レゲエアーティスト寿君が、愛する中本で店主・白根誠と出会う

特集

忘れられないあの味「私の一杯」

2019/05/01

レゲエアーティスト寿君が、愛する中本で店主・白根誠と出会う

おいしいラーメン店は数あれど、思い出とリンクする一杯はまた特別なもの。本連載では東京で活躍する方々に「思い出の一杯」をうかがい、そのお店と彼らのラーメン物語に迫ります。第9回はレゲエアーティスト・寿君が登場! 関西を中心に活躍する彼が、東京で出会ったとっておきの一杯とは?

Yahoo!ライフマガジン編集部

Yahoo!ライフマガジン編集部

関西発のレゲエアーティスト・寿君が東京で出会ったソウルフード

寿君(ことぶきくん)

寿君(ことぶきくん)

レゲエアーティスト

2006年にレゲエアーティストとしてデビューした寿君(2010年にMOUNTAIN KINGから改名)。現在YouTubeでは10曲が100万回再生を突破するなど、等身大の目線で訴えかけるソウルフルな楽曲の虜(とりこ)になる人が続出しています。

20代を中心に全国区で人気を集める彼は、関西生まれ&関西育ち。活躍の場が広がるなか、「東京で人生のソウルフードに出会った」と教えてくれたのは「蒙古タンメン中本」の一杯でした。さらに今回は、「店舗取材にもお邪魔していいですか!」とのことで、同店の名物店主・白根誠さんとのスペシャル対談も実現しました

蒙古タンメン中本 品川店/蒙古タンメン(800円)

蒙古タンメン中本のラーメンをひもとく

1.クセになったら最後!な辛うまラーメン
2.のれんを継いだ店主は元・中本ファン
3.名物店主×寿君スペシャルトーク

1.クセになったら最後!な辛うまラーメン

「2回目でハマっちゃいました」

本日は寿君がはじめて訪れたという品川店にお邪魔しました。お店は品川駅と隣接する施設「品達(しなたつ)」内

東京人なら一度は目にしたことがあるはずの「蒙古タンメン中本」ですが、その前身は上板橋にあった「中国料理 中本」。閉店する際に常連であった現店主の白根誠さんが弟子入りを申し出て、現在に至ります。「はじめはイベントで東京に来た際に『関西にはないでしょ?』って連れて行ってもらったんですけど、その時は『辛〜!』という印象しかなくて」と寿君は話します。

「蒙古タンメン中本」のラーメンは、辛さが0(まったく辛くない)〜10段階まで選べます。寿君が食べた「蒙古タンメン」は、スタンダードで辛さ5。そう、初めての人にとっては結構な辛さなんです

「ラーメン辛っ! と思って、セットで頼んだ麻婆豆腐(これがめっちゃ辛い)をおもいっきりかきこんだんですよ。そのときは何も知らなかったから、もう無理や〜(涙)って思いましたね」(寿君)。

がその後、カレーにハマったことを機に、辛い食べ物を攻めるようになった寿君。「『あのラーメン、いまはいける気がするぞ』と行ったら、めっちゃうまかった。ほんまにおいしくて、そこから通いつめるようになりましたね」とにんまり。

初めての人へのおすすめは、スタンダードで辛さ3の「味噌タンメン」(780円)。肉野菜の旨味とピリ辛の味噌感が心地いい一杯です
ハマってからは東京に来るたび、タクシーに乗ってでも行くようになったと言います。「いつも食べているのは辛さ6です!」と寿君

ちなみに中本には、ファンをもうならせる激辛の「北極ラーメン」(830円)という難攻不落の壁があります。なんと寿君、こちらにも先日挑戦したのだとか。

寿君
寿君
「この前お兄ちゃんと食べたんですが、もう意地ですよね(笑)。まだおいしく食べられるのは6までです。それでも汗をドボドボにかきながら食べますね、僕」
お店にも一緒に行ってまいりました! その模様は後半で。おいしそうですね〜。ちなみに寿君、(汗対策のため)食べるときは寿君グッズのタオルを持参しているそう

もともとラーメン好きの寿君は、ラーメン好きの仲間と『ラーメン座談会』なる曲を作ったことも。「ジャンルにはこだわりませんが、汁ありのあったかいラーメンが好きだからつけ麺はあまり食べませんね。うん、やっぱり中本が一番!」(寿君)。

とはいうものの、活動の拠点は関西。関西圏にはまだ店舗がないため、日々「蒙古タンメン中本」の公式LINEから案内が来るたびに、やきもきするとのこと。「もう我慢できないんですよ!」と寿君。

寿君に日々襲(おそ)いかかる“中本ロス”

--大阪にいるときは、どうやって“中本ロス”を解消しているんですか?

