お茶席にスイーツ。京都「中村藤吉本店 宇治本店」で抹茶三昧!

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夏の京都観光で絶景&グルメを楽しむ!

2019/06/18

お茶席にスイーツ。京都「中村藤吉本店 宇治本店」で抹茶三昧!

今や国民的、いや世界的人気を誇る抹茶スイーツ。京都市内にも行列店は多くあれど、どうせなら日本茶の聖地・宇治に足を運んで、抹茶づくしと決め込みたい。カフェにスイーツ充実、お茶席の体験もでき、おまけに駅からも近い「中村藤吉本店 宇治本店」。その魅力に触れてみた。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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\「中村藤吉本店 宇治本店」の魅力/
1.「宇治本店限定」の抹茶スイーツ
2.「挽き茶」「お茶席」を体験
3.とことん“茶商建築”を楽しむ

いざ、「中村藤吉本店 宇治本店」へ!

「中村藤吉本店 宇治本店」。「丸に十」の屋号が書かれたのれんが目印。1854(安政元)年の創業以来、茶商建築を保存、改築しながら現在に至る

京都駅からJR奈良線快速で約20分。JR宇治駅からすぐの場所にあるのが、1854(安政元)年創業「中村藤吉本店 宇治本店」だ。玄関を入ると、中庭に向かって続く石畳の通路が。「庭の奥にある建物は製茶工場でした。今は改装して、カフェにしています。昔はこの石畳の通路を、収穫した茶葉を積んだ大八車(だいはちぐるま)が往来したんですよ。ほら、柱のここに車輪の当たった跡が!」と中村真悟さん(六代目中村藤吉氏の御次男)が説明してくれる。

和と洋、新旧が混在した空間。中庭には<宇治市名木百選>にも数えられた樹齢約250年のクロマツ「宝来舟松(ほうらいふなまつ)」が鎮座し、カフェの中からも眺められる。オープンテラスもある

かつての製茶工場を柱や梁(はり)もそのままにモダンに改修、「中村藤吉本店」の各種銘茶やスイーツなどが楽しめる喫茶室を開店させたのが2001年。そのあと世界遺産・平等院の表参道に「平等院店」を、JR京都駅直結の「ジェイアール京都伊勢丹店」も開業させた。いずれの店も銘茶売場にカフェも併設するが、とくにカフェは、京都にある3店舗とも今だに行列必至の人気ぶりだ。

元は製茶工場だったため、カフェの天井は高く、開放的。壁には障子、机にはタイルなど、和洋折衷の組み合わせが新鮮だ

京都に観光で来たのなら、「ジェイアール京都伊勢丹店」で中村藤吉本店の味に気軽に触れるのも妙案。だが「宇治本店」は明治期の茶商屋敷を生かした空間ゆえ、訪れれば歴史を遡ったような気持ちになれる。この“時間旅行”が、本店来訪の醍醐味だ。ちなみにここ「宇治本店」と、明治天皇行幸の折<宇治行在所(あんざいしょ)>に使用された旅館を改築した「平等院店」は、<宇治の重要文化的景観>にも選ばれている。

1.「宇治本店限定」抹茶スイーツ

「まるとパフェ[抹茶]」(1300円)。「丸に十」の文字は、甘味、キレある苦渋味を持つ抹茶「鮮雲の白」で描く。アイスクリーム、かすていら、玄米パフ、ソフトクリーム、生茶ゼリイにも、上質な抹茶を使用

また<宇治本店限定>のスイーツの魅力も、多くの人がここに足を運び行列をなす理由だろう。とくに人気なのが宇治本店限定「まるとパフェ」。まず器が竹筒、というのが心をくすぐる。また抹茶と特製クリームで描かれた、中村藤吉本店の屋号「丸に十」(まると)の文字。崩すのはもったいないが、筒の中には抹茶アイスクリームや生茶ゼリイだけでなく、レモンジャムやベリーもトッピング。この酸味が、抹茶の苦さと甘みを引き立ててくれる。

中村茶(600円)。お茶菓子付き。ポットから手前の湯飲みにお湯を注ぎ、約60度に冷ましてから、茶葉入りの急須へ。一煎目は玉露の甘みを感じよう。二煎目は湯温を上げて、苦渋味を楽しみたい

加えて宇治本店に来たなら、宇治茶も楽しんでいきたい。抹茶や玉露、煎茶もいいが、おすすめは7種類の茶葉を独自の合組(ごうぐみ=ブレンドのこと)で仕上げた「中村茶」「合組は門外不出ですが、玉露やかぶせ茶、煎茶などでブレンドするので、お湯の温度を変えれば異なる風味が楽しめます」と中村さんは言う。

