京都・風景写真の巨匠が推薦!絶対に見たい「夏の京都絶景」5選

京都・風景写真の巨匠が推薦!絶対に見たい「夏の京都絶景」5選

2019/06/17

春は桜、秋なら紅葉を目指して観光客が詰めかける街・京都。しかし千年の都には「夏こそ訪れるべき!」といえる、美しい景色がたくさんある。京都の街を撮り続けて50年。風景写真の名匠・水野克比古氏に、訪れるべき名所を教えてもらった。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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\これが夏の京都の絶景!/
1. 鴨川納涼床
2. 「青みどり」の景色
3. 古都らしい夏の行事
4. 京都 五山の送り火
5. 夏の花々

\この巨匠にお話を聞きました!/

夏の京都について語る、水野克比古さん(撮影/三國賢一)
水野克比古さん

水野克比古さん

写真家

7月、賀茂川の清流。川辺の両岸は鮮やかな緑に包まれる(©水野克比古)

夏の京都は毎年、日本で5本の指に入るほどの酷暑にさらされる。「日本でいちばん、夏日が多いとか。あと盆地なので、夜も蒸し暑いんです」とは50年以上、京都の街を撮影する写真家・水野克比古さんの弁。しかし悠久の歴史のなか、厳しい夏と古都に住む人々が育んだ美しい光景が、京都のそこかしこに存在する。そんな夏の古都の魅力に触れられる場所を、水野さんに教えてもらった。

1.鴨川納涼床

川床が、初夏の到来を告げる

2019年の鴨川納涼床9月30日(月)まで開催予定。9月は昼営業をする店も。阪急電鉄京都線の河原町駅、京阪電車本線の祇園四条駅からのアクセスが便利(©水野克比古)
水野克比古さん
水野克比古さん
「毎年5月15日、京都の都大路は『葵祭』の行列で賑わいます。その次が、私の住む街・西陣が氏子区域の『今宮大社』の還幸祭。この時期は京都のあちこちで祭りがあるので、ハレの日の食卓で鯖寿司を食べたとき『今年も夏が始まった』と感じる京都人も多いでしょう。鴨川納涼床も、5月の風物詩。北は二条通から南は五条通まで、鴨川沿いに張り出した床には夕方から灯りがともり、客は料理と美酒に舌鼓を打ちながら、涼をとるのです」
京料理や会席・懐石料理はもちろんのこと、中・仏・伊料理やフュージョン料理、居酒屋など、さまざまな店が鴨川沿いに納涼床を展開する(©水野克比古)
水野克比古さん
水野克比古さん
「鴨川納涼床は、小林一茶の句にも詠まれているため、江戸時代から京都人の夏の楽しみだったようです。私が若いときは、手頃な値段のお店も多かったのですが。最近は観光地化され、高級化も進みました。それでも京都の中心部にあるため気軽に足を運べるし、川床(かわゆか)に座っていれば、街中にいながら涼しい風も感じられます。ハモやアユなど、京都の夏らしい食にも触れられるので、訪問する価値はあります」

2. 「青みどり」の景色

青もみじや、緑をたたえた山々

\永観堂の青もみじ/

秋には約3000本の木々が深紅に色づく「永観堂」。夏は「青もみじ」の名所としても人気が上昇中(©水野克比古)
水野克比古さん
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「『青紅葉(もみじ)』という言葉を広辞苑で引くと、『まだ紅葉しない楓(かえで)』とあります。本来『紅葉』は秋の季語であるため、夏のかえでを『青もみじ』と呼ぶのは、矛盾するのですが。約10年前の旅行会社のキャンペーンで、一気にこの呼び方が定着しました。『永観堂』の池泉(ちせん)回遊式庭園は、京都で1、2位を争う紅葉の名所。生命力あふれる緑のかえでは秋の紅葉とは違い、見る者の心に涼しさを届けてくれます」

