8月29日(月)は「焼肉の日」。せっかくなら焼肉をいつも以上においしく味わいたい!そこで“焼肉界のカリスマ”森田隼人さんに焼肉の作法をうかがいました。この方、焼肉好きたちの社交場「六花界」、予約1年半待ちの「初花一家」などの人気店の仕掛け人なのです。早速、森田焼肉道場に入門です!
Yahoo!ライフマガジン編集部
教えてくれたのはこの人
もりたはやと●1978年生まれ、大阪府出身。2009年に神田駅のガード下に立ち飲み焼き肉店「六花界」を開店。以降、都内各所に「初花一家」「吟花」「五色桜」「CROSSOM MORITA」の極上の肉と日本酒が楽しめるグループ店を展開する。
森田隼人直伝
「焼肉を最高にうまくする5つのテク肉(ニック)」
1.網や鉄板に「牛脂」を塗って下準備
2.ホルモン⇒赤身の順で食す
3.「3度焼き」こそ究極かつ王道
4.タン焼きは熟練の店員におまかせ
5.サイドメニューでさらにおいしく
1.網や鉄板に「牛脂」を塗って下準備
肉を焼く前に牛の脂身である「牛脂」を網や鉄板全体に塗りこみます。すると、牛脂&牛肉のコラボレーションが肉のうまみをさらに引き立ててくれます。ナタネ油やサラダ油をあらかじめ塗る焼肉店もありますが、油の自己主張が強く、時間経過とともに肉よりも油の味しかしなくなてしまうんです。網や鉄板に塗るのはやはり牛脂が一番!
火加減は常に「中火」を意識してください。これがベストの焼き加減を演出します。強火は肉をむやみに焦がすだけ、弱火だと肉をしっかり焼けずにおいしさが半減してしまいます。
ちなみに肉を真剣に食べるのであればカウンター席を陣取る。職人さんが肉を目の前で切る姿やタレの仕込みを見るのはライブ感があって楽しいですよ!
2..ホルモン⇒赤身の順で食す。焼き位置にも注目
最初に注文して欲しいのはホルモン系のお肉。ハツ、レバー、マルチョウ、シビレなどですね。なぜか。ホルモンの脂の中に含まれているうまみ成分は消化酵素の働きもあるので、すぐに消化してくれるからなんです。これで序盤で胃が重たくなることがありません。おなかがいい感じに満たされてきたらハラミ、ロースといった赤身の肉をいただきましょう!
それぞれの肉の焼き位置にも注意を払ってください。赤身系の肉は網や鉄板の中心で焼き、それを囲むようにホルモン系の肉を配置しましょう。七輪や鉄板はやはり中心部分が最も高温。赤身の肉を端の方で焼いてしまうと必ず焼きムラができてしまいます。中央に置いて赤身の肉全体にしっかり火を通してあげるとおいしく焼きあがります。一方、ホルモン系のお肉はどれも大きいサイズではないので端に置いてゆっくり火を通せば十分な焼き加減になります。
3.肉の「3度焼き」こそ究極かつ王道
中火で網が温まっている状態から肉を焼き始めてください。肉の種類や厚さににもよりますが、肉を網の上で2回裏返す3度焼きが基本となる焼き方と考えましょう。
たとえば、薄めのサーロインを焼くなら、まずは網に置いて5秒程度焼く(1度目の焼き)。焼面が軽くあたたまったら裏返す(2度目の焼き/1回目の裏返し)。すると肉が緩んで肉汁がふわっと浮いてきます。この肉汁をこぼさないように焼くのもポイントです。また5秒程度焼いたら裏返してさらに5秒焼く(3度目の焼き/2回目の裏返し)。5秒、5秒、5秒のトータル15秒。これで柔らかくて、香ばしくて、肉汁が詰まった肉が焼きあがります。
4.タンを焼くのは熟練の店員におまかせ
上手に焼くのが難しいのがタン。厚さ5ミリ以上のタンになると素人の手に負えないというのが持論です。他の肉は中火焼きが理想ですが、タンは弱火で念入りに焼くのが適しており、ほんのりピンク色になる頃合いの焼き加減を判断する高い技術も必要なのです。ですので、タンだけは熟練の店員さんに焼いてもらうのが良いでしょう。無理をせずその道のプロにゆだねてしまう、こんな柔軟さも持ちあわせる。結果、おいしいタンを味わえるのですから(笑)。
タンを焼く前に自分たちでできることもあります。タンの解凍です。消しゴムかと思うほどカッチカチの冷凍されたタンが運ばれてくることがあるんです。その際は、しばらく放置して解凍してください。十分に解凍できたところで、店員さんを呼んでください。
5.サイドメニューで焼肉をさらにおいしく
焼肉との相性が抜群すぎるライスですが、食べ過ぎてしまうと焼肉をたくさん食べられなくなりますよね(苦笑)。一切れの肉に対して一口のご飯で止めることが大事です。
そして炭酸系のドリンクは避けたいところ。ビールは油を流してくれるから良いのですが、炭酸系はそれでおなかが膨れてしまいますから。
韓国焼肉店であればカクテキなどの野菜を注文する のもオススメです。カクテキには血行良くして消化不良を助けてくれる働きがあるので焼肉にはもってこいのサイドメニュー。
僕の場合は必ず「生卵」を注文します。お店のメニューになくても頼み込んで出してもらうほど重要な一品。卵黄は天才です! どんなお肉でも卵黄につけて食べる、ご飯をかきこむ。……もう何がダメですか? 何もかもが良いですよね!! 完璧です。
焼肉を堪能するためのエトセトラ。なんだが難しそうだなと感じる焼き方も実際トライしてみると案外簡単にできてしまうからご安心を。あとは心ゆくまで焼肉をほおばりながら楽しい宴を満喫して!
取材・文=中田宗孝、撮影=大西尚明