札幌・円山に幻の中国茶や点心を楽しめる新店が登場

2016/10/08

札幌・円山に幻の中国茶や点心を楽しめる新店が登場

グルメもファッションも、感度の高い路面店が並ぶ札幌・円山エリア。本格的な中国茶を中国粥や点心とともにリラックスした雰囲気の中で楽しめる「中国茶とおかゆと点心 奥泉」が7月にオープン。全国でも取り扱いが珍しいという貴重な茶葉に注目してほしい。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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【ここがスゴイ!】

1. 中国・人間国宝級茶師の「岩茶」
2. 手作りのお粥・点心は持ち帰り可
3. 朝7:30から営業

世界遺産の地で生まれた貴重な中国茶を、ゆったり気軽に楽しめる

小さな茶器から、馥郁(ふくいく)とした香りが広がる幸福な瞬間

「岩茶(がんちゃ)」という中国茶をご存じだろうか? 中国大陸南東部にある福建省の「武夷山(ぶいさん)」は、急峻な岩山の合間を清流が流れる風光明媚(ふうこうめいび)な土地で、世界遺産にも指定されている。

その武夷山の岸壁には数々の銘茶の木が自生しており、それを元にした茶樹の栽培が盛んとなった。武夷山で採れるお茶が武夷岩茶、つまり岩茶といわれる。

岩場の土地で育つ茶樹はミネラルを豊富に吸い上げ、その茶葉は香り・味ともに豊かに育つ。無農薬で育てる茶葉を、熟練の茶師たちが長時間かけて製茶するため、生産量は少なく貴重な中国茶だ。その岩茶を楽しめるお店が円山に、7/15にオープンした。

円山公園駅から大通を進み西22丁目の交差点で右折し、コインパーキングの隣にあるビルの1F
エントランスや路面に向いた大きな窓から自然光が入り、心地が良い

岩茶に魅せられ店を始めたのが、中国茶インストラクターであり、中国政府認定の評茶員(ひょうちゃいん)・茶藝師(ちゃげいし)でもある奥泉富士子さんと、パートナーの斉藤裕樹さんだ。奥泉さんは、中目黒にある岩茶専門店「岩茶房」で働いた経験を持つ。

店を営む奥泉富士子さん(右)と斉藤裕樹さん(左)。斉藤さんはソムリエの経験を持つそう。「料理の味やお茶との相性など、アドバイスをよくもらいます」(奥泉さん)

杯を重ねるごとに魅力を変える「岩茶」の深い味

岩茶の特徴に品種が豊富なことがあり、同店では常時14種前後を品ぞろえする。中国の人間国宝級に当たる茶師・劉宝順(リュウ・パオシュン)氏が、古くからの伝統的な製法でつくる茶葉も扱っている。

その劉氏が製茶した2015年の茶葉「肉桂」を奥泉さんに入れてもらった。

お茶を入れる際の美しい所作も、中国の茶藝師資格で求められるポイントのひとつなのだそう
奥泉富士子さん
奥泉富士子さん
一煎目(最初に入れるお茶)はお湯の温度や茶器の状態、抽出の時間などに気配りが必要ですので、大抵はこちらで入れてお出ししています。一煎目でうまく味が出ていれば、次からはどのように入れてもおいしく入ります。次からはお湯をお渡しするので、自分のペースで楽しんでいただいて大丈夫です。
茶葉の味わいを一滴も逃さず入れていく

入れてもらったお茶の杯を鼻に寄せると、甘い香りが立ち上る。口に含むと、桃を思わせるようなフレッシュな香りがぱっと広がり、糖分は入っていないのにふくよかな甘味を感じるのが面白い。

二煎目以降、お湯は何度でももらえるので、味が出なくなるまでじっくり楽しむことができる。

奥泉富士子さん
奥泉富士子さん
中国茶の茶器は小さく、茶葉からは長らく味が出続けますので、10煎以上楽しんでいかれる方もいますよ。杯を重ねるごとにだんだんと変化していく味も楽しんでいただきたいと思います。
15’肉桂(1ポット1600円)。1つのポットのお茶を複数人でシェアすることも可能。ドライフルーツやナッツなどのお茶請けがセットに

小さな急須から、これまた小さな杯にお茶を注ぎ、2煎目を味わう。杯から立ち上る香りはやや弱まったものの、口に含んでから鼻に抜けていく風味は強く感じた。そして、最初はやわらかな甘味だったのが、こっくりとした濃い味わいを感じられるようになる。

3煎目、4煎目と飲んでいくと、奥泉さんの言う通り、ゆっくりとではあるが味のバランスが変わっていく。じっくり飲む時間がない場合は、2〜3煎目まで飲んだ茶葉を包んで持ち帰ることもできる。「お家でも続けて飲んでください」と奥泉さん。

