福岡の冬の風物詩・糸島カキを新登場の常設施設で快適に食べる!
2019/12/14
ここ数年、ブームと言ってもいい人気を集めている糸島カキ。地の利を活かした養殖で育まれたプリプリしたおいしさが特徴で、昨年は糸島に約53万人の人出があった。さらに今年、一番カキ小屋が集まっている岐志(きし)漁港で施設リニューアルが行われ注目度がアップ!その魅力をたっぷり紹介しよう。
Yahoo!ライフマガジン編集部
ビニールハウスのような仮設カキ小屋から、新しい鉄骨の施設にスケールアップ!
福岡市の西部に隣接する糸島市では、毎年冬、30軒近くのカキ小屋がオープンし、たくさんの人で賑わう。人気の理由は、地元の山・森と豊かな海が育んだ芳醇で大きな身と、リーズナブルな値段。
新鮮なカキを自分の手で焼いて食べると、口の中いっぱいに海の香りが広がり、そのおいしさは格別だ。今年、リニューアルした岐志漁港に伺ってみた。
\この人に聞きました!/
\糸島カキ小屋のここがスゴイ/
1.栄養たっぷりのブランド牡蠣が漁師直営のカキ小屋に登場
2.常設化されたカキ小屋はオシャレで快適
3.カキ小屋ごとに異なるこだわりのサイドメニューにも注目
1.栄養たっぷりのブランド牡蠣が漁師直営のカキ小屋に登場
糸島カキを養殖する牡蠣棚は、岐志漁港から船で5分くらいの沖にある。雨が降り、枯葉などの養分が山から河川をつたい湾内に流れ込んで、外海の海流と混ざり良質なプランクトンが発生することから、身が大きく濃厚でおいしい牡蠣が育つと言われているのだ。
- 糸島漁協の松隈さん
- 糸島漁協の松隈さん
- 「広島や宮城には2~3年かけて大きく育てられる牡蠣もありますが、糸島では1年で育ちます。それだけ栄養が豊富だということです。牡蠣棚より水揚げされたカキは、ロープより外してから大きさで選別し、シャワーで泥を落とした後、1個ずつ研磨機にかけてフジツボやヘドロを全部外し、2回目のシャワーをし、漁協の水槽で紫外線殺菌を24時間行います。この作業はそれぞれの漁師がお店ごとに行います。ものすごく手間を掛けて各店舗の生け簀に上がってくるのです」
- 糸島漁協の松隈さん
- 糸島漁協の松隈さん
- 「令和元年の今年、『糸島カキ』は地域団体商標に登録され、糸島の冬の水産業を支える観光資源として今後も打ち出していきたいと考えています。しかもこの岐志漁港で育てているカキには『森のめぐみ』という名が付いています。同じ糸島でも他のエリアとは違うブランドだということです」
2.常設化されたカキ小屋はオシャレで快適
元々、漁師が作業している小屋の前で、寒いからドラム缶で火を焚いていて、そこで小さいカキを焼いていたらいい匂いと煙でお客さんがやってくるようになったのがカキ小屋の始まりだそう。
イスなどを設置したり、数軒が集まって仮設の施設を作ったりしてどんどん広まった糸島カキ。今年、この岐志漁港では糸島漁協主体で鉄骨平屋のカキ小屋の常設化に着手。5か月近くをかけて整備され、10月25日に竣工した。
衛生管理を徹底し、各店舗のトイレも浄化槽になり、快適に利用可能。お店の前にある300台の駐車スペースもアスファルトで舗装され、天候が悪い日でも安心だ。松隈さんによると、前年比1.7倍の人出を見込んでいるとのこと。
\この人に聞きました!/
- マネジャーの山本さん
- マネジャーの山本さん
- 「建てる時にこだわったのが内装で、カキ小屋が初めてでも安心して来られるようになるべくおしゃれにして、清潔感にも気を配りました。お客さんが自分たちで焼くバーベキュースタイルですので、手ぶらでOK! ずっと火の前にいると段々身体が熱くなりますし、調節のしやすい重ね着スタイルで来てください。新装された小屋には専用のトイレを用意していますし、小児用の便座もありますので家族連れでも安心です。キッズスペースも設置していますよ」
- マネジャーの山本さん
- マネジャーの山本さん
- 「収容人数が120人とあまり多くないのでお客さんとの距離が近く、注文の際に初めてかお尋ねして未経験の方には食べ方を丁寧にレクチャーします。思った以上に灰が飛びますので、カメラや携帯に気を付けてください。おしぼり(ウェットティッシュ)やタオルなどを持って来られると便利です」
