境港市の地域固有の和綿を育みながら、新たな魅力を織り成す。

境港市の地域固有の和綿を育みながら、新たな魅力を織り成す。

2019/08/14

日本海に面した港町、鳥取県境港市。木村正明氏が率いる『伯 HAKU』は、この地で栽培される和綿の在来種・伯州綿を使った、オーガニックコットンブランドです。今回、全国に名を馳せる伯州綿の特徴と、それを生かした『伯 HAKU』のアイテムが持つ魅力に迫ります。

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境港市の地域固有の和綿を育みながら、新たな魅力を織り成す

伯州綿ブランド『伯 HAKU』の代表を務める木村氏

日本海に面した港町、鳥取県境港市。木村正明氏が率いる『伯 HAKU』は、この地で栽培される和綿の在来種・伯州綿を使った、オーガニックコットンブランドです。前編では、全国に名を馳せる伯州綿の特徴と、それを生かした『伯 HAKU』のアイテムが持つ魅力に迫ります。

上質なコットン生地のタオルやハンカチを展開

境港市から全国へ、和綿文化を発信するトップランナー。

5月の種まきに向けて準備が進められている綿畑

江戸時代前期、鳥取県境港市で盛んに栽培されていた伯州綿。当時は和綿の一大産地として、全国にその名を馳せていました。明治維新による時代の変化と共に一時は衰退したものの、2008年に境港市の主導で復興に着手。見事に息を吹き返し、現在では再び日本最大級の生産地にまで発展しています。

そして、2013年よりこの伯州綿を生かし、タオルやハンカチといったオリジナル商品を開発。全国に和綿文化を発信しているのが、長年地元で文具やキャラクターグッズを企画、製造、販売してきた、株式会社きさらぎの代表を務める木村氏です。きさらぎ内に新たな事業部を立ち上げ、『伯 HAKU』というブランド名の下、展開しています。

自社の畑をはじめ、市内各地の畑において農薬・化学肥料不使用で有機栽培された伯州綿に、良質な外国産オーガニックコットンをブレンドし、紡績。この地域特有の日本海から吹き抜ける穏やかな潮風にちなみ『シーブリーズコットン』と名付けたオリジナル綿糸は、オゾン漂白など環境に優しい加工法で漂白・染色され、国内屈指のタオルの産地で最高技術をもって織り上げられています。

秋には収穫を迎え、良質な綿糸へと加工されます

オリジナルの綿糸で紡ぐ、心地良さにこだわったタオル。

伯州綿(左)とアリゾナ産の綿(右)を比較

『伯 HAKU』の第一弾商品として発売されたのは、バスタオル、フェイスタオル、ミニハンカチの3アイテム。適度なコシと肌への優しさを併せ持つしっかりとした質感で、おろしたてでもよく水を吸い、使い心地は抜群です。しかも、使うほどに肌に馴染んでいくという嬉しい特性もあります。

その秘密は、『シーブリーズコットン』の配合。伯州綿に、ペルー産とアメリカ産のオーガニックコットンをブレンドしていることにあります。伯州綿は、弾力性に富み、保温性のある素材。しかし、繊維が太く短く切れやすいため、これだけでは細やかな糸を引くことができません。そこで、繊維が長く柔らかで高品質なアリゾナ産の綿などを加えることで、しなやかさのある綿糸に仕上がっているのです。

「『シーブリーズコットン』は、国内外の有名ブランドに信頼されるオーガニックコットンの第一人者に協力を得ながら、約半年かけて完成しました。ブレンドの割合は、伯州綿が20%、伯州綿とよく似た風合いでその特性を引き立てるペルー産の綿が20%、そして最近ではスーピマコットンと呼ばれ重宝されている、アリゾナ産の綿が60%。伯州綿のふんわり感を残しつつ、使い心地の良さを追求した結果、このバランスに辿り着きました。撚りの加減にも試行錯誤しましたね」と木村氏。

こだわりの詰まった綿糸は、『今治タオル』で有名な愛媛県今治市で織られ、タオルやハンカチに。和綿で作られた希少性と、オーガニックで肌に優しく使い勝手が良い、機能性の高さで人気を博しています。