岩茶の一つ、2013年の黄金桂(1ポット800円)の茶葉。こういった旧茶(熟成した茶葉)も楽しめるほか、1年に一度新茶が入る
お茶の味には水も大切な要素。もともと水のよい札幌だが、炭を入れた瓶で一晩寝かせ、雑味を取り丸みを持たせてから使っている

中国茶が好きな人は、もちろん一煎目から自分の好みに合わせて入れることもできる。岩茶のほかにも、プーアル茶やジャスミン茶など定番の中国茶から、国産ウーロン茶「猿島茶」(800円)、雲南産珈琲(580円)といった珍しいメニューもあり、さまざまな楽しみ方が可能だ。

お茶に合わせて、優しい味のお粥や手作り点心を

前述の通り、東京で働いていた奥泉さんと斉藤さん。札幌にゆかりがあるのかと聞くと、なんと“Iターン”でこちらに開店したそう。

奥泉富士子さん
奥泉富士子さん
出身は新潟県と埼玉県で、どちらも北海道は初めてだったのですけれど。涼しい所ならば温かいお茶を長く楽しめていいなと思ったのが一つ、もう一つは…やはり北海道は、お料理の食材が豊富ですので。

奥泉さんはお茶だけでなく、皮から手作りする点心やお菓子などでも腕をふるう。その生地に使う小麦や、中国粥に使う米…素材の産地の近さが、二人が北海道を選んだ理由の一つとなった。

中国粥(小)と手打ち水餃子(4ヶ)のセット(830円)。お粥はそのまま味わっても、添えられた腐乳(ふにゅう、発酵させた豆腐)やピータン、ザーサイで味に変化をつけてもおいしい

中国粥(単品680円、小サイズ580円)を中心とした食事メニューのほか、豊富なのが軽食にもぴったりなまんじゅう類だ。もちろん生地から手作りで、富良野ラベンダーポークを使ったブタまん(250円)、有機栽培の小豆のこしあんを使ったあんまん(180円)など、中のタネの素材も体に優しくおいしいものをセレクトした。

道産牛乳を練り込んだ生地で練乳を包み蒸し上げたみるくまん(2個330円)。チーズのように濃厚なミルクの風味が楽しめる

お茶にぴったりの甘味も各種そろえ、札幌ではなかなか目にかかれない台湾名物のパイナップルケーキ(2個380円)なども。また、お取り寄せで人気沸騰中の富良野のエゾアムプリンも、札幌市内で唯一提供している。

卵、牛乳、砂糖などすべて北海道産の原料を使用し、ハンドメイドで焼き上げられるエゾアムプリン(680円)

朝食、ランチ、午後のお茶…さまざまなシチュエーションで

この店の特徴の一つが、朝7:30から始まる営業時間。11:00までは、中国粥や、揚げパンと豆乳のセット(580円)などにお茶もサービスされる朝食メニューが楽しめる。

11:00からはランチにぴったりの日替わりのごはん物メニューが加わるほか、13:30からは限定の軽食メニューが登場。営業時間中いつでもお茶や甘い物は頼めるので、ティータイムの利用はいつでも可能だ。

焼き菓子は季節の限定メニューが用意されることも

さらに驚きなのが、お粥も含めすべての食事メニュー(グランドメニュー)がテイクアウト可能だという。「お粥や点心は用意に少し時間がかかりますので、事前にお電話いただけたらお約束の時間にご用意しますよ」と奥泉さん。

テーブル席8席のほか、1人で来てもゆったりと過ごせる窓辺のカウンター席(5席)も

ランチタイムにも、ティータイムにも、はたまた中国気分で朝の外ご飯にも。また、一人でリラックスタイムを過ごすのにも、グループでさまざまなお茶を楽しむのにも、どんなシチュエーションで訪れても楽しい。

また、茶葉は、日々気温や湿度で香りの出方が変化するという。その時々のいい茶葉を楽しんだり、好きなお茶の傾向を伝えておすすめしてもらったり、お茶の楽しみ方一つも幅広く、奥深い。お茶好きはもちろん、そうでない人でも、中国茶の魅力が必ず見つかるに違いない、そんな店だ。

中国茶とおかゆと点心 奥泉

住所:北海道札幌市中央区南1条西22丁目1-18 ビルド裏参道1F
アクセス:地下鉄円山公園駅より徒歩4分
電話:011-213-8805
営業時間:7:30〜17:00
定休日:火

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。

取材メモ/おいしいお茶は飲んだ瞬間からすーっと自然に体に溶け込んでいき、内側からきれいにしてくれるような感覚がします。初めて飲んだ岩茶は、香り高いのにとにかく優しい感触で、ずっと飲み続けていたくなるお茶でした。

取材・文=後藤海織、撮影=山下晴美(みんなのことば舎)

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