関東近郊の氷上スポーツを支える埼玉県唯一のスケートリンク場

関東近郊の氷上スポーツを支える埼玉県唯一のスケートリンク場

2019/12/16

関東で一年中スケートのできる施設は4カ所しかない。その一つ、上尾市にある埼玉アイスアリーナは、今年で5周年を迎えるまだ新しい施設だ。氷上スポーツはすべてできる設備の整った同施設で、マネージャーの須賀昌広さんに、施設の概要や利用者について聞いた。

中広

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初心者から上級者まで楽しんで滑れるリンク

2014年11月、上尾市のさいたま水上公園内に、埼玉アイスアリーナがオープンした。

「埼玉県にできた唯一のスケート場です。関東には、一年を通してリンクが張られているのは、ここと東京都、千葉県、神奈川県しかありません。リンクサイズは、国際規格に沿った大きさを備えています」と教えてくれたのは、同施設のマネージャーである須賀昌広さんだ。

【埼玉アイスアリーナ マネージャー 須賀昌広さん】

国際規格とはフィギュアスケート競技を行う際に、国際的に取り決めされたリンクのサイズを指す。同施設では、国際競技会こそ開かれないものの、国内の大会や予選会などの会場になるという。

「氷上スポーツにはフィギュアスケート、スピードスケート、アイスホッケー、カーリングがあります。当施設ではすべての氷上スポーツをプレーできます」と、須賀さんは続ける。

スピードスケートとアイスホッケーのリンクのサイズは、フィギュアスケートと同じ。同施設のリンク内にはホッケーリンクのラインが引かれている。

また、このリンクに隣接してサブリンクがあり、こちらにはカーリングの国際規格のコートが描かれている。カーリングのコートが常設されている施設はまれで、近くても長野県や静岡県、青森県になるそうだ。

スケートリンクが2面あると、利点は多い。サブリンクで初心者や幼児、小学校低学年の子どもたちがスケートをし、メーンリンクでは、早く滑れる人や同施設のフィギュアスケートスクールの生徒たちが練習に励める。埼玉アイスアリーナのスケートスクールの生徒は130人ほど。初心者も上級者もみんなが楽しめるのが、同施設の最大の特徴だ。

サブリンクでは毎週日曜日、イルミネーションリンクと銘打ち、カラフルな照明を氷の上に映し出す演出もしている。目的は、上手に滑れない人でも、華やかなリンクで明るい気分になってもらい、スケートは楽しいと思ってほしいからだそうだ。

くるくると色が変わり、夢の国のようなイルミネーションリンク

営業は20時間以上に及び、氷上もまめにメンテナンス

日中は、一般の人やスクールの生徒が利用し、夜になれば大学生のホッケーチームの練習が始まる。市外の埼玉医科大学や都内の武蔵大学などの学生たちが夜中まで練習し、閉館するのは深夜の2時過ぎ。翌朝は5時に門を開き、同施設のフィギュアクラブの生徒たちの練習が始まる。

「今はさらに開館時間が早まりました。9月の台風の影響で、千葉県のスケートリンクが一時閉館してしまい、そこのクラブの子どもたちが練習に来ています。その練習が4時45分からなんですよ」

ほぼ1日中、営業するのは苦労もあるが、間近に大会を控えながら練習場所を失った子どもたちのためにと要請に応じた。須賀さん自身も、小学生のころからフィギュアスケートをしていただけに、選手の気持ちがよくわかる。「スケート選手は、氷がなくては練習できないし、氷の上に立っている感覚を維持するのが大切なんです」。

その大切な氷は、厚さが8〜10センチ。氷の下には、断熱材や床暖房、コンクリートなどで作られた50センチ近い層がある。リンクの設営は簡単そうに見えるが、コンクリートを打ち、そこに水を入れて凍らせただけではスケートリンクにならない。コンクリートが冷えると、その下の地面も冷える。すると地中の水分が凍って霜柱のような塊になり、コンクリートを割ってしまうのだ。床暖房などのおかげで、地中は冬でも5℃から6℃くらいの温度を保っている。

【埼玉アイスアリーナ 製氷責任者 松田和徳さん】屋外には室温や氷の温度など設定する計器類がある。データの一部はここからパソコンへ転送される

「氷の色は、本当は下が透けて黒いんです。白く見えるのは、氷を作る途中で専用の白いペンキをまくからなんですよ」と、須賀さん。氷は白い方が、ホッケーのパックも見えやすく、光の反射を減らす効果があるそうだ。

丁寧に作ったリンクは、一定時間ごとに製氷車を入れてメンテナンスをする。荒れた表面を削って回収し、軽く水をまいて表面をならす。スケート靴のエッジで削れた穴は、氷のくずを埋めて凍らせる。氷の表面はマイナス4℃ほど。室温、氷の表面の温度、湿度などはコンピューターで一元管理している。コンディションを保ち、快適に滑ってもらうのが須賀さんたちの仕事だ。

荒れた氷上をきれいにならしてくれる製氷車

同施設へ訪れる人の人数は1シーズンに15万人。オリンピックでスケーターたちが活躍するたびに、利用者もぐっと増えるという。たくさんの人に利用してもらえるのはうれしいが、けがには気を付けてほしいと須賀さん。

同施設では、けがの防止のため手袋の着用を義務付けており、無料でヘルメットの貸し出しがある。女性のなかには、ヘアスタイルを気にしてヘルメットをきちんと被らない人もいるそうだが、大けがの元になるので着用してほしいと須賀さんは力を込めた。

また、カーリングは初心者には難しい競技のため、同施設では初心者のプレーを受け付けていない。使用するスケート靴は、通常のスケート靴とは違うエッジのきかないもの。ストーンも重くて、子どもや年配者には扱いにくいのが理由だ。

スケートはレジャーだが、スポーツでもある。決められたルールや服装を守って滑り、楽しい思い出を作ろう。

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