えた、ぷにゅぷにゅの食感です。まるで口をマッサージされているようなので『マッサージ食パン』と僕は呼んでいます(笑)。お米を炊くときと似た水分配合なので、白飯代わりにもなる食パン。京王百貨店の中地階に店を構えるので、和惣菜も一緒に買って、合わせてみては。ご飯を炊く手間が省けるでしょう」
「ジュウニブン食パン ハーフ」(248円)も販売する

代々木公園の人気店「365日」の杉窪章匡シェフが、2018年4月に立ち上げたベーカリー。新宿駅直結・京王百貨店の中地階というアクセスの良さも、大きな話題を呼んだ。コンセプトの1つが「再発見」。生地を揚げずにオリーブオイルをかけて焼く「バターチキンカレーパン」や、卵未使用のカスタードクリームで味わいに軽さを演出する「バニラクリームパン」など、おなじみのパンにも様々な工夫が施されている

メロンパンやクリームパンなど、日本人が懐かしさを覚える、馴染みのあるパンを揃える

もうひとつのコンセプトが「熟成」。どのパンにも継ぎ足しを繰り返して作るルヴァン種(小麦で作る自家製の発酵種)が使用され、小麦の味を深めている。水分たっぷり、ぷにゅぷにゅ食感の「ジュウニブン食パン」に濃厚な麦の旨みが漂うのも、熟成がなせる技だ。加水率の違う「ハチブン食パン」(80%)「ニブン食パン」(20%)もあるので、その風味、食感の違いも確かめてみたい。

「京王百貨店 新宿店」中地階に立地。店内には海外から買い付けたアンティーク家具も並ぶ

取材・文/岡野孝次 撮影/オオモトケンジ

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