本のプロが選ぶ!物や空間を見つめて思索する”粋”を感じる3冊

2019/04/05

本のプロが選ぶ!物や空間を見つめて思索する”粋”を感じる3冊

収納の定義を幅広く捉え、書店スタッフが推しの収納関連本3冊を紹介!東京・駒込の「BUNDAN COFFEE & BEER」さんに収納を広義に捉えた選書をいただきました。本のプロが選ぶ“収納本”とは?

HOUSTO おウチの収納.com

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選んでくれたのは…「BUNDAN COFFEE & BEER」

店内にある約2万冊の書籍は、食事しながら閲覧することができます

日本近代文学館という特異なロケーションにある現代の「文学」をテーマにしたカフェ「BUNDAN COFFEE & BEER」。

総合プロデュースと運営は、紙媒体やWEBの制作に加えて、編集者の視点を生かして、イベントやスペースの運営まで幅広く手がけるクリエイティブカンパニー「東京ピストル」。

その代表を務める編集者・草彅洋平さんが「収納」をテーマに選書したところ、本棚や机という暮らしの中の道具から、建築物や町という物理的な空間、そして意識の空間までを、粋に考察する3冊が揃いました!

\選んでいただいたのはこの方/

草彅洋平

草彅洋平

『作家のインデックス』大倉 舜二/集英社

本棚や机はもとより食卓、下駄、薬びん等の小物からも作家の素顔が見えてくる。作家の姿を浮き彫りにする些細な指標―それがインデックスだ。作家の日常を実測した映像美の極致。写真が語る有名作家56人の真の表情

「写真家が作家の家を訪問して撮影し98年に発行された本で、井伏鱒二、埴谷雄高から高橋源一郎まで近現代の作家を網羅しています。全体的に作家のセレクトが魅力的。野口冨士男×田村隆一のチョイスもシブいですからね。メジャーなだけでなく、シブいの作家を取り上げているところがポイントの一つです。

どの作家の家にもやはり本が多く、本棚に並べられた本を見るだけでも本好きにはたまらないのでは?

中でも注目したいは、作家にとって大きな比重を占める場所である『机』。仕事道具が収納された机周りを見るのは、作家の頭の中を覗き見るようでもあり、その人の意外な素顔が見えるとともに人となりが伝わってきます。

ただ、全体的に散らかっていて、特に無頼派だと部屋の荒れ方もすごいので、収納の参考にはなりません(笑)」

『つくえ物語』 桧山邦祐/青也書店

古くから暮らしの中にあり、当たり前の存在すぎて注目されることのなかった「つくえ」。その生い立ちや変遷、文化との関係を、取材と考察で詳細に紐解くルポ。刊行当時(1979年)の机の最新トレンドも興味深い

「1冊目の『作家のインデックス』でも素晴らしい机が並んでいましたが、作家にとっていちばん大事な場所である机。中には特注で作る作家さんもいて、司馬遼太郎のL字型のブーメラン机は有名ですよね。

僕は以前、IDEEというインテリアショップで働いていた時に、作家の愛した家具を復刻させたいと思い、じゃあ机の歴史を知っておこうと出会ったのがこの本。

ドストエフスキーが『カラマーゾフの兄弟』を書いた机や、ファーブルが昆虫の観察に使った、持ち運べる小さな机などが紹介されるだけでなく、「机」という苗字の人を訪ねるところまでやっている。ここまでしたのは誰もいないと思います。

机って、暮らしの中に必ずあるけれど、特別に独創的な存在ではないし、当たり前すぎて改めて意識したりしない家具ですよね。そんな何の変哲もない道具である机にひたすら向き合うことで、1冊の本になるぐらいの物語を見出している。

暮らしに発想の転換を持ち込んでくれるようないい本です」

『江戸の思考空間』タイモン・スクリーチ(著)、村山和裕(翻訳)/青土社

ねじれパイプ、シャボン玉、覗きからくり…。18世紀に異国から到来した事物は、自国独自の意味づけがなされ、江戸人士の思考の動きの喩を形成。異国的感覚に満ち溢れた江戸文化の謎を視覚的資料と共に解き明かす

「この著者はオックスフォードを卒業し、ハーバードで美術史の博士号を取った人。幅広い視点で、江戸時代の建築や物がどういう位置づけなのかを考察しています。

たとえば、平屋建てがほとんどだった時代、江戸でもっとも高い建造物のひとつだった栄螺堂(さざえどう)。その構造にアラブ世界での起源を紐付けたり、特徴である『二重螺旋階段』はヨーロッパから直接技術を取り入れたのではと推察したり、はたまたバベルの塔との共通項を見出したり。

作者自身は江戸が大好きなのですが、江戸の研究に終わらず、暮らしの中に生まれた建築物や物を起点に妄想することで、江戸に暮らした人たちの思考の枠組みをも理解しようとしている。

膨大な知識や資料を駆使しながら、まるでフランスの思想家・バシュラールのように、詩的にイメージを膨らませていくところがとても好きだし、何より、物や空間に想像を巡らせるって”粋”ですよね」

店内のインテリア

インテリア雑貨とともに置かれた書籍は、草なぎさんが「興味が湧いたものを買っていたらどんどん増えていった」という私物
ゆるやかに分類されて並ぶ約2万冊の書籍。背表紙を眺めるだけでも癒やされるのは、文学のチカラなのかも
さすが日本近代文学館のカフェ。文学界著名人の色紙がずらりと並ぶ
やわらかい自然光で読書が楽しめるテラス席。隣接する公園の先には、旧前田邸など文化財もあるロケーションも魅力
インテリアにも注目。さり気なく置かれた古道具から文化的な気配が漂う
名作文学にちなんだ料理も魅力。メニュー選びはマニアックになりすぎないよう気を遣ったという
「芥川(ブラジル)」「鴎外(マンデリン)」と名付けられた、文学好きの心をくすぐるオリジナルコーヒーも販売
文豪のエピソードを想起させるオリジナル雑貨は、本好きなら素通りできないはず

まとめ

「メニューから『こんな本あるんだ』と文学に入ってもらうという順番の逆転があってもいいかなというのが、このカフェのひとつのキモ。

文学って面白いもので、ただエビスビールを飲むよりも、漱石がこれを書いたと知って飲むほうが、味が上質になった気がする(笑)。文学はそういうもので、暮らしが豊かになるんです。

千年前の作家の言葉がそこに在り続け、日々の暮らしの中で今も共感できるのが、文学の良さ。BUNDANは暮らしのそばに文学を繋ぐ場所でありたいですね」

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