寿君
寿君
「韓国料理屋さんでスンドゥブを食べたり……。でもぜんぜん解消されません」

--公式LINEのクーポンも活用されていると

寿君
寿君
いつもクーポンを使って烏龍茶を頼んでいます! 少食なほうなのでサイドメニューはあんまり頼まないんですよ」

--“中本好き”というのはファンの方の間でも広まっていますね

寿君
寿君
「辛い系の差し入れが増えましたね。激辛のおせんべいとか! が、実はそこまで辛いのは好きじゃなくて(笑)。でも中本さんに通うようになってからマイ七味を常備するようになったかな」
「マイ七味は好みにカスタムして作ったもので、(中本のラーメンには入れませんが)蕎麦を食べるときなんかに愛用していますね。中本さんで食べるときは、紅ショウガをたくさん入れます!」(寿君)

--よく行く店舗は?

寿君
寿君
「渋谷や池袋、お兄ちゃんと大宮もよく行くんですけど、印象に残っているのは初めて行った品川店ですね」

--お兄さんと仲良しなんですね

寿君
寿君
「昔からお兄ちゃん子で、東京ではお兄ちゃんの家に泊まっています。レゲエをはじめる前、音楽人生のスタートはお兄ちゃんのバンドでデビューしていて。ちなみに中本の店主・白根誠さんと同じ『』って名前なんですよ」

--ちなみに来週、中本の店主・白根さんに(取材で)お会いしますよ! 

寿君
寿君
「白根さんに会えるんですか!? 僕もお邪魔したいです! ぜひシングルも渡したい。思い入れのある曲なので」
「白根さんに会える!?」と大興奮の寿君

--一緒に行きましょう! シングルの『大どんでん返し』は、寿君さんの人生を覗(のぞ)き見しているようで、いままでとまた違う熱量を感じました

寿君
寿君
「僕の人生経験をもとにうまれた応援ソングなんですけど、新生活や学校など、いろんなことを頑張っている人に、自分の夢に向かって頑張ってほしいという気持ちを込めて作りました。白根さんにも聞いてもらえるといいな」

寿君のほとばしる“中本愛”にほくほくしたところで、続いては「蒙古タンメン中本」のストーリーに迫りましょう。屋号やメニュー名の由来まで、とことんうかがいます!

2.のれんを継いだ店主は元・中本ファン!?

「店主さんがほんとにかっこいい」

「蒙古タンメン中本」の2代目店主・白根誠(しらね・まこと)さん。トレードマークの空手着がまぶしい!

冒頭でも触れた「蒙古タンメン中本」の誕生秘話ですが、2代目店主である白根誠さんは、前身「中国料理 中本」の元常連客でした。「昨年ちょうど50周年を迎えました。師匠である初代店主は中本正さん。俺は20年来の常連だったんだけど、閉めると聞いたときに継がせてくださいと連絡して。最初は何回か断られたの」と白根さん。

「『ちょっと会ってくれないか』って店が終わってから行ったんだけど、もう門前払い。常連だったから師匠も俺のことをよく知っているわけですよ。諦めきれず、閉めた後に2時間くらい一生懸命話をした」と白根さん
白根さん
白根さん
「でも『もう畳んじゃったし、やめときな』って言われましたね。『料理はアルバイトのお兄ちゃんがぱっとできるようなものじゃない、難しいよ』って」

--粘ったんですね

白根さん
白根さん
「それでもしつこく頼んで、最後にいいよって言われたときは、天にも昇るような気持ちだった。人生で一番うれしかった出来事ですね
「料理も喫茶店でバイトしたことがあるくらいの素人だったから、師匠が一時期カムバックしてくれて、しばらく見てくれた。温かい人でした」(白根さん)

--新しい(現在の)屋号は白根さんの提案だったんですか?

白根さん
白根さん
「違うよ。はじめは『味は継がせてあげるけど、屋号は”白根”でも”誠”でも好きなので』と言われて。でも、オープンのちょっと前かなぁ? 師匠が『やっぱり名前を決めてきたぞ』と持ってきたのが『蒙古タンメン中本』だったの(笑)」

--なんと!

