博多っ子に愛されるひと口餃子の老舗、テムジンの魅力に迫る!

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2019/06/03

博多っ子に愛されるひと口餃子の老舗、テムジンの魅力に迫る!

博多名物の一つとしておなじみのひと口餃子。パクパクと気軽に食べられるそのおいしさで、半世紀にわたって親しまれている餃子店が「テムジン」だ。老舗でありながら、福岡市内や東京、大阪などへ多店舗を展開して広く知られ、独自の人気を集めるその理由を伺った。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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個性豊かな飲食店が集まる大名の路地に本店として構え50年

一人でも2~3人前は食べられるひと口餃子

福岡市の巨大な繁華街・天神に隣接しながら、古い家並みと個性派ショップが共存する、大名。昼夜を問わず多くの人が散策するこの街で、深夜まで一際賑わっているのが「テムジン 大名本店」だ。

大名エリアのほぼ中央を南北に走る、紺屋町通りの角にあり、目を引く明るい外観
真っ赤な暖簾とちょうちんが目印

初代社長原田善勝さんがこの地に1号店としてオープンさせたのは1963(昭和38)年9月。サラリーマン時代を経て、先輩の手伝いをするために中洲の餃子屋へ就職し、先輩が店をたたんで他の事業を起こすことになり、それを機に独立した。

一番弟子だったご両親が原田さんより大名本店を引き継ぎ、現在は女将としてお店をまとめている田原弘子さんに当時のことを聞いてみた。

現在の大名本店の女将を務める田原弘子さん
女将の田原弘子さん
女将の田原弘子さん
「父も母も『働かざる者、食うべからず』という人で、私も10歳の頃からお店へ入ってました。小学校の宿題を持って手伝いに来る感じでしたね(笑)。父に聞いたことがあるのですが、ウチがオープンしたのは2代目の社長の原田勝海さんの生まれた年なんですよ。誕生に合わせたタイミングで始められたと言ってました」

当時、原田さんは「ジンギスカン」(モンゴル帝国の初代皇帝『チンギス・カン』の別名)という店名を提案されるが、まだ若かったため、重すぎる名だと考えた末にジンギスカンの幼名「テムジン」に決めた。

「テムジン」のトレードマークは、若き日のジンギスカンが馬に乗る横顔をイメージしたもの
女将の田原弘子さん
女将の田原弘子さん
「店名はお客さんが付けてくださって、大きくなるぞ、これから頑張るぞって意味合いを込めてテムジンにしたって聞いています。亡くなられた会長(初代社長)はいろんな夢をお持ちで、うどん店もしたかったから餃子店である程度安定してから、社長のままうどん屋さんに修業に行かれたみたいです。そのうどん店の方が店に来られて、スゴい人だったって話してました」

自慢の餃子は、野菜たっぷりで、あっさりかつヘルシー!

修業時の体験やその後の研究により原田さんが作り出した、テムジンの餃子の特徴は「しっとり・もっちり」で、あっさりとしていてなおかつヘルシー。その理由は、たっぷりの野菜と、豚肉ではなく牛(和牛と米産または豪産のブレンド)のミンチを使用しているから。

割合は、7(野菜):3(肉)と、他店にはない調合だ。にんにくも少なめで、たくさん食べられるように、工夫されている。

女将の田原弘子さん
女将の田原弘子さん
餡はテムジン全店共通です。味がばらけないように、本社工場でまとめて作り各店に配送、皮は各店でこねて、という風にしています。最初、本店しか店が無かった時はここで餡も作っていたそうですが、今は門外不出のレシピがあり、私もですが各店舗の店長さんでもその内容は知らないのです。また、肉の筋や野菜の繊維を損なわないように素材は全て手作業で切るため、人手も時間もかかってしまうので夜も明けないうちから仕込んでいます」

\すべて手づくり!ひと口餃子/

まず皮のタネを細く延ばし、包丁で小さく切る
細かくしたタネの中央部分を一つずつへこませて、後で伸ばしやすくする
伸ばし棒でつぶしながら広げ、皮が完成
中の旨み、香り、汁を逃さないため、小ぶりの大きさに包む。ひだは3個だけ
水分を飛ばした方が美しく焼き上がるので、 包んだ後冷凍庫で少し休ませる
1日平均1200~1300個、連休など忙しい時には3000個が注文される。毎日、開店ギリギリの時間まで手作業による準備が続けられる
蒸し焼きする際にジューッと鳴る音が食欲をそそる。これで皮がふんわりしたまま焼き上がる
包んだ後、底面がキレイな色に焼けるようにたたきつけて整えているので、平らなさっくりした仕上がりになってお皿に移される
焼き餃子(10個入り)480円。写真は3人前
女将の田原弘子さん
女将の田原弘子さん
「昔はもっとふわっと仕上げてました。今はお客様のニーズに合わせて少しだけパリッとなるように焼きます。常連さんが作りだした“よく焼き”というオーダーもありますので、しっかり焼いてほしい時はおっしゃってくださいね」

