40年変わらないCMでおなじみ!埼玉の銘菓・十万石まんじゅう

2019/07/17

40年変わらないCMでおなじみ!埼玉の銘菓・十万石まんじゅう

発売から67年、長く地域で親しまれてきた、銘菓・十万石まんじゅう。創業から変わらないおいしさを守っている、株式会社十万石ふくさやに、十万石まんじゅうのこだわりと和菓子作りへの熱意を聞いた。

中広

中広

おいしさを追求し続けた創業者の和菓子への情熱

「うまい、うますぎる」。埼玉県民なら、このせりふを聞けば誰もがピンとくるだろう。40年間変わらないテレビCMでおなじみの和菓子、十万石まんじゅうのキャッチフレーズだ。

もちもちとして弾力のある皮に包まれたあんこは、甘すぎず、口の中に後味を残さないさっぱりとした食べやすさ。その味は、発売から67年が経った現在でも、変わらず地域に愛されている。

60年以上も変わらない十万石まんじゅうのおいしさ。さっぱりした甘さともちもちした皮が自慢だ

目を引くのは、表面に押された十万石の焼き印。そのデザインと商品名を考案したのは、株式会社十万石ふくさやの創業者、横田信三(のぶぞう)さんだ。江戸時代の行田市近辺を領土としていた、忍(おし)藩の石高が10万石であったのにちなんで、市の名物になるようにとの願いを込めて命名したのだという。

焼き印はひとつずつ手押しで提供。オリジナルの焼き印も100種類以上存在する

和菓子や洋菓子を製造・販売する十万石ふくさやが創業したのは、昭和27年。戦後、配給制となっていた砂糖の流通が解禁されたばかりの頃だ。

創業した当時の店舗。現在の行田本店となっている建物は明治16年に建てられたもので、平成19年には、歴史ある建築物として国の登録有形文化財に指定された
横田京子さん

横田京子さん

株式会社十万石ふくさや 取締役社長室長

学生時代に遠縁の紹介で和菓子職人に弟子入りし、その頃から菓子屋の起業を目指すようになった信三さん。その後、戦争に見舞われ、7年間にわたる兵役を経ても、気持ちは変わらなかった。終戦後に故郷の行田市に戻り、地元商店街で開業。その時からの主力商品が、十万石まんじゅうだ。

開店当初は売れなかったものの、当時は珍しい、男性給仕の衣装で売るスタイルがうけ、徐々に地域から認知されるように。やがて、そのおいしさが評判となり、人気を得ていった。しかし売り上げが伸びると、今度は生産量の壁に当たってしまう。

ひとつずつ手作りで提供していた当時の十万石まんじゅう。1 日に作れる量はひとり300個ほどで、販売数には限界があった。買いに来てくれた人たち全員に味を楽しんでもらいたいのに、生産が追い付かない。そこで目を向けたのが、大量生産できる機械設備の導入だ。昭和38年、業界に先駆けて工場を整備し、製造ラインを安定化。誰もが手軽に買えるよう、生産力を高めた。

昭和54年には、テレビ埼玉の開局と同時にCM契約を結び、コマーシャルを制作。認知度はさらに向上し、地域で知らない人はいないほどの人気商品となった。

全国行脚で見つけ出した理想の素材にこだわる気概

埼玉県内で長きにわたり親しまれる銘菓。現在は、少ない日でも1万個以上を作り、県内外39店舗で販売している。

おいしさの秘密は、材料へのこだわり。北海道産の小豆と、甘さを支える特別精製のざらめ糖、生地を作る新潟県産コシヒカリの米粉と、産地を厳選したつくね芋。いずれも、信三さんが全国を巡り、探し出した逸品だ。

また、ほとんどの製造工程を機械化した現在でも、生地作りは手作業で行う。すりおろしたつくね芋と米粉、水を混ぜ合わせ、最適な柔らかさを作るのは、熟年の技術と経験が必要になる。

製造スタッフは、45人を数える。若手育成のため、定期的に新卒も採用。近年は若い女性社員が増えているのだという

その日の気温や湿度、つくね芋の状態により、水の量やこねる力の入れ具合は違ってくる。ほんの少しの加減で、独特のもちもち感など、食べ応えが変わってしまうのだ。「常に同じ味を再現し続けられるように、日々勉強しています」。

矢澤泰司さん

矢澤泰司さん

株式会社十万石ふくさや 和菓子工場長

ふかしたては、生地の風味が香る最もおいしいタイミング。店頭で買った商品も、自宅で再度ふかしてから食べるのが、おすすめだという

味だけでなく、地域を盛り上げるアイテムとしても、十万石まんじゅうは愛されている。代表的なのが、埼玉県内を舞台にした映像作品とのコラボレーション。映画『翔んで埼玉』やテレビドラマ『陸王』のタイトルを焼き印にしたものなど、制作会社の依頼で、期間限定商品を販売している。

作品とコラボレーションした十万石まんじゅう

人気映画『翔んで埼玉』とコラボレーションした十万石まんじゅう
テレビドラマ『陸王』など、地域を題材にした作品を使った期間限定商品も販売している

このほか、特別製の焼き印は、地域の銀行や幼稚園からも製作依頼が来るという。まんじゅうに名前を焼き入れた記念品や贈呈品として、活用されているのだ。ストラップ化などグッズ展開も進んでおり、埼玉県のご当地品として、活躍の場を広げている。今後も多くの人が楽しめるよう、依頼には積極的に応えたいと、京子さんはほほ笑む。

創業から伝承してきた味。だが、現在は苦境に立たされている。つくね芋などを育てている農家が、高齢化などの理由から減少し、材料を確保しづらくなっているのだ。それでも京子さんは、味へのこだわりを変えるつもりは一切ないと言い切る。近年は同じ品質を求めて、新たな産地のつくね芋を使用するなど、試行錯誤を重ねている。先代に倣った材料探しの行脚も模索中だ。

その他の商品ラインアップ

【十万石ふろらんたん】アーモンドとキャラメルと使ったお菓子
【はにわさぶれ】はにわの形がかわいいサブレ
【きらら 抹茶味】チョコとチーズの焼菓子・は6月の新商品

常に時代を先取りしながらも、伝統を守り和菓子作りにまい進してきた同社。行田市の誇る銘菓が、いつまでも手軽に食べられるものであってほしいと願う。

この記事を書いたライター情報

中広

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中広は岐阜に本社を置く広告会社です。 地元の情報を各戸配布のハッピーメディア(R)『地域みっちゃく生活情報誌(R)』のブランドで発信しています。

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