白根さん
白根さん
「カッコわりいなぁって思ったんだけどね(笑)。いくら人気だからってメニュー名が頭にくるんだよ。はじめは業界の先輩にちゃかされたりもしたね。それがいまじゃ逆に、インパクトになった」
寿君いわく、持ち帰りの「蒙古丼弁当」(550円)もおすすめとのこと。この“蒙古”って、そもそも何が由来なんでしょうか?
白根さん
白根さん
「蒙古や樺太、北極ってメニュー名は先代がつけたんだけど、北の地方の人って、辛いものを食べて体を温めることがあるじゃないですか。というわけで、寒い地域にちなんだ名前をつけたみたい」

--インパクトがありますよね

白根さん
白根さん
「一番辛い『北極』は最初チャージャーメンって名前だったんだけど、お客さんが“北の頂点&辛さの頂点”ということで『北極』と呼ぶようになったのが定着したものなんですよ!」
「メニュー名の由来は、俺も継いでから知りました。師匠はモンゴルの人なのかな?って思っていたくらい。同じ北関東出身だったけど(笑)」(白根さん)
各店でスタッフのプロフィールが見られるのも「蒙古タンメン中本」らしいところです

--数ある辛いメニューのなかでも、「北極」は究極ですよね

白根さん
白根さん
「先代が辛いもん好きだったから、辛いメニューが増えていったの。俺が通いはじめたころはすでに辛いものがメインで、餃子などもあったけど『今日はできないよ』って言われることも多かった」

--辛さは10までありますが、はじめて来た人はどのメニューがおすすめですか?

白根さん
白根さん
「『味噌タンメン』。これがうちの基本形で、肉野菜の旨味と秘伝の味噌ダレで作ったスープの味わいが一番分かると思う。まずはじめに食べてみてほしい」
辛さが一番低い『味噌タンメン』でも、辛い!というお客さんもいるのだとか。写真は秘伝の味噌ダレと野菜を煮ている様子。おいしそうですね

「俺はこれにハマってスープまで飲み干していたね。でも50年やってるから、メニューもいっぱいあるんですよ。中本って言ったら辛いだけじゃないからさ」と白根さん。続いては、その独特の味の秘密についてご案内します。

から“うま”の秘密とは?

辛さのなかに肉野菜の旨味があふれる「蒙古タンメン中本」のラーメン。その秘密もうかがいました!

「野菜を炒めてからスープを入れて軽く煮込み、そこからさらに煮込む。なのでスープの中に素材の旨味が出るんです。辛さだけ追求しようとしたら、いくらでもできるのよ。そこに旨味がバランスよく入っていないと」と白根さんは力説します。

肉をきちんと炒めることもポイントです
軽く煮込んだ野菜に秘伝の味噌ダレを加えて、さらにぐつぐつ煮込みます
最後は大鍋でじっくり煮込みます。営業中は常にこの作業が繰り返されるそう。手間ひまがかかっているんですね

「なかなかここの厨房には立てない。アルバイトの兄ちゃんが立てるラーメン屋じゃないから」とも話します。「蒙古タンメン中本」では会社で決められた試験に合格したうえで、さらに各店舗の店長さんのOKが出ないとラーメンは作れないのだそう!

もっちりした中太麺もおいしそうですね!
「師匠からはこのレシピはもちろん、あとはやっぱり、お客様を大切にするってことを教わったね」(白根さん)
白根さん
白根さん
「俺もラーメン好きだったからいろんな店を食べ歩いたんだけど、気取った接客じゃなくて元気と笑顔がある店がいいなと。そこはみんなに徹底的に言っているね。『中本は元気と笑顔で威勢がいいや』って言われたいからさ」

そうこうしているうちに、ラーメンが完成しました!

3.名物店主×寿君スペシャルトーク

夢のコラボが実現

3月某日、撮影クルーとともに「蒙古タンメン中本 品川店」を訪れた寿君。数秒の沈黙ののち「まさか白根さんに会えるなんて……! (はじめは辛くて諦めたけど)もう、ここのラーメン大好きなんで!」と中本愛をぶつけます。せっかくなので、そのまま対談いただくことに。しばしお2人のトークをお楽しみください。

