那覇から近く、帰路にも寄りやすい! 沖縄県南部の世界遺産3選

那覇から近く、帰路にも寄りやすい! 沖縄県南部の世界遺産3選

2019/08/03

沖縄にある9つの世界遺産「琉球王国のグスク及び関連遺産群」。その中から、那覇を中心に気軽に巡りやすい3スポットをご紹介。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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栄華を極めた琉球王国を象徴する首里城から、霊験あらたかと崇拝される聖地まで

沖縄に降り立ってからすぐに出発しても大丈夫! 那覇を中心とした世界遺産をめぐる旅

ショッピングにグルメ、海水浴などアクティブな沖縄観光とは一味違った、独特な建築様式や文化、歴史にあふれた世界遺産を巡る、アカデミックな観光プランを紹介しよう。

\この3スポットを紹介!/

1.首里城公園
2.識名園
3.斎場御嶽(せーふぁうたき)

1.首里城公園(那覇市首里)

2019年2月に初公開された「御内原(おうちばら)エリア」に注目!

1500年代に建立され、沖縄戦で焼失したのち昭和33年に復元された「守礼門」

まずやってきたのは、沖縄の世界遺産の代表格「首里城」! さっそく入口で「守礼門」がお出迎えしてくれ、一気に沖縄気分に染まる。

油断していると、こんなところに世界遺産が!

守礼門をくぐると左手に見えてくる石門を発見。急いで正殿を目指すあまり、軽々と通り過ぎないように注意。

なぜならこちらも、世界遺産の「園比屋武御嶽石門(そのひゃんうたきいしもん)」。世界遺産である首里城を目指していくと、入城前にもうひとつ世界遺産に出合えてしまうのだ。国王も出御の際にこの門の前で祈りを捧げていたという、神聖な祈りの場所である。

見よ、この透明度を! 500年近くいる龍頭にごあいさつ

第一の正門・歓会門から次の門へと昇る石段の途中に、澄んだ水を吐き出す龍が。「龍樋」と呼ばれるここの水は王宮の飲料水として使用され、現在まで枯れることなく湧き出ている。龍頭は1523年に中国からもたらされたというから、約500年もの間、絶えず清水を吐き続けているのだ。

急な石段を登り「瑞泉門」、そして「漏刻門」をくぐる。

正午およびその前後の時刻を計るための日時計「日影台(にちえいだい)」
約550年前には正殿にかけられていた「万国津梁の鐘(ばんこくしんりょうのかね)」

当時、城内外に時を知らせる太鼓を叩いていたここ漏刻門では、1739年に設置され1879年の廃藩置県まで使用された日時計「日影台」と、「万国津梁の鐘」(レプリカ)が見られる。

券売所でもある「広福門」で入場券を購入。正殿前の御庭(うなー)へ続く最後の門「奉神門」からは、入場券が必要な有料区域となっている。

琉装に身を包んだ係員に入場券を渡したあとは、いよいよ……

荘厳な姿で私たちを迎え入れる「首里城正殿」

青い空に鮮やかに映える赤い城、やっと来ました「首里城正殿」! 2年3カ月をかけた正殿外部の漆等塗り直し作業が済み、目に飛び込んでくるまぶしいほどの赤が美しい。

軍を引き連れ来城したペリーを、北殿にのみ通し急場をしのいだという

正殿の左は、琉球政府の中枢であり、中国風の儀式で中国からの冊封使(さっぽうし)を歓待した「北殿」。その昔、アメリカの軍人・ペリーが日本来航前に首里城を訪れた際、通されたのもこちら。

日本的な建築の「南殿」では、日本風な儀式で来訪者をもてなした

正殿の右側は、「番所」(右)と、日本風の儀式が行われた「南殿」(左)。

南殿、書院・鎖之間(さすのま)を抜けると、とうとう「首里城正殿」内部へとやってきた。

雲と龍が描かれた朱色の柱を左右に、龍柱を従え王が座る「御差床(うさすか)」 写真:「国営沖縄記念公園(首里城公園)」

正殿2階の大庫理(うふぐい)には、絢爛豪華な玉座「御差床」が。ここからは、正面に御庭が見下ろせ、王の玉座にふさわしい位置と装飾なのである。

戦後、琉球大学のキャンパスが建っていた場所で、そのため遺構が状態よく保たれたと言われている 写真:「国営沖縄記念公園(首里城公園)」

1階に下りると、足元がガラス張りになった部分がある。17世紀以前に建てられた首里城の土台である「遺構」が現存しているのだ。数百年前の人々が丁寧にこの石を組んでいったのだなぁ、と想像しながら見る。この現存する部分が世界遺産に認定された重要な場所なので、しっかり見ておくことをおすすめする。

