地域の人たちで作るみんなの居場所・仙台市のいずみワクワク食堂

2019/09/08

地域の人たちで作るみんなの居場所・仙台市のいずみワクワク食堂

無料か低額で食事を提供する子ども食堂は、日本全国に広がりを見せている。2カ月に1度、仙台市の泉区中央市民センターで開かれている「いずみワクワク食堂」は、一人で食事をすることの多い子どもたちや高齢者の「孤食」を解消するのを目的とし、地域の人たちの交流も育んでいく活動だ。

中広

中広

みんなで作る食堂

爽やかな朝を迎えたある日、泉区中央市民センターでは午前11時の食堂オープンのために慌しく下ごしらえなどの作業を進める人たちの姿があった。この日のメニューはサケの炊き込みご飯、ペンネのナポリタン、ポテトサラダなど全6種。その全てが食材提供や寄付金など善意で賄われ、誰もが無料で楽しめる「いずみワクワク食堂」の土台ともなっている。食材は四季折々の旬のものばかり。この日も地域の人たちから野菜や魚などが集まった。

調理室の様子
食材の全ては提供や寄付金など善意で賄われる

調理を担うのも地域の有志たちであり、ボランティア。その中には小学生や中学生の姿もある。中島日菜子さん(15)は「私たちが作った料理を美味しそうに食べているのを見るのがとても楽しいです」と話す。妹の穂佳さん(9)も「盛り付けや、料理のお手伝いがとても楽しい」とにこやかだ。地域の子どもたちが積極的に参加してイベントに携わることで、親子や地域の絆が深まっている。

中島日菜子さん

中島日菜子さん

この日作られたのはサケの炊き込みご飯、ペンネのナポリタン、ポテトサラダなど全6種
会話が弾むお食事タイム

コミュニティーのために

いずみワクワク食堂は、2016年10月に「いずみこども食堂」としてスタートした。地域のコミュニティー再生事業として始まり、2017年4月に現在の名称となった。七北田小学校、市名坂小学校が地域内にあり、2校に通う子どもたちの数は計1200人以上に上る。しかし、転勤者が多く児童の約1割が毎年入れ替わっているという。そのため、子ども会や町内会に入らない人も多く、地域とのつながりが希薄な世帯が一定数存在する。更に退職などを機に社会とのつながりが薄くなる高齢者も地域に埋もれているのが現状だ。そんな中で始まったのがワクワク食堂の取り組みであり、地域住民と町内会、社会福祉協議会、学校や児童館などが連携し、誰でも利用可能な「つながれる場所」として2カ月に1度開かれている。

スタート当初は夕食を提供。参加は数人であったため、本当に必要な活動なのかと疑問も出た。2回目以降は昼食に変更したところ、日中で参加しやすいと多くの人たちが足を運ぶようになった。今では会場の会議室が満員になるほどの人気ぶりだ。

調理をするスタッフ

七北田小学校親の会・七の川で会長を務め、同食堂の代表である佐竹洋一さん(51)は「この地域は昔からしっかりとした町内会があり、地域の連携も強い。その中でつながりの希薄な人たちを巻き込める取り組みが不可欠になっている」と話す。それは、災害発生時に孤立してしまうような世帯を可能な限り減らすためでもあり、地域にとっての意義はとても大きい。

佐竹洋一代表

佐竹洋一代表

地域の底力を結集

多くの人に興味を持って参加してもらおうと、食事以外にもさまざまなイベントが催されるのも魅力。これまでハーバリウム講座やキャンドル作りなども行われてきた。この日は駄菓子コーナーが設けられて人気を集めたほか、ゲームコーナーでは将棋やオセロなどで真剣勝負する子どもたちの姿もあった。食事の前には、宮城学院女子大学の学生らによるクイズコーナーもあり、楽しいひとときを過ごした。白百合女子大学や宮城大学など、学生らの協力も食堂を盛り上げる原動力の一つで、毎回子どもたちと一緒に遊び、世代を超えて交流を深めている。

「いずみワクワク食堂」で楽しいひとときを過ごす子どもたち

待ちに待ったランチタイムでは、隣の調理室からできたての料理が次々と運ばれ、みんなの笑顔がはじける。全員の席に食事が回ったところで「いただきます」の元気な声が響き、和やかな雰囲気の中で食事が進んでいく。笑い声が響き、お代わりの列ができて、あっという間に楽しい時間が過ぎていく。中元大耀くん(11)は「ワクワク食堂の全部が楽しいです。通うようになってから少しずつ料理もできるようになりました」とみんなで作ったポテトサラダを頬張った。母親の洋子さん(45)も「温かい雰囲気の中で、初めて会った人とも楽しく食事と会話できるのが何よりの魅力です」と話す。

みんなの笑顔がはじける「いずみワクワク食堂」
「楽しくほんわかした食堂で、ご飯もとても美味しいです」「さらに楽しい食堂になるよう、活動に参加していきたいです」と話す中元大耀くんと千葉大翔くん

食堂誕生からもうすぐ3年。活動はまだ始まったばかりで、これからが正念場だ。地域の中でより多くの人を巻き込みながら、更に楽しく、和やかに食事を楽しめる場を模索し続けていくという。「食」は、人間にとって不可欠で重要な要素だ。だからこそ、一人よりみんなで食べるほうが格段に美味しい。色んな人を誘って、ワクワク食堂に足を運んでみよう、きっと素敵な出会いと愛情いっぱいの食事が待っているはずだ。

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中広

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中広は岐阜に本社を置く広告会社です。 地元の情報を各戸配布のハッピーメディア(R)『地域みっちゃく生活情報誌(R)』のブランドで発信しています。

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