伊賀の森の恵み「ジビエ」を味わう!

伊賀の森の恵み「ジビエ」を味わう!

2019/11/03

ジビエとはフランス語で、狩猟で得た天然の野生鳥獣の食肉を意味する。日本でも古くから食する文化があったが、一般には馴染みが薄かった。しかし近年、農作物被害の防止のため、シカやイノシシが捕獲されるようになり、それらの肉がジビエとして活用され、注目を集めている。

中広

中広

地域で捕獲された獣肉を加工してブランド化へ

三重県において野生鳥獣による食害問題が深刻化したのは10年ほど前。特にシカとイノシシによる被害が突出しており、県は獣害対策に乗り出した。

その一方で、捕獲したシカやイノシシを食用として利活用する取り組みを始める。安全で安心な高品質の食肉を提供すべく、2012年3月、「品質・衛生管理マニュアル」を策定し、ブランド「みえジビエ」としての流通を目指した。

翌年12月には、マニュアルを遵守する事業者施設を登録する「みえジビエ登録制度」を制定した。第1回の登録は9事業者あり、そのひとつが伊賀市の解体処理施設として登録されている「いがまち山里の幸 利活用組合 かじか」(以下「かじか」)である。

「山林の保育作業や農作業を主とする会社も営んでいるのですが、ここ10年から15年は植林したばかりの苗木が食べられるなどの獣害が増えてきました。近在の農家の被害も甚大で、なんとかしなくてはと思っていたところ、県の取り組みを知り、貢献できればと考えたのです」と、代表理事組合長の中森秀治さんは「かじか」を立ち上げた経緯を話す。

いがまち山里の幸 利活用組合・かじか代表理事組合長の中森秀治さん

地元猟友会に所属し、以前よりシカを捕獲していた中森さん。貴重な山の恵みである命を無駄にしたくないと、廃棄処分する部位(くず肉)を利用したドッグフードの製造、販売を手がけていたことも背景にあったようだ。

品質と衛生管理を徹底し安心・安全なジビエを

高タンパクで低脂肪。ヘルシーな食材として人気のジビエ

シカ肉やイノシシ肉は「臭い」「固い」「クセがある」といったイメージがつきまとうが、「かじか」で処理された肉は柔らかく、臭みもなく、美味しいと評判だ。県のマニュアルに則って適正に解体処理し、衛生管理も徹底している。

具体的に見ていくと、猟銃ではなく罠で捕らえた肉を使用。必ず生きた状態で捕獲されているのを確認して、現場でとどめを刺し、素早く血抜きをする。その後、保冷車で解体処理施設まで搬送し、洗浄、内臓の摘出、解体を行う。施設に搬入するまでの時間は、とどめを刺してから夏場は60分、冬場は90分以内を厳守。肉の状態を確認しながら仕上げて、真空パックで保存する。

シカやイノシシを捕獲する箱罠。センサーカメラによって、スマホに捕獲メールが送られてくる
伊賀白鳳高等学校フードシステム科の生徒が「かじか」を訪れ、内臓の摘出から解体、真空パック詰めまでの作業を見学した

「猟銃の弾の小さな破片がないか、金属探知機を通すなど品質の管理にはこだわっています。みえジビエは秋の狩猟シーズンだけの流通ではなく、有害駆除として捕獲をしていますので、1年を通して食肉を提供できるのも特徴です」と中森さん。

「かじか」ではホテルやレストラン、加工業者へ納品するほか、一般への販売も行っていて、ミンチへの加工や量の調整などにも対応している。

「シカはロースやモモが人気で、イノシシはこれからの季節、やっぱりぼたん鍋がおすすめですね。ドッグフード『しか肉ジャーキー』も、好評をいただいています」

シカ肉のミンチを手裏剣型のジャーキーにしたドッグフード「手裏犬ジャーキー」。伊賀上野N I N J Aフェスタとネット限定で販売

レシピなどを紹介して普及と消費の拡大を図る

高タンパクで低カロリーな食材として話題のジビエも、食するとなるとレストランで、となる。現在、伊賀地域では「ヒルホテル サンピア伊賀」など5店舗が、みえジビエの料理を提供している。また「かじか」のほか、「マックスバリュ上野店」「サンショク伊賀上野直売所」など、みえジビエを購入できる施設は7軒ある。

おすすめ食材のシカ肉ロース 550円/100g(税込・送料別)。赤身と脂身のバランスが絶妙。ステーキやロースト用として使われいる

しかしながら、一般家庭の食卓にのぼる機会はまだまだ少ない。そこで中森さんは「かじか」のホームページで、部位ごとに適したレシピを掲載し、さらなる普及を目指す。

「シカ肉は牛肉や豚肉と比べ鉄分が豊富なうえ、脂質が少ないため、健康志向の方やアスリートなどにおすすめしたい食材です。火を入れすぎると、パサついてしまいますので、火加減には気をつけましょう」

おすすめレシピ

にんにくとの相性◎!しかの菜の花ステーキ

しかの菜の花ステーキ

【材料】
シカ肉(ロース) 150g(1㎝幅に切る)

※漬けだれ(以下の材料を混ぜ合わせる)
にんにく 1片(スライス)
黒コショウ 適量
醤油 小さじ1
なたね油 少々を肉に塗り付ける程度

【作り方】
1. シカ肉は1㎝幅に切り、ポリ袋に入れ漬けだれをまぶして、空気を抜き30分程度冷蔵庫におく。
2.フライパンになたね油少々をひき、焦がしすぎないよう中火以下で焼く。

野菜いっぱい!里山のチャンチャン焼き

里山のチャンチャン焼き

【材料】
シカ肉(ロースorもも) 100g

☆酒粕 大さじ1
☆味噌 大さじ1
☆みりん 少々

キャベツor白菜 1/4玉
にんじん 1/3本
玉ねぎ 1個
ピーマン 1個

【作り方】
1. シカ肉は小さめの一口大に切りポリ袋に入れ、☆を混ぜ、空気を抜いて1時間冷蔵庫におく。
2. 野菜は食べやすい大きさに切る。
3.フライパンに油をひき、肉→野菜の順に入れて蓋をし、中火で蒸し焼きにする。
4. 水分が多い場合はキッチンペーパーで吸い取り、味が薄いようであれば、味噌を少々足す。


高校や大学などと連携した商品開発にも挑んでいる。これまでに三重県立伊賀白鳳高等学校フードシステム科の生徒が考案した「猪肉味噌」や、三重大学が開発に携わった「三重大学欧風ジビエカレー」(三重大学生協で販売)などが商品化した。

みえジビエの認知度が徐々に高くなってきた反面、課題も出てきたと中森さんは指摘しつつ、思いを語る。

「当施設周辺ではシカの捕獲が進み、農作物の被害が以前より少なくなったように思います。ということは、今後捕れるシカが少なくなる恐れがあるのです。事業として展開し、地域振興につなげていくために、そのあたりをどうするのか、今後考えていかなくてはいけません。ただ、ジビエの魅力はこれからも伝えていきたいですね」

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中広は岐阜に本社を置く広告会社です。 地元の情報を各戸配布のハッピーメディア(R)『地域みっちゃく生活情報誌(R)』のブランドで発信しています。

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