100年の歴史。思い出と味を受け継ぐ愛媛の「宇和島鯛めし」

100年の歴史。思い出と味を受け継ぐ愛媛の「宇和島鯛めし」

2019/06/19

「松山鯛めし」と「宇和島鯛めし」、2種の鯛めしが存在する愛媛県で100年続く「宇和島鯛めし」の名店をご紹介します。(「タウン情報まつやま」)

Yahoo!ライフマガジン編集部

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初代から三代目へ受け継がれる“本物の味”。宇和島鯛めし専門店

瀬戸内海に浮かぶ四国・愛媛県では、海に面している土地柄から漁業が盛んで、海の幸を使った郷土料理も多数。中でも有名なのが「鯛めし」ですが、その「鯛めし」には2種類が存在します。一つは、鯛とごはんを一緒に炊いた「松山鯛めし」。もう1つは、卵とタレにつけた鯛の刺身をごはんの上にかけて食べる「宇和島鯛めし」です。「宇和島鯛めし」は、主に南予地方で親しまれており、南予地方の宇和島市で「宇和島鯛めし」が食べられる店として、昭和以前から知られているのが「宇和島鯛めし 丸水(がんすい)」です。現在は、宇和島市にあった「丸水 宇和島本店」を一時休業し、「道後店」と「松山店」の2店舗を構えています。

愛媛県・松山市の人気観光地である道後の商店街に佇む「道後店」
松山城のロープウェイ乗り場入口付近にある「松山店」

「宇和島鯛めし」発祥の地、宇和島の名店「丸水」

その昔、宇和海の日振島を本拠地とした伊予水軍や漁師たちがいました。あるとき、火の使えない船の上で酒盛りをした際に、酒を飲んだお椀にごはんを盛り、生の鯛の切り身をのせてそのまま食べたのが「宇和島鯛めし」のはじまりといわれています。

看板メニューの「宇和島鯛めし膳・天然鯛」(2100円)※養殖鯛は(1600円)

そして、宇和島市に「丸水 宇和島本店」が誕生したのは昭和以前のこと。昭和21(1946)年に初代が継承、その後二代目、そして今の三代目・土居真輔さんへと受け継がれました。真輔さんは、もともと「宇和島鯛めし」が大好きで、婿養子として土居家へ入り自然とこの道へ進みました。こうして、100年もの間、大切に郷土の味を守り抜いてきたのです。

素材一つ一つへの強いこだわり

「こんなに美味しい『宇和島鯛めし』は初めてだ」と食べた人に思わせる理由は、素材一つ一つへの強いこだわりにありました。まず主役である鯛は、一本釣りの当日捕れなければ仕入れできないため入手困難な「天然真鯛」。そして、宇和島市の徳弘水産が自信を持ってお届けする、味の良いモチモチ食感が特徴の「鯛一郎クン(養殖真鯛)」の2種類を提供しています。

美しい輝きを放つ朝捕れの天然真鯛

この鯛を輝かせるのが、県内産の醤油、そしてです。卵は、厚生労働大臣賞を受賞した四国中央市の「熊野養鶏」で生産し、しっかりとした黄身と濃厚な味わいが特徴の「美豊卵(びほうらん)」。醤油は、大洲市の「梶田商店」が作る、一切の添加物を加えない天然醸造の「巽醤油(たつみしょうゆ)」です。

卵黄がしっかりとした「美豊卵」と、芳醇な香りがする「巽醤油」

そして、米には県内産の米を独自に配合した、ふっくらとした食感の「丸水オリジナルブレンド米」を採用。このように鯛だけではなく、鯛本来の美味しさを引き立てる素材を県内各地から集めているのです。地元の素材にこだわっているのも「先代から続く“人と人とのつながりを大切にする”という考えが受け継がれているからです」と真輔さんは語ります。

米粒の大きさまでそろえた「丸水オリジナルブレンド米」
三代目・土居真輔さん
店主 土居さん
店主 土居さん
「当店が提供している『宇和島鯛めし』は、全ての素材が“最高”である必要があるんです。地元・愛媛にはそんな“最高”の素材がたくさんあります。また、生産者さんと直接話し、信頼関係ができているからこそ自信を持って皆様に食べていただけるのです」

鯛の食感と素材の味を感じるさばき方へのこだわり

切り身の大きさや厚さは店によってさまざまですが、「丸水」の鯛の切り身は厚すぎず細め。その理由を尋ねたところ、ごはんと一緒にスルスルと口に入り、さらに鯛のモチモチとした食感を楽しめる丁度良い大きさなのだとか。そこまで計算し尽くした職人魂に脱帽です。

板場に立ち、新鮮な鯛をさばく真輔さん。その表情は真剣です
透き通った美しい身に包丁を入れ、細めにさばいていきます

「宇和島鯛めし」の美味しい食べ方

基本的には「宇和島鯛めし」の食べ方は自由ですが、より美味しく食べていただくために、店のテーブルには食べ方を説明したポップが置いてあります。ぜひ参考にしてみてください。

①タレの中の生卵を溶きほぐしなじませます
②タレの中に鯛の刺身を全部入れて、好みで薬味を入れて混ぜます
③おひつからお茶碗にごはんをよそい、ごはんの上にタレごと具材をかけて完成です

なんと、ごはんのおかわり自由といううれしいサービスも。来店したほとんどの人がおひつ一つ分じゃ足りず、おかわりをするそうです。

土居さん
土居さん
「美味しいと思っていただいている証拠なので、ごはんのおかわりを頼まれるとうれしいんです」
タレはごはん2~3杯分はあるので、味をみながらかける量を調整

「宇和島鯛めし」で愛媛の魅力を世界に発信!

今や県内外、そして海外からリピーターもいる「丸水」。これまで「松山店」を皮切りに、「道後店」出店など着々と展開中。「宇和島鯛めし」と愛媛への愛がとびっきり強い三代目・真輔さんがこれから目指すのは、“「宇和島鯛めし」で愛媛の魅力を世界各国に発信すること”です。この美味しさはきっと世界に衝撃を与え、愛媛を知ってもらうきっかけになるはず。100年続く老舗店の新しい挑戦に、これからも目が離せません。

料理に合う愛媛の地酒も多く取りそろえ、外国人・県外の観光客からも好評です

取材メモ/私も「丸水」さんの「宇和島鯛めし」を食べましたが、想像していた以上の美味しさに感動と同時に、愛媛にこんな美味しい郷土料理があることを誇りに感じました。もっとたくさんの人にこの味を知っていただけるとうれしいです。

取材・文=岡田恵美 撮影=和田浩志

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