白根さん
白根さん
「拠点は大阪なのに、いろんな店にも来てくれていてうれしいよ。実は俺も元々客で、一番はじめに食ったときは友達にだまされて行ったの
寿君
寿君
えっ!
「ハタチくらいのころに、ちょっと風邪をひいていて。そのとき友達に『このラーメン食ったら一発で治るよ!』って連れて行かれたのがはじまりなんだ」(白根さん)。思わぬエピソードに寿君も驚き
白根さん
白根さん
「その時一番辛くない初心者向けの『味噌タンメン』を食べたの。ご飯と麻婆のセットで。この麻婆豆腐が辛かった〜
寿君
寿君
「僕も一番最初に食べたのこれっす。これ、お口直しの麻婆なんかな?と思ってかきこんだんですよ(笑)」
「麻婆豆腐をかきこんで、もがぁぁぁぁあ〜何食べても辛〜!ってなったのが最初の出会いでしたね。でもなんか、この味が忘れられなくて」(寿君)
白根さん
白根さん
「同じ同じ。祖父母に食い物は粗末にするんじゃねぇって言われてたから、残すことなんてないしスープまで全部飲んで、丼の底まで見たらはじめて“ごちそうさま”だったんだけど、あまりにも辛くて……そのときだけは残しちゃった」

「で、同じ友達に2回目、3回目と誘われて、目がウルウルしたんだけど、3回目にスープまで飲み干してからハマっちゃってね。20年間通い続けていま、中本のオヤジやってますよ(笑)」(白根さん)。

「麻婆食ってたら頭がこう、ぶっ!!て爆発するくらいの辛さだったんだよね」(白根さん)。寿君と同じく、初中本は辛い思い出でした
「辛いものが苦手な人は麻婆豆腐と他の具材の境目から食べるのがいい。キャベツに甘みがあるから、辛い部分と一緒にすくって麺いって」と寿君が話すと「よく知ってるね〜! これ使わせてもらうわ(笑)」と白根さん
東京と大阪を行き来する際、時間がない時は持ち帰り用の「蒙古丼」を食べるという寿君。「そんなに待たずに買えるし、ラーメンとはまた違ううまさがやみつきになる。いつもご飯少なめで頼みます」(寿君)

盛り上がるなか、話は白根さんのトレードマークでもある空手着の話題に。

寿君
寿君
「かっこいいですね!」
白根さん
白根さん
「俺が空手をやっていたからさ、オープン時はみんな黒い空手着で営業していたんだけど、中にTシャツも着ていたから夏は暑くて。だからいまはTシャツで、俺だけこれ。ズボンも太くて動きやすいよ」
「ずっと黒色だったけど、10年前くらいにやっぱり唐辛子の赤じゃないとダメかなと。でもはじめは自分でも『俺、何者だ!? これで店立っていいの?』って思ったんだけど」と白根さんは笑います
寿君
寿君
「中本さんといえば、ポイントカードと引き換えられる景品もすごいですよね! いま誠Tシャツを狙ってて。これは白根さんが考えているんですか?」
白根さん
白根さん
「せがれやスタッフと考えながら作っています。オープンしてから『Tシャツを売ってください!』って声がとても多かったんですよ。でも仕事着だから売るようなもんじゃないし、だったら何回か来てくれたら差し上げようと」
「それからジャンパーとかいろいろ作ったんだけど、俺が好きな私服感覚で作ってたら、結局どんどん増えちゃった。お客さんからのリクエストもあるよ。女の子なんかは髪バンドが欲しい! とかね」(白根さん)
寿君
寿君
「この前800ポイントで交換できるスカジャンを着ている人を見ました! やべぇ! ポイント貯めたんや!って。僕もたくさん貯めたいので、大阪にも出店してください!(切実)」
話していると、蒙古タンメンができあがってきました
白根さん
白根さん
今年出店できるかも。最近は地方からのお客さんがすごく多くて。全国から出してほしいって声があるんです」
寿君
寿君
「それはビッグニュース! 大騒ぎになると思います」
「紅ショウガはぜったい入れます。めっちゃうまいですよ」(寿君)
「うん、最高! 白根さんと食べられるなんて」と感激した様子の寿君。しっかり完食し、お開きとなりました

最後に「俺は日本が好きなんで、今年中に地方にも店を出したいですね。やっぱりよりたくさんの人に食べてほしいし、うちの若いスタッフの中にも地元に帰って店を出したいっていう子もいるから」と白根さん。2代目店主の熱いハートは、各店に脈々と受け継がれているのかもしれません。

取材メモ/「ライブ前は辛いものを控えるけれど、終わったあとは行きたくなりますね。疲れたときは特に最高!」と寿君。疲れた体をピリリと刺激、気持ちいいですよね〜。そんなライターKは、辛さ5&(常連の)編集Aは辛さ6。北極への道は遠い……

取材・文=金城和子、撮影=三佐和隆士

この記事を書いたライター情報

Yahoo!ライフマガジン編集部

Yahoo!ライフマガジン編集部

グルメ、おでかけ、イベントなど、ライフスタイルを豊かにする情報を編集部が厳選して紹介します。

おすすめのコンテンツ

SERIES