「中村茶」のセットだけを持ってきてくれるので、湯温を自分の手元で調整して抽出しよう

日本茶の場合、玉露なら低めの湯温で甘みを、煎茶なら高めの温度で苦みをと、抽出方法も味の特徴も異なる。しかしブレンドで仕上げた「中村茶」なら、両方を楽しむことが可能。「一煎目は湯温を低くして甘みを、二煎目はちょっと温度を上げて苦味、渋味をと、いろんな味わい方があります」(中村さん)。中村藤吉本店の宇治茶の魅力を、存分に体感できる。わらび餅(本店と平等院店のみ提供。数量限定)などを食べたあと、〆の一杯に頼むのもおすすめだ。

2.「挽き茶」「お茶席」を体験

<挽き茶とお茶席体験>は1人につき4320円、1回の定員は6名で要予約。取材した日の担当は横山さん。挽き茶体験の前に、参加者の前で手本を示す

「宇治本店」でしか体感できないことで、特筆すべきものがもうひとつ。<挽き茶とお茶席体験>だ。「中村藤吉本店 宇治本店」の玄関を入ると、右側は銘茶売場で、左側は立ち入り禁止エリア。しかし1日3回開催される<挽き茶とお茶席体験>を申し込んだなら、入館可能に。上がり口で靴を脱いで進むと、「茶煙永日香」の書が飾られた額縁が目に留まる。「初代中村藤吉が勝海舟氏から賜ったものです」と中村さん。「子々孫々にわたり、宇治茶の薫煙を絶やさぬように」の意味だ。

石臼の真ん中に入っているのが碾(てん)茶。これを挽いて、一定の大きさの粉末にしていく

さらに中村さんの話を聞けば、<挽き茶とお茶席体験>が開催される屋敷は、明治・大正時代に建築されたもの(ちなみに勝海舟の書は貴重なものゆえ、撮影は困難。ぜひ<挽き茶とお茶席体験>に参加して、ご覧になっていただきたい)。案内されながら館の奥へ足を踏み入れていくと、時代をさかのぼっているような気分になる。そして、待合の和室で汲み出し(白湯)をいただいたら、次は抹茶づくりに挑戦だ。

一定の速度、同じ力で引かれた碾茶は、香り高い抹茶に姿を変えていく

石臼を回して、中に入った碾(てん)茶を挽けば、抹茶ができあがるはずだが、これが単純なようで、本当に難しい。「均等に仕上がるよう、この石臼の場合は、必ず1秒で約1回転と決まっています。また石臼を回す速度は、その大きさで異なってきます」と中村さん。確かに言われてみれば、本日ご案内いただく横山さんは、規則正しい速度で石臼の取っ手を操っている。抹茶づくりひとつとっても、非常に奥が深い。

<挽き茶とお茶席体験>の最中に目にした、ふすまの模様。古文書に押されていた中村家の落款(らっかん)と、それをもとに新しくデザインされた絵柄が散りばめられている

このあと、つくばい(手水鉢)で手と口を清め(雨天の場合はなし)、茶室に案内していただくのだが。ふと屋敷のふすまを見ると、なにやらユニークな模様が。「古文書に押されていた、中村家の落款(らっかん=雅号の印のこと)です。いろんなパターンがあって、先ほどのカフェの障子にもあしらわれているんですよ」(中村さん)。細かな部分でも、「宇治本店」に来ないと見られないものが、いろいろあると痛感する。

歴史ある茶室で、横山さんの御点前を眺めているこの時間も、貴重な体験。なお座敷でのお茶席のため、靴下とハンカチを用意して臨むべし

通されたのは、江戸時代・元禄年間に建立された茶室「瑞松庵(ずいしょうあん)」。初代中村藤吉が三室戸寺(みむろとじ)のまわりに住む茶人より譲り受けて中庭に移築したものを、1980年代に解体・修復した。こちらで濃茶をいただき、薄茶も味わう(季節のお菓子付き)。ほっと一息ついて心も穏やかに。旅情緒、ここに極まれり。徒歩2分でJR宇治駅という立地なのに。なんだろう、この隔世の感。所要時間60分〜80分の、極上のタイムトラベルだ。

3.とことん“茶商建築”を楽しむ

お茶やスイーツを販売する「銘茶売場」。「中村藤吉本店」随一の品揃えを誇る。宇治本店限定「できたてフィナンシェ」(771円)がとくに人気だが、現在は不定期販売のため、来店した時に並んでいれば、ラッキーだ

<挽き茶とお茶席体験>が終わっても、まだタイムトラベルは終わらない。玄関を入って右、銘茶売場もまた、明治時代築の趣ある建造物だからだ。試飲できる場所には、粋(すい)な着物に身を包んだ店員さん。その背後に注目すると、道路側に張り出した窓枠には、ガラスではなく黒塗りの木板がはめ込まれ、日光を遮断している。その代わりに、上部には大きな採光窓が。こんな出窓、見たことがない

