福井・坂井市 地域で70年愛される「オーカワパン」

2019/06/12

福井・坂井市 地域で70年愛される「オーカワパン」

今年で創業70年を迎える株式会社オーカワパン。坂井市内の小中学校に提供する給食用パンの製造や、スーパーマーケットでのオリジナルパン販売など、地域に根差した事業を続けてきた。定番の味を守りながら、ファンを飽きさせない新たな味を模索している。

中広

中広

製パン事業に魅力を感じて心を満たすパンづくりへ

やわらかな舌触りと香ばしさが人気の食パン「パン・ド・ミー」、素朴な見た目ながらもほんのり甘い一口サイズの「たまごぱん」。県内のスーパーマーケット約100店でオリジナルパンを販売する株式会社オーカワパン。素朴で、懐かしさを感じさせるパンの味を知る人も多いだろう。

前身となる大川粉食工業所の開業は、1949年。を当初は配給小麦の受託加工と製パンを行っていた。「複雑ながら、面白いパンづくりに専念したい」という創業者・大川重義さんの熱意により、1960年から事業を製パンに一本化した。

創業当初の従業員のみなさん

1964年には、株式会社オーカワパンとして法人化。 現在は福井県だけでなく、石川県や滋賀県のスーパーマーケットにも商品を出荷している。

人気の「コーヒーサンド」は、食パンもクリームもコーヒー味。現在は、同じシリーズの「いちごミルクサンド」が期間限定で発売中
「あん食パン」には、福井県産の米をおかゆにして練り込み、もちもちとした食感を生み出した

モットーは、「心を満たすパンづくり」。保存料や添加物は極力使わない。安心して食べられるのはもちろん、素材のおいしさを引き出すやさしい味付けで、幅広い世代の日常に溶け込む商品をめざした。坂井市内の小中学校に提供する給食用パンの製造も担う。

つくりたてのおいしさを消費者へ届けるために

近年、約100種類まで商品を増やしてきたオーカワパンだが、大きな改革に踏み切ったのは2014年。ロゴマークを刷新し、全包装紙を変更するとともに、商品を約40種類まで絞った。製造ラインを整備して効率化し、商品の生産量を増やすためだ。

トンネルオーブンの長さは約30メートル。程よい焼き色を付け、香ばしさが増す

生産効率の向上で得られた時間は、新商品の開発に充てている。その数、毎月5種類。定番商品に親しんでもらうのはもちろん、長年のファンを飽きさせないための工夫を凝らしている。

商品開発が始まるのは、発売の約半年前。管理、製造、販売の代表者が集まる1回目の会議では、事前に各部署で出し合ったアイデアを発表。翌月には、絞り込んだ案の中から試作品を完成させる。現在の設備で製造できるか、原料には何が必要か、さまざまな視点から検討し、商品化の判断や製造工程の調整を行う。その後、パッケージを決定すると、再度試作し、販売に向けて質を高めていく。

チラシや店頭用ポップなどのデザインは、女性社員2人が担当。大川常務は、「こういうイメージが欲しいと伝えると、翌日には試作を見せてくれたり、新たな意見を出してくれたり、とても助かっています」と語る

工場では、1日あたり2〜3万個を製造する。ほとんどの工程に機械を導入しているが、包あんやまるめなどの成形は人の手で行う。機械では気温や湿度に合わせた微妙な調整が難しいためだ。商品一つひとつが微妙に異なる形をしているのも、手作業ならでは。

ジャムをパン生地に包む。機械では難しい繊細な作業だ

焼き立てを冷まして包装した商品は、朝昼の2回に分けて配送する。オーカワパンは、取扱店を福井県内と近隣県に絞ることで、大手企業では難しいつくりたての提供と、個人店ではできない広範囲への配送を実現させた。

丸岡町谷町にある「リスヤ」は、一番に商品が届くオーカワパンの直売所でもある。同社製品のファン同士が出会って、仲良くなることもあるという
オーカワパンの商品

消費者の意見から商品を改良 愛され続けるパンをつくる

地域の人にもっと寄り添いたいと、2017年からイベントカーでの出張を始めた。週2回ほど、無料でパンの食べ方提案をする。今では大人気イベントとなったのが、オーカワパン商品への「お絵かき体験」だ。想定より参加者が多く、商品の追加をする場合もある。

産業会館で実施された車イベントの様子。新商品の先行販売が好評だ
お絵かき体験では、チョコレートペンやトッピングシュガーでパンを彩る

消費者との交流は、商品開発にも生かされている。イベントカーの販売時に受けた要望から「たまごぱん」の包装を再封可能な形に変更すると、それまでの3~4倍にまで売り上げが増えたという。

素朴な味が幅広い世代に人気の「たまごぱん」。パッケージを変えて、大きく売り上げを伸ばした
大川真司さん

大川真司さん

株式会社オーカワパン 常務取締役

長年にわたり、地域に愛されてきた株式会社オーカワパン。定番の味を守りながら、今後も新たな味の追及を続けていく。

この記事を書いたライター情報

中広

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中広は岐阜に本社を置く広告会社です。 地元の情報を各戸配布のハッピーメディア(R)『地域みっちゃく生活情報誌(R)』のブランドで発信しています。

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