透明感、清々しい味、素直な美味しさを追求する手打ちそば/宮城

特集

【特集・第1回】地元人が推薦! グルメ甲子園 〜 蕎麦編 〜

2019/08/14

透明感、清々しい味、素直な美味しさを追求する手打ちそば/宮城

景色、空間、素材、手作り……魅力いっぱいの手打ちそばの店を紹介します。(「せんだいタウン情報S-style」)

Yahoo!ライフマガジン編集部

Yahoo!ライフマガジン編集部

一から手作り、手作業で、納得できるそばを作る

仙台市街地と広瀬川を見下ろせる鹿落坂にあります

そばを自ら石臼で挽き「完全な手打ち」にこだわる「鹿落堂(ししおちどう)」は、甘味や日用品も提供するそばの店。店主のこだわりを詰め込んだ空間が、訪れる人を癒し、手打ちそばの美味しさをより一層楽しませてくれます。

オーナーの兵藤さんご夫婦。ご主人の雅彦さんがそばを、奥様の紅さんが甘味を担当しています

加水率が高く、すっきりとした透明感のあるそばを作る

加水率を高めにして粗挽きのそば粉を打ちます
手早く、かつ慎重な作業でのばしていきます
店主 兵藤さん
店主 兵藤さん
「宮城県大崎市に『愉多工房』というそば屋さんがあり、そこのそばが本当に美味しくて。そば粉の微妙な調整ができるのは完全な手打ちだからこそだと知り、その打ち方を教わりました」

師匠と同じそばを打てるようになりたいという思いで一途に追求。2年ほどそば打ちを続けた末、広瀬川の見える今の場所に出会い、ここでそばを提供したいと思ったそう。

ライター 扇
ライター 扇
「修業はどのようにされてきましたか?」
兵藤さん
兵藤さん
「師匠にきっかけを頂いたあとは独学でした。ここをオープンしてからも、スタッフやお客様の声を聴きながら、少しずつ変化しています」
季節に合った食感を意識して太さを変えています

玄そばを石臼で挽きぐるみにした十割そばがメイン。二八そばも合わせ、平日50食、週末は80食分を一人で打ちます

宮城県「今野醸造」の醬油と粗糖、みりんを煮詰めた「返し」。2週間ほど寝かせることでまろやかな味になるそう

イノシン酸やグルタミン酸といったうまみ成分をしっかり出すために利尻産昆布、国産乾燥椎茸、アゴを1日かけて水出ししてから、本枯節の厚削り、薄削りを加えて出汁をとり、返しを合わせます。様々な文献も読みながら試行錯誤し、たどり着いたという渾身のつゆが完成します。

宮城県大崎市鳴子の契約農家から仕入れる玄そば。丸抜きの白いそばは二八で使います
師匠に教わりながら手作りした石臼
ライター 扇
ライター 扇
石臼も手作りとはすごいですね! なぜそこまでこだわったのでしょうか」
兵藤さん
兵藤さん
粗挽きにすることで大小いろいろな粉が混ざり、透明感が出ます。その挽き具合も師匠のものに近づけたいと思い、同じように石臼から手作りしました」

師匠のそばを再現するために必要だった「完全な手打ち」と「手作りの石臼」。兵藤さんの素直な人柄がそば作りのベースになっているようです。

多くの力を借りて実現している、好きなものを集めた店づくり

15時からは甘味を提供。ミニサイズのあんみつとわらび餅が味わえる「甘味御膳」(抹茶付き980円)が人気です
暮らしの道具など、国内の手工業者が制作した日用品も販売
お膳で使われていた食器を探すのも楽しみです

甘味もできるだけ信頼できる素材を使い、毎日手作り。うつわや調理道具といった職人技が活きた伝統ある品々にも惹かれ、暮らしの日用品も扱います。店舗の外装は県内杉を柱としたガラス張りで、仙台の街と広瀬川が一望できる造り。時折、ライブなどのイベントも開催します。
音楽や飲食など、様々な仕事を経験をしてきた兵藤さんが好きなことを詰め込んだ「鹿落堂」。「一人ではできません。いろんな方々の力を借りてこの形になっています」と話します。

誠実にインタビューに答える兵藤さん
兵藤さん
兵藤さん
「オープンしてからも様々な方に出会い、仕事が充実してきました。そばも多くの方に食べて頂きながら、自分らしいものになってきたと思います」
ライター 扇
ライター 扇
「そばは香りも楽しみの一つかと思いますが、兵藤さんのおそばは優しい風味ですね」
兵藤さん
兵藤さん
強く香りを出すよりも、食べやすくて素直に美味しいと思えるそばが好き。味が良いそばにしたいとか、夏はするっと食べたいとか、そのような自分の思いがそばの個性になっているのかもしれません」
宮城県鳴子産のそばを100%使った「自家製粉手打ち十割挽蕎麦御膳」(天ぷら、小鉢、茶碗蒸し、わらび餅付き2100円)。みずみずしく弾力があり、すっきりした後味の十割そばです
丸抜きのそばを粗挽き。しなやかさが特徴の「手打ち二八そば」(900円)

石巻市の雄勝硯、大崎市の篠竹で作った竹ざるなど、店頭で販売もしている宮城県の工芸品は、メニューを提供する際にも使用しています。そうしたアイテムに触れられるのもこの店の楽しみの一つ。ぜひゆったりと時間をとって訪れて欲しいお店です。

アンティークなども配された店内。開放的な2階席が人気です

取材メモ/完全な手打ちにこだわり、毎日大切にそばを提供する「鹿落堂」。そばと日本の手仕事の魅力をたっぷり味わいながら、日常の暮らしも丁寧にしたくなるような、そんな気持ちにさせてくれるお店でした。

取材・文=扇かおり 撮影=齋藤太一

せんだいタウン情報S-style

せんだいタウン情報S-style

毎月25日発行、450円

仙台・宮城のグルメ、レジャー、ニューショップなど、話題のスポットを幅広く紹介。地元の人々に愛され続けて43年のタウン情報誌。この1冊で仙台の“今”が分かる! 発行部数:60000部。

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