お茶の試飲スペースがある。注目すべきは、店員さんの後ろ、道路側に張り出した出窓だ

「これは『拝見窓』といって、茶商建築の特徴的な部分です。北側を向いている、この出窓。現代のように明かりがない時代、上部の採光窓から射す自然光は、茶葉の微妙な色味や風合いを見極めて審査するうえで、欠かせないものでした。ちなみにこの『拝見窓』、現在も使っているんです」と中村さん。正面ではなく真上から一定の光量を得て、より作業の正確性を高めるという発想。大正期の茶商屋敷は、かくも興味深いものかと感心させられる。

店員さんの後ろ、現在も使用される拝見窓。かつては道路側にせり出した出窓の平台の部分に茶葉を置き、真上の採光窓からの日光で選別作業をしていたそう

ちなみに「中村藤吉本店 宇治本店」の内外そこかしこに、宇治市が作成した、茶商屋敷に関する説明札が立っている。こちらが<宇治の重要文化的景観>に選ばれているからだ。これを読み回っているだけで楽しいのだが、肝心のお買い物もお忘れなく。思い思いに自分づかいの品や、おみやげを買って店を出れば、今回のタイムトラベルも終わりとなる。

「拝見窓」の説明札。店内ではなく、屋外、道路側に立っている(撮影/岡野孝次)

「中村藤吉本店 宇治本店」に足を運ぶ理由。もちろん充実の抹茶スイーツもあるが、お茶席体験ができること、あとはお店の歴史、茶商建築の奥深さに触れられるのも大きな魅力だ。夏は青空に映える「平等院鳳凰堂」や、7月初旬にかけて見頃を迎える「三室戸寺」のアジサイなど、宇治には見どころがいっぱい。その流れで「中村藤吉本店 宇治本店」に立ち寄るのもいいが、ここを目的に訪れ、時空の旅を楽しむのもおすすめだ。

東京でも「中村藤吉本店」の味を!

\中村藤吉本店 銀座店/

本店にはない「別製まるとパフェ」

「GINZA SIX」にも「丸に十」ののれん。ここだけ京都の雰囲気が色濃く漂う

2017年の「GINZA SIX」開業と同時に東京進出を果たした「中村藤吉本店」。こちらの支店も、今も行列ができる人気ぶりだ。商業ビル中の立地だが、「丸に十」の屋号が書かれたのれんが目に飛び込むと、それだけで京都を訪れた気分になる。店頭では「中村藤吉本店」の銘茶のほか、抹茶ショコラを抹茶クッキーで挟んだ「茶Colate」などの焼菓子、銀座店限定「生茶ゼリイ 深翠」などの冷たいデザートも販売。カフェだけでなく、物販も評判だ。

内装も本店カフェを想起させる雰囲気。窓の向こうには、みゆき通りの景色が見下ろせる

カフェでは宇治本店同様、抹茶を中心に宇治茶を使ったあんみつやぜんざい、パフェなどを提供。そして忘れてはならないのが、銀座店限定の「別製まるとパフェ」だ。「別製」とは特別なお茶につけられる名前で、葉を手積みした碾茶、最高級の抹茶のこと。その甘みや苦み、旨味がふんだんに味わえるパフェで、トッピングされた「別製抹茶アイスクリーム」は、まず気品のある抹茶の香気が鼻を抜け、そのあとミルクのコクと旨味が押し寄せてくる。

\銀座店限定「別製まるとパフェ」/

「別製まるとパフェ」(2200円)。別製抹茶アイスクリームは手摘み碾茶のみ使用の最高級のもの。シフォンケーキ、生茶ゼリイ、餡も抹茶味。ベリー、渋皮栗、さくさく小豆、ミルクソフトクリームなど盛りだくさん

また、てっぺんの「「まるに中」(中村家の落款)の部分。屋号を描く抹茶には、薄茶に適した爽やかな味わいの「鮮雲の白」を、下地の抹茶生クリームには濃茶向きで甘みと苦渋みのバランスがいい「成光の昔」を使用。2種づかいで工夫を凝らしている。パフェの底にも、濃茶一服分が入ったソースを忍ばせるなど、抹茶ラバーズに向けた究極のパフェなのだ。

取材メモ/抹茶スイーツだけでなく、中村藤吉本店の歴史、宇治茶の世界に触れられる場所が「中村藤吉本店 宇治本店」だ。いつも京都に来たら京都駅の「中村藤吉本店」を訪れるという貴方も、そうでない方も。今度、古都に訪れたら「そうだ 宇治、行こう」。京都駅から最速で20分弱と、アクセスもいいですよ。

取材・文/岡野孝次 
撮影/三國賢一(「中村藤吉 宇治本店」)、伊原正浩(「別製まるとパフェ」のみ)

\やっぱり京都は最高です/

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