家族経営で伝統を受け継ぐ。石川県小松市で触れる九谷焼の造形美

家族経営で伝統を受け継ぐ。石川県小松市で触れる九谷焼の造形美

2019/11/21

約360年前、現在の石川県山中町九谷で生まれ、鮮やかな彩色と大胆な図柄、そして緻密な絵付けが特徴の陶磁器・九谷焼。そんな九谷焼を現代の生活にも馴染むよう、家族経営で進化させ続ける絵付けを専業とする錦山窯が展示室「嘸旦(むたん)」をこの秋開設した。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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「華やかな陶磁器を日常に」家族の想いが詰まった展示室へ

美術品のような佇まいの陶磁器・九谷焼。作り手の想いを聞き、実際の生活に取り入れるきっかけがもらえるコミュニケーションの場としても活用できる展示室だ
金沢駅から車で約40分かけ、たどり着いたのは閑静な住宅街。絵付けを行う工房の横に建った建物が展示室だ

石川県内に点在する九谷焼の窯元の中でも、金彩の技法が特徴的な錦山窯。現在四代目を務める吉田幸央氏が中心となり、構想約2年「発信の場」として展示室「嘸旦(むたん)」が今年10/12に開設された

錦山窯四代・吉田幸央氏は「嘸旦」お披露目会の際に「金は使うことで味わいが増すため、九谷焼を生活と共に使い変化する喜びを知ってほしい」と語った
「嘸旦」は「現代における日本の文化創造」をコンセプトにさまざまなデザインを行うSIMPLICITYの緒方慎一郎氏が企画設計に携わる。落ち着いた暖色系の室内は鑑賞にも、コミニケーションにも適している
「嘸旦」に使用された石は石川県小松市内の石切場で採石されたもの。現地の人はこの独特の黄色がかった石の色に見慣れているとのこと
日中はスポットライトなどを使わずに天井の隙間から入る自然光のみで陶磁器を照らす
石の反射光が九谷焼の金をふわっと浮き出たせる効果もある

「嘸旦」はホームページ上からなど、アポイント制の来場だが今後はスペースを活用したアートや音楽などのイベントも積極的に実施していきたいとアートディレクターの吉田るみこ氏は語る。

実際に生活の中でどのような使い方ができるかを紹介してくれる吉田るみこ氏
つい美術品のように飾るだけで終わってしまいそうな中、実例と共に紹介してくれるためイメージがわきやすいのも現地を訪れる魅力のひとつ
実際にお茶菓子と共にお茶をいただいてみると、たしかに使い込んでいくことで出る独特の風合いを感じることができた
花器としても、小物入れとしても使えるなど、使うことによって自分なりにしっくり来る新たな使い方が見つかるかも
準備は開設日当日の朝まで差し掛かったとのこと。扉の金箔も家族全員で分担しながら一枚一枚想いを込めて貼り付けた
お披露目会に訪れた方々に挨拶をする吉田一家のみなさん。疲労の表情も垣間見れたが、それぞれどこか達成感に満ち溢れた表情で、こだわりの点について説明をしてくれた

隣接する工房では洗練された絵付けの技が光る

以前はこちらの建物の2Fをギャラリーとして使用していた

展示室「嘸旦」と隣接する場所には工房が。

中では常時4-5名により絵の具を塗りつけ、金箔を貼り付ける緻密な作業が行われている。

作業台の周りには、個人個人違った集中するためのグッズも。美しい造形の裏に大変な集中力と緻密な作業が必要なことが分かる
カットされた金箔は非常に薄く、ひらひらとし扱いづらいはずだが、慣れた手つきで器用に陶磁器に纏わせていく
絵付けが終わったものは工房内の電気窯で焼成し、完成する

受け継がれていく技術をもって生まれ続ける九谷焼は、これからも一家の手の中で進化していく

完成した展示室内で、最後に吉田一家のみなさんを撮影

吉田幸央氏の「『嘸旦』を夢が実現する場にしたい」という言葉が印象的だった。

今後、展示以外にも様々な催しが開催され地域住民を巻き込んだ形で発展し、また子供たちに夢が受け継がれて更なる九谷焼の価値を提案してくれることに期待したい。

帰り際「嘸旦」の上空に広がる夕焼けの美しさに感動し、帰路についた

取材・文・撮影=Yahoo!ライフマガジン編集部

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