にいがた日本酒をめぐる旅~Vol.4 朝日酒造~

にいがた日本酒をめぐる旅~Vol.4 朝日酒造~

2019/04/14

新潟県内にある酒蔵は約90。なぜ一本の酒がここまで人の心を惹きつけるのでしょう。味わいだけでは語れない、つくり手の思いに触れれば、もっと日本酒がおいしくなるはずです。今回は、長岡市にある「朝日酒造」さんを紹介します。

月刊新潟Komachi

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変革の時を迎えた淡麗辛口の旗手

朝日酒造/長岡市

 

「淡麗辛口」。新潟清酒の特長を表すキーワードを、最もよく体現する銘柄の一つが「久保田」です。
ふくよかなうま味穏やかな香り、そして凛(りん)としたキレ持ち味のハイエンドな日本酒として、国内はもとより海外からも高い評価を受けています。

この酒を醸す朝日酒造は、年間約3万石の県内トップクラス生産量を誇る老舗の酒蔵。
実に創業から190年にも及ぶ歴史の中で培ってきた酒造りの技術を今に伝える杜氏の一人が、山賀基良さんです。

朝日蔵 杜氏 山賀基良さん/小千谷市出身。長く製造の第一線で朝日酒造の味を守り、2012年より朝日蔵の杜氏として約20人の蔵人をまとめ上げる。現在は後進の育成にも力を入れ、若手たちに技術伝承を行う

2つある蔵のうち、純米系高級酒を主に醸す朝日蔵の指揮を執ります。
久保田は朝日酒造を支えてきた特別なお酒です。しかし、この久保田も変革の時を迎えています」と山賀杜氏。

久保田が誕生したのは1985年。
当時「芳醇旨口」が主流であった日本酒業界に対して、「淡麗辛口」という新たな価値観を提案しました。
それを機に、関西地区で生産される安価な普通酒に席巻されていた市場で、特定名称の高級酒に光が当たり始めたといわれています。

仕込み室で糖化・発酵の様子に目を光らせる山賀杜氏。歴代の杜氏たちから代々伝えられてきた、マニュアルでは教えきれない職人の技やチームワークが、朝日酒造が掲げる「品質本位の酒造り」を今も進化させている

「千寿」「百寿」からスタートした同銘柄は、その後「萬寿」「翠寿」とラインアップを増やして、確固たるブランドを確立していきました。

シリーズの最高峰「久保田 萬寿」(3,931円・720ml)

プレミアム日本酒として時代を切り開いた久保田は、贈答酒ハレの日に飲むお酒として、今なお高い人気を誇っています。
しかし一方で、近年は若者の日本酒離れなど、時代の変化を受けて新規顧客開拓という課題が浮き彫りになってきたといいます。

食文化の多様化によって日本酒を飲むシーンや楽しみ方が変化していく中で、従来の久保田とは一線を画す新しい味わいが必要だと考えました」。
そう語るのは、松籟蔵(しょうらいぐら)で酒造りと向き合うもう一人の杜氏・大橋良策さん

松籟蔵 杜氏 大橋良策さん/長岡市出身。学生時代に学んだ微生物分野の知識を生かすべく、朝日酒造に入社。蔵人として技術を磨いたのち、2016年より松籟蔵(しょうらいぐら)の杜氏に就任

そうして2017年に誕生したのが、「久保田 純米大吟醸」です。
シリーズではとなる「寿」を冠さぬ名前からも、朝日酒造の挑戦の姿勢を感じることができます。
「香る、久保田」というキャッチコピーの通り、キレのある飲み口はそのままに、華やかな香りを持たせて、これまでにない久保田の味わいを打ち出しました。
さらに同年、スノーピーク共同開発したアウトドアシーンで楽しむ日本酒という斬新なコンセプトで「久保田 雪峰(せっぽう)」を発売。

左から、山廃仕込みの「久保田 雪峰(せっぽう)」(2,980円・500ml・7月限定出荷)。メロンのようなフルーティーな香りで、女性からの人気も高い「久保田 純米大吟醸」(1,695円・720ml)

こうした新たな試みを重ね、発売から34年を経た久保田は、さらなる進化への歩みを始めました。

機械化によって安定した品質を守りながらも、酒造工程の要所では必ず蔵人が直接仕上がりや状態をチェックする

「私たちが目指すのは飲む人のストーリーに残るような日本酒。どんな人に、どのように飲んでほしいかを常に考えながら、品質本位の酒造りを続けていきます」と、二人の杜氏は久保田の、そして朝日酒造の未来を見据えています。

蔵と隣接する直営ショップ「酒楽の里 あさひ山」には、定番や季節限定酒も充実している

-あとがき-
久保田の萬寿といえば、「ここぞ」というとき贈ったり、みんなで味わったり。なかなか口にできない、まさにプレミアムなお酒。
新潟県外の方も、その銘柄をご存知の方が多いのではないでしょうか。
その久保田の変革の時。
新たに登場した「香る、久保田」というキャッチコピーの「久保田 純米大吟醸」、「アウトドアシーンで楽しむ日本酒」というコンセプトの「久保田 雪峰」。どちらも商品名に「寿」を冠さないことからも、朝日酒造さんの新たな挑戦、久保田の進化がうかがえます。
確固たるブランドを確立してきた久保田の新境地。まだ「久保田 純米大吟醸」、「久保田 雪峰」を飲んだことがないという方、ぜひ進化する久保田を味わってみてはいかがでしょう。
また、お近くにお越しの際には、蔵と隣接する直営ショップにもぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。


※掲載の情報は取材当時のものです。

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