秋田市にそば好きを唸らせる店があります。シンプルな旨さで、酒の〆にぴったり。「酒庵 田なか」を取材しました。(月刊あきたタウン情報)
Yahoo!ライフマガジン編集部
ランチにしっかり、酒の〆にサラッと。昼も夜も譲れない!
「酒庵 田なか」は、秋田市泉の閑静な住宅街にある居酒屋。旬と手作りにこだわり、男鹿産青大豆・あきたみどりを使った手作り豆腐や自作の器を使うほか、自ら釣った鮎を提供しています。また、秋田の地酒や県外酒が常時70種類以上。希少な銘柄も揃えています。
香りと食感をしっかりと出した、国産そば粉を使ったそば
数あるメニューの中でも不動の人気を誇るのは、手打ちそば。角館産と北海道産のそば粉をブレンドし、長芋をつなぎに使った香り高い逸品です。つゆはカツオ節やサバ節のほか、返しに使う醤油にもこだわりが。一番人気の「もりそば(並)」600円は、シンプルにそば本来の味が楽しめます。
- ライター 遠藤
- ライター 遠藤
- 「居酒屋さんでそばを出そうと思ったきっかけは何ですか?」
- 店主 田中さん
- 店主 田中さん
- 「そばが好きだから。それに、そばはさっぱりしているし身体にも良いでしょ。飲んだ後の〆に何が良いかな、と考えた時にそばがピンと来たんです」
- ライター 遠藤
- ライター 遠藤
- 「相性が良さそうですね!」
- 田中さん
- 田中さん
- 「もちろん昼に来てがっつり食べていく方もいるし、夜お酒を楽しんだ後に『ハーフ』でさらっと〆る方も多いです」
- ライター 遠藤
- ライター 遠藤
- 「『もりそば』のほかにそばメニューはありますか?」
- 田中さん
- 田中さん
- 「冷たいのも温かいのもありますよ。全部で9種類ですね」
シンプルな味わいのそばはキレが良く、辛めのつゆに付けて味わうと、そばの風味がふわりと鼻に抜けます。その香り高さと歯ごたえのある食感は通も唸るほど。日本酒と合わせて味わえば、旨さも倍増です。
趣味のそば打ちが、今では譲れないこだわりに
店主の田中さんがそば打ちを始めたのは、20年ほど前のこと。理由は、住んでいたアパートの向かいにそば屋があったから、なのだとか。
- 田中さん
- 田中さん
- 「日本酒をよく飲むので、酒と相性の良いそばも大好きなんです。好きが高じて自分でやってみようと思いました」
同時期に秋田市にある居酒屋の名店で修行を積んでいた田中さん。調理や接客のノウハウをしっかりと身に付けていきました。
そろそろ自分の店を……と決意し、思い描いたのは「ゆっくりとくつろげる店」。店内には木をふんだんに使い、手作りにこだわった、居心地の良い空間が出来上がりました。
- ライター 遠藤
- ライター 遠藤
- 「温もりを感じる素敵な空間ですね」
- 田中さん
- 田中さん
- 「床は赤松、個室は桐、カウンターは檜……、木の温かみを感じてくつろいでもらいたいです」
- ライター 遠藤
- ライター 遠藤
- 「カウンターの上にある鮎のはく製も素敵ですね」
- 田中さん
- 田中さん
- 「これは、お客さんがプレゼントしてくれたものなんですよ。僕が鮎好きだからって(笑)」
お客さんからのいただき物が多く、鮎釣りの先生もお客さん。それほどお客さんから愛されるのは、店主の人柄なのでしょう。「自分で作れるものは手作りで」という真摯で丁寧な仕事ぶりに、惚れ込む客が多いのもうなずけます。
そばだけじゃない! 秋田の素材を生かした旬の肴たち
「田なか」では、そばはもちろん地元・秋田の旬の素材をふんだんに使った肴が数多く並びます。店主が釣った天然鮎は、塩焼きや刺身、背越しなどで味わうことができ、そばと並ぶ定番人気。また、男鹿産の青大豆「あきたみどり」を使った手作り豆腐は、素朴な味わいの逸品です。
さらに秋田の地酒や銘酒をいただけるとあって、県内外から多くの客が訪れる店。希少な酒も揃えているので、幻の銘酒と出会えるかもしれません。カウンターにはぐい呑みが置いてあり、自分で好きな器を選べるというお楽しみ付き。中には店主自作の器もあるので、気になる方はぜひ聞いてみて。
- ライター 遠藤
- ライター 遠藤
- 「これからどんなお店にしていきたいですか?」
- 田中さん
- 田中さん
- 「今と変わらず、素材を大事に、身体に良いものを、美味しく食べてもらえる店でありたいですね」
言葉に滲み出る真摯さもまた、料理の隠し味なのでしょうか。秋田の旨いそばと酒、そして旬の肴が食べたくなったら、ぜひ足を運んでみてください!
取材メモ/さっぱりしていて身体に良いそばは、〆にぴったり。たくさん食べて飲んだ後でも美味しさが分かるくらい、「田なか」のそばは絶品。本当は教えたくない名店です!
取材・文=遠藤真悠 撮影=和賀美輝子