浜松餃子を生み出した発祥店。飽きのこないジューシー餃子

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【特集・第4回】地元人が推薦! グルメ甲子園 〜 ローカルフード編 〜

2019/06/16

浜松餃子を生み出した発祥店。飽きのこないジューシー餃子

戦後復興期に屋台からスタートした「石松ぎょうざ」は、B級グルメとして確立した浜松餃子発祥店。(「womo(ウーモ)」)

Yahoo!ライフマガジン編集部

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昭和28年創業 元祖浜松餃子。ヘルシーでいくつでも食べられる味

東名高速道路、新東名高速道路ともにアクセスがよい静岡県浜松市浜北区小松にある「石松ぎょうざ 本店」。創業から近隣で3回ほど移店を経ている。現在の店舗はまだ新しくきれいな印象

今回は、創業者の娘さんであり、現社長のお母様である大隅幸江さんからお話を伺いました。「石松ぎょうざ」は、日本が戦後復興期だった昭和28年に創業。当時の日本は、まだあまり「餃子」という言葉が浸透していませんでした。創業者は、シベリアからの復員後、生活のために浜松駅周辺で屋台を始めました。

「石松ぎょうざ 本店」の店長を担う平地さん。20代前半のように見える風貌なので、「若い人が店長なんだね」とよくお客様にも驚かれるというが、実は30代なのだとか

浜松餃子はこうして生まれた!「石松ぎょうざ」の発祥を紐解く

車盛りと呼ばれる円形の形に並べられ、中央に茹でモヤシが載せられているのが「浜松餃子」の特徴的な盛り付け方

戦後当時、浜松駅周辺は、たくさん屋台が立ち並び、にぎわいがあったといいます。創業者は、焼鳥やおでんなどを売っていましたが、ある時、朝鮮の人から餃子の製法を学びます。この時教えてもらった餃子は、今、一般的に親しまれている餃子とはほど遠いもの。とても日本人の口に合うものではありませんでした。しかし、「これは売れるのでは」と思い、試行錯誤しながら日本人の口に合う餃子の開発を開始しました。

大隅さん
大隅さん
「当時は、食料が貴重な時代でしたが、こだわりが強い父は、餃子開発のために『作っては捨て、作っては捨て』を繰り返し、味を追求していました。いくつも試作を重ね、ようやく『おいしい』と思える製法を見出します。それが『石松ぎょうざ』の礎(いしずえ)となりました。この餃子が、大ヒット。『安い、おいしい、珍しい』の三拍子で、連日、大行列でした。やがて、現在の浜松市中区千歳町にあった自宅を改装し、店舗にしました」
丸く盛り付ける製法は、早く盛り付けられるからというのが理由だったという。今や、この見栄えが浜松餃子の特徴の一つに

やがて、その人気にあやかり、餃子を提供していく店が続出。「石松ぎょうざ」は、浜松の餃子文化に大きく貢献したと思われます。現在では、日本の餃子の消費量を栃木県の「宇都宮餃子」と争うほど大きく発展した「浜松餃子」「浜松餃子」のお店は、現在では、300店舗以上はあると言われています。「石松ぎょうざ」は、今でも多い時には80〜90組のお客様が列をなすこともある人気店です。

大隅さん
大隅さん
「当時、まだ子どもだった自分ですが、父の苦労を今でも鮮明に覚えています。今では、たくさんのお店がありますが、浜松の餃子文化の進展を共に歩めてよかったと感じています。『石松ぎょうざ』として、浜松餃子をもっとアピールしていきたいと思っています」

ジューシーであっさりした「石松ぎょうざ」の作り方を紹介!

浜松餃子の中央に載せられている茹でモヤシ。モヤシではなく、ホウレンソウやキャベツ、炒めたモヤシなどを試していたことも。手間や相性を踏まえ、最終的にはモヤシに落ち着いた

まずは、茹でモヤシを作るところから。沸騰したお湯に、ごま油を入れ、太モヤシをさっと茹でます。シャッキリとした食感を残したいので、茹で過ぎには注意。餃子の箸休めとしてモヤシをいただきます。お客様の中には、モヤシを餃子の上に載せて一緒にいただく方も。もちろん、食べ方、楽しみ方はお好みで。