公開されたばかりの「御内原エリア」

正殿を抜けると、2019年2月に新たに公開された「御内原エリア」が広がる。国王とその家族、女官が住んでいた生活・儀礼空間。国王一家の男性以外は立ち入りが許されず、また、女性たちが外へ出ることも厳しく制限されていたため、詳細な資料が残されていない“ヴェールに包まれた場所”なのである。

入るとすぐに広々とした空間が広がる。正面が未婚の王女の居室「世誇殿(よほこりでん)」、左の建物が「女官居室」、右が台所である「寄満(ゆいんち)」だ。

手前左の空間が「後之御庭(くしのうなー)」、手前右の色の濃い空間は王の側室の住居である「世添殿(よそえでん)」があったとされる。宝物を保存した「金蔵」も、国王が亡くなると一時的に霊柩を安置した「寝廟殿」の跡も資料がなく場所を示すのみ。御内原エリアは秘密のエリアであるがゆえに資料がとぼしく、復元できず場所のみ示されている部分が多い。

「東(あがり)のアザナ」からの眺めは絶景

奥へ進むと物見台「東のアザナ」が。首里城一帯や城下が見渡せる場所で、晴れた日には街並みや海の向こうに久高島(くだかじま)を望むことができる。

「京の内」は、パンフレットの一般コースに入っていないので見落とさないように

続いて、西の展望台「西(いり)のアザナ」を目指す途中、左手に石門のようなものが。さまざまな信仰儀式が執り行われた、城内最大の祭祀空間「京の内」である。

京の内にはいくつもの御嶽が存在し、神女の最高位である聞得大君(きこえおおきみ)らが、国家繁栄、航海安全、五穀豊穣を祈る聖地として崇められた場所だ。

京の内にも高台があり、そちらから眺める風景は息をのむものがある。生き生きと茂る緑の向こうに、正殿の朱の色がはっきりと際立ち、すがすがしい気持ちで満たされる。

「西(いり)のアザナ」からは慶良間諸島が見られる

最後に「西のアザナ」へ到着。那覇市街地から那覇港を、海向こうには慶良間諸島も見える、ビューポイントである。

東のアザナ、京の内、西のアザナを回れば、首里城からの絶景ビューポイントがコンプリートできるはず。

キーホルダーとペンダントチェーンが別売り各200円なので、いつでも首里城の思い出を持ち歩ける!

帰り際、駐車場に続く首里杜館(すいむいかん)付近で見つけたのは、2019年7月からの新サービス、首里城公園記念メダル! 首里城でしか手に入らない記念グッズとして登場したのがこちら。本体400円で24文字まで刻印できるので、早速、名前を彫ってみた。これで落としても大丈夫。

このメダルを握りしめ、次のスポットへ出発!

2.識名園(那覇市真地)

琉球の王が見たであろう景色をたどる贅沢

那覇の住宅街を進むと見えてくる世界遺産「識名園」

次にやって来たのは、琉球王家最大の別邸「識名園」。国王一家の保養や、中国など外国使臣の接待などに使用された重要な場所だ。池の周りを歩きながら景色の移り変わりを楽しむ、廻遊式庭園(かいゆうしきていえん)である。

正門から続く長い石畳は涼しく歩きやすい
正門は現在使用されていないため、正門正面は識名園の外から見ることができる

入場してしばらく行くと、正門から広々とした石畳が続いている。背の高い木立が強い日差しをさえぎってくれており、真夏でも涼しいのが嬉しい

石畳を歩く際は、周りの景色だけでなく足元に注目

石畳をよく見ると、中央は小さい石が縦に丁寧に敷き詰められ、雨の日でも滑りにくいような造りで感心する。両側の幅の広い石は復元で、中央の小さい敷石部分は現存するオリジナルの石畳とのこと! 中央の敷石を踏みしめながら、いにしえの王が歩いた道をたどることにする。

池に流れ込む清水が湧き出る「育徳泉(いくとくせん)」

池の水源のひとつでもある「育徳泉」は、透明度の高い水が湧き出ており、泉の中には国指定天然記念物「シマチスジノリ」が生育している。澄んだ水の底、右側にモズクのように見えるのがそれ。見逃しがちな天然記念物なのでじっくり見つけてほしい。

開放感あふれる「御殿(ウドゥン)」

赤瓦が特徴的な建物は、王の執務や冊封使を歓待した一番座から、台所、茶の間など15もの部屋からなる「御殿」。

手前の三番座から、一番奥がもっとも格式の高い一番座
普段は立ち入り不可の一番座からの眺め

御庭内は、廊下も広く、奥座や外の庭まで見通せる造りで、開放感たっぷり。

王が使用し、大事な外国からの来賓を歓待した「一番座」が、もっとも風通しがよく、景色が素晴らしい。通常は立ち入り不可である一番座から、王が愛でたであろう景色を堪能する。

