VERY編集長が語る ママの“着る服がない”時代からの変化

VERY編集長が語る ママの“着る服がない”時代からの変化

2019/03/27

平成7年に創刊した雑誌『VERY』。結婚、出産、育児、復職などライフステージの変化が多い、30〜40代のママ層から絶大な支持を得ている人気雑誌です。今回は、『VERY』の今尾朝子編集長に、Ron Herman Cafe 千駄ヶ谷店にて「平成のママ像の変遷」を考察していただきました

Yahoo!ライフマガジン編集部

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『VERY』編集長 今尾朝子さん

1971年、神奈川県生まれ。フリーランスとして雑誌『CLASSY.』に編集・ライターとして携わった後、1998年に光文社に入社。『STORY』編集部などを経て、2007年より『VERY』の編集長に就任

夫の留守の家を守り、“主人を立てる”という考え方が一般的だった昭和。それに比べて平成の30年間は、女性、とくにママ層にとって社会進出や働き方が様変わりするなど、大きな変革の時代になったといえるでしょう。それはライフスタイルやファッションもそう。そのスタイルはより自由に、そして世間にも多様性が受け入られるようになりました。

「ママの着たいもの」がやっと手に入るようになった

今尾編集長が取材場所に指定した「Ron Herman Cafe 千駄ヶ谷店」は、スペシャリティストア「Ron Herman(ロンハーマン)」が手がけるカフェ1号店

――今回のインタビューのテーマは「子育て中の女性にとっての平成」ということでオーダーさせていただきましたが、取材場所として千駄ヶ谷の「Ron Herman Cafe(ロンハーマン カフェ) 」をご指定くださいました。ズバリ、その理由はなんでしょうか?

今尾編集長
今尾編集長
「ひと昔前まで、妻が忙しい夫の服を買い揃える話や、妻の買い物に夫は付き合わないというのもよく聞く話でしたけど、今は週末に家族で買い物に行ったり、同じ趣味を持ったり、夫婦一緒に過ごす時間が増えたように思います。そんな中、ここ15年くらいのうちに、飲食もできてライフスタイルも提案するショップが急激に増えました。ロンハーマンは、その先駆けですね。つまり、家族みんなで来られる複合型ショップのシンボル的な存在なんです」
「ロンハーマン カフェ 千駄ヶ谷店」は、家族でもくつろげるソファ席など、開放感たっぷり

――たしかに平成の間に夫婦や家族のあり方、関わり方というのも大きく変わった気がします。そういう変化の部分をもっとも象徴している場所が、ロンハーマン カフェであるということですね。

今尾編集長
今尾編集長
「そうですね。また、平成の30年間でママたちのファッションも大きく変わりました。ライフスタイルの変化にともない、ママがファッションに求めるものが平成のはじめごろから変わっていたのですが、彼女たちが本当に望むものと、日常のファッションが合致しだしたんだと思います」

――本当に望むものと、日常のファッションの合致ですか?

今尾編集長
今尾編集長
「平成の初め頃のママのための服といえば、婦人服売り場。キラキラしていた独身時代とは違って結婚して子供が生まれた途端、自然とミセスのお店が“あてがわれる”。世間が考えるお母さんとしてのファッションと、若いママたちが本当に着たい服に乖離が生まれてきたというか」
 

――なるほど。世間が着てほしい服と、自分が着たい服のギャップがあったんですね。

今尾編集長
今尾編集長
「そう思います。まさに『VERY』の創刊当時(平成7年)の特集は、“私たちの着る服がない”でした。子育てをしている女性にとって、着てみたい服はあるのに、実生活を考えると動きにくかったり、扱いづらかったりするので『着る服がない』という読者の声が多く、そこから生まれた企画です」

――それまで女性誌が扱っていたようなブランドの服で、どうやって子育てをするんだ、みたいなことですね。

今尾編集長
今尾編集長
「ママにとってオシャレはもちろん大事だけど、例えばですが家で洗えてストレッチが効いている、とか機能性を兼ね備えたものである必要があるわけです。ママの意識、嗜好の変化に伴い、ファッションも変わり、実際に平成も半ばになると、スニーカーやペタンコ靴がファッショントレンドになっていきました」

――そういうファッションってもはや定番化してますね。

今尾編集長
今尾編集長
「それまでのイメージだと、お母さんは派手過ぎず、きちんとしているとか……こうあるべきといった社会の認識自体が少しずつ変わってきた。そういう事が追い風になって、ファッショントレンドの中からママたちの間で子育てしやすいオシャレなファッションが自然と取り入れられるようになっていったのかな。ちょうど4月7日発売の『VERY』5月号で『平成が作ったママ的オシャレ価値観』というページを作ったばかりですが、30年を振り返ると、そのときどきでママたちに流行ったファッションアイテムがあって面白いです」
この出版不況、雑誌が売れない中、『VERY』は発行部数20万部以上を誇る

そうしたママ自身や世間の意識の変化が、女性の“日常”を変えていき、その延長線上にシンボリックにあるのが、ロンハーマン カフェのように家族でおしゃれに楽しく過ごせるお店。

キヌアとアーモンドミルクチキンの パワーサラダ(1300円)など、ロンハーマン カフェには心も体も元気いっぱいにメニューが揃う

――そうした“ママの日常”の変化の源になったもの、火付け役というか、立役者みたいな方がいたりするんでしょうか?

