愛知・みよし市 創業160余年・美味い酒を届ける「丸長商店」

愛知・みよし市 創業160余年・美味い酒を届ける「丸長商店」

2019/06/09

専売制の廃止後、酒の専門店として希少な商品の仕入れに注力してきた丸長商店。長年、この地域を見守ってきた店舗で、酒の味や深い魅力を発信しています。

中広

中広

江戸末期の創業 長年守ってきた建物を活用

県道218号、三好上の交差点を南へ進んだ脇道にある、日よけ幕がかかった建物。創業から変わらず、酒を中心に販売している丸長商店です。

代々店を継ぐ鈴木家は店の裏にある與願寺の檀家。丸長商店が江戸末期には開業していたという記述が寺の過去帳に残っています。5代目店主の鈴木雅貴さんは「先祖の鈴木吉右衛門は、地域の面倒を見る仕事をしていたと聞いています。吉右衛門は江戸時代末期で亡くなる前に、息子の長五郎に酒屋の仕事をすすめたようです」と家に伝わる歴史を話します。その後間もなく、長五郎氏が丸長商店を開店。当時から酒、たばこ、調味料などを販売していました。雅貴さんは「昔、酒は酒屋の専売で周りに競合もなかったようですから、需要は高かったのでしょう」と推測します。

初代店主の鈴木長五郎氏。丸長商店は長五郎氏の名前から付けられました
鈴木雅貴さん

鈴木雅貴さん

丸長商店 店主

大正時代に店を建て替え、その後も少しずつ増築。伊勢湾台風で周囲の家屋は倒壊するほどの被害でしたが、丸長商店に大きな損傷はなく、今も一部、大正時代の瓦が残っています。

建て替えられた大正時代頃の写真。現在も建物はそのまま使っています

現在は雅貴さんによって店舗のリノベーション中です。長らく倉庫にしていた場所に陳列棚を配置。古い建物を生かして梁が見えるようにしたり、蔵にしまっていた古いミシンをアンティークとして飾ったりしています。「歴史ある建物なので、古さを生かした店づくりを心掛けています」と雅貴さんは話します。

正面向かって左手側の扉の先は、倉庫から店舗にリノベーション中。昔のミシンが飾られています

厳選した商品展開と丁寧な説明が人気

雅貴さんが5代目を継いで間もない2001年、専売制が廃止されます。スーパーマーケットなどでも酒が販売されるようになり、専門に扱う商店は打撃を受けました。そこで雅貴さんは量販店との差別化を図り、焼酎や日本酒に特化して展開。蔵元と直接契約をして、厳選した商品の販売に力を入れました。

商品を並べるだけではなく、味わってみた率直な感想を手書きのポップで紹介。売り手として客観的な感想を丁寧に伝えています。「メーカーの説明だけでは味の特徴を伝えきれないので、仕入れの前に試飲をしています。飲んでみないと、おいしいかも分かりませんからね」。

店内にずらりとならぶ酒瓶
説明書きは雅貴さんの直筆で、ボードやボトルラベルを書くこともあるそう

来店客には好みの味をヒアリング。一人ひとりの嗜好や、贈答用であればシーンに合った商品をすすめています。雅貴さんは「僕が辛いと感じた酒を甘いと思う人も当然いるので、常連さんには前回買ったお酒の感想を聞いています。説明する時の参考になりますし、次はさらに好みに近い商品をご紹介できます」とコミュニケーションを大事にしています。

季節限定商品が多く、定期的にラインアップが変わるのも特徴です。時期によっては、2度と販売されない珍しい酒も並びます。新米で加熱処理をせずに造られた新酒のしぼりたてや、年に3回しか流通しないと言われる貴重な商品も販売。常連客が多く、希少なものは早々に予約が入るといいます。

最近の目玉商品は、日本の名水100選の一つ郡上八幡にある、アルケミエ辰巳蒸留所のジンです。個人で蒸留しているため大量生産が難しく大型店舗では扱いにくいうえ、小さな商店にもなかなか卸されない希少品。「ぜひ仕入れたいと思っていたところ、縁があって流通を確保できました」とほほ笑みます。

丁寧な商品説明と珍しいラインアップが評判で、市内を中心にじわじわと顧客が増えています。SNSの情報発信を始めてからは、希少な酒を目当てに東京からも問い合わせが来ているといいます。

酒を楽しめる工夫を店づくりに取り入れる

自分がおいしいと思った商品にこだわって販売している雅貴さん。「今後も、お酒の種類を増やしていきたい。それと、お客様に楽しく飲んでいただける工夫もしたいと思っています。店内でお客様がくつろげるようなスペースを作りたいのですが、簡単なことではないので、少しずつ新しいアイデアを出していこうと思っています」。現在は酒をより楽しんでもらうための取り組みとして、おいしい酒から一風変わったものまで、仕入れた新商品をSNSに掲載。米の種類なども詳しく書いている店内のポップとは異なり、誰にでも伝わるよう専門用語を使わず味の特徴を紹介しています。

「お酒によっては、1日で飲み切らなくてはいけないものなど注意が必要な種類もあります。飲み方や特徴もお伝えできるので、おいしいお酒や特殊なお酒を探している方はぜひ来ていただきたいです」と雅貴さんは力を込めます。

地域で長年愛される丸長商店。大切な祝い事やちょっとしたご褒美に、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。知らなかった酒の魅力に出合えるかもしれません。

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中広は岐阜に本社を置く広告会社です。 地元の情報を各戸配布のハッピーメディア(R)『地域みっちゃく生活情報誌(R)』のブランドで発信しています。

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