大きく開かれた跳ね上げ窓の高さに注目

跳ね上げ窓が大きく開き、ため息の出るような景観が広がる廊下。この跳ね上げ窓の高さは、当時の人の目線の高さに合わせて上げられていたとのこと。つまり、外を見ると庭園風景がちょうど額縁のような画角になるというのだ。

王から見た庭園風景に近いはず

調査結果によると、歴代王の平均身長は約155㎝、王妃の平均身長は145cmということなので、撮影者(150cm)から見たこの景色は、限りなく歴代王や王妃と近いものであるはずだ。

池に浮かぶ島にあるのが中国風の「六角堂」

御庭を出てコースを進むと、池に浮かぶ島に小さな建物が。屋根の形や、黒い瓦を使用した中国風の様式で造られた「六角堂」だ。庭園をめぐりながら、客人をこの六角堂でもてなしたとされ、そこから見える池や植物、御庭などがバランスよく見渡せる景色に見とれてしまう。

御庭を中心に、六角堂とアーチ橋が見られる

六角堂から高台に向かう途中で見下ろすと、御庭、六角堂、アーチ橋がすべて見られるベストスポットが! なんて美しいのだ。

識名園の展望スポット「勧耕台(かんこうだい)」

識名園の一番の高台には、展望スポット「勧耕台」がある。その昔、眼下には国民が丹精込めて耕した田畑が広がり、王がそれをねぎらったことから付けられた名称。また、海外の特使にあえて海が見えない景色を見せ、広大な国土を印象付けたともいわれている。

識名園は、外国の客人をもてなす場所なのはもちろん、多くの明かりを取り込む工夫や、抜群の風通しの良さ、建物のどこから外を見ても眼福な景色など、王族が癒された功の方が大きかったのではと感じたのだった。

ちょっと上を見上げてもこの完璧な美しさ

3.斎場御嶽(せーふぁうたき) (南城市知念)

琉球王国最高の聖地であり、現在にいたるまで畏敬の念で守られる聖なる場

神聖な場所として県民のみならず、国内外から多くの人が訪れる

最後にやってきたのは、那覇から車で約40分の南城市にある「斎場御嶽(せーふぁうたき)」。国家的に重要な祭事が執り行われ、首里城と深い関りをもつ琉球王国最高の聖地である。

手すりはあるけれど結構な急斜面なので注意

御嶽へ入るための参道が急こう配なので、足元の悪い雨天時には注意が必要だ。木々がざわめく音と虫の声、風の通る音だけが響く、独特な雰囲気に包まれる。

最初の拝所「大庫理(ウフグーイ)」

ちょっとしたハイキング感覚で登っていくと、最初の拝所「大庫理(ウフグーイ)」が見えてきた。大広間や一番座という意味の通り、前面には広々とした石畳の祈りの場「ウナー」がある。

奥に見えるのが、祈りの際に使用する香炉

拝所には、祈りの際に線香を置いて使用する四角い香炉が見られる。現在も使用されている神聖なものなので、触れることは厳禁だ。

次の拝所「寄満(ユインチ)」

次に見えてくる拝所は「寄満(ユインチ)」。大岩と覆いかぶさるような木々に、圧倒的な迫力を感じる場所だ。

上の鍾乳石から落ちてくる聖水を受ける2つの壺
2つの壺には絶えず鍾乳石から水が落ちている

続いては、上にある2本の鍾乳石からしたたり落ちる“聖なる水”を受ける、2つの壺が置かれた「シキヨダユルアマガヌビーとアマダユルアシカヌビーの壺」。静かに水が落ちているのを見ているだけで、なんだか清められる気持ちに。

2つの岩が絶妙に支えあう不思議な光景
岩を抜けた突き当り(左)が三庫理、右がチョウノハナ

そして最後が、「三庫理(サングーイ)・チョウノハナ」。2つの岩が重なり三角形を作っている場所で、突き当りが「三庫理」、その右側が「チョウノハナ」という2つの拝所だ。

神の島「久高島」が見える!

三庫理の左手には海と空が広がっており、その向こうに見えた! 沖縄で“神の島”と呼ばれる久高島だ。

また、三庫理の足元からは祭事に使用された勾玉や青磁器、銭貨が発掘されており、いかに琉球王国にとって重要な場所であったかがわかる。

小さな島の世界遺産3スポットを巡るミニトリップはいかがだっただろうか。きらびやかな城に厳粛な庭園、神の存在を感じるような神聖な場所。計算され、バランスの取れたその甘美さを享受しながら、それぞれの場所がたどった歴史を知り、その時代に確かにいた人々に思い寄せる。是非そんな体験をしてほしい。

取材メモ/首里城の大奥「御内原」のミステリアスさにザワザワし、識名園で王・王妃気分で園内を優雅に歩いた。ロマン! 斎場御嶽は県民にとって神聖な場所過ぎて、これまで足を踏み入れることができなかった場所。貴重な初体験ができた。

取材・文・撮影=鯉沼千春

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