今尾編集長
今尾編集長
「その5月号の企画でも触れているのですが、ママデザイナーたちが産後に復帰して活躍されていることも大きいかも。そうした方たちのアイテムがママをターゲットにしているわけでも、ママに着てくださいとも謳っているわけでなくても、出産や育児を体験し、同じ視野を持つ人が作った服に共感する女性が圧倒的に多かったんです。そういう存在の海外のファッションブランドの影響もあるし、日本でも平成の半ばにはママデザイナーたちが台頭し、続々とブランドも立ち上がっています。『VERY』でも人気があるのは、『ENFOLD(エンフォルド)』。3人の男の子のママでもあるクリエイティブ・ディレクターの植田みずきさんが立ち上げたブランドで、細かい配慮のあるファッション性の高い服が実際にママたちからも支持されています」

ママは“かわいい”から“かっこいい”へ

一つひとつの質問に丁寧に答えてくれる今尾編集長。とってもステキです

――街を歩いていても最近のママさんはステキな方が多くなっているように感じます。かわいいというより、むしろかっこいいというか。

今尾編集長
今尾編集長
「平成19年に私が『VERY』編集長に就任した時に作った特集は、“かっこいいお母さんは止まらない”というものでした。“かわいい”じゃなくて“かっこいい”という形容詞をつけたのは、読者の方に話を伺ううちに、子育てに対して全力で向き合っているけれど、自分に対してもあきらめず、ある意味欲張り……それってすごく“かっこいい”ことじゃないですか。雑誌としても“ママはかっこいい”って言い切りたかったし、世間の持つふわふわとしたママ像も変えたかったんです」
やわらかな陽が差し込むロンハーマン カフェ千駄ヶ谷店の窓際席

2011年、『VERY』は雑誌でありながら、自転車メーカーのブリヂストンとコラボし、かっこよさを追求したオリジナルのママチャリを発表、爆発的ヒットを達成する。それまでのママチャリの概念を変えて、まったく違うスタイルの自転車が大ヒット……今尾編集長は「ママたちが求めているのは“かっこいい”なんだな」と再認識したといいます。

――持ち上げるわけではないですが、『VERY』はこの平成を通じて日本のママ像を変えてきたように思います。

今尾編集長
今尾編集長
「世の中を変えたなんておこがましすぎて思ってもないですけど、ママが持っている“違和感”を表現したら、共感してくれた読者や一緒に走ってきてくれた方がいたのはすごくありがたいことですね。例えば、2010年から巻頭でエッセイを綴ってくれている小島慶子さん。彼女はそういう違和感に気づく達人で、みずから考えてみよう、選択肢を増やそうとずっと伝え続けてくれました」

今尾編集長が考えるママに優しい街、そしてこれからのママ像 

自身も子育ての真っ只中だという今尾編集長。「子育てしながら編集長って大変じゃないですか?」と聞くと、「大変じゃないママはいないと思います」と即答

ママの日常が変われば、街も変わるはず。ということで、平成になって“ママの街”として活気づくエリアついても伺ってみました。

今尾編集長
今尾編集長
「私たちが創刊当初からずっと注目しているのは、二子玉川。『VERY』が一番売れる街でもあるんです。都心から少し離れているけど、アクセスが良くて緑も商業施設もあって、子育て環境も抜群にいい。子連れで外出すると、ママが謝る場面がどうしても増えてしまうと言うのはよく聞く話。でも、この街はとても寛容。ママたちに寄り添ったファッションやライフスタイルの提案もしているし、ワークショップなどイベントも毎週行われる。だから公園にちょっと行くような感覚で気軽に出かけられるんです」

――二子玉川はたしかに子育てに優しい街ですよね。その他に注目している街はありますか?

今尾編集長
今尾編集長
「子連れに優しい街として豊洲や六本木も、今ではママたちの間で人気ですが、最近だと松陰神社(世田谷区若林)周辺のエリアを取材させていただきました。素敵な商店があって、住みやすいという声をたくさん聞きますね。あとは、芝浦。知らないと子育てと結びつかないイメージがありますが、通勤に便利だし、高層マンションも増えましたし、そういうところに子育て世帯も多く入居しています。そうした高層マンションは、同世代がいっぱい住んでいるからお互いに助け合って長屋感覚で楽しんでいるという話もよく聞きます」
今尾編集長が考えるこれからのママ像とは?

――それでは最後の質問です。平成も終わり、新たな元号が決まります。これから迎える新たな時代、この先のママ像はどう変わっていきそうでしょうか?

今尾編集長
今尾編集長
「大きな質問ですね(笑)。子育てと仕事のバランスなど、悩みの尽きない時期でもあると同時に、この子育て時期を思いっきり楽しもう!という今のママたちのパワーはすごいです。結婚しても家族を尊重しながら、自分のヴィジョンを持ち続ける女性はますます増えてくるのではないでしょうか」
 

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