偶然と友人のでまかせな誘いによってタピオカに目覚めた精神科医

連載

星野概念のめし場の処方箋【Vol.21〜】

2019/07/30

偶然と友人のでまかせな誘いによってタピオカに目覚めた精神科医

精神科医として総合病院に勤務する傍ら、文筆、音楽、ラジオなどマルチに働く星野概念が「食べに行く」という行為を通して、「こころ」に関する気づきをひも解く。

星野 概念

星野 概念

精神科医

自分の判断基準は大事だけど、時には人の誘いや意見に耳を傾けることも楽しさを増やしますね

こんにちは、精神科医の星野概念です。

この連載は、日常の食生活の中から僕が感じたり考えたりしたカウンセリング的要素をみなさんにご紹介するものです。

人生初沖縄。その道中、あまり好きでなかったタピオカドリンクを飲むことになりました。結果、めちゃめちゃ美味しい!こんな世界ってあるんだなぁと感動しました。今回はそんな話です。

  

【目次】
1. タピオカを急に好きに
2. 乗ってみることも時には良いですね


1. タピオカを急に好きに

・初めて沖縄に

先日、人生で初めて沖縄に行きました。

  

目的はラジオ、ライブ、病院見学。

ラジオはレ・ロマネスクというユニットのTOBIさんの番組『めんそ〜レレレ』にゲストとして呼んで頂き収録。

ライブは、クチロロのお手伝いでイベントに出演。

病院見学は、オリブ山病院という、ずっと見学させて頂きたかった病院についに行くことができました。

総じて、とても充実した形で3つの目的を果たしたのですが、それに加えて素晴らしかったのが、この3つの目的の日程が少しずつずれていたことです。

  

これにより、2日間のオフが出来、沖縄で暮らす友人とワイワイしたり、ふらふらと観光することができました。

・沖縄の観光の難しさ

きっと色々な表情を持った土地なのだと思います。数日間で色々な人と色々な話をしてそう思いました。

そして、そういう複雑さを一見吹き飛ばすような、派手派手な国際通り。

沖縄の中で、観光のメインストリームである国際通り。地元の人曰く観光客しかいないその場所は、沖縄全体からみるとかなり特殊で浮いた存在に思えました。

オフは2日間あったので、少し離れた場所に行ったり、国際通りに戻ってきたりしながら過ごしました。

・日差しが強すぎる

そしてそれとは全然別に、とにかく暑い!

  

歩いているだけで汗が止まらず倒れそうになります。

  

あぁ、喉が渇いた……

  

どこかで休みたい。

  

そんな時にたまたま通りかかったのが

KOI Thé(コイティ)

という台湾発のお茶屋さんでした。

お茶屋さんと言っても看板商品はタピオカ

タピオカ屋さんてどこに行っても驚くほどの行列で、

  

自分では一度も買ったことはなかったのですが、ここのお店は行列がありませんでした。

  

前には、タピオカを買う行列に、タピオカを飲みながら並んでいる人を見つけたくらいで、そんな熱烈な人に混じって並び続けるのはきついなぁと思っていましたが、行列がなければ興味も湧くものです。

  

・とはいえ、甘いし……

ただ、これまで何度か人に飲ませてもらった僕のタピオカ体験の感想は、何より甘すぎるということでした。

  

もちもちした食べ物は嫌いじゃない。つまりタピオカの本体はむしろ好ましい。でも、甘すぎる飲み物は苦手なので、全体的には苦手意識がありました。なので、この時も興味が湧きつつ、お店に入るのは一度躊躇したのでした。

  

でも、一緒にいた友人が「沖縄のタピオカは甘くないのもあるからなんくるないさ」というようなニュアンスのことを言うし、何しろ彼がすごく飲みたそうだったので、地元の彼の誘いにとりあえず乗り、結局このお店で休憩することにしました。

  

・甘くないのがあった

今考えてみれば、KOI Thé(コイティ)
は色々な土地にあるお店なので、沖縄のタピオカだけではないのですが、とにかくここには全く甘くない選択肢がありました。

  

「沖縄のタピオカは」という友人の誘いは出まかせ、且つ、詐欺のようでしたが、目的のものにはありつけたというわけです。

  

こうして、行列がなかったことと、友人の出まかせ詐欺のようなすすめにまんまと乗ったことで、初めて自分でタピオカを買いました。

甘くない選択肢については、他のお店でもありそうですが、とにかく初めてだったので嬉しかったです。

・小タピオカ!

そして飲む。

というか食べ、飲む。

  

驚いたのですが、タピオカが小さい。

  

小タピオカ! コタピオカ!
子タピオカと書くとなんとなく食べにくいですね。

この小タピオカ、今まで食べたことがあったタピオカよりもなんというかイキが良い感じです。

  

イキが良いということは、やはり子タピ…
いや、小タピオカでいきましょう。
というかそんなのどちらでも良いのです。

このサイズのタピオカはきっと特徴的です。多分これはKOI Thé(コイティ)
のタピオカの個性なのでしょう。

そして、無糖というのがまた良い。飽きが来ない。

タピオカのイキは良いし、甘くないし、休憩もできたし、まさかの大満足。
そしてまたもや灼熱の街へ繰り出したのでした。

結局これでクセになり、沖縄滞在中に同じお店に3回行きました。

これで僕も立派なタピ中です。

  

2.乗ってみることも時には良いですね

僕は元々タピオカに興味がありませんでした。

その要因は大きく2つあって、1つは行列が激しすぎること。行列って長時間そこにいなければならないので、とても苦痛に思えてしまいます。

2つ目は、これまでのタピオカ体験が全て甘い飲み物だったこと。

でも今回、まずは行列がないことで興味が湧きました。行列がないならば、爆発的に流行っているものに乗ってみるのも悪くないかもしれないなと考えたのです。

さらに、友人の「甘くないのもあるよ、沖縄は」という、一部詐欺めいた出まかせな誘いにも乗りました。

  

結果、沖縄だけではないだろうけど、甘くないものはあり、おまけに、KOI Thé(コイティ)の小さいタピオカの元気さにノックアウトされました。

  

・頑なすぎるのも

もし僕が、並んでいても並んでなくてもタピオカは絶対食べない主義の人だったとしたらこうはいきません。

きっとお店には入らずに、今回得た喜びも知ることはなかったでしょう。

でも、物事の価値観て、自分の中にはないものもたくさんあります。

偶然とか、他人の意見とかに時々乗ってみることは、物事の判断基準を自分だけにしないということでもあります。これは、可能性が広がるということでもあります。

自分の意見がなさすぎるのも問題ですが、時々は自分以外の導きを信じてみるのも、楽しさの広がり、深まり、充実を生むのかもしれません。

  
  
  


文・構成:星野概念
イラスト:権田直博


星野概念(ほしのがいねん)

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精神科医

権田直博(ごんだなおひろ)

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画家

この記事を書いたライター情報

星野 概念

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精神科医

総合病院に勤務し、日々精神医療に従事する傍ら、執筆や音楽活動を行う。

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