国内初の和綿素材によるオーガニックの糸を開発
定番商品3種はそれぞれ白練、薄桜、露草の3色展開

枝葉から生まれた新たな色味で、さらなる未来を染め上げる。

自然の温もりと深みを感じる染め上がりで魅了

スタンダードな3アイテムをリリース後、『伯 HAKU』の世界はさらに拡大。ミニハンカチに、綿木染で生み出された、新たな彩が加わったのです。綿木染とは、伯州綿の枝葉を染料とした染色方法のこと。枝や葉からイメージされる茶色や緑色に留まらず、オレンジ、ピンク、赤、ベージュと、色とりどりの6色が揃います。
木村氏曰く「畑で枝と葉を集め、ちょっと試すつもりで特殊加工ができる染色工場に依頼したところ、予想外の色が出て。さらに、どれぐらいの太さの枝を使うか、どれぐらいの色合いの葉を使うか、枝と葉の分量はどうするかといったことから、煮出す時間や浸染時間、温度など、細かい調整をすることで、ここまで色のバリエーションが生まれました」。

この結果には、染色工場も驚いたそう。こうして、世界初の綿木染が誕生したのです。「当初は、綿の枝や葉で染めるのか?と、不思議がられました。普通は考えつかない発想みたいで。でも、私はずっと文具や雑貨の企画開発をしてきたため、綿についてもタオルについても素人。だからこそ、専門家にはない、枠にとらわれないアイデアが生まれて、この独特な色に出合えました」と木村氏は話します。

自然の恵みから生み出された色には、雛鳥、とき羽、焦空、伯州緑、陽光、白茶と、それぞれの色から連想するイメージに沿ったネーミングがされているのもポイント。いずれも人工的な色味とは一線を画す、味わい深い仕上がりとなっています。

高い機能性を追求して生まれた、一歩先行くスポーツシリーズ。

新商品のスポーツタオルとウォッシュタオル

ブランド誕生から6年経った2019年4月、『伯 HAKU』に新たなシリーズ『HAKU SPORTS』 が加わりました。2017年の暮れに「これまでよりもリーズナブルながら高機能なスポーツタオルを作ろう!」という構想が掲げられて以降、地道な開発が続けられ、この度満を持して発表されたのです。

従来通り『シーブリーズコットン』を使うものの、より細く作られた糸を使用。さらに、『泉州タオル』で名高い大阪・泉州地域で守られる後晒(あとざらし)織りを採用しつつ工夫を加えることで、より軽やかで柔らかく、吸水性が高い上に乾きやすいという、理想的な仕上がりとなっています。

「スポーツタオルとして、軽さ、速乾性、吸水性にこだわって開発を進めました。今回、縁あって泉州タオルの産地にて製造できることとなり、新たに議論を重ねて。使い始めの段階から非常に高い吸水性を誇り、さらに洗えば洗うほどパイルが詰まってふんわりする、高い機能性を実現できました」と木村氏。

さらに、本シリーズのタオルは、抗菌・消臭加工が施されている点も大きな魅力の一つ。それには、境港産のカニの甲羅から取った天然由来の成分、キトサンが使用されています。
「せっかくならば地元のものを生かして抗菌・消臭加工を付加したいと思い調べたところ、カニの殻の成分が使えると分かって。境港には多くのカニが水揚げされるので、これは良い!と思いました」と話す通り、新シリーズでは伯州綿とカニという、境港市の特産品が見事な融合を遂げているのです。

現在、ロングタイプのスポーツタオルと、ハンドタオルを一回り大きくしたぐらいのウォッシュタオルの2種類があり、それぞれ鮮やかなマリンブルーとローズレッドの2色を用意。スポーツタオルは、一般的なフェイスタオルよりも長めに設計されており、首からかけた際に短すぎず長すぎない、絶妙なサイズ感も使い勝手の良さにつながっています。

アイデア溢れるユニークなパッケージにも注目
タオルには本物の伯州綿の種が同封されています

伯州綿の魅力をダイレクトに伝える、斬新なパッケージ。

スポーツタオルとしての機能性をとことん追求した『HAKU SPORTS』シリーズですが、パッケージにもこだわり、これまでとは全く異なるものに。箱は自然への優しさも意識したエコタイプの段ボール製で、大きく実ったコットンボールをデザイン。弾けた実の部分がくり抜かれ、白い綿ならぬ赤と青のふんわりとしたタオルが顔を覗かせています。

そして、もう一つの小窓から見えるのは、本物の伯州綿。しかも綿毛の中には種が包まれており、プランターや鉢を用意すれば、そのまま各家庭で育てることができます。育て方は、パッケージに記載されたQRコードからアクセスすることで簡単に確認可能。

「種付きの伯州綿をセットにすることで原料の魅力を伝え、さらに育てる楽しみも味わっていただければと思い企画しました。これも、普通にはない発想として面白がっていただいています」と笑顔の木村氏。オリジナリティ溢れる試みで、伯州綿の魅力は加速度的に全国各地へ広まっています。

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