福岡・博多で満喫! 炭鉱の町で生まれた野菜デカ盛りちゃんぽん

特集

【第2弾】福岡デカ盛りグルメでよかろうもん!

2019/06/25

福岡・博多で満喫! 炭鉱の町で生まれた野菜デカ盛りちゃんぽん

長崎で生まれ、日本各地へと広がる過程で独自の進化を遂げた「ご当地ちゃんぽん」。現在、全国に20種以上あるそうですが、そのブームの火付け役となったのが、佐賀県武雄市北方町に本店を構える「井手ちゃんぽん」だと言われています。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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博多らしいにぎやかな装飾で客を出迎える新店舗へ潜入!

「井手ちゃんぽん」は、1949(昭和24)年に「千十里(ちとり)食堂」として創業。1980(昭和55)年、地元民の間で呼ばれていたと現店名を、2代目店主が看板に掲げた

江戸時代中期から始まり、明治~昭和期にかけて炭鉱産業の街としてにぎわった佐賀県武雄市北方町。「安くておいして栄養のあるものを、炭鉱夫におなかいっぱい食べてもらおう」と、「井手ちゃんぽん」の初代店主・井手精市郎さんが長崎で食べたちゃんぽんをもとに自分の味を確立。その野菜デカ盛りちゃんぽんがいつしか本店がある国道34号沿いの店にも広がり、武雄・北方のご当地グルメとして定着した。

株式会社ヒューマンの社長・杉本一之さん。「井手ちゃんぽん」の本店と同じ食材を使ったちゃんぽんで現在、福岡県内4店舗と唐津店、佐世保店を経営する

「井手ちゃんぽん」の本店はその後、息子で2代目の日出男さん、孫で3代目の良輔さんへ継承される。一方で2代目の日出男さんは、「このちゃんぽんをより多くの人に広めたい」と考え、杉本一之さんと「株式会社ヒューマン」という新会社を設立。2009年の筑紫野店を皮切りにオープンさせた福岡県内の各店舗は、ローカルちゃんぽんチェーンとして地元民に愛されている。

博多駅筑紫口から徒歩6分、福岡合同庁舎近くの路地沿いに建つ博多駅東店。オフィス街でひと際目立つ、真っ赤な外観を目印にしよう

その新店舗となるのが、2019年5月10日にオープンした博多駅東店だ。ヒューマングループの店舗で、唯一の街なか店。杉本さんいわく、「客席が見渡せるオープンキッチンと、居酒屋的な使い方もできる広い店内」が、出店の決め手になったという。

店内は1人用とグループ用のテーブル席のほか、カウンター席を用意。将来的には、チョイ飲み用のスペースも作りたいと計画中だ

入口側の大きな窓から光が差し込む明るい店内は白木を基調とした和テイストの空間になっており、博多の都心をイメージしたという装飾でにぎやかさを演出。大川組子のデザインを取り入れた木のテーブルなど、インテリアの細部にも随所にこだわりを感じる。

くぎを使用せず、細かく引き割った木材を1つ1つ組んで作られた大川組子の幾何学模様。その芸術性に、着席しただけで上質感が漂う
テーブル席の右側後方に、オシャレな壁のディスプレイを発見。適度に配置された緑が、ほっと安らげる雰囲気を演出している
郊外にある系列店とは異なり、タッチパネル式の食券機を入口近くに2台設置。入店したらまずここで、注文したいメニューの食券を購入しよう

厳選素材・火力・炒め技などから「おいしさ」の秘密に迫る!

