そば好きが高じて開店。峠道の民家で“三たて”そば/福島

特集

【特集・第1回】地元人が推薦! グルメ甲子園 〜 蕎麦編 〜

2019/08/14

そば好きが高じて開店。峠道の民家で“三たて”そば/福島

挽きたて、打ちたて、ゆでたての正統派に加え、新感覚そばも人気。好みのそば猪口を選べるのも嬉しい。(シティ情報ふくしま)

Yahoo!ライフマガジン編集部

Yahoo!ライフマガジン編集部

そば好きならではのこだわり満載。開店3年でリピーター続出の店

築40年ほどの民家を改装。開口部が多く、店内には心地よい風が抜ける

福島県の中央部、郡山市から会津方面に向かう国道49号沿い。市街地を抜け、峠道らしい勾配を進むと、ふと「そば店」の看板に出合う。「そば家 やまき」は自家製粉、石臼挽きが自慢の店。開店3年にして、県内外からリピーターを迎える人気店だ。

店主の大山雅之さん

そば好きが高じて早期退職、開店へ

店からは四季折々、山の自然を眺めることができる

店主、大山雅之さんがそば打ちを始めたのは20年ほど前のこと。それからそば打ちの奥深さにのめり込み、55歳の時にそれまで勤めていたJRを早期退職し、「やまき」を開店した。

店は、築40年ほどの民家を改装。車の往来の多い国道沿いながら、ちょっと小高い場所なので店内は静かだ。日当たりのよい明るい店内からは、春のしだれ桜に秋の紅葉、そして冬の雪景色と四季折々の豊かな自然を望むことができる

明るい店内。欄間や柱、床の間などはそのまま活かした
店主 大山さん
店主 大山さん
「そば店を開くかどうか迷っていた時、栃木県八溝のイベントで4時間並んで“蕎麦の神様”と呼ばれる高橋邦弘さんと握手をしたんです。思えば、あれで背中を押されて開店を決意したように思います」

挽きたて、打ちたて、ゆでたて。香り豊かなそばが自慢

「鴨つけ蕎麦」(並盛り1300円)は、コクのある温かい鴨つゆに加え、別盛りで鴨のローストが添えられる

そば粉は、会津産をベースに北海道や福井産の在来種をブレンド。毎日玄そばを石臼で自家製粉する。異なるそばを合わせることで、香りを段階的に楽しむことができるという。つゆは、高知県産土佐清水の本枯節と宗田節、サバ節でダシを引き、日高昆布で味を調える。人気の「鴨つけそば」の他、「小海老の天ころ蕎麦」(並盛り1100円)、「とろ玉つけ蕎麦」(同950円)など、メニューは多彩だ。

大山さん
大山さん
香り高く、喉ごしの良いそばを、濃いめのつゆでさっといただく。そんなそばの醍醐味を味わってほしいですね」
ライター 畠山
ライター 畠山
「産地の違うそばを組み合わせるのは、香りを楽しむためなのですね」
大山さん
大山さん
「そば粉によって、最初に香りがたつものや、後から香りを感じるものなど違いがあります。それぞれのそばの個性を味わっていただけたらと思います」
毎日玄そばを挽く石臼。大山さんは毎朝早朝から仕込みを始めるという
前菜3種盛り

いずれのそばにも、前菜3種盛りが付く。これは、そば屋で酒を楽しむことを指す“そば前”をイメージしたもので、そば豆腐や揚げそばがき、そば稲荷などが登場する。揚げそばがきは、自作の型で福島県の形に仕上げる。また、大山さんの実家で作られる野菜も前菜や天ぷらなどに用いられるという。

まるでカルボナーラ。夏限定のアボカドソースのそば

アボカドソースのグリーンと、透明感のあるジュレが涼しげ

そして、この夏話題となっているのが「アボカドソースのジュレ蕎麦」(1,200円、9月上旬頃まで)だ。アボカドと山芋を合わせたソースにそばつゆのジュレ、そして季節の野菜と温泉卵を合わせた新感覚のそば。スプーンとフォークも添えられ、まるでカルボナーラのよう。そばつゆをかけ、全体をよく混ぜて食べるのがおすすめだ。

大山さん
大山さん
「夏らしいものをということで考えました。ジュレの乗せ方やソースの濃さなど、試行錯誤を重ねました」
ライター 畠山
ライター 畠山
「何といっても見た目がきれい。ボリュームもあるので、そばだけでは物足りないという方にもおすすめですね」

集めたそば猪口は300超。好みのものを選んで使える

店内に並ぶそば猪口
多彩なデザインのそば猪口は、眺めるだけでも楽しい

店内の壁には、所狭しとそば猪口が並ぶ。大山さんが趣味で集めたそば猪口は、今や300を数えるという。全国各地の焼物や北欧のデザイン、さらにキャラクターもの、そして福島県ならではのものもあり、見ているだけで楽しい。そして、客は実際にその中から好みの猪口を選び、使うことができるのだ。

左は珍しいピンク色の相馬焼。右は会津の縁起物「起き上がり小法師(こぼし)」がモチーフ
ライター 畠山
ライター 畠山
「寄贈も受け付けていたり、人気投票を行ったり、そば猪口愛が深いですね」
大山さん
大山さん
「お気に入りのそば猪口を自宅から持参して置いておくお客様もいらっしゃいます。その方が来店しそうなときには、他のお客様が使わないようにそっと取り置いたりすることもあります」

取材メモ/明るく清潔感のある店内、丁寧な応対、そしてブレのないおいしいそば。元JRマンという店主、大山さんの真面目で謙虚な人柄が随所に感じられる店です。常にお客様の声も受け止め、試行錯誤を重ねているそうで、頭が下がります。

…余談ですが、店の裏には、JR磐越西線の中山宿駅スイッチバック遺構(旧駅)があるそうで、なるほどここは峠なのだと実感。大山さんとのJRつながりもおもしろいと思いました。

取材・文・撮影=畠山久美

シティ情報ふくしま

シティ情報ふくしま

毎月25日発売、定価450円

福島県福島市を中心とした県北エリアで販売しているタウン情報誌。外食や買い物、イベント情報など、読者の毎日をもっと楽しくするお出かけ情報を掲載。毎日情報を更新する「日刊シティ情報ふくしまWeb」配信中。

この記事を書いたライター情報

Yahoo!ライフマガジン編集部

Yahoo!ライフマガジン編集部

グルメ、おでかけ、イベントなど、ライフスタイルを豊かにする情報を編集部が厳選して紹介します。

SPECIAL

SERIES