餃子の皮は「(株)ますだ」のもの。こちらの会社は、「石松ぎょうざ」の創業者が、当時、製麺所を営んでいた主人と仲がよかったそうで、その縁で餃子の皮開発をオーダーしたという

餃子は、具と皮のバランスが重要甘みが強く、巻きがしっかりしたキャベツや、静岡県遠州産の豚肉を使用し、ニンニクは控えめにしているといいます。詳細な原材料や作り方については、残念ながら企業秘密とのこと……。

きれいに整列して並べているのは、焼く時に美しい円形を作るため
大隅さん
大隅さん
キャベツは、春は愛知のキャベツ、夏は群馬や茨城などの高原で作られるキャベツというように季節によって産地を変えています。寒さを耐えたキャベツの方が、甘みが強いんです。製法をシンプルにしている分、素材選びを重視し、その味を生かすようにしています。製法のこだわりは、創業者の父の代から、2代目の私の夫、3代目の息子にまで受け継がれています」
フライパンは、場合によっては2、3週間で傷んでしまうことも。おいしく美しく焼くために、定期的に取り替えている

円形に餃子を並べた後、点火し、水を入れた後、ふたをして強火で6〜7分蒸し焼きにします。水分がなくなったら、フライ返しで焼き具合を確認。きれいな焼き色が付いているか確かめます。円形の車盛りの形にするには、15ケからの注文が必要。女性の方は、15ケは多いのではと思うかもしれませんが、ペロリと食べられる味わいです。男性は20ケ、もしくは25ケが多いとのこと。25ケの場合は、中央にも餃子が入るので、モヤシは別皿になります。

円形が崩れないように回し焼く

水分を飛ばしながら、おいしそうな焼き目が均等に付くよう、回し焼き。円形が崩れないように焼くためには、職人技が必要です。

厨房は、掃除と整頓が行き届いており、衛生管理にも気を使っていることが感じられる

厨房には、ずらりと14枚のフライパンが並びます。お店の席数は62席なので、14枚でも足りないそう。14枚をフル稼働させ、お客様に順次提供していきます。休日は2人でこの焼き場を担当! まさに職人技です。「石松ぎょうざ 本店」の平日は地元客、休日は8〜9割が県外からの来店客。自宅でいただくために、テイクアウトして帰る方も多いようです。

フライパンをひっくり返し、お皿に盛り付ける
美しい円形と、おいしそうな焼き色の餃子の出来上がり!

店舗は、静岡県浜松市浜北区小松の「本店」以外に、一般道からも入場できる新東名高速道路 NEOPASA浜松上り内の「新東名店」、浜松駅内にあるメイワン エキマチウエストの「JR浜松駅店」、富士山静岡空港内の「静岡空港店」、埼玉県三郷市の「ららぽーと新三郷店」があります。店舗により、メニューや値段設定は異なります。

茹でておいたモヤシを中央に盛り付け、完成

あっさりとした味わいが特徴で、他では真似できない味。とある著名人は、「『石松ぎょうざ』の餃子は、引き算に引き算を重ねた餃子」と評したといいます。食べてみると、確かに上手に引き算された味。肉とキャベツの旨味が口の中に広がります。くどくなく、食べやすいサイズと味なため、いくつでも食べられそうです。シャキシャキのモヤシは、まさに箸休めにぴったり。口の中がリセットされるようで、いくらでも餃子が食べられそうです。

「石松ぎょうざ」の名の由来は、創業者の出身地である現在の静岡県周智郡森町で、幕末期の侠客として活躍した「森の石松」に由来している

「石松餃子定食 15ケ」1300円。ご飯、味噌汁、香の物付き。タレは、酢と醤油をバランスよく配合した、あっさり甘めのオリジナルのタレ。お好みでオリジナルのラー油を入れていただきます。定食は、10ケ1000円、15ケ1300円、20ケ1600円、25ケ1900円。餃子単品は、10ケ600円、15ケ900円、20ケ1200円、25ケ1500円。オリジナル味噌を使用した「味噌ホルモン」590円も創業当時からのメニューで、こちらもお勧めです。

本店の席数は50席

取材メモ/円形の盛り付けと茹でモヤシを添える浜松餃子のスタイルを生み出した元祖のお店。創業当時のお話は、非常に興味深かったです。持ち帰りはもちろん、インターネットで全国発送もしているそうです。

取材・文・撮影=riyohiyo 河田良子

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