\嵐山エリアの大絶景/

7月の晴れた日の嵐山の景色。緑にもえる山が嵐山、手前が渡月橋。桂川が流れている(©水野克比古)
水野克比古さん
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「また、こちらも秋は紅葉の名所として知られる、嵐山エリア。梅雨明けの快晴の日に行くと、桂川の青々とした流れと、渡月橋を手前に緑をたたえる嵐山、その共演からは清涼感だけでなく、生命力すら感じられます。一方、梅雨の朝に足を運べば、山肌もしっとりと濡れ、これも涼やかな景色。いろんな表情を見せてくれます
6月の梅雨どき、早朝の嵐山と渡月橋、そして桂川(©水野克比古)
2019年の嵐山の鵜飼は9月23日(月)まで(8月16日金曜は運休)。乗合船、貸切船(予約制)、食事付き鵜飼見物船(貸切)など、さまざまなプランがある(©水野克比古)
水野克比古さん
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「また夏の夜の嵐山で楽しめるのが、乗合船からの鵜飼の見物。海鵜を桂川に放って、アユなどの川魚をとる伝統的な漁法で、嵐山では1000年前から行われていたそう。ゆえに平安時代の貴族も夏に見学していたという伝承が。8月16日(金)『五山送り火』の際に行われる『灯籠流し』など、夏の嵐山には、景勝地ならではの楽しみがあります」

3. 古都らしい夏の行事

伝統行事を楽しみ、暑さを凌ぐ

\貴船神社の七夕絶景/

水を司る神が祀られている「貴船(きふね)神社」の七夕笹飾りライトアップの様子。2019年のライトアップ期間は7月1日(月)〜8月15日(木)。日没から20時までの点灯( ©水野克比古)
水野克比古さん
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「厳しい暑さが続く夏。それを耐える、いや乗り切るために京都人が大切にしてきたのが、夏の伝統行事やお祭り。もっとも有名なのは7月1日(月)から始まる『祇園祭』で、宵々山(よいよいやま)〜宵山の時分には夜店も出るため、これを楽しみに浴衣などを着て、おめかしして出かけます。最近評判なのが縁結びで有名な『貴船神社』の七夕笹飾りライトアップ。幻想的な雰囲気で、また1ヶ月以上開催されるのも、人気の秘密でしょう」

\祭りも絶景/

下鴨神社「御手洗(みたらし)祭」。灯明料300円を支払って川に足を浸して、ろうそくを奉納する。2019年は7月19日(金)~28日(日)の開催。時間は9:00~21:00 (©水野克比古)
水野克比古さん
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「昔からあるお祭りで、京都人にはすっかりおなじみ、なおかつ観光客にも人気なのが、下鴨神社の『御手洗祭』。土用の丑の日に境内の御手洗川に足を浸して、罪やけがれを祓い、無病息災を祈る儀式で、古代の禊(みそ)ぎの風習に由来します。最近は土用の丑前後5日間と開催期間が長く、足を運びやすくなりました。また『みたらし団子』は下鴨発祥の銘菓。御手洗川でに湧く伏流水のあぶくの形が、団子の原型になっているんです」
「あだし野念仏寺」の千灯供養。2019年は8月23日(金)、24日(土)とも18:00~21:00の拝観(受付は17:30~20:30)だが、入場が事前抽選制になることもあるため要確認(©水野克比古)
水野克比古さん
水野克比古さん
「また近畿地方では、8月23日、24日に『地蔵盆』を行う地域が多い。京都でも町内にあるお地蔵さんを清めて提灯をともし、お供え物をして主に子どもの成長などを祈願します。同じ日に行われるのが、『あだし野念仏寺』の千灯供養。境内にある数千体の無縁仏に祈りを捧げます。何千本ものろうそくがともる光景は、まさしく壮観の一言です」

