さきたま古墳・行田古代米カレーの会が活動に込める郷土愛

さきたま古墳・行田古代米カレーの会が活動に込める郷土愛

2019/10/16

行田市の観光名所、稲荷山古墳を題材にした、食によるまちおこしにまい進する、さきたま古墳・行田古代米カレーの会。市内の飲食店と力を合わせて奮闘を続ける、同会会長の田中利幸さんに話を聞いた。

中広

中広

地域を盛り上げたい一心で古墳にちなんだ料理を考案

行田市のご当地グルメ、さきたま古墳行田米カレー(以下、古代米カレー)をご存じだろうか。古くからこの地で栽培する古代米を使い、市の観光名所、稲荷山古墳をかたどったご飯と、地域の食材を豊富に使ったルーが特徴のカレーだ。近年、その知名度がじわじわと高まっている。

行田市の食材をたくさんの人に知ってもらい、盛り上げていきたい。その思いから、古代米カレーは生まれたのだと、さきたま古墳・行田古代米カレーの会の発起人であり、会長を務める田中利幸さんは話す。

田中利幸さん

田中利幸さん

さきたま古墳・行田古代米カレーの会 会長

田中さんがメニュー作りに奔走し始めたのは、平成22年。以前から交流のあった、群馬県高崎市のレストランオーナーとの会話が、食を使ったまちおこしのきっかけとなった。高崎市といえば、保渡田古墳群など貴重な前方後円墳を持ち、伝統的な古代米を栽培している、行田市との共通点が多いまち。地域の資産を組み合わせたグルメを、両県の名物にしないかと誘われたのだ。「高崎市で提供していた上州古代米カレーを、行田市でもメニュー化しようという話になりました」。

上州古代米カレーは、古墳型にかたどったご飯が特徴だ。そこで田中さんは、さっそく型作りを模索。専門知識を求め、学校法人ものつくり大学に相談すると、協力を快諾してもらえた。「予算に余裕のないなか、ボランティアで製作してくれた大学の方々や、材料を無償提供してくれた地元企業には救われました」。

地域の人々の力を借りつつ、完成した稲荷山古墳の型。しかしこれだけでは、高崎市のカレーの類似品でしかない。どうしたら、行田市らしさを出せるのか。この課題を解決するため、田中さんは地元飲食店を1軒ずつ回り、協力者を募り始めた。

「ひとつの味を作るのではなく、数ある市内の店舗で、別々の古代米カレーを出したら、面白いと考えたんです」

古代米カレーに、決められたレシピはない。地域で長く親しまれてきた飲食店の味を尊重するのが行田流なのだと田中さん。行田産の古代米を使用して古墳型にし、地元産の食材を取り入れさえすれば良いのだという。

あえて細かいルールを定めず、裾野を広げた結果、古代米カレーを提供する飲食店は増えていき、平成24年には6店舗に。古代米カレーによるまちおこしは、徐々に活気を帯びていった。

同じ思いの市民と協力し知名度拡大を目指す

少しずつ協力店舗を増やしてきた田中さん。さらなる転機が訪れたのは、平成25年だった。地元新聞の記者が、活動を記事で紹介したのだ。「偶然立ち寄ったいくつかの店舗で、立て続けに古代米カレーを見つけて、不思議に思ったそうです」。同じ名前なのに、提供されるのは全く異なる味。それが話題となり、新聞で取り上げられると、ほどなくしてテレビ番組でも紹介され、他県から観光客も訪れるようになった。

すると多くの飲食店から、協力を申し出る問い合わせが来るように。「古墳の知名度をもっと高めたい」と、当時の市長が応援を表明したのも後押しし、サポートしてくれる市民も増え始めた。平成26年、一気に盛り上がったのを契機に、さきたま古墳・行田古代米カレーの会が、任意団体として発足した。

現在は16店舗が加盟し、メンバーは合計37人を数える。各店が自慢のカレーを振る舞うだけでなく、食べ歩きマップの制作や、スタンプラリーを実施して、店舗間のつながりを強めている。「観光客にいろいろな店舗を巡ってもらい、市内の回遊性を高める狙いもあります」。

さらに平成27年には、地域の子どもたちで結成した古代米カレー応援ユニット、米娘舞娘(まいこまいこ)が誕生。CDを2枚発売し、3人だったメンバーは10人になるなど、年々活動が活発化している。

【左】さきたま古墳・行田米カレーの会のメンバーたち。全てのカレーは世界で唯一の味なのだと、一様に胸を張る【右】古代米カレーを応援するローカルユニット、米娘舞娘。現メンバーは10人

市内だけでなく、全国にまで知名度が広がりつつある古代米カレー。昨年8月には、各地方のご当地グルメを競い合う催し、全国ふるさと甲子園に行田市代表として出場した。

今後は全国のご当地カレーが集まる大会への参加も見据える。しかし、決まったレシピを持たない古代米カレーにとって、このようなイベントに出場するのは難しい。店同士の話し合いなど、これから超えるべき課題は多いが、「いつかは、加盟店舗の皆さんと協力し合って、会ならではのオリジナルレシピを作っていきたいですね」と意欲を話す。

それでも、各店舗が違う味を提供するのはこれからも変わらないと、田中さんは熱意を込めた。「今後も、行田といえば多彩な古代米カレーと言われるように、活動を頑張っていきたいです」。

店舗の個性がそれぞれの皿に込められている、古代米カレー。全店舗の制覇に挑戦してみてはいかがだろうか。

さきたま古墳・行田古代米カレーの会 メニュー

食彩屋 やしろ

鶏のから揚げと野菜たっぷりの中辛欧風カレー ※イベント時のみ販売

食庵

6種類のスパイスで作ったオリジナルカレーを使用

野菜時々肉食堂 かんなや

さば缶を使った和風カレーとキーマカレーを選べる

さんぽ道

行田産の青大豆が入ったドライキーマカレー ※土・日・祝日のみ販売

ものつくり大学学食 株式会社若菜

肉未使用のルーにチーズ入りソーセージをトッピング

Bistro Fujiyama

剣に見立てたハンバーグと地元野菜の盛り合わせ

ラノッキオ

トマトをふんだんに使ったイタリアン風味が特徴 ※土・日・祝日のみ販売

カフェ茶馬古道

欧風カレーのコクとインドカレーの風味を合わせ持つ

スープカリーNeco

3つの味から選べる北海道仕込みのスープカレー

カフェギャラリー高澤記念館

地元野菜と自家栽培の野菜を使った体に優しい味

カフェ&ギャラリーそれいゆ

ミンチにした鶏肉とバーニャカウダオイルが香るチキンカレー

ラ・セーヌ

辛さのなかにじっくり炒めた玉ネギの甘みを感じられるルーが特徴

Cafe Cozy

マイルドな辛さが自慢のシンプルな味のカレー ※月・火・水のみ販売

行田天然温泉 ハナホテル行田

行田名物のゼリーフライと素揚げ野菜付き

ヴェール カフェ

れんこん揚げが特徴で辛さは控えめの親しみある味

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中広

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中広は岐阜に本社を置く広告会社です。 地元の情報を各戸配布のハッピーメディア(R)『地域みっちゃく生活情報誌(R)』のブランドで発信しています。

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