2種のちゃんぽん、麺や野菜で料金が変わるシステムは、本店と同じ。その日の気分や懐具合から組み合わせを決めて注文しよう

「井手ちゃんぽん」のちゃんぽんメニューは、麺と野菜の量で料金が変わる。種類は、基本と特盛の2種。基本メニューに、本店で客がリクエストしたことから入れるようになった卵と、コリコリ食感で栄養価の高いキクラゲが加わる。今回は、通常のちゃんぽんメニューでデカ盛りにあたる、麺と野菜両方大盛りを注文。できあがりを待つ間、杉本社長に「井手ちゃんぽん」の特徴やこだわりについて話を伺った。

豚骨のみを使い、1日18時間かけて仕込むスープは、毎朝本店より届けられる。1缶で300~360リットル、約50~60杯分に相当。翌日まで残さないという決まり事もある
キャベツは、佐賀県大和町や福岡県糸島市の契約農家より仕入れる。シャキシャキとした歯ごたえと、煮込むことで生まれる甘みが特徴だ
杉本一之社長
杉本一之社長
「麺やスープ、具材、調味料にいたるまで、ちゃんぽんに関わるものすべて、本店と同じものを使います。中に入る具材は、豚肉、キャベツ、タマネギ、モヤシ、青ネギ、かまぼこ、丸天。長崎ちゃんぽんとの違いは鶏ガラではなく豚骨スープであることと、海鮮を使わないところ。周囲に海がなく、佐賀平野の野菜が豊富にそろう、武雄ならではの特徴だと言えますね」
業務用で最大火力といわれる中華コンロを用意。この火で一気に具材を炒めることにより、野菜本来のうまみや甘みを閉じ込め、スープにコクが生まれる
中華鍋での炒めものは、まず豚肉からスタート。ラードとおろしニンニクで香り付けすることで、深みのある味わいに仕上げる
野菜はできるだけ、無農薬のものを使う。シャキシャキとした歯触りの良さは、火力だけでなく、職人の炒め技の熟練度によるところも大きい
杉本一之社長
杉本一之社長
野菜を炒める火力と技にも、こだわりがあります。中華鍋で手早く炒めることで、シャキシャキ感を出すと同時に、野菜のうまみと甘みを凝縮。そこにスープを加えて絡ませることで、井手ちゃんぽん独自の味が完成します」
野菜からたっぷり出るうまみや甘みと、濃厚でまろやかな豚骨ベースのスープが融合する瞬間。この2つの絶妙な味のバランスが、ヘルシーだと支持する女性客も多い
杉本一之社長
杉本一之社長
「野菜たっぷりの具とおいしい豚骨の濃厚スープは、創業から今日までの70年間変わっていません。味付けに使う調味料は、醤油と塩のみとシンプル。香ばしさを引き出す醤油は、伊万里市で150年近く老舗の味を守り続ける、西岡醤油さんの特注ブレンドを使っています」
「井手ちゃんぽん」の初代店主の思いが詰まった自家製麺。調理はもちろん、小麦粉の状態から調理場へ運ばれる間にも、製造工程一つ一つに高品質を保つルールがある
杉本一之社長
杉本一之社長
「創業から30年をかけ、本店で試行錯誤をしながら完成させた自家製麺は、艶やかでモチモチとした食感があります。加水率がやや高めで、コクうまのスープによく絡みますよ。長崎よりも細い麺を使用するため、スープと一緒に炊かないところもポイントです」

総重量は1kg超!創業70年の味を「麺野菜大盛」で堪能

麺野菜大盛(1160円)の丼を、杉本社長が両手で持って運んできた。一見しただけで、そのちゃんぽんのボリュームのスゴさがよく分かる

「おまたせしました」という杉本社長の言葉とともに、直径25cmぐらいの丼の上に豪快に盛られた、麺と野菜両方増し増しのちゃんぽんがテーブルに到着。並盛に入る麺180g、野菜480gそれぞれの2倍の量になるわけだから、総重量は単純計算で1.32kgということになる。まずはさまざまな角度から、そのスゴさをチェックしてみた。

