沖縄県伊江島 のんべえの島で大人の修学旅行

沖縄県伊江島 のんべえの島で大人の修学旅行

2019/05/12

沖縄本島北部の本部港からフェリーで約30分にある伊江島は人口4600人の小さな島だ。牛の方が4700頭超と数は多いが、人とのつながりは濃密。年間5万人が修学旅行で民泊体験し、地元の人たちと交流している。最近は、“大人の民泊”で訪れる人たちも少なくない。

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居酒屋やスナックは50軒も!

彼岸花畑から絶景のビーチを望む

記者が訪ねた日は、中高年の男性グループが一緒だった。
「居酒屋やスナックは50軒。お酒もおいしいし、はしごして楽しんでもらっています。『のんべえの島』をPRするために移住しました」と話すのは、伊江島観光協会の柴田滋子さん。東京の旅行会社を辞めて、島民としてその魅力を伝えている。

伊江島蒸留所で説明する浅香さん

実は島の地酒は歴史が浅い。周囲22キロほどの小さな島には川がなく、大量の水が必要な酒を造るのは困難だった。
「主要産業のサトウキビですが、2008年に稼働が終了したバイオエタノール製造施設の跡地を利用して11年に伊江島蒸留所ができたんです。伊江島のサトウキビジュース100%を使ったアグリコール製法のラム酒『サンタマリア』を製造しています」(主任でラム・コンシェルジュの浅香真さん)
世界のラムは95%以上が砂糖を造るときの廃糖蜜を利用するトラディショナル製法だ。伊江島ラムは製法面からも希少性が高く、口に含んでみると深いコクとすっきりした味わいを楽しめる。パイナップルジュースに合わせたり、生クリームに加えたりしてもおいしい。施設は見学無料(要予約=1人から可)で試飲もできる。
(問)「伊江島蒸留所」(伊江島物産センター=国頭郡伊江村字東江前1627―3=港から徒歩約20分)

ケックンは島の名物

伊江島の温暖な気候と豊かな土壌は小麦栽培にも適している。島の在来品種「江島神力」は全粒粉にしたときの香りや粗さが特徴で、これを生かしたお菓子(おつまみ)がうまい。「いえじま」(同村字川平200)の工場で、伊江島産全粒粉の小麦チップス「ケックン」の製造工程を見学した。「揚げたらおいしいのでは?」と試したらヒット商品になったとか。カラッと揚がっていて、小麦本来の苦味とうま味も損なわない。パリパリと音を立てる食感もクセになる。ケックンとは同社・玉城堅徳社長のあだ名だそうだ。オリオンビールにピッタリだ。

これで一人前(民宿かりゆし)

夕食は、民宿「かりゆし」(同村字川平345)で定食を。イラブチ(ブダイ)のアクアパッツア風やアカジンミーバイ(スジアラ)の刺し身、生アーサ(あおさ)のお吸い物など、沖縄の海の幸が並んだ。食後は、地元マイスターの案内で夜の街へ。

芭蕉布の名嘉元さん

飲み屋は近くに点在しているので、徒歩でもはしごできる。「めとろ」(同村字東江前489)は観光客の若者や地元の常連客で賑わっていた。名産のジーマミー(落花生)をつまみに伊江島ラムのハイボールを味わう。2軒目のスナックバー「芭蕉布」(同村川平192)でも、伊江島ラムを使ったハイボールとオリジナルカクテルをいただく。名嘉元隆司さんは、何十年も、銀座のバーでバーテンダーをしていただけあって、即興でリクエストにこたえた酒を出してくれる。酒をあおりながら、BEGINの「島人ぬ宝」を店内の全員で熱唱して解散――。

公益質屋

戦争跡地や史跡も巡った。沖縄戦の初期、伊江島は「6日戦争」の舞台となり、多くの犠牲者を出した。
「地上戦で島民の半数は亡くなりました。現在、島の3分の1は米軍基地になっています。島内は戦後の建築物が多いんです」(前出の柴田さん)

ニィヤティヤガマには、ハートに見えるスポットも

「伊江島補助飛行場」や「公益質屋」、戦時中に村民の防空壕となった「ニィヤティヤガマ(洞窟)」など美しい景色の中に忘れてはいけない歴史が垣間見られた。修学旅行は大人になってからの方が心に響く。
(取材・文 小野真依子) (2018年11月28日掲載)※情報は取材時点のものです。
※工場見学の様子や戦争遺跡の様子は日刊ゲンダイ公式ユーチューブチャンネルで公開中

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