犬養裕美子のお墨付き! 新井薬師の孤高の割烹「柾」の新展開

連載

犬養裕美子のアナログレストラン【Vol.1〜20】

2016/09/11

犬養裕美子のお墨付き! 新井薬師の孤高の割烹「柾」の新展開

“アナログレストラン”はレストランジャーナリスト犬養裕美子が選ぶ「いい店」。作り手がその場できちんと料理をしていること。小さくでも居心地のいい空間とサービス、かつ良心的な値段。つまり人の手、手間をかけた「アナログ」で「アナ場」な店。第11回は新井薬師「柾(まさき)」。

犬養 裕美子

犬養 裕美子

レストランジャーナリスト

清廉潔白。素材本来の味を重視する料理人

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真崎さんは大学で自然地理学を学んでいたが、料理の道に。念願の「自分で釣った魚」を料理することも挑戦中。日本中の海図が頭に入っている。いつ、どこで、何が取れるかを常にアップデート

初めて「柾(まさき)」のカウンターでコースを頂いた時のこと。お椀を空けた瞬間、自分の目を疑った。椀だねがない!つまりお出汁だけ。でも、これが素晴らしかった。香り高く、なんとも言えない奥深い味わいなのだ。椀の前に出たお造りの平目の骨で取った出汁だという。

店主・真崎庸さんは、調理するということを論理的に考え、そこから導きだされる答えを器の中にそのまま表現した。その調理法は時には不思議に見えるパフォーマンスも伴う。

白身魚の塩茹で。この日はヤガラの塩茹で。鮮度の良い魚でないと、この塩茹でには出せない

ある時は鮎に炭火の当たり方を理想に近づけるため、いきなりゴーグルをして焼き場に立った。真崎さんの調理は、常識や先入観にとらわれない、独自の解釈で突き進んでいる。だからこそ、新井薬師に店を構えて13年。地元客ではなく、都心からわざわざ足を運ぶファンで「持ちこたえている」(本人談)。

サバと焼きなす。下に敷いた焼きなすは昆布塩。9月はアジがおいしくなる

たった6席でコース7500円。6~7品の内容は、その質と手間を鑑みると、信じられないほどリーズナブル。ただしできるだけ、おいしさの頂点で味わって欲しいからこそ、客の目の前ですべての作業が始まるので時間がかかる(のが当たり前)。この時間をどう楽しめるか。それはあなたの料理に対する“真剣度”にかかっている。

「“ニュー”柾」誕生!

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台風のおかげで「泥酔割烹」が取れ、「ニュー」に生まれ変わった。神のお告げか

長らく“泥酔割烹”というキャッチフレーズがついていたが、先日台風で看板が壊れた。「これを機に“ニュー”をつけてみました!」。このセンスは嫌いじゃないが、内容は少しもふざけてはいない。

「今回の料理“白身の塩茹で”は、割烹本来の「切る、煮る」に立ち戻り、料理人の意図を入れず、魚をおいしくすることだけに集中します」。塩茹で、すなわち、その魚から取った出汁だ。ここに塩を少し。すると“キレイな出汁”になる。こういう“料理”を何と呼ぶのだろうか。和でも洋でもない。やるな~、「ニュー柾」

すっぽんの揚げ浸し。スッポンに衣をつけて天ぷら風に。天つゆで味わうと、また別のおいしさを発見
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西武新宿線新井薬師駅より3分。実はJR中野駅よりタクシーでワンメータ―。都心からのアクセスはこちらからの方が行きやすい

そして、もうひとつ。うれしいニューっす。木曜日は「天ぷら柾」として、天ぷらの店になる! ひと通り全部で5500円かお好みで選ぶシステム。世の中の天ぷら店が軒並み1万円以上、いや2万円を超えている店も多い中、「怒りの反撃です!」。こんな店もあるんです! 「ニュー柾」「天ぷら柾」どちらからも目が離せない!

カウンター6席。ここで出会うお客さんがそれぞれ個性的で、料理を待つ間に仲良くなることも。ちなみに飲み物は日本酒とビール。ワインはおいていない



住所:東京都中野区上高田3-20-10 マンション宍戸1F 
電話番号:03-5380-6055
営業時間:18:00~深夜0:00(要予約)
定休日:月曜休、金曜不定休
予算:食べて飲んで一人1万円前後
※木曜日は「天ぷら」の店になる。コース5500円

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。

この記事を書いたライター情報

犬養 裕美子

犬養 裕美子

レストランジャーナリスト

東京を中心に地方や海外の食文化、レストラン事情を最前線で取材。ファッション誌から専門誌まで数多くの雑誌で連載を持ち、その店の良さ、時代性をわかりやすく解説。特に新しい店の評価に対する読者の信頼は厚い。食に関わる講演・審査員など多数。農林水産省顕彰制度・料理マスターズ認定委員。

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