皮が程よくもちっとして、焼き面がパリッとなった、油っぽくない仕上がり。野菜の割合が多く、たまねぎから強い甘味が出るので女性の方の来店が多いそうだ。ガツンとくるというより、やさしい感じの餃子で、ペロッといくつでもいける。

タレの酢醤油は町内にある福岡の老舗『ジョーキュウ醤油』の醤油を使い、店で配合。餃子の味を殺さないよう、酢は控えめにしている
九州ならではの薬味、赤い柚子ごしょうがピリリと効く。量はお好みで
香ばしい極薄皮の中には17種の素材がギュッと詰まっている。やわらかな食感だ

\餃子番付は創業当初から/

大名本店ではいわゆる大食いチャレンジ企画創業時から行っている。一定数を超えたら名前の札が貼り出され、最多個数を更新すると賞金が出る(現在は休止中)という内容だ。

120個以上が大関、150個以上が横綱として番付に残ることができる。詳しいルールなど詳細はお店へ直接お問い合わせを
店内に貼られた1971(昭和46)年の西日本新聞にて、挑戦する様子が紹介されている。右端に当時店長だった田原さんのお父さんが写っている
達成者の名札は、店内のカウンターの上などに掲げられている。以前福岡吉本で活動していた博多大吉さん(当時の芸名は亀屋大吉)の名も
女将の田原弘子さん
女将の田原弘子さん
博多華丸・大吉さんデビュー当時からよく来店されていました。当時名物女将だった、母の石橋ササ子のことがとても大好きで、よく『癒着の店です』って言ってくださってました(笑)」

長い年月を経て定着した一つひとつのメニューが一品もの

大名本店では、餃子以外にもいろんな居酒屋メニューがそろっていてわいわいと楽しめる。その中でもおすすめの2品を紹介しよう。

\実は二層になっているにらとじ/

にらを強火でしんなりするまで炒める
卵を落とし入れ、白身だけが先に下で固まるようにフライパンを動かす
ある程度白身が固まったら黄身を崩しながら、にらの間に広げていく
黄身が半熟のトロトロになったら、アクセントにコショウをふりかけて出来上がり
にらとじ590円。余熱で固まっていくので好きな半熟具合を狙っていただこう。こちらにも餃子のタレの酢醤油をかけるのがおすすめ

\焼きめしも要チェック!/

まず、よく熱した鍋に卵を溶き入れる。この時、隠し味として、手づくり餃子の餡を投入し、旨みとコクをプラスしているのだ
続いてご飯に、かまぼこを投入。この後入れるのは青ネギだけというシンプルさにより、パラパラなご飯がより引き立ってくる
目の前で鉄鍋を振るう音を聞きながら、 出来上がる過程を眺めているのも楽しい
焼きめし680円は締めに注文する方が多いそう
女将の田原弘子さん
女将の田原弘子さん
「焼きめしにはおすすめの技があるんです。餃子用の酢醤油をかけてみると、味に深みが増してその割にあっさりと食べられますよ」
酢醤油の量はお好みで。かけ過ぎには注意

これからも家庭的な雰囲気を大事に長く続けていければ

50年続く中で、若者だけでなく、サラリーマン、ファミリー層や創業時から通う世代などさまざまな方から親しまれここならでの味を生み出してきた「テムジン大名本店」。

ひと口餃子の魅力の一つは、たくさん食べられること。小さく作る方がお店の手間はかかるが、いろんなお客さんへの思いがあってのこだわりだといえる。みんなで餃子を楽しめる庶民的な店として、これからもずっと続いてほしい存在だ。

お店を改築した際、新たに設置された博多祇園山笠の絵。原田会長がこだわって、舁き手の着ている法被に家族の名前が一人ずつ入っている
店長でお兄さんの石橋昌勝さんと女将さん。現在は、田原さんの息子さんや娘さんも一緒にお店を手伝っており、兄妹・家族で作る温かい雰囲気で、店内はいつもにぎやかだ
女将の田原弘子さん
女将の田原弘子さん
「ウチの良さって何かというと家庭的な雰囲気、家の延長みたいなところだと思っています。飾っている山笠の絵には会長のご家族を含め、私の父や兄の名前も入っています。テムジンでは仲間を大事にするのが当たり前で、家族経営で頑張っているところが多いです。フランチャイズ展開しながらも、家庭的な個人店みたいな、この家に行ったらこうもてなされたという感じでいいのかなと。各店の違いを出しながらそれぞれの良さを感じていただきたいです」
厨房と対面式のカウンターからは、食べながら調理している様子が眺められる
座敷もあり、お子さん連れやグループでも安心
女将の田原弘子さん
女将の田原弘子さん
「大名は武家屋敷があった名残もあり、昔ながらの良さと今のおしゃれな感覚が合わさった魅力あふれる街です。古くから営業している大名のお店の代表と言っていただけるように、創業から積み重ねてきたことを大切にし、長く長く続けていきたいと思います」

取材メモ/柚子ごしょうだけを餃子につけて食べるとか、長い歴史の中から生まれた楽しみ方も教えてくれるのでぜひ尋ねてみてくださいね。

取材・文=シーアール 写真=福山哲

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