犬養裕美子のお墨付き! 奇跡の親子ビストロ『シーブリーズ』

犬養裕美子のお墨付き! 奇跡の親子ビストロ『シーブリーズ』

2016/09/27

“アナログレストラン”はレストランジャーナリスト犬養裕美子が選ぶ「いい店」。作り手がその場できちんと料理をしていること。小さくでも居心地のいい空間とサービス、かつ良心的な値段。つまり人の手、手間をかけた「アナログ」で「アナ場」な店。第12回は三宿『シーブリーズ』。

犬養 裕美子

犬養 裕美子

レストランジャーナリスト

親子二代変わらない
旨いビストロ 

これが噂の牛バラ肉と豚ホホ肉のバンバーグ。ランチでは1350円のセットに、ディナーはフォワグラをのせて1680円のセットのメインや3900円のコースのメインとして選べる。ハンバーグがふわふわ!

2003年秋に出版した「東京ハッピーレストラン」は、私が自分の名前で出した初めてのガイドブックだ。

いま読み返してみると本の中で紹介した店の約4割は閉店、あるいは移転してしまったが、ここ「シーブリーズ」は健在。ディナーコース3000円が3900円に価格は少し改定したが、に日常のフレンチというポリシーは変わることなく営業を続けている。

もちろん親子3人という鉄壁の体制も変わらない。そこに驚いたり、感動したり!

こじんまりとした店だが、大事な話もできる広さ。週末は家族連れでにぎわう

そもそも、この店は1970年代に6年間フランスで修業した菅井英朝シェフが、1980年湘南に店を構えたのが始まり。92年には今の場所に移転。

「葉山に店を出したとき、息子の朝哉は1歳。ここに出店したときは12歳。それが今ではオーナーシェフだから」と嬉しそうに話すお母さん。2年前にお父さんの還暦を機に、朝哉さんは店を継いだ。

以下4品は、すべて夜3900円のコースより。前菜の盛り合わせ。田舎風テリーヌ、フルーツトマト、生ハムは定番で、その日によって盛り込む内容は違うが、このボリュームはウレシイ!
スープは季節のポタージュ系か魚の粗裏ごしスープ。この魚のスープも季節の魚で味が微妙に変わる。しっかり魚の旨味を活かしたスープ・ド・ポワソン
鴨モモ肉のコンフィ、フランボワーズヴィネガーのソースでさっぱり仕上げているのがここならではの味。ボリュームはあるが以外に脂控えめ
デザートは季節のフルーツタルト。温かい洋ナシのタルトにキャラメルのアイスクリーム。最後まで頂いて3900円!
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左がお父さんの菅井英朝さん、今も現役で朝哉さんをサポート。右が息子、2代目オーナーの朝哉さん。地元とのつながりも大事にしている。お母さんは恥ずかしがりで写真はNGでも、サービスはテキパキ!

「両親からはいちども店を継げと言われたことはないんです。フランスに修業に行こうか、他の店はどうだろかと、いろいろ考えました。でもこうして両親といっしょに働けることがどんなに恵まれているか、自分も結婚して、両親の苦労もわかって、なおさら今の店を大事にしようという気持ちになったんです」(朝哉さん)

料理人なら誰だって真新しい自分の店を持ちたい。しかし、朝哉さんが選んだのは、両親から受け継いだ店をさらに盛り上げていくことだった。

名物料理はフォワグラのせハンバーグ

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ワインも極めてリーズナブル。赤のおすすめはボルドー「シャトー・ニコ」3860円。白は「ヴィニウス・オーガニック・シャルドネ」3650円。有機栽培のぶどうで作ったワイン

久しぶりに訪れた「シーブリーズ」は、すべてが昔のままに思えた。ところが座っていると懐かしさだけではなく、不思議なことに新鮮な感覚がわいてきた。壁のポスターも微妙にすっきりとしている。そして料理も定番のビストロ料理がさらにブラッシュアップされている。

朝哉さんがもっとも悩んだのが“誰にでも喜ばれる一品”だった。

「どうしてもフランス料理は敷居が高いと思われてしまう。その先入観を取り払う一皿が必要では?」と考えたのが“牛バラ肉と豚ホホ肉のハンバーグ”。

ハンバーグはソースにフォン・ド・ヴォーとバルサミコで少しアクセントをつけたところがフレンチ風に工夫されている

しばらくすると驚いたことに昼も夜もオーダーの半分がハンバーグに集中。

「一年に3000個出ました」(朝哉さん)

立派な名物料理になったのだ。変わらないように見えて、少しずつ時代に合わせた工夫を凝らす。それが受け継ぐことの難しさであり醍醐味だろう。日本のフレンチにもようやくホンモノの二代目が現れた。

三宿から世田谷公園に向かい、ローソンの角を左に。フランスの国旗が目印。ちなみにパンとコーヒーはそれぞれご近所の「シニフィアン・シニフィエ」「NOZY COFFEE」のものを

シーブリーズ

住所:東京都世田谷区池尻1-8-8グランサンク1F
電話番号:03-5486-1568
営業時間:11時30分~13時40分LO(土・日は14時LO)、18時~21時30分LO
定休日:月・第3火

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。

この記事を書いたライター情報

犬養 裕美子

犬養 裕美子

レストランジャーナリスト

東京を中心に地方や海外の食文化、レストラン事情を最前線で取材。ファッション誌から専門誌まで数多くの雑誌で連載を持ち、その店の良さ、時代性をわかりやすく解説。特に新しい店の評価に対する読者の信頼は厚い。食に関わる講演・審査員など多数。農林水産省顕彰制度・料理マスターズ認定委員。

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