三春藩藩主も愛した“油揚ほうろく焼”は、歴史ある郷土の味

三春藩藩主も愛した“油揚ほうろく焼”は、歴史ある郷土の味

2016/03/22

油揚げ、ネギ、味噌。日本人になじみのある食材のみで作る福島・三春の郷土料理「油揚ほうろく焼」。おやつやご飯のおかず、酒のつまみなど、どんなシーンにもぴったりな名物グルメのうまさの秘密とは?

Yahoo!ライフマガジン編集部

Yahoo!ライフマガジン編集部

藩主が好んだ油揚げを風味豊かにアレンジ

樹齢推定1000年を超えるサクラ・三春滝桜で有名な福島県三春町。かれんに咲き誇るサクラと同様に、この地で長く親しまれているのが「油揚ほうろく焼」だ。油揚ほうろく焼とは、厚揚げと見間違うほど厚みのある油揚げに輪切りのネギを詰めて香ばしく焼き、甘味噌を塗った郷土料理。

その歴史は古く、江戸時代に三春藩三代目藩主・秋田輝季(てるすえ)が、三春の庄屋でごちそうになった油揚げが始まりと伝えられている。三春は昔からお寺が多く、精進料理として豆腐や油揚げ料理が根付いていた。その三春ならではの滋味あふれる味わいを、輝季はいたく気に入ったのだという。

郷土史よりこの逸話を見つけ、現在の「油揚ほうろく焼」を作り出したのが、三春で100年以上営業を続ける「八文字屋 お食事処ほうろく亭」の先々代社長・橋本久右エ門。戦後、久右エ門はこの話をもとに油揚げにネギをはさむなどのアレンジを加え、「油揚ほうろく焼」を開発。約70年以上たった今では、三春を代表する名物として多くの人々に知られるようになった。

老舗ならではの和の情緒あふれる店内。若女将が朗らかな笑顔で迎えてくれる

旬の味わいを加えた郷土の味

現在も開発当時と変わらぬ味を届ける「八文字屋 お食事処ほうろく亭」の「油揚ほうろく焼」(2個入・600円)。油揚げ・甘味噌・ネギは地元産を使用。中火でじっくりと焼き上げ、油揚げの表面はカリッと、中はふっくらとした食感に。

「甘味の強い曲がりネギが、油揚げの中で柔らかくなるよう熱を加えるのが伝統の料理法。また表面にたっぷりと塗った甘味噌も味のポイント」と話す若女将。春はフキノトウ味噌、夏は山椒味噌、秋冬は柚子味噌と、季節ごとに変わる味噌の味わいも評判だ。

「油揚ほうろく焼」(2個入・600円)の三角形は、舞鶴城の上で羽ばたく鶴の羽をイメージ。ほうろくは器として利用している

約4cmと分厚い油揚げは、箸で切らずに熱々ならではのうまさを楽しむためにも、そのままかぶりついて食べるのがおすすめ。噛むたびにジュワッとあふれ出る油揚げのうまみとネギの甘味、甘味噌のコクの重なりを、じっくり味わいたい。今も地元で愛され続けている油揚ほうろく焼。初めて食べた人でも不思議と懐かしさを感じるその味わいは、まさに郷土の味といえる逸品だ。

入り口には趣のある調度品や季節の花が配されている

※掲載の内容は2016年3月時点の情報に基づきます。
※2019年5月に店舗(住所、電話番号、営業時間など)、メニュー、料金などの一部情報を更新しました。

この記事を書いたライター情報

Yahoo!ライフマガジン編集部

Yahoo!ライフマガジン編集部

グルメ、おでかけ、イベントなど、ライフスタイルを豊かにする情報を編集部が厳選して紹介します。

おすすめのコンテンツ

連載