‎埼玉・鴻巣市 訪れた人が笑顔になれる社を目指して

‎埼玉・鴻巣市 訪れた人が笑顔になれる社を目指して

2019/04/13

明治6年に3つの神社を合祀して誕生以降、市内をはじめ多くの人々の信仰を集める鴻神社。宮司に、同社の由来と参拝者への思いを聞いた。

中広

中広

2度にわたる合祀を経て地域の神々が集う社に

江戸時代、中山道の宿場町として栄えた鴻巣市。JR鴻巣駅から旧中山道に沿って北に5分ほど歩くと、鴻神社が見えてくる。境内には、拝殿を挟むように2本のご神木が並び立つ。樹齢500年を超えた、夫婦イチョウだ。夫婦円満・子授け・安産の象徴として、参拝者から愛されている。

同社の建立は明治初期の1873年。鴻巣宿の鎮守として中山道にあった、氷川社、熊野社、雷電社を合祀し、鴻三社の社号で、それぞれの神を祭ったのが始まりだ。そのなかで最も古く、古墳時代末期に創建されたと伝わる氷川社は、鴻巣という市名の由来にもなった、コウノトリ伝説を持つ。

社伝によるとその昔、後に氷川社の社地となる宮地町には、1本のご神木があった。しかし、この木は供物を少しでも怠ると災いを起こし、人々は困り果てていた。ある日、1羽のコウノトリが、ご神木に巣を作り、卵を生んだ。すると、1匹のヘビが卵を狙ってやってくる。コウノトリは見事ヘビを撃退。それ以降、この地に災いは起きなくなったという。これが、鴻神社になった現在でも連綿と受け継がれている伝説だ。コウノトリを守り神として祭った氷川社は、厄除けや子授け・安産祈願にご利益のある社として、広く地域の人々に親しまれた。

1906年には、神社合祀政策によって、日枝神社、大花稲荷社、八幡神社を合祀。翌年に鴻神社と社名を改め、総鎮守に。多彩な神々に祈願する場所として、より多くの参拝者が集まってくるようになった。

現在は、子授け・安産や縁にまつわる願いを叶える社として、津々浦々から人が集まる。年間7,000人以上訪れる祈願者のうち、およそ5割が子授け・安産や良縁を願いにやって来るという。

多様な願いを胸に、年間約7,000人が祈願に訪れる。授与品として、お札やお守り、オリジナルの薬湯(入浴剤)などを頒布。思い出に残るよう配慮している

宮司は「コウノトリは子宝の象徴です。当社の伝説がSNSや口コミを通して認知され、ご利益のある神社だと広まりました」と話す。

四季折々には、さまざまな祭りを開催。7月の鴻巣夏まつりや、農作物の収穫を祝う10月のおおとりまつりは、この地で300年以上の歴史を持つ。毎年12月4日には、奉賛会が主催する酉の市も実施している。

近隣、遠方問わずたくさんの人が集い、交流し、楽しめる場所でありたい。そんな思いから、イベント時には県内のアマチュア団体を誘致し、神楽殿でダンスやコンサートなどを披露。地域活性化にも一役買っている。

鴻神社のゆるキャラ、こうのすけくんと、こうみちゃん。鴻巣夏まつりやおおとりまつりといったイベント時には、巫女と共に人々と触れ合う

人々の思い出に残る祈願で多種多様な願いの受け皿に

子授け・安産以外にも、災難除け、方位除け、交通安全、社運隆昌、病気平癒、女子力向上などにご利益があるとされる鴻神社。「来社したすべての人の思い出に残ってほしいんです」。

幸の宮弁天社は、開運招福、女子力向上にご利益があるとされる
良い縁を結び、悪い縁を断つとされている、三狐稲荷神社

特に力を入れているのが、参加型の祈願。例えば、子授け・安産祈願の場合は、拝殿の中に夫婦で入り、祈祷する宮司の後ろに座るのが一般的だ。しかし同社では、儀式のなかで夫婦が直接ご神塊に触れて願いを捧げる。

樹齢数百年を経た大木の根元にできたコブ。子授け・安産祈願の際に、夫婦が触るご神塊だ

時代の移り変わりと共に、来社する人も多様化している。同社では、不妊治療中など、プライバシーを守りたい人に向けては別室を用意し、特別祈祷が受けられるよう配慮。また、遠方から来るなどの理由で、日中に来られない人にも、月1回、18時以降の特別祈祷を実施している。「需要に合わせて変えていかなければ、神社も時代に取り残されてしまいます」。ニーズに応えるため、さまざまな方法を柔軟に取り入れている。来て良かった、また来たいと思えるような神社を目指しているのだと、宮司は話す。

授与品であるお守りやおみくじにも独自性を盛り込んでおり、8割が同社でデザインしたもの。なかでも、コウノトリをモチーフに使ったお守りは人気が高く、それだけを目的に県外から足を運ぶ人もいる。近年は少子化や地方都市の過疎化によって、閑散としてしまう神社も多いが、こうした努力によって、鴻神社は若者の参拝者も増加。年々賑わいが増しているという。

宮司が自らデザインしている、オリジナルのお守り類。木製の「こうのとりのたまごお守り」は、特に参拝者からの人気が高い

過去には、子授け祈願を受けた夫婦が、後に安産祈願、そして子どもを連れて初宮詣り、初山詣りに来たケースも。宮司は、「家族の幸せそうな姿を見ると、こちらまで笑顔になります」と頬を緩める。今後も、地域と神社をつなぎ、訪れる人々が笑顔になれる手伝いをしていきたいと、頷いた。

子授け・安産をはじめ、厄を払い、人と人との縁を結ぶ鴻神社。新たな年の始め、市内の神と人々が集うこの場所で、願いを捧げてみてはどうだろうか。

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中広は岐阜に本社を置く広告会社です。 地元の情報を各戸配布のハッピーメディア(R)『地域みっちゃく生活情報誌(R)』のブランドで発信しています。

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