常連客と共に紡いだやさしくも力強い味わい。新潟老舗のタンメン

2019/03/21

常連客と共に紡いだやさしくも力強い味わい。新潟老舗のタンメン

ふと恋しくなる、町中華のラーメン。新潟県には地元で愛され続ける名店や老舗の町中華があります。今回は昭和31年、1台の屋台から始まった、新潟市にある「蓬来軒(ほうらいけん)」さんを紹介します。蓬来軒さんといえばタンメン。新潟で愛される一杯です。

月刊新潟Komachi

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常連客と共に紡いだ、やさしくも力強い味わい

蓬来軒(ほうらいけん)/新潟市

 

店に入るなり自分でビールを取り出し、一杯やり始める。そんな常連客の顔を見て、ご主人はおもむろに料理に取り掛かる
一見、「おや」と思ってしまうような光景だが、ここ「蓬来軒」では自然なこと。
「あんな常連さんばかりですよ。うちはお客さんたちに育ててもらった店なんです」。調理場から顔を出し、人懐こい笑顔で話すのはおかみの三井百合子さん。
 

小気味いい食感の揚げ麺にたっぷりのあんをかけた「揚げそば」(850円・数量限定)。「お待ちどう」と、百合子さんが出来立てをカウンター越しに手渡すのはいつもの光景

昭和31年、一台の屋台から始まった蓬来軒。
当時の新潟市古町界隈は活気にあふれ、数席しかない屋台常に満席が続いた。
特に、近隣の料亭板前芸妓は毎晩のように訪れて、1杯30円のラーメンをおいしそうにすすったという。

屋台時代は料亭の板前や芸妓が足しげく訪れていたという

常連客に愛されながら順調に商売を続けていた矢先、百合子さんの夫である2代目の武夫さんが急逝
一転して、店は閉業を迫られた。
「私自身、蓬来軒の味大好きだったので、店を畳んでほしくなかったんです」と、3代目の篤司さんは店を継ぐことになった当時を振り返る。

2代目の口癖「最後の調味料は愛」を胸に、今日も鍋を振るう

右も左も分からぬまま調理場に立つ日が続いたある時、夢枕に立った武夫さんから「もっと勉強しろ」を入れられたという。
それを機に調理手順を細かくメモに取り、一層真剣に料理に向き合うようになった。
「まずは親父が考えたタンメンの作り方を必死に身に付けました」。

絶妙な塩加減で野菜の甘みが際立つ「タンメン」(820円)は店の一番人気。屋台時代から変わらず、喉越しのいい細麺を使う

とんこつや煮干し、鶏ガラなどから取るダシに、たっぷりの野菜から出るうま味が溶け出したスープは滋味深く、一口飲むとじんわり胃袋に染み渡る
時に篤司さんは、自分よりも店の味を知る常連客に教えを受けながら、このタンメンの作り方を覚えていった
「よく来るお客さんに『親父さんと同じ味だ』と言われた時は素直にうれしかったです。本当に常連さんには頭が上がりません」と、篤司さんは目を細める。

屋台時代から続く長い歩みの中で、常連客お店が育んだ信頼関係が、タンメンやさしい味わいにも息づいている。

店内

新潟市で愛される「蓬来軒」さんのタンメンは、常連客と共に紡いだ味なのですね。

野菜のうま味が溶け出した、やさしく滋味深い味わい。私たちにそっと寄り添ってくれるようなラーメンといっていいのかもしれません。

ぜひお近くにお越しの際には、「蓬来軒」さんのタンメン、味わってみてください。

※掲載の情報は、取材当時のものです。

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