四季折々に楽しめる大山を望む花園「鳥取県立とっとり花回廊」

四季折々に楽しめる大山を望む花園「鳥取県立とっとり花回廊」

2019/09/06

鳥取県西伯郡南部町の山中に広がる日本最大級のフラワーガーデン、とっとり花回廊。大山を借景に、花畑や木々が織り成す季節の移ろい、温室に咲く熱帯の花々、冬には中国地方最大級のイルミネーションが多くの人を楽しませる。県が誇る名所の魅力と、裏方の努力を見てみよう。

中広

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屋根付きの展望回廊と大山の眺めが魅力

鳥取県立とっとり花回廊は、総来場者数約800万人の、県を代表する観光施設だ。約15万坪の敷地に植えられた植物は、公式発表で420種、76万4千本。平成11年4月の開園から20周年を迎えた。

「県民に花と緑あふれる憩いの場を提供すること、観光振興、県の花卉(かき)園芸振興の、3つの目的から創設しました。花壇に植栽する苗はおおむね地元の花壇苗農家から購入し、園芸農家の育成と振興を図っています。この地で開園したのは、大山が最も美しく見える場所だからと聞いています」と、営業販売部長の佐藤哲也さん。

園の中央に位置するフラワードームは地球をイメージ。「『自然と人との共生』がこの施設のテーマです。斜めに見えるのは、地軸の傾きと同じ角度なんですよ」と、営業課長の芝田あゆみさんは説明する。

「より多くの方に来ていただけるよう、スタッフ一同がんばります!」と話す営業販売部長・佐藤哲也さん(左)と営業販売部営業課長・芝田あゆみさん(右)

最大の特徴は、園をぐるりと囲む屋根付きの展望回廊だ。1周約1km。傾斜がなく水平なため、足腰が弱い人や車椅子に乗っている人でも鑑賞を楽しめる。地上30mの高さから、普段は目にできない木の実や花を見られるエリアもある。

温室では、青いヒスイカズラなど、珍しい花を鑑賞できる(4月ごろ)

また、敷地の東側に広がる花の丘は、一面の花の絨毯と大山の静かな山容が合わさり、雄大な景色を一望できる名所となっている。

宇宙をテーマに140万球 花園を彩るイルミネーション

園内は、フラワードームを中心に「水上花壇」「ヨーロピアンガーデン」「花の谷」「霧の庭園」の4エリアに大きく分かれる。いずれも趣向を凝らした花壇や植栽が見どころだ。周りには静かな森の道、桜や紅葉、果樹などの庭が広がる。季節の移ろいを感じながらゆっくりと散策を楽しめる。

紅葉まばゆい秋の小径を、フラワートレインがゆるやかに走る

早春、フラワードームに胡蝶蘭(こちょうらん)が降り注ぐように咲き乱れる。春になると、姉妹園であるオランダのキューケンホフ公園の当時の園長がデザインした「花の谷」で、チューリップと桜の競演が繰り広げられる。春、桜の広場では27品種の桜が順次開花していく。「花の丘」では、黄色やオレンジのアイスランドポピーが風に揺れる。

早春のフラワードームでは、ハート型の蘭のカーテンの下を散歩できる
「花の丘」は、季節ごとに約10万株を植え替え。春はパンジーの絨毯と残雪の大山が絶景

初夏はバラとユリ。ユリは園内で年中鑑賞できるが、本来の花盛りは格別だ。いつもは閉ざされている「秘密の花園」の扉が開き、大山とユリ園のパノラマが現れる。夏は、花の丘がブルーサルビアの美しい紫に染まる。秋にはサルビア・スプレンデンスに変わり、真っ赤な絨毯のよう。「秘密の花園」はコスモス畑に様変わりする。

初夏のハーブガーデンでは、ラベンダーをはじめ、さまざまなハーブの花が見頃を迎える
秋空に咲くサルビアに水を放つ。美しい花壇にはこまめな世話が欠かせない

初夏と夏には、世界的な照明デザイナー・石井幹子(もとこ)さんが手がけたライトアップが行われる。やわらかな光に照らされる宵の庭を、夕涼みがてら歩きたい。

冬の見どころは、何といっても中国地方最大級のイルミネーションだ。約140万球の電球が、回廊内を彩る。2018年は壮大な宇宙がテーマだった。

2018年のイルミネーションは宇宙をイメージ。写真は「霧の宇宙ステーション」

「フラワードームは『光の宇宙センター』をイメージしており、オーロラが天に上るような音楽と光のショーをご覧いただけます。ドームを地球に見立て、東西南北の光の庭を宇宙旅行。中継基地となる『霧の宇宙ステーション』では、霧と光の幻想的な光景が繰り広げられ、宇宙への想像力をかき立ててくれます」と、芝田さんは目を輝かせる。

イルミネーションに照らされたポインセチアがいっそう鮮やか(冬のフラワードーム)

毎回人気なのが点灯式だ。17時半の点灯時刻に希望者を募る。合図とともにスイッチが押されると、薄闇に光が走るように広がっていく。「わあっと歓声が上がって、みんな笑顔になります。私たちも、見るのがとてもうれしい瞬間です」と佐藤さん。19時になると、400発の花火が夜空に咲く。

花火の鑑賞は、ヨーロピアンガーデンや展望回廊の西館から北館付近、霧の庭園がおすすめ

スタッフ総出で園づくり 人々に花と親しむ暮らしを

イルミネーションの飾り付けは、専門業者の指導のもと、スタッフ総出で取り組む。図面に従ってワイヤーを張り、電球を一つひとつ付けていく。2018年は9月から準備を開始。水上花壇の電球は、寒風の中、職員が水に入って取り付けた。イルミネーションの日程との兼ね合いで、春の花壇の準備をわずか5日間で完了。夢の世界の舞台裏はハードだ。

140万球のイルミネーションを、スタッフ総出で1球ずつ取り付ける

園内は、職員や外部スタッフが雑草や咲き終わった花を毎日取り除いているお陰で、いつも綺麗に保たれている。飲食店や売店、清掃など、すべてのスタッフが来場者に気持ちよく楽しんでもらうため、心を尽くしている。

また、家庭での花壇づくりの参考にと、年間を通して園芸ワークショップを開催。多くの人に花に親しんでもらえるよう、さまざまな方法で来場者をもてなす。

毎月、季節に合わせた園芸やクラフト教室などが開催される

佐藤さんは「ここでしか見られない花壇や風景を作りたいと思っています。大山を借景とする花畑は他にない魅力。お客様には素敵な1枚を撮っていただきたいです」と思いを語る。芝田さんは「四季折々、花や木々の雰囲気が異なります。1年に何度でも来ていただきたいです。鳥のさえずりが聞こえ、小動物の足跡も見かけます。運が良ければ出合えるかもしれませんよ」と園の魅力を語る。定額で何度でも入園できる年間パスポートがおすすめだ。

2019年のテーマは「bloom!」。20周年を迎え、園がこの先どう「開花」していくかが楽しみだ。

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中広は岐阜に本社を置く広告会社です。 地元の情報を各戸配布のハッピーメディア(R)『地域みっちゃく生活情報誌(R)』のブランドで発信しています。

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