人と自然が作り上げた広大な森の赤城自然園

人と自然が作り上げた広大な森の赤城自然園

2020/08/19

四季を通して、動植物がさまざまな表情を見せる赤城自然園。手入れされた森には、毎年多くの人が訪れ、珍しい山野草を楽しみ、緑の中でリフレッシュする。赤城自然園の国兼(くにかね)貴行さんに、森の成り立ちや楽しみ方などを聞いた。

中広

中広

自然環境に丁寧に手を加え類を見ない人口の森を育成

赤城山の長い裾野の一角に、自然環境を生かして作られた広い森がある。東京に本社を持つ株式会社クレディセゾンが、CSR活動の一環として管理と運営を行う赤城自然園だ。敷地面積は120ヘクタール。そのうち半分を一般開放している。

同園は50年ほど前、別の会社が事業として始めたものを、2010年に同社が引き継いだ。「最初は、針葉樹が密生していたのを切り倒して、カエデやブナなど落葉する広葉樹を植えたと聞いています」と、同園で園内のガイドも務める国兼貴行さんは話す。それから井戸を掘って、川を引いた。水辺の周囲には植物を植えたという。

最初の20年は一般公開せず、木や植物が定着するのを待った。木が葉や実を落とし、水が常に流れるようになると昆虫や小動物が集まり、それを狙って鳥もやってくるようになった。人は時々手を入れながら、森が賑やかになるのを助けてきた。

半世紀を経た現在、約152種の樹木と510種の植物、1810種の昆虫、77種類の鳥類、15種の哺乳類が確認されている。北関東で生息する植物や昆虫のほとんどの種類を自然に近い形で見られ、絶滅の危機に晒されている多くの山野草も育つ。

国兼貴行さん

国兼貴行さん

同園の整備担当者は17人。交代で森を見回り、遊歩道に突き出て危ない枝葉を落としたり、草を刈ったり、植栽したり、時には木を倒す。木が茂りすぎて足元の山野草に光が当たらない時は伐採もする。風が抜けるように整えるのも整備担当者の役目だ。

建物や人工物は、極力目立たないよう工夫している。全長約10キロメートルにわたる園内の遊歩道の足元には、木の皮のチップを敷いた。アスファルト製の道を隠すと同時に、歩くときにクッションの役割をもたせるためだ。人の手と自然の力のバランスが、ちょうど釣り合ったところで同園の今の環境は支えられている。

北関東でも珍しい山野草や海を渡る蝶にも出合える

来園者は50代から70代の人が多い。お目当ては、珍しい花だ。春はカタクリに始まり、シラネアオイシャクナゲなどが入れ替わるように咲いていく。夏のレンゲショウマは、可憐な花から森の妖精とも呼ばれる。同園を除けば群馬県内ではほとんど見られず、有名なのは東京都の御岳山と貴重な花。この花を見に、県外から同園に訪れる人も少なくないそうだ。

花以外にも、珍しいものはたくさんある。その一つが、海を渡り1千キロメートル以上を旅するアサギマダラだ。同園で生態調査のマーキングをしたところ、20日後に約2千キロメートル離れた与那国島で発見され、ちょっとした話題になった。さらに運がよければ、カワセミが魚を捕える姿や、リスが枝を渡るところを見られるかもしれない。

夏の赤城自然園

カブトムシも多く生息する。樹上の自然な姿を見られるかも
葉のない茎に花をつけるキツネノカミソリ
黄色い花を咲かせるマルバダケブキ

花の見ごろは毎日、総合案内所のマップにスタッフが書き入れている。それを頼りに散策するもよし、同園の楽しみ方は訪れた人の数だけあると国兼さんは話す。「近所に住む方は、年間パスポートを購入して毎日散歩に来ます。芝生で昼寝をしている方もいて、皆さん自由に楽しんでいますよ」。国兼さん自身も同園に勤めるうちに、花から鳥、自然現象、そして星へと興味が移っていった。「ガイドの時は、自分が良いなと思った点を、楽しむヒントとしてお伝えしています」と、話す。

総合案内所前には、園内の花の見どころを手書きしたマップがある

同園はまた、森林セラピー基地としての認定を受けている。森林セラピーとは、科学的に検証された森林浴の癒し効果を指す。からだの隅々までリラックスできたり、免疫機能を改善させたりなど、予防医学的効果が期待できるというものだ。ただ森にいるだけでいいと、国兼さんは続ける。

森の奥にあるミズスマシの池。水面に木々が移り幻想的な雰囲気がる

園内をもっと楽しみたい人へ向けた、オリジナルプログラムもある。ガイドツアーや森の中でのヨガ、バードウォッチング、撮影教室、アサギマダラへのマーキング、森に1泊する体験など。ヨガと宿泊体験は一般公開されていないエリアを使って行うため、自然の息吹を全身で感じたい人にぴったりだろう。

この10年で入園者の数は、2万人から9万人に増えた。年間パスポートを持つ人は80人から1千700人に。1度訪れた人が再訪する際、友人を伴う場合が多いという、大切な人を連れて来たくなるスポットだ。遊歩道を1周するのに2時間。森の中で癒されながら、自分が見つけた花や景色を、仲間と分かち合えば喜びも倍増するはず。強い夏の日差しも、木々の葉がさえぎり柔らかな光に変わる同園で、散策を楽しんでみてはどうだろう。


コロナウイルス感染予防および拡散防止対策について

・ご自身で必ず体調をご確認のうえ、ご来園ください。

・予防措置として、手洗い・手指消毒・うがい・マスクの着用をお願いいたします。

・主要施設及びトイレに消毒液を設置しております、どうぞご利用ください。

・施設内で万一体調が悪くなった場合には、お近くのスタッフまでお声掛けください。

・イベントやレンタル(一部を除く)は中止しております。ご了承ください。

・状況により一部施設を閉鎖することがございますので、あらかじめご了承ください。

・スタッフも感染予防対策としてマスクを着用いたします。

※熱中症予防対策として、周囲の人との距離を十分にとった上で適宜マスクを外して休憩するなど体調管理をして下さい。

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中広

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中広は岐阜に本社を置く広告会社です。 地元の情報を各戸配布のハッピーメディア(R)『地域みっちゃく生活情報誌(R)』のブランドで発信しています。

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