サイドから見た状態。大きな丼にこぼれんばかりにそびえ立つ、高さ約15cmぐらいの炒め野菜タワーが、まるでチョモランマのようなボリュームを感じる
「これだけでも十分なボリュームだ」と感じる、並盛(750円・写真左)と比べてみる。+410円で麺も野菜も2倍になるわけだから、そのコスパ感はハンパない

一通りビジュアルを楽しんだら、いよいよ実食だ。まずは、上の方の野菜を崩しながら食べ進める。食べても食べてもなかなか減らない野菜だが、甘みとうまみがしっかりあって美味。シャキシャキとした食感も楽しい。

野菜を4割ほど食べたところで現わる自家製麺。「長崎ちゃんぽん」より細めのサイズのため、すすりやすい。ただ、こちらも大盛りにしたため、なかなか減らない
濃厚なのにまろやかな豚骨スープは、それほど重さを感じない。「博多ラーメンで慣れ親しんだ味だから、福岡県民をトリコにした」という説も、なんとなく理解できる
味に変化をつけたい時に便利な、卓上の調味料。杉本社長のオススメは、左前方にあるピリ辛の柚子胡椒。ウスターソースをかけて、野菜炒め感覚で食べる人もいるらしい

初めは「全部食べ切れるかな?」と思いつつも、「意外に完食できた」という人が多い「井手ちゃんぽん」。それでも、「麺野菜大盛」のレベルとなれば、そう簡単にはいかない。注文する際は私もそうだったが、極限までおなかをすかせてからトライをしたほうが良さそうだ。

17:00以降はチョイ飲み利用OK!博多駅東店限定メニューもあり

福岡都心のオフィス街に建つ博多駅東店では、本店にも系列店にもない、この店独自のメニューやサービスが豊富にある。

かしわ丼(小380円、並550円、大650円・写真は小)。セットメニューで注文した場合は、+280円でこの小サイズが登場する

例えば、ご飯メニュー。本店ではカツ丼が有名だが、博多駅東店では、かしわ飯やかしわおにぎりといった甘めの醤油を使った鶏料理が多い土地柄、国産の鶏肉とタマネギを使ったかしわ丼を用意する。また、最近は麺抜きを注文する客も多くなったことから、糖質0のこんにゃく麺をトッピングに追加。普通盛り+50円、大盛り+100円で注文できる。

「チョイ飲み的な使い方をしてほしい」と考案された、おつまみメニューの数々。酒が進みそうなラインナップと手ごろな価格は、近隣で働く人たちに喜ばれそうだ

17:00以降から注文できる、酒と好相性の一品メニューが充実しているところも、博多駅東店ならではの特徴だ。一品料理は、塩手羽の1本150円より注文OK。糸島珠どうふ(1品160円)ピザ春巻き(1品280円)鳥皮餃子(1品380円)といった気になるメニューもたくさんあった。

カウンター席の棚には日本酒、焼酎、ワインといった酒類が並ぶ。ドリンクメニューはこのほかに、ビール、チューハイ、ハイボール、ソフトドリンクもあり
博多店限定、17:00以降でしか注文できないという、焼ちゃんぽん(750円)を知らせるポップ。暑い夏に食べると、ビールが欲しくなりそうなビジュアルだ

「70年受け継がれた味を守りつつ、2代目店主の夢である『井手ちゃんぽん』の世界進出を目指したい」という杉本社長。今回の博多への進出は、「井手ちゃんぽん」を国内外へ発信する大きなチャンスになりそうだ。炭鉱夫への愛情から生まれた武雄市北方町のソウルフードの今後の展開に、これからも目が離せない。

取材メモ/「井手ちゃんぽんを食べに、久しぶりに武雄まで行こうかな」と思っていたので、博多駅東店のオープンはグッドニュース。野菜てんこ盛りのちゃんぽんはもちろん、この店にしかないかしわ丼もおいしかったです。博多駅から近いので、観光や出張で福岡を訪れた時は皆さんもぜひ!

取材・文=西田武史(シーアール) 撮影=長﨑辰一

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