4. 五山送り火

夏の終わりを告げる、古都の送り火

東山如意ヶ岳の「大文字」。毎年8月16日の20時に点火される。京都御苑・蛤御門(はまぐりごもん)や、賀茂川堤防(京阪電車・出町柳駅周辺)が鑑賞スポットとして有名(©水野克比古)
水野克比古さん
水野克比古さん
「京都に夏の終わりを告げるとされる、毎年8月16日の『五山送り火』は、東山如意ヶ岳の『大文字』が有名ですが、『妙法』『船形』『左大文字』『鳥居形』、他の4つの送り火も、ぜひ見ていただきたい。とはいえ、私も送り火の撮影に行かないときは、自宅近くの大宮中立売(おおみやなかだちうり)交差点まで歩き、『大文字』に手を合わせ、お盆に戻ってこられたご先祖の精霊をお見送りします」
広沢池(ひろさわのいけ)の灯籠流し、奥が「鳥居形」送り火。松ヶ崎西山・東山の「妙法」は20:05、西賀茂山の「船形」は20:10、大北山の「左大文字」は20:15に点火される(©水野克比古)
水野克比古さん
水野克比古さん
「ただ『五山送り火』の鑑賞におすすめの場所は、他にもあります。広沢池では毎年8月16日に灯籠流しが行われるのですが、東側にある土手から西側を眺めると、灯籠流しと『鳥居形』の送り火が重なって見えます。北嵯峨・曼陀羅山の『鳥居形』は20時20分と点火がいちばん遅いので、これが消えてしまえば、もう京都の夏も終わりという儚さも感じます」

5. 夏の花々

桜と紅葉だけじゃない、京都の花の魅力

\廬山寺の絶景花/

「廬山(ろざん)寺」本堂前の「源氏庭」。敷き詰められた白砂と、可憐に咲く桔梗(ききょう)が美しい(©水野克比古)
水野克比古さん
水野克比古さん
「京都といえば春の桜、秋の紅葉が全国的に有名。ですが京都人は元来、四季の花を愛でることを好みますから、もちろん夏の花々も、楽しみにしています。たとえば紫式部の邸宅跡に建立された『廬山寺』。7月半ばになると桔梗が咲き誇りますが、涼しげな紫の花弁を見ると毎年、『ああ、京都もいよいよ夏だ』という気分になります」
法金剛院のハス。お寺はJR嵯峨野線・花園駅からすぐの立地だ(©水野克比古)
水野克比古さん
水野克比古さん
「また夏の花として有名なハスを見るなら、ぜひ『法金剛院』へ。ハスは早朝につぼみを開きますが、こちらは朝7時から拝観を受け付けています。7月上旬から8月初旬が見頃。ハスの花と仏教は近しい関係ですが、ここは鳥羽天皇の中宮・待賢門院(たいけんもんいん)が白河上皇を供養すべく復興したお寺のため、池泉回遊式庭園は極楽浄土を具現化しているともいわれています」
「平安神宮」神苑の睡蓮(すいれん)。見頃は5月下旬から7月下旬と長い(©水野克比古)。ただし2019年度は7月から10月までの予定で神苑の池底工事が行われるため、この間、睡蓮は鑑賞できなくなる
水野克比古さん
水野克比古さん
「池の上にささやかに愛らしい花をつける睡蓮も、京都の夏の花。見頃も5月中旬から7月下旬と長いです。『平安神宮』社殿の背後に広がる神苑・白虎池に咲く睡蓮は、とくにお気に入り。池を渡るための飛石は、昔、三条大橋・五条大橋で使われていた橋脚の一部で、そこからも作庭家のセンス、趣きが感じられます」
八坂通に咲くサルスベリ。奥が法観寺(八坂の塔)。歴史的な景観と花々の共演が見られるのも、京都来訪の楽しみのひとつだ(©水野克比古)
水野克比古さん
水野克比古さん
「あとは街中の花々にも見るべきものは多くあります。たとえば写真のサルスベリ。清水寺近く、二寧坂(二年坂)と八坂通が交差するあたりから、法観寺(八坂の塔)に向けてファインダーを覗き込んだ際のものです。サルスベリは『百日紅』と書くように、100日にわたって紅い花を咲かせます。見頃は7月から9月にかけて。他にもアジサイなど、京都の街の大路・小路は夏の花にあふれています。それらを楽しみに散策するのもいいでしょう」

取材メモ/私も京都在住の経験があるが、たしかに夏の暑さは厳しい。ただそのぶん、街中を歩いたときに感じる風の、涼やかなこと。そうやって自然のありがたさを体感できるのも、夏の京都散策の魅力だろう(ただし、くれぐれも熱中症にはご注意を!)。

取材・文/岡野孝次

\京都をとことん楽しむ/

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