誰でも楽しめる琉球版ミュージカル「組踊」の鑑賞ポイント

2019/07/19

誰でも楽しめる琉球版ミュージカル「組踊」の鑑賞ポイント

琉球王国時代、中国から訪れる皇帝の使者・冊封使をもてなすために誕生した組踊。琉歌のリズムでせりふを唱え、音楽で喜怒哀楽を表し優雅に舞い、物語が展開する。庶民には縁遠い宮廷劇と思いがちだが鑑賞方法が分かれば、十分楽しめる、いわば「琉球版ミュージカル」。鑑賞のポイントを聞いた。

琉球新報Style

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音楽・踊り・せりふ、聴いて楽しむ「組踊」

上演300周年を迎える組踊は、沖縄が世界に誇る伝統芸能。国の重要無形文化財、ユネスコの無形文化遺産に指定されるなど、芸術的価値は国際的に認められている

「組踊を見たことがない方にご覧いただきたいのが、鑑賞教室です。楽しみ方のポイントを初心者向けに紹介していますので、気軽にご来場ください」と話す、芸術監督の嘉数道彦さん。

演者としても活躍中の嘉数さんは、「組踊はストーリーのある演劇で、見るものではなく聴くものと先輩方に教えられました」と語る。せりふは琉歌の形式で男性・女性・若衆(少年)それぞれのメロディーにのせて歌うように唱えられ、男性演者の声であっても旋律や抑揚の違いで、どの役柄の言葉か判別できる。また演者は大きくは動かず、三線を中心とした地謡(じうてー/楽器演奏者)が奏でる音色が感情を表すなど、表現方法の特徴を説明する。

野原遊びをしているあまおへ一行に近づき、父・護佐丸の敵討ちの機会をうかがう兄弟。会場は緊張感に包まれる(組踊「二童敵討」より)

音楽・踊り・せりふという三要素が組み合わさって成り立つのが組踊で、どれも欠かせない。

「演者の発するせりふに聴きどころがあり、音楽の力で喜びや悲しみを届ける。だから、聴いて楽しむものと言われるんですよ」

また組踊は、琉球と中国の国同士の交流を円滑に進めて深めるために作られた舞台芸能。そのため内容は中国の人々に浸透していた儒教思想を取り入れたものが多く、親に孝行を尽くす、主人への忠誠心を描く、といった展開の演目が中心だ。

身近になった組踊

国立劇場おきなわ 芸術監督 嘉数道彦さん

物心がつく前から祖母に連れられてウチナー芝居を観に行き、見よう見まねで踊って歌っていたという嘉数さん。

「4歳で琉舞道場に入り、ずっと沖縄芸能が大好きでした。本格的に学びたくて県立芸術大学に入学し、そこで初めて組踊に触れました。様式を知り稽古を重ねるうちにすっかりのめり込み、この道に進みたいと思ったんですよ」と嘉数さん。

一般の人はもちろん、琉球舞踊を嗜んでいても、身近ではなかった組踊。だが2004年に「国立劇場おきなわ」が開場したことで公演数が増え、研修生制度ができ演者も増えていった。また、内容の理解を助けるため、解説付きで子どもから大人まで楽しめる鑑賞教室を開催している。

組踊初心者にオススメ

「組踊への入り口を広くする公演です」と嘉数さんに案内され、「組踊鑑賞教室 二童敵討」を見学した。「第一部:組踊の楽しみ方」は、案内役の玉城匠さんの解説で300年前へタイムスリップ。まずはじめに踊奉行の玉城朝薫親方の手で組踊が創始されたことが語られた。続いて弊紙記者の一人が舞台に上がり、首里城へと旅をする即興組踊に挑戦! 網笠をかぶって杖をつき、地謡の演奏にのって動きを教わりながら歩いていくと、景色が変わったことや食事をしようなど玉城匠さんに告げられる。

「舞台を歩くことで、場面が変わるという表現も特徴のひとつ。音楽とせりふを聴きながら、頭の中で風景を想像してください。組踊は大切なことを教えてくれる沖縄の宝ですよ」という玉城さんの案内に、初挑戦した記者は感銘を受けたと語る。

第二部で上演された「二童敵討」は、1719年の組踊初演作で、初心者にも分かりやすいとされる玉城朝薫の代表作。「あまおへ(阿麻和利)に滅ぼされた護佐丸の二人の遺児が、敵討ちをする」物語だ。父を失い母と別れる兄弟の悲しみを、物悲しい演奏と息の合った踊りで表現し、酒に酔って大盤振る舞いをするあまおへの人物像を描いており、組踊初心者の記者でも十分楽しめた。

「夏休み開催の鑑賞教室は、シンデレラを組踊にし出演希望者を客席から募ります。『女物狂』は、母親と誘拐された子どもの心温まる物語。子役が活躍する、親子鑑賞にふさわしい演目です」と嘉数さん。

組踊を知るきっかけとなる鑑賞教室。琉球の古典芸能をぜひ体験してほしい。

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