もちろん、基本メニューは焼きガキ。カキは1kg1100円(糸島漁協所属の全店でカキの料金は同じ1kg1000円の設定だが、税別・税込はお店で異なる)で、持ち帰りも可能だ。
- マネジャーの山本さん
- マネジャーの山本さん
- 「開いた牡蠣の口から汁が滴り落ちてきたら、逃がさないようにそのタイミングでひっくり返し、出てきた汁を沸騰させて殻の中でカキをぐつぐつと煮るようにします。また2~3分焼いて、しっかり焼けてくると表面が乾燥してぱかっと大きく開きます。牡蠣の口から汁が飛び出すことがあるので、開いた口は人のいない方向(対面だと横など)に向けて置きましょう」
- マネジャーの山本さん
- マネジャーの山本さん
- 「カキは炭火の上でかなり熱くなっていますので火傷に気をつけて。またカキの中の熱水が軍手に付くことがありますので注意してくださいね。焼き過ぎると水分が飛びカラカラになってボンっと爆発音がすることもあります」
- マネジャーの山本さん
- マネジャーの山本さん
- 「私も普通に2~3kgは食べますし、女性で数人分ペロリといけちゃう方も多いですよ! 最初はそのまま何も付けずに食べてみて、雨の日が少ないと塩分濃度が上がって少ししょっぱいと感じたりする方もいますので、ひと口食べてみて加減してもらうのもいいですね」
\自分好みのトッピングを持参して試してみよう!/
海の塩味やシンプルな調味料だけで食べる焼きたてのカキがおいしいのは間違い無し。ただ数多く食べていると単調になってくるので、そんな時にはトッピングがおすすめ。
店舗にも用意してあるが、味のバリエーションを楽しめるようにトッピングを自分で用意して来店する方も多い。トッピングは持参OKなので、お好みのものを加えて豪華に楽しんでみよう。
- マネジャーの山本さん
- マネジャーの山本さん
- 「個人的に王道はレモンで、その次は青じそがおすすめ。意外とイタリアンドレッシングがカルパッチョみたいでおいしいです。味変していくとたくさん食べられますよ!」
3.カキ小屋ごとに異なるこだわりのサイドメニューにも注目
カキ小屋では、焼きガキ以外にもサイドメニューがたくさん用意されている。海産物中心のバーベキュー用の素材が多いが、各店で個性的な創作アラカルト料理が楽しめるので、こちらもぜひチェックしてみよう。
また、店で異なるが持ち込みOKの内容も見逃せないぞ!
- マネジャーの山本さん
- マネジャーの山本さん
- 「ウチの店だけの名物で、四角い缶にカキや魚介類を入れて蒸して食べるガンガン焼き(2~3人前で4004円~)など、カキが苦手の方でも楽しめるメニューを提供できるように工夫しています」
- マネジャーの山本さん
- マネジャーの山本さん
- 「ウチでは、おにぎり類、飲み物(アルコール含む)、牡蠣の上に乗せて楽しむトッピング類は、持ち込み可能(無料)です。ただ持ち込んだものは網の上では焼けません。また持ち込んだものから出たゴミは全て持ち帰りをお願いしています」
- マネジャーの山本さん
- マネジャーの山本さん
- 「遠くから来られた方に糸島を楽しんで欲しいので、カキのハートが入ったインスタグラム用の仕掛けも用意しました。カキのおいしさを味わって、いい思い出を作ってください!」
数軒が並んで定着した2011年ごろ、漫画「クッキングパパ」で紹介された徳栄丸。当時の趣のある昔ながらのビニールハウスも風情があったが、やはり常設店舗型は清潔感があり、新しいから気持ちがよく、キレイな化粧室も嬉しい。
焼きガキしか無かった頃の和気あいあいの雰囲気や、丁寧な下処理など初心を忘れずに残しつつ、お客さんの要望に合わせて変化していきたいと山本さん。これまで仮設には行ったことが無かった人、毎年通っている常連さんも、新しくなった岐志漁港のカキ小屋を、ぜひ体験してみて欲しい。
取材メモ/撮影は平日でしたが、お昼時には店内がいっぱいになるほどの人出です。土日は駐車場が満杯になるとかなりの渋滞が予想されますので、なるべく開店時かお昼の時間をずらして行くことをおすすめします。徳栄丸の予約は平日ならいつでもOK、土日祝は11時までの入店なら可能です(お店により異なります)。
取材・文=シーアール 撮影=福山哲
\今、